視覚障害者支援の方法とサービスの総合情報

こんにちは、湘南国際アカデミーでは介護職員初任者研修の授業を担当している鈴木貴彦です。
私は平成9年から介護の仕事を初めました。
介護で最初に行ったのは訪問入浴サービスからスタート致しました。これまで他業種で仕事していたので、全く知識がなく戸惑いや単純なミスが多く発生し、利用者や家族のご迷惑をかけてしまいました。そこで専門的知識を得て、適切なサービス提供を行いたいと思い、当時のホームヘルパー2級(現在の介護職員初任者研修)を受講、更に知識を深めたいとの気持ちが強く、介護福祉士、介護支援専門員(その後、主任介護支援専門員)、社会福祉士を取得しました。
また、介護業界に入ったとき、障害者スポーツのボランティア活動を知り、その中で視覚障害者スポーツ(ゴールボール、サウンドテーブルテニス「当時は盲人卓球と呼んでいました」等を行い、多くの視覚障害者を初め、多くの障害のお持ちの方々を接する機会ができました。

そこで学んだ事は、障害という事を負と捉えるのではなく、負から正を見ることの重要性でした。
視覚の障害を負ってしまった方々の希望に満ちた人生観を肌で感じ、とても感銘を受け、わが人生の転機となりました。
この度の「視覚障害者支援の方法とサービスの総合情報」という記事を通して、少しでも皆様にとって少しでも豊かな人生を歩むための情報となりましたら幸いです。

視覚障害の程度による区分と福祉サービス

視覚障害者の方が安心した生活が実現できるようにフォーマルサービスとして、障害者総合支援法があります。そのサービスを利用する際にどのような区分があり、どのようなサービスを利用できるのか見ていきたいと思います。

身体障害者手帳の等級は、1級〜7級に分類されています。等級は障害の程度を計るための基準であり、1級に近づくほど障害程度が重くなります。身体障害者手帳の交付は6級以上の認定が対象で、7級単独では交付対象にはなりません。しかし、7級の障害が2つ以上ある場合や、等級の異なる障害が重複してある場合には、交付の対象となる場合があります。

身体障害者手帳の等級について

身体障害者手帳の等級は、1級〜7級に分類されています。等級は障害の程度を計るための基準であり、1級に近づくほど障害程度が重くなります。身体障害者手帳の交付は6級以上の認定が対象で、7級単独では交付対象にはなりません。しかし、7級の障害が2つ以上ある場合や、等級の異なる障害が重複してある場合には、交付の対象となる場合があります。

身体障害者手帳1級

視力の良いほうの眼の視力※が0.01以下のもの
※万国式試視力表によって測ったものをいい、屈折異常のある者については、矯正視力について測ったものをいう。以下同じ。

身体障害者手帳2級

  1. 視力の良いほうの眼の視力が0.02以上0.03以下のもの
  2. 視力の良いほうの眼の視力が0.04かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの
  3. 周辺視野角度(I/4視標による。以下同じ)の総和が左右眼それぞれ80度以下、かつ両眼中心視野角度(I/2視標による。以下同じ)が28度以下のもの
  4. 両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの

身体障害者手帳3級

  1. 1視力の良いほうの眼の視力が0.04以上0.07以下のもの(2級の2に該当するものを除く)
  2. 視力の良いほうの眼の視力が0.08かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの
  3. 周辺視野角度の総和がそれぞれ80度以下かつ両眼中心視野角度が56度以下のもの
  4. 両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの

身体障害者手帳の申請方法

  1. 区市町村の窓口に相談し、交付申請書と診断書の用紙を取得
  2. 指定医を受診し、診断書を書いてもらう
  3. 区市町村の窓口に交付申請書と診断書を提出する
  4. 都道府県で判定を行う
  5. 身体障害者手帳が交付される

身体障害者手帳
身体障害者福祉法の規定に基づき、一定の期間以上永続する身体上の障害を持った方に交付されます。

療育手帳
療育手帳制度に基づき、児童相談所などにおいて知的障害であると判定された、原則18歳未満の方に交付されます。自治体によって名前が異なる場合もあります。

精神障害者保健福祉手帳
精神保健福祉法に基づき、一定期間以上精神疾患の状態にあって、日常生活に制限が必要な方に対して交付されます。

視覚障害者向けの手当と給付金

視覚障害者の社会保障(手当)と給付金について説明させて頂きます。
所得保障制度としては、20歳未満で視覚障害になった人に対する障害基礎年金、就労していて視覚障害になった人に対する障害年金、日常生活において、常時特別な介護を必要とする重度障害者を対象とした特別障害者手当、国や地方自治体より支給される各種の手当などがあります。

障害者年金について

障害者年の給付額と受給権者数
出典:障害年金制度 – 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp

