
中澤みほ(国家資格キャリアコンサルタント)
この記事の監修者
大学でキャリアカウンセリングを学び、最年少でキャリアコンサルタント資格を取得。公共職業訓練校や大学の就職支援を担当し、企業向け研修のプロデュースも手掛ける。湘南国際アカデミーでは、介護資格教育や就職支援を通じ「介護する側のQOL向上」を目指し、受講生や企業から信頼を得ている。
介護職員初任者研修は、介護業界へ足を踏み入れるための第一歩となる資格です。無資格状態と比較して給料アップが期待できることもあり、取得を目指す方が増えています。ここでは、給料相場や資格手当、キャリアアップについて詳しく解説します。
介護職員初任者研修を取得した人の給料の内訳
介護職員初任者研修を取得することで、実際どのような給料を得ることができるのでしょうか。ここでは初任給の目安から雇用形態ごとの違いまでを解説します。
初任者研修を修了すると、無資格者と比較して基本給や手当面でプラスになるケースが多いです。たとえば、資格手当として月に5,000円から1万円程度が上乗せされる職場もあり、年収ベースでは数万円から十数万円の差となることがあります。給料だけでなく、実際の業務範囲や責任が広がることで評価につながり、キャリアアップの第一歩としても大きな意味を持ちます。
また、介護業界全体の平均年収はおよそ380万円程度とされていますが、初任者研修を取得していると平均的に年収360万円ほどになり、無資格の場合と比べて約30~40万円ほど多くなる傾向があります。これには介護報酬の加算や諸手当の制度が大きく影響しており、研修内容で学んだ基礎知識や技術が即戦力として認められる点も重要なポイントです。
参照元:朝日新聞「介護職の平均年収380万円、全産業平均を75万円下回る 労組調査」
初任給の目安と平均給料
介護職員初任者研修を取得した方の初任給は、月額でおよそ19万円~22万円程度が一般的な相場といわれています。この金額には資格手当や地域手当などが含まれる場合もあり、実際の支給額は施設や地域によって異なるのが現状です。
平均的な年収としては300万円台半ばから後半にかけての水準が多く、全体平均の約380万円ほどには届かないこともあります。しかし、実務経験を積んだり夜勤などを増やす、処遇改善加算の支給などで、さらに上を目指すことは十分に可能です。
初任者研修取得者と無資格者の給料の違い
初任者研修修了者と無資格者の間には、年収ベースで約30万円から40万円ほどの差が生まれることがあるといわれています。これは資格手当だけでなく、介護の基礎知識を身につけていることで即戦力として評価されやすい点も影響しています。
また、資格取得者は求人の募集条件をクリアしやすく、結果的に給料が高めの職場へ移りやすい傾向もあります。業務における信頼性や効率面でも差が出やすく、長期的なキャリア形成を考えると早めに資格を取るメリットは大きいといえるでしょう。
以下の関連記事も読まれています
初任者研修取得者の正社員とパート・アルバイトの違い
正社員の場合は、基本給に加えて待遇面でのメリットが大きいため、賞与(ボーナス)や昇給制度がある職場では着実な年収アップが見込めます。社会保険や退職金制度が整っているところも多く、安定感を求める方にとっては良い選択肢です。
一方、パート・アルバイトは時給制となることが多く、介護職員初任者研修を取得していても時給にプラスアルファで手当がつく場合とそうでない場合があります。ただし、自由度の高い働き方ができ、夜勤やシフトを増やして給料を調整することも可能です。生活スタイルやキャリアの見通しに合わせて選択すると良いでしょう。
地域や施設の種類による初任者研修取得者の給料の差
都市部と地方では、概して物価や家賃などの生活費の違いに合わせて給料の水準にも開きがあります。首都圏や政令指定都市などの都市部では月給が1~2万円ほど高いことがある一方、地方では人手不足を補うために独自手当を充実させているケースもあるため、一概にどちらが高いとは言い切れません。
また、特別養護老人ホームや有料老人ホーム、デイサービスなど、施設形態によっても給与体系が異なります。24時間体制の施設では夜勤や早朝手当が生じやすく、結果的に稼ぐチャンスが増える一方、日中中心のデイサービスでは夜勤がない分、手当が少なくなる場合が多いです。
初任者研修の資格手当や夜勤手当の影響
初任者研修の資格手当は、月額5,000円~1万円程度が一般的といわれていますが、それ以上の高い手当を設定している職場も珍しくありません。資格を取得することで、現場の人材確保に積極的な事業所からのニーズが高まり、給料面にもプラスの影響を与える傾向があります。
