こんにちは!
湘南国際アカデミーで介護職員初任者や実務者研修、介護福祉士受験対策講座の講師及び総合サポートを担当している江島です!
2024年(令和6年)第36回介護福祉士国家試験を受験された皆さま、本当にお疲れ様でした。
受験を終えた皆さまは、インターネット上の解説速報などで自己採点はされましたか?
まずは、解答を知りたいという方は、当校ホームページの「解答速報」をご覧ください。
このページでは、【総合問題】から出題された問題の解答・解説を致します。
総合問題
(総合問題1)
次の事例を読んで,問題114から問題116までについて答えなさい。
〔事例〕
Cさん(59歳,男性)は,妻(55歳)と二人暮らしであり,専業農家である。Cさんはおとなしい性格であったが,最近怒りやすくなったと妻は感じていた。Cさんは毎日同じ時間に同じコースを散歩している。ある日,散歩コースの途中にあり,昔からよく行く八百屋から,「Cさんが代金を支払わずに商品を持っていった。今回で2回目になる。お金を支払いにきてもらえないか」と妻に連絡があった。妻がCさんに確認したところ,悪いことをした認識がなかった。心配になった妻がCさんと病院に行くと,前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia)と診断を受けた。妻は今後同じようなことが起きないように,Cさんの行動を常に見守り、外出を制限したが,疲労がたまり、今後の生活に不安を感じた。そこで, 地域包括支援センターに相談し,要介護認定の申請を行い,訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用することになった。
問題114
Cさんが八百屋でとった行動から考えられる状態として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 脱抑制
2 記憶障害
3 感情失禁
4 見当識障害
5 遂行機能障害
解答:1
前頭側頭型認知症にみられる症状として、脱抑制といわれる自分自身のコントロールが効かなくなる症状があります。選択肢1が最も適切です。
問題115
Cさんの介護保険制度の利用に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。
1 介護保険サービスの利用者負担割合は1割である。
2 介護保険料は特別徴収によって納付する。
3 要介護認定の結果が出る前に介護保険サービスを利用することはできない。
4 要介護認定の利用者負担割合は2割である。
5 介護保険サービスの費用はサービスの利用回数に関わらず定額である。
解答:1
Cさんは59歳で介護保険の第2号被保険者となります。第2号被保険者は所得に関わらず介護サービスの利用者負担割合が1割であるため、選択肢1が最も適切です。
問題116
その後、妻に外出を制限されたCさんは不穏となった。困った妻が訪問介護員(ホームヘルパー)に相談したところ,「八百屋に事情を話して事前にお金を渡して,Cさんが品物を持ち去ったときは,渡したお金から商品代金を支払うようにお願いしてはどうか」とアドバイスを受けた。 訪問介護員(ホームヘルパー)が意図したCさんへの関わりをICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)に当てはめた記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 個人因子への影響を意図して、健康状態に働きかける。
2 健康状態への影響を意図して,心身機能に働きかける。
3 活動への影響を意図して,身体構造に働きかける。
4 参加への影響を意図して, 環境因子に働きかける。
5 環境因子への影響を意図して, 個人因子に働きかける。
解答:4
昔からよく行く八百屋という情報から、八百屋での買い物はCさんにとって楽しみであると考えられます。また、八百屋に事情を話して事前にお金を渡し、Cさんが品物を持ち去ったときは渡したお金から商品代金を支払うようにお願いするという提案は、Cさんに関わる人(環境)へのアプローチです。したがって選択肢4が最も適切です。
(総合問題2)
次の事例を読んで,問題117から問題119 までについて答えなさい。
〔事例〕
Dさん(70歳,男性)は,自宅で妻と二人暮らしで,年金収入で生活している。ある日、車を運転中に事故に遭い救急搬送された。医師からは,第4胸髄節まで機能が残存している脊髄損傷(spinal cord injury)と説明を受けた。Dさんは,入院中に要介護3の認定を受けた。 Dさんは,退院後は自宅で生活することを望んでいた。妻は一緒に暮らしたいと思うが,Dさんの身体状況を考えると不安を感じていた。介護支援専門員(ケアマネジャー)は,「退院後は,在宅復帰を目的に,一定の期間,リハビリテーション専門職がいる施設で生活してはどうか」とDさんに提案した。Dさんは妻と退院後の生活について話し合った結果、一定期間施設に入所して,その間に、自宅の住宅改修を行うことにして、介護支援専門員(ケアマネジャー)に居宅介護住宅改修費について相談した。