特別障害者手当

1 目的
精神又は身体に著しく重度の障害を有し、日常生活において常時特別の介護を必要とする特別障害者に対して、重度の障害のため必要となる精神的、物質的な特別の負担の軽減の一助として手当を支給することにより、特別障害者の福祉の向上を図ることを目的にしています。

2 支給要件
精神又は身体に著しく重度の障害を有するため、日常生活において常時特別の介護を必要とする状態にある在宅の20歳以上の者に支給されます。

3 支給月額(令和5年4月より適用)
27,980円

4 支払時期
特別障害者手当は、原則として毎年2月、5月、8月、11月に、それぞれの前月分までが支給されます。

5 所得制限
受給資格者(特別障害者)の前年の所得が一定の額を超えるとき、もしくはその配偶者又は受給資格者の生計を維持する扶養義務者(同居する父母等の民法に定める者)の前年の所得が一定の額以上であるときは手当は支給されません。

出典:特別障害者手当について – 厚生労働省

その他の手当

日常上の生活上の減免には、鉄道、バス、船舶、航空機、タクシー、点字の手紙・点字用紙の郵送、指定された施設発受の録音図書の郵送、NHKの受信料、各種の施設や催し物の入場料などがあります 視覚障害者のための日常生活用具には、以下のような物があります。

  1. 視覚障害者用ポータブルレコーダー
  2. 視覚障害者用時計
  3. 点字タイプライター
  4. 電磁調理器(卓上式)
  5. 視覚障害者用体温計(音声式)
  6. 視覚障害者用体重計
  7. 視覚障害者用血圧計
  8. 点字図書(主に情報の入手を点字によって行っている視覚障害者)
  9. 視覚障害者用拡大読書機(本装置によって文字等を読むことが可能になる物)
  10. 歩行時間延長信号機用小型送信機(カード型送信機)
  11. 点字ディスプレイ
  12. 点字器
  13. 視覚障害者用活字文書読み上げ装置
  14. 視覚障害者用ICタグレコーダー
  15. 情報通信支援用具(障害者がパーソナルコンピューターを操作するために必要となる周辺機器、またはアプリケーションソフト)
  16. 防災ベッドフレーム、障害者用防災ベスト(4級以上)、火災警報機、自動消火器など

視覚障害者の移動支援と同行援護

障害者の特性に合わせた移動時や生活活動時の安全性の確保する為の必要な支援が必要となります。

  • 同行援護とは
    視覚の障害により外出時の移動時に著しく困難な方に対して、移動に必要な情報の提供や安全確保等の便宜を供与するものです。
  • 行動援護とは
    知的に障害があり、自傷、他害行為の重度の行動障害に対する方や統合失調症があり重度の精神に障害がある方の援護を必要とする方の外出時の移動時の介護等を提供します。
  • 移動支援とは
    移動が困難な人に対して行う外出の支援サービスです。障害者総合支援法の生活支援事業サービスの一つです。障害のある人が地域で自立した生活を送ることができるようにすることが目的です。移動支援の利用ができる方は、障害の等級や支援区分にかかわらず利用可能なサービスです。日常生活の移動に障害のある方は、療育手帳や障害者手帳を取得していない場合でも自治体から発行された受給者証を取得すれば、移動支援を受けることができます。

移動における困難と危険

主要な駅(人の往来が頻繁な場所)での移動時については、支援者と視覚障害者との声かけする際、聞こえづらさから危険因子への伝達が遅延により、ヒヤリする事も何度かあります。
特に都内の主要な駅内の雑踏の中の移動には、他の方との接触やスーツケースなどに足を躓いてしまったこともありました。当然、視覚障害者の方も就労で移動されている方もいらっしゃいます。
健常者よりも移動する際は安全を優先に行う為に、歩行スピード(介助しても)は遅くなります。中には、怪訝(けげん)にこちらを見ている乗客もいます。
もっと、視覚障害者がどのような状況化で移動しているのかを良く理解し、なるべく不安や恐怖心を与えないような配慮を配って頂き、真の共生社会の実現を図って欲しいと思います。

盲導犬とその利用方法

盲導犬を貸与する場合には、以下のような条件が必要となります。

  1. 18歳以上であること
  2. 視覚障害者手帳(1・2級)を所持していること
  3. 盲導犬を飼育が可能な環境であること
  4. 同居する家族が了承のこと
  5. 4週間以上の共同訓練に参加できること

まずは上記の事がクリアしたら、以下のような手続きが必要となります。
【貸与申し込み】
盲導犬を希望
→最寄りの盲導犬協会に相談・問い合わせをしてください。
お申し込み
→「盲導犬貸与申請書」及び「生活状況確認書」に必要な事項を記載して、申請します。
【書類審査・面接修了後】
共同訓練→盲導犬を持つにあたって事前に訓練、知っておかなければならないことを訓練センターで合宿しながら学びます。
【盲導犬貸与】
共同訓練を終え卒業試験に合格すれば、正式に盲導犬が貸与されます。共同訓練を終了した後も協会から定期的に歩行状況を確認することになっています。