夜勤手当は1回あたり5,000円~8,000円程度が多いため、月に数回入るだけでも大きく収入を伸ばせるのが魅力です。夜勤シフトをこなすことで職場内での評価も高まり、より重要な業務を任されてさらなる収入アップにつながる可能性があります。
初任者研修取得後の給料が上がる理由と要因
初任者研修を取得した際に見込める給料アップには、さまざまな理由と要因があります。
初任者研修は介護の基本的な知識と技術を習得できるため、現場での即戦力としての評価が高まります。実際に、研修で学んだ移乗・移動介助や清潔ケアの方法などは、日常業務で必須となる場面が多いことから、職場から高く評価されやすいです。
また、資格取得者が増えることは施設にとってもサービス品質の向上につながり、利用者や家族の安心感を引き出します。同時に介護事業所に支給される処遇改善加算の増加など、こうした要素が総合的に企業経営を後押しすることになり、結果的に給料アップをもたらす仕組みになっているため、初任者研修を取得することは長期的な処遇改善にも寄与すると考えられます。
初任者研修の資格取得によるスキル向上
初任者研修では座学だけでなく、生活援助や身体介護の基礎技術を学ぶ実技授業も含まれます。たとえば、車いすへの移乗や食事介助、ベッド上での体位変換など、実践的な場面で使える知識が身につくのは大きなメリットです。
実際に介護現場では、ケアの質が上がるほど利用者だけでなく職場のスタッフからも頼りにされるため、評価が高まりやすくなります。そうした高い評価が昇給や賞与に反映されることも多いため、スキルアップと給料アップは密接に結びついています。
介護報酬・処遇改善加算の影響
施設によっては、介護報酬や処遇改善加算を活用してスタッフの給料を底上げする取り組みを行っています。初任者研修を修了した介護スタッフが多い事業所では、一定の基準を満たすことで加算率が高まることもあり、結果的に給料アップにつながりやすいのが特徴です。
報酬加算の活用は事業所運営にも大きく影響するため、より資格を持つスタッフを増やしたいと考える事業所が多いです。そのため、初任者研修を取得した人材の需要は安定しており、優遇される傾向が続いています。
役職や勤続年数の違い
同じ初任者研修修了者でも、役職や勤続年数によって給料には大きな差がつきます。リーダーや主任などの役職を任されると、手当や評価額が上乗せされて、さらに収入を増やすことができます。
また、介護職は経験年数による昇給制度を設けている事業所が多いのも特徴です。初任者研修修了後に着実な経験を積むことで、資格に見合った処遇改善やキャリアアップが期待できるでしょう。
初任者研修取得者のキャリアと給料アップ方法
さらに高い給料を目指すために必要なステップや具体的な活動について紹介します。
初任者研修を取得した後は、上位資格である実務者研修や介護福祉士などを視野に入れると、より高い収入を得られるチャンスが生まれます。ステップアップすることで、業務の幅が広がり、マネジメントや指導的な立場で評価されることも増えるでしょう。
また、施設によっては管理職やサービス提供責任者としてのキャリアを積むことで、大幅な年収アップが見込める場合もあります。夜勤回数の増減や職場の選び方一つをとっても給料に直結する要素が多いため、自分のライフスタイルや目標に合わせて検討してみると良いでしょう。
実務者研修や介護福祉士の資格取得
実務者研修はより専門的なスキルを習得できる以外にも、サービス提供責任者としての要件を満たし、介護福祉士への受験資格を得るためにも欠かせないステップです。実務者研修を修了すると、利用者の状態観察やチームマネジメントなど、より高度な業務にも積極的に関わることができます。
介護福祉士は国家資格であり、合格すると資格手当がさらに高くなるケースが多いです。結果的に初任者研修から実務者研修、そして介護福祉士という流れでキャリアアップを図ることで、大きな収入増が期待できます。
管理職やサービス提供責任者への昇格
施設や事業所によっては、介護リーダーや主任などの管理職にステップアップすることで給料が大幅に上がることがあります。管理職になるとスタッフの指導やシフト管理、業績管理など役割が増えますが、その責任と引き換えに役職手当や賞与の増額が期待できます。
サービス提供責任者は訪問介護事業所で重要な責務を担い、ケアプランの作成やスタッフへの指導など、多岐にわたる業務を行います。初任者研修の取得だけではサービス提供責任者になることはできませんが、実務者研修を取得して、実務経験を積みながら責任者ポストを目指すと、給料面でも大きな飛躍が期待できます。
高収入を実現する施設や職場の選び方
高収入を目指すのであれば、福利厚生や業績連動の賞与などが充実している施設を選ぶのも一つの手です。公的な施設や大手の法人が運営する施設は、給料体系や昇給制度が整っているケースが多く、長期的なキャリア設計にも向いています。