問題117
次のうち,Dさんが提案を受けた施設として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 養護老人ホーム
2 軽費老人ホーム
3 介護老人福祉施設
4 介護老人保健施設
5 介護医療院
解答:4
介護支援専門員の「在宅復帰を目的に、一定の期間、リハビリテーション専門職がいる施設で生活してはどうか」という発言から、選択肢4が最も適切です。
問題118
次のうち、介護支援専門員(ケアマネジャー)がDさんに説明する居宅介護住宅改修費の支給限度基準額として,適切なものを1つ選びなさい。
1 10万円
2 15万円
3 20万円
4 25万円
5 30万円
解答:3
居宅住宅改修費の支給限度額は、要介護度に関わらず20万円です。選択肢3が適切です。
問題119
Dさんが施設入所してから3か月後,住宅改修を終えた自宅に戻ることになった。Dさんは自宅での生活を楽しみにしている。その一方で,不安も抱えていたため、担当の介護福祉士は,理学療法士と作業療法士に相談して,生活上の留意点を記載した冊子を作成して,Dさんに手渡した。 次の記述のうち,冊子の内容として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 食事では,スプーンを自助具で手に固定する。
2 移動には,リクライニング式車いすを使用する。
3 寝具は、エアーマットを使用する。
4 更衣は,ボタンエイドを使用する。
5 外出するときには,事前に多機能トイレの場所を確認する。
解答:5
第4胸髄節まで機能が残存している脊髄損傷という情報から、主に対麻痺(下半身麻痺)が残っていると考えられます。車椅子使用者が利用できる広さや手すりがあるトイレの場所を確認することが必要であり、選択肢5が最も適切です。
(総合問題3)
次の事例を読んで,問題120から問題122までについて答えなさい。
〔事例〕
Eさん(34歳,女性,障害支援区分3)は, 特別支援学校の高等部を卒業後,週2回,生活介護を利用しながら自宅で生活している。Eさんはアテトーゼ型(athetosis)の脳性麻痺(cerebral palsy)で不随意運動があり,首を振る動作が見られる。
食事は首の動きに合わせて,自助具を使って食べている。食事中は不随意運動が強く,食事が終わると,「首が痛い,しびれる」と言ってベッドに横になるときがある。
また,お茶を飲むときは取っ手つきのコップで飲んでいるが,コップを口元に運ぶまでにお茶がこぼれるようになってきた。日頃から自分のことは自分でやりたいと考えていて,お茶が上手に飲めなくなってきたことを気にしている。 Eさんは,生活介護事業所で油絵を描くことを楽しみにしている。以前から隣町の油絵教室に通い技術を高めたいと話していた。そこでEさんは,「自宅から油絵教室に通うときの介助をお願いするにはどうしたらよいか」と介護福祉職に相談した。
問題120
Eさんの食事の様子から,今後,引き起こされる可能性が高いと考えられる二次障害として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 変形性股関節症(coxarthrosis)
2 廃用症候群(disuse syndrome)
3 起立性低血圧(orthostatic hypotension)
4 脊柱側弯症(scoliosis)
5 頚椎症性脊髄症(cervical spondylotic myelopathy)
解答:5
不随意運動があり首を振る動作が見られるという情報、食事中は不随意運動が強いという情報から、首の部分(頚椎部)で脊髄が圧迫されている可能性が考えられます。また、食事が終わると「首が痛い、しびれる」と言ってベッドに横になることがあるという情報からも選択肢5が最も適切です。
問題121
Eさんがお茶を飲むときの介護福祉職の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 吸い飲みに変更する。
2 ストローつきコップに変更する。
3 重いコップに変更する。
4 コップを両手で持つように伝える。
5 全介助を行う。
解答:2
コップを口元に運ぶまでにお茶がこぼれるようになってきたという情報、日頃から自分のことは自分でやりたいと考えているという情報、お茶が上手に飲めなくなってきたことを気にしているという情報から、Eさんが自分で上手に飲めるような支援が求められます。選択肢2が最も適切です。
問題122
介護福祉職は,Eさんが隣町の油絵教室に通うことができるようにサービスを提案したいと考えている。 次のうち,Eさんが利用するサービスとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 自立生活援助
2 療養介護
3 移動支援
4 自立訓練
5 同行援護
解答:3
移動が困難な人に対してガイドヘルパーが行う外出の支援サービスである、選択肢3が最も適切です。移動に関わるサービスとしては選択肢5の同行援護もありますが、同行援護は視覚障害のある方が対象となります。