私見:視覚障害者にとって盲導犬とは、本人の目となり、移動時の安全確保する上で重要な役割を期待されます。また、利用する本人からすると、日常生活上でのかなりの時間を共有するので、愛情がわき、家族の一員でもありますし、本人の体の一部のようにもなり得ます。
盲導犬は上記のような働きを行います。

視覚障害のある方への就労支援と働き方について

ここでは、視覚障害のある方の収入源や働き方についてお伝えしていきます。

視覚障害のある方の収入源や働き方について

視覚障害者の方で就労者数が多い仕事が按摩や鍼及び灸の施術があります。どれはどのようにして資格が取れるのでしょうか見ていきたいと思います。

按摩やマッサージ士指圧師・はり師・灸師は国家資格です。この資格を取得する為には一定のカリキュラムを修了し、毎年2月に試験が実施、合格しないと施術師になることができません。最近は晴眼者の受験者も多くなっているようです。取得後に就労先となるのが、治療院や接骨院への就職や企業専属で社員に対しての施術、または自宅開業(出張専門も含む)などの方法があります。
また、プログラミングなども視覚障害のある方にとってはたらきやすい仕事のひとつです。総務省による、視覚障害のある方にプログラマーとしての就業を促進する支援事業もあります。

視覚障害者へのサポートと配慮

私が視覚障害者の方を接する時の配慮する事や大事にしている点をお伝え致します。
視覚障害者の方と接する時に大事なのは視覚障害者の方のその人なりを把握です。
視覚障害となり、日常生活にどの程度の支障を感じているのか。いつから障害を負っているのかを的確に情報を収集する事です。そして、本人のニーズ(デマンド)はどのような事で何を幸せ感じるのか(生活の質:QOL)。その人により思考や望むゴールは違います。個別性の理解が大切です。その為にはその方を知る上でよく話を聴く事です。

視覚障害者のための案内・誘導方法

移動時には安全性を最優先事項として、視覚障害者の方に必要な情報を正確に分かり易く情報提供を行います。例えば、信号、交通量、階段、出入り口等です。援助者自身の安全が障害者の安全性を確保する為に周りの状況にはかなり気を配ります。
以前、階段昇降する際、声かけを行った後にその手前で支援者が立ち止まらず支援してしまい、視覚障害の方が躓きそうになった事があります。声かけと同行する際の注意を欠けてしまい、本人を不安な思いにさせてしまった経験があります。

視覚障害者のための周知事項と支援・配慮事項

同行援護する際、あくまでも視覚障害者の目の役割に徹する事です。人通りの激しい公共機関などで移動している際、本人との会話がはずみ周囲環境の情報を伝え忘れてしまい、人との衝突する状況に陥ってしまった事がありました。常に本人の目となり、同行の支援を行う事が大切です。

視覚障害者の方が望む生活、生き方を送ることができるように、その方本位で尊厳が守られた生活を支援し、対等な立場で接する事で特別扱いをしない事です。

資格障害者への支援に役立つ資格の種類

視覚障害者の方を支援をするにあたり、支援者として専門的な学びを深めることも視覚障害者やご家族等の介護者に対してのサポートや配慮に繋がることは言うまでもありません。最後に視覚障害者への支援に役立つ資格の種類を挙げてみたいと思います。

移動介護従事者(ガイドヘルパー)

同行援護従業者養成研修:視覚に障害があり、外出(自宅内の介護は行わない)時の安全な移動支援を行うため必要な知識や技術を学ぶ研修です。

介護職員初任者研修

介護に従事するうえで必要となる介護の基本的な知識や介護技術を習得し、介護の業務を行うことができるための介護未経験・無資格者から学ぶことができる入門的な介護資格です。研修カリキュラム時間は130時間です。
初任者研修に関する詳細は、以下のページにてご覧いただくことができます。
「介護職員初任者研修」

視覚障害者支援に関わる皆様へ

この度の視覚障害者支援に関する情報を通して、これから皆様が歩む人生を少しでも豊かにするための一助となりましたら幸いです。

この記事の監修者

湘南国際アカデミー
講師:鈴木 貴彦
所持資格:社会福祉士、
主任介護支援専門員、
介護福祉士、
認知症介護実践者リー
ダー研修修了、
福祉住環境コーディ
ネーター2級

【経歴】
平成9年 訪問入浴サービス業に就き、同社で障害者福祉サービス(滋賀県独自の障害者デイサービス)の管理者。
平成19年 居宅介護支援事業者に就く、介護支援専門員となり、その後、管理者となる。
平成28年 地域包括支援センター 主任介護支援専門員に就き、現在に至る。
【現在の所属機関】
神奈川県内の地域包括支援センターに非常勤職員として所属する傍ら、積極的に講師業に力を入れている。

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