また、夜勤や宿直業務などの手当が手厚い職場を選ぶと、実質的な給与水準は大きく向上します。求人情報をしっかりと確認し、自分がどれだけ夜勤に対応できるかを見極めることが大切です。
以下の関連記事も読まれています
夜勤回数を増やすメリットとデメリット
夜勤を多くこなすことで、一回あたりの夜勤手当が収入に直結するので、手取りを増やす最速の方法といえます。深夜帯の業務は人数が少ないため、経験を積みやすく、ゆくゆくはリーダー格として認められるきっかけになることもあります。
しかし、夜勤が増えると生活リズムが崩れやすく、健康面への影響が出るリスクも高まります。体調管理と収入アップのバランスをうまくとりながら、自分に合った働き方を探すことが重要です。
初任者研修の取得方法とスクール選びのポイント
効率的に初任者研修を取得するための受講形態やスクールの選び方を解説します。
初任者研修は、通信と通学を組み合わせることで働きながらでも取得しやすいカリキュラムが一般的です。座学を通信で学び、実技や演習部分を通学で行うため、仕事との両立がしやすいメリットがあります。
また、スクールによっては就職サポートや資格取得費用の分割プランなど、さまざまなサポートが充実しているところもあります。自分のスケジュールや経済状況に合わせて、長期的に無理なく通える環境を選ぶことがポイントです。
初任者研修の受講要件
初任者研修を受講するにあたって、学歴や年齢に関する厳しい制限はほとんどありません。介護関連の仕事が初めての方でも気軽にチャレンジできるため、職種転換や新入職員の基礎資格として位置づけられています。
ただし、施設や自治体によっては独自の支援制度や受講要件が設定されている場合もあります。受講前には、自分の受講予定先の要件を必ず確認しておくとスムーズです。
初任者研修は通信と通学を併用した通信コースがおすすめ
通信コースは、自宅学習とスクーリングを組み合わせるため、フルタイムで働いている方でも日程調整が比較的容易です。在宅学習では自分のペースでテキストを進められ、スクーリングでは実技指導やグループワークを通して実践的な技能を身につけることができます。
ただし、通信コースは自己管理が必要になるため、学習計画を立てて進捗を確認することが重要です。通学日のスケジュール調整や実技演習への参加など、働きながら取得する方は計画的に動くことが成功のカギとなります。湘南国際アカデミーでは、自宅学習のサポートを当校の公式LINEなどを通して「いつでも・どこでもサポートできる環境」を整えております。
求人情報豊富な就労サポート付きの介護スクールを選ぶメリット
一部の介護スクールでは、湘南国際アカデミーのように資格取得と同時に就労サポートが受けられるコースが設けられています。こうしたスクールでは、研修中から求人情報を紹介してもらえたり、就職後に定着するまでフォローしてくれたりするため、安心して転職活動ができます。
また、人材不足の介護業界では企業との連携が活発なスクールも多く、受講中から内定が出るケースもあるほどです。資格取得だけでなく、その後のキャリア形成まで視野に入れたい方にとっては大きなアドバンテージとなるでしょう。
介護の教育機関に集まる厳選された求人情報・サポートは、以下のページをご覧ください
初任者研修の取得で給料が上がる求人情報
資格を取得することで、求人の選択肢が大きく広がる点は見逃せません。初任者研修を要件としている求人は、無資格OKの求人よりも給料水準や手当が高めに設定されているケースが多く、スタート時点の待遇がより有利になります。
さらに、スクールによっては求人先の介護施設と連携し、資格取得後すぐに就職できるプログラムを用意していることもあります。給料アップを優先したいのであれば、こうした連携によるスムーズな就職ルートを活用するのがおすすめです。
介護の教育機関に集まる厳選された求人情報は、以下のページをご覧ください
初任者研修の給料に関するよくあるQ&Aと体験談
実際の体験談やよくある質問を通して、初任者研修の給料に関する疑問を解消していきます。
「初任者研修を取得した後の給料は本当に上がるのか?資格手当はどの程度つくのか?」など、多くの方が疑問を抱いています。ここでは、具体的な金額の目安や差が出る理由についてまとめるとともに、実際に給料アップを体験した人の声を紹介します。
実際に働いてみないとイメージしづらい面もありますが、先輩方の体験談を知ることで自分のキャリアを描きやすくなるでしょう。特に、受講費用や会社負担制度を利用して資格を取得した事例は、多くの人にとって参考になります。
- Q資格手当の具体例と金額はどれくらい?