(総合問題4)
次の事例を読んで,問題123から問題125までについて答えなさい。
〔事例〕
Fさん(20歳,男性)は,自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)と重度の知的障害があり,自宅で母親(50歳),姉(25歳)と3人で暮らしている。
Fさんは生活介護事業所を利用している。事業所では比較的落ち着いているが,自宅に帰ってくると母親に対してかみつきや頭突きをすることがあった。また,自分で頭をたたくなどの自傷行為もたびたび見られる。
仕事をしている母親に代わり,小さい頃から食事や排泄の介護をしている姉は,これまでFさんの行動を止めることができていたが,最近ではからだが大きくなり力も強くなって,母親と協力しても止めることが難しくなっていた。
家族で今後のことを考えた結果,Fさんは障害者支援施設に入所することになった。
問題123
次のうち,Fさんが自宅に帰ってきたときの状態に該当するものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 学習障害
2 注意欠陥多動性障害
3 高次脳機能障害
4 強度行動障害
5 気分障害
解答:4
周囲の人の暮らしに影響を及ぼす行動があり、特別に配慮された支援が必要な状態を強度行動障害といいます。母親に対してかみつきや頭突きをすることがあったという情報、自分で頭をたたくなどの自傷行為もたびたび見られるという情報から選択肢4が最も適切です。
問題124
Fさんが入所してからも月1,2回は,姉が施設を訪ね,Fさんの世話をしている。
ある日、担当の介護福祉職が姉に声をかけると,「小学生の頃から,学校が終わると友だちと遊ばずにまっすぐ家に帰り、母親に代わって,弟の世話をしてきた。今は,弟を見捨てたようで,申し訳ない」などと話す。
介護福祉職の姉への対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「これからもFさんのお世話をしっかり行ってください」
2 「Fさんは落ち着いていて,自傷他害行為があるようには見えませんね」
3 「お姉さんは,小さい頃からお母さんの代わりをしてきたのですね」
4 「訪問回数を減らしてはどうですか」
5 「施設入所を後悔しているのですね。 もう一度在宅ケアを考えましょう」
解答:3
「今は弟を見捨てたようで申し訳ない」と話す姉に対して、受容する姿勢が求められます。選択肢3が最も適切です。
問題125
Fさんが施設に入所して1年が経った。介護福祉職は,Fさん,母親、姉と共にこれまでの生活と支援を振り返り,当面,施設で安定した生活が送れるように検討した。
次のうち,Fさんの支援を修正するときに利用するサービスとして,正しいものを1つ選びなさい。
1 地域定着支援
2 計画相談支援
3 地域移行支援
4 基幹相談支援
5 基本相談支援
解答:2
障害福祉サービスの利用を行う時に必要となる計画案の作成や、作成した計画が利用者にとって適切であるかを確認するサービスを、計画相談支援といいます。計画相談支援は、指定特定相談支援事業者が提供しています。選択肢2が最も適切です。
各科目ごとの解説はこちら
1 人間の尊厳と自立
2 人間関係とコミュニケーション
3 社会の理解
4 こころとからだのしくみ
5 発達と老化の理解
6 認知症の理解
7 障害の理解
8 医療的ケア
9 介護の基本
10 コミュニケーション技術
11 生活支援技術
12 介護過程
13 総合問題
※引用:上記の各問題は、2024年(令和6年)第36回介護福祉士国家試験問題より抜粋
※この解答・解説は湘南国際アカデミー独自の見解によるものですので、実際の正解とは異なる場合があります。
※この速報の内容は事前の予告なく、内容を修正する場合があります。
※自己採点結果による「合否判定」のお問い合わせはお受けできませんので、ご了承ください。
この記事の監修者
湘南国際アカデミー講師:江島 一孝所持資格:介護福祉士・介護福祉士実習指導者・介護支援専門員・福祉用具専門相談員
元ユニットリーダー研修指導者。10年在籍した介護老人福祉施設の現場では、研修受け入れ担当者として、年間100名以上の研修生の指導にあたる。湘南国際アカデミーでは、介護職員初任者研修や実務者研修、介護福祉士国家試験受験対策講座の講師や介護福祉士受験対策テキストの執筆などを担当する傍ら、ケアする側もケアするという立場で、介護をする側のQOL向上のためのイベントや総合的なサポートを手掛けている。
その他、介護事業所や医療機関などにおいて当校の「事業所内スキルアップ研修」の企画・提案・実施など各事業所用にカスタマイズする研修をプロデュースし、人材確保・育成・定着に向けた一連のプログラムを手掛けている。
資料請求
ご希望講座の資料を無料でお届けいたします!
下記フォームに必要事項をご記入の上、「入力内容を確認する」ボタンを押してください。
お電話での資料のご請求やご質問等も承っております。お気軽にご連絡ください。
TEL:0120-961-190 ※営業時間 9:00~18:00 年末年始を除く