相模原市で幼稚園の子どもを育てながら、新たな職を模索している私。
職場としての希望は…
◆なるべく自宅から近い。
◆夕方くらいまでの勤務。
◆土日祝日休み。
◆なるべく長く続けたい。
◆ブラック企業は嫌…。
資格や特技がないにもかかわらず、希望だけはたくさん出てきます(汗)。
でもみんな、考えることは同じ。好条件の求人には応募が殺到し、就職先が決まらないという悪循環…。
そんなとき、「介護の仕事ってどうだろう?」という思いが頭をよぎりました。
以前、介護施設で働いている知人が「現場は人手不足で大変。職がないと言っている若者が、介護の仕事に興味を持ってくれればいいのに」と嘆いていたシーンを思い出したのです。
とはいえ、介護についてメディアから流れてくるのは制度変更や事件のニュースばかり。そんな厳しそうな現場で本当に自分が働けるのか?
だから、介護の現場で働くということはどういうことなのか。少し自分なりに勉強してみたいと思いました。
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今回、ひょんなことから神奈川県内で介護資格取得の学校を運営する「湘南国際アカデミー」(藤沢市藤沢38‐3)の授業をのぞかせてもらうチャンスをいただきました。一部抜粋にはなりますが、初任者研修(正式名称:介護職員初任者研修)の授業全16回を順にご紹介。介護業界に興味を持ったけど、何から始めたら良いかわからないという方に、少しでも参考になればうれしく思います。
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介護における尊厳の保持とは?基本理念を学ぶ
介護職員初任者研修第2回目の授業は、「介護における尊厳の保持・自立支援」という科目で、介護福祉士や主任ケアマネジャー、社会福祉士などさまざまな資格と職歴を持つT先生が担当されました。
T先生から「介護を一言で言うと?」との質問が授業の冒頭で出されました。生徒からは「手助け」「護る」「お世話」などいろいろな声があがりましたが、先生の答えは「自立支援」。
「できることは自分でやっていただく、できないことを支援するのが大切です」。
T先生は続けて「日本国憲法第13条と第25条には、すべての国民は個人として尊重され、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という主旨のことが書かれていると話をしました。
「介護を受ける利用者も、もちろんこの日本国憲法で守られています。しかし、利用者の権利が侵害される事例が、介護の現場ではたびたび起こり、ニュースで報じられています」とも。
虐待を防ぐための正しい知識と対応策
「なぜプロの介護職員が虐待するのか?」
T先生によると「現場にいると、そのように追い込まれそうになる現実がある」との厳しい言葉がありました。
介護の仕事を志す人は、献身的な思いを持つまじめな人が多いと聞きます。それでも、中には虐待をするまで追い込まれてしまうことも…生半可な気持ちで介護の仕事を始めたら、もしかしたら「私」が虐待をしてしまう可能性があるということ。そんな厳しい現実のお話に、背筋が伸びる思いがしました。
虐待には「身体的」「心理的」「性的」「ネグレクト(養育放棄)」「経済的」虐待があり、施設における虐待も年々増加しているそうです。
そして特に介護職員が注意しなければならないのは、「身体的虐待」だとT先生。
初任者研修で学ぶ介護職の責任とやりがい
T先生が施設で働いていたときのこと。頻尿で夜中に何回も職員を呼んでいた全盲の女性が、職員から「あんた本当は見えるでしょ! 自分で行きなさいよ!」と頬を押さえて怒鳴られたと相談を受けたそう。
声の特徴を本人に確認し、ある職員に話を聞くと「そんなことしてない」と言い、すぐ退職してしまった事案があったそうです。
虐待は身近にあること、プロだから起こりやすいということをよくよく自覚してほしいとT先生。
「そのくらい現場はストレスでいっぱいだが、同時にやりがいのある仕事でもあります。
だから、虐待を起こさないよう、しっかり学ばなければならない」とのことでした。
利用者主体のケアとは?現場での具体例
施設での虐待がニュースになりますが、実は自宅で虐待を受ける高齢者も少なくないそう。
介護の現場では、そういう人たちの権利を守るという視点が必要で、それには、まず利用者本人の声を聞く、利用者主体の考えを持つことが大切だそうです。
自宅介護では、まれに家族が利用者の年金に依存しているなど事情が複雑な場合もあり、慎重な対応が必要と言います。
次に授業では、マザーテレサの言葉「最悪の病気と最悪の苦しみは、必要とされないこと、愛されないこと、大切にされないこと、全ての人に拒絶されること、自分がだれでもなくなってしまうこと」が紹介されました。
そして「これを利用者に当てはめて考えてみたらどうでしょうか?」と。
T先生がある施設で働いていたときのこと。毎回、何百枚ものタオルを洗う仕事があります。
それを畳むわけですが、利用者のところに持っていくと、きれいに畳んでくれるのだと言います。
「ありがとうございます、皆さんのおかげです」と感謝を伝えると、「いつでも持ってきなさい。それが生きがいなんだから」との返答。
仕事があるとないでは、認知症の進行も違ってくるという話があるそう。
親切でしたことが、実はその人のためにならないなんて、切ない話…。
でも、だからこそ勉強して、何が本人のためなのかを知っておかなければならないのだと深く納得。
授業冒頭の「介護とは、できることは自分でやってもらい、できないことを支援すること」というT先生のお話が少しわかったような気がしました。
自立支援を通じて利用者の生活の質を向上させる方法
ほとんどの人が「家で暮らしたい」と考える中、施設でどうQOL(クオリティ・オブ・ライフ/生活の質)を保つかは難しい課題だそうです。
施設の気温はいつも一定、景色も匂いも365日同じ。「だから年中行事を念入りに準備し、季節を感じてもらえるよう努めているんです」とT先生。
QOL(生活の質)を高める支援の重要性
T先生が施設ケアマネジャーをしていたときのこと。片まひでベッドから起き上がろうとしない男性が入所してきて「一番何がしたいですか?」と尋ねたところ、「スクリーンで映画『第三の男』が見たい」との返事。
T先生はケアプランを作成し、ベッドに座る練習、車いすに移る練習など2カ月かけて行ったそうです。
食堂で「第三の男」の上映が終わったとき、男性は左手で頬をたたき、「ブラボー」と大泣き。
QOLについて、大切なことを教えてもらったと話をしてくれました。
自分が働くのでも、高齢になって施設に入るのでも、「QOL」を大切にしてくれるところがいいな…。
そういう施設を湘南国際アカデミーの職員に教えてもらいたいと思います。
【参考資料】
厚生労働省「高齢者虐待防止」
厚生労働省「介護・高齢者福祉」
【執筆者プロフィール】
さがみんママ
相模原市在住、1児のママ。現在、子どもを幼稚園に通わせながら新たな仕事を模索中です。実の両親、義理の両親ともに元気ですが、5年、10年後を考えると…。介護業界への関心が日に日に高まっています。
大和市の小中高、早稲田大学教育学部卒。
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