- A
介護職員初任者研修の資格手当は、月額5,000円から1万円程度が相場とされていますが、事業所によってはさらに高額な手当を設けている場合もあります。資格を取得することで介護の基礎スキルを示せるため、事業所としても報酬を上乗せしやすいのが理由です。
また、一度にまとめて支給されるタイプの手当を導入している施設もあるため、いつどのタイミングで支給されるかは事前に確認が必要です。手当の仕組みや金額は職場選びの大きなポイントになるでしょう。
- Q初任者研修で無資格とどれくらい差が出る?
- A
無資格の介護職員の平均年収が約320万円台半ばであるのに対し、初任者研修を修了した介護職員は360万円近くになるケースが一般的です。これは年収で30万円~40万円ほどの違いが生じる計算になります。
実際には役職手当や業績給なども含まれるため、最終的な収入差はさらに広がる可能性があります。資格取得後の評価は高い傾向にあるため、長期的に見るとかなり大きな差につながるでしょう。
- Q初任者研修を取得した場合のパート・アルバイトの給与相場は?
- A
パートやアルバイトとして働く場合、初任者研修の有無で時給に数十円から100円程度の差があることも珍しくありません。月に換算すると1万円前後の差になる場合があり、年間では10万円以上の違いになることもあります。
また、パートやアルバイトでも夜勤や早朝勤務などで手当が加算されることが多いので、働き方次第では正社員並みに稼ぐ方もいます。自分の生活リズムや希望の収入額に合わせてシフトを組むのも、有効な手段です。

K・Wさん

20代女性
S・Jさん
初任者研修の費用は会社負担で資格取得後は手当もプラスされました
私はベトナムから日本に来て、介護の仕事を始めました。最初は無資格でしたが、日本で長く働くために資格を取りたいと思っていました。そんな時、職場が初任者研修の受講費用を全額負担してくれると知り、すぐに申し込みました。費用の心配がなかったので、安心して勉強に集中できました。
初任者研修を修了すると、すぐに資格手当がつき、給料がアップ。さらに、一定期間働くことで受講費用が免除される制度もあり、とても助かりました。資格を取ったことで、仕事の内容もよく理解できるようになり、利用者さんとの会話も自信を持ってできるようになりました。
日本での介護の仕事は大変ですが、資格を取ることでできることが増え、将来の選択肢も広がると感じています。職場のサポートがあったおかげで、安心してステップアップできました!
まとめ|初任者研修を取得して、キャリアと収入アップを目指そう
介護職員初任者研修を取得することで、給料アップだけでなく、介護業界でのキャリアの可能性が広がります。基礎的な知識や技術を身につけることで、無資格で働くよりも安定した収入を得られる可能性が高まり、さらに実務者研修や介護福祉士などの資格取得へとステップアップする道も開けます。
また、研修費用の補助や資格手当を用意している施設も多いため、これらの制度をうまく活用することで、経済的な負担を抑えながらスキルアップが可能です。
湘南国際アカデミーでは、介護の基礎から実践的な学びまで、しっかりとサポートするカリキュラムを用意しています。これから介護業界で活躍したい方や、収入アップを目指したい方に向けて、学びやすい環境を整えています。まずは資料をご覧いただき、あなたのキャリアの第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?
以下の関連記事も読まれています
湘南国際アカデミーでは、介護関連資格の教育・職業紹介にてキャリア相談・就職支援を行い、ケアする側もケアするという立場で「介護をする側のQOL向上」をコンセプトに、イベントや総合的なサポートに取り組み受講生や就労先である企業からの高い信頼を築いている。
その他、キャリアコンサルタントとしての経験や視点を活かして、様々な企業において、当校の「事業所内レベルアップ研修」を各企業に合わせた研修プログラムなどをプロデュースしている。
