老舗漢方専門店「薬日本堂」さんにご協力いただき、介護職に役立つ漢方に関する情報を発信しています。
今回は、【漢方スクール講師が教える】介護職のための『冷え性』解消法についてです。是非最後までご覧ください。
【前回の記事】
【漢方スクール講師が教える】介護職のための『眠りの不調』解消法!
冷えは万病の元!介護職の冷え性に注目する理由
女性の2人に1人は冷えに悩まされているといわれています。介護職の皆様はいかがでしょう?
冷え症には、手足や腰など特定の部分だけ冷えるものと全身の冷えがあります。
最近では、夏でも冷房が効きすぎるために冷えに悩む女性も多く、「手足が冷えてなかなか寝つけない」「重ね着しても身体が温まらない」「手足は冷たいのに顔がほてる」といった症状も目立ってきています。
冷えをそのまま身体に溜めこむと、自律神経やホルモンバランスが乱れたり、新陳代謝の低下を引き起こし、倦怠感や頭痛、肩こり、むくみ、生理不順、生理痛、肌荒れなど多くの不調を招きます。
更に、身体の冷えは心(こころ)の冷えにもつながります。冷えにより身体のエネルギーが滞ると心(こころ)のエネルギーのめぐりも悪くなり、ストレスを受けやすくなったり、精神的な疲れを引きずるようになり、「やる気が出ない」「根気が続かない」「落ち込みやすい」といった心(こころ)の不調も起こりやすくなります。
介護職の皆様や利用者様の中にこのような方はいらっしゃいませんか?
まさに「冷えは万病の元!」と言われる理由はここにありそうです。
「冷え性」と「冷え症」の違いを漢方で理解しよう
一般には、よく「冷え性」とされていますが、漢方では「冷え症」と表現されます。
言われてみれば・・・と思った方も多いのでは?
西洋医学では、「冷え性」を病気ではなく体質として認識しているため単独では治療対象にはならないものと考えられていますが、漢方では「冷え症」とされ、治療が必要な症状として扱っています。
漢方では、冷えは身体からの重要なサインと捉え、冷えが起きている原因を探りバランスを整えることで改善をはかります。
漢方が捉える4つの冷えタイプと特徴
漢方では、冷えが起こる原因や症状の特徴から、「全身冷え」「むくみ冷え」、「ストレス冷え」「血不足冷え」の4つのタイプに分けて捉え、それぞれのタイプに合わせて解消法を考えます。
ご自身やご利用者様の冷えケアにお役立てください。
①全身冷え
身体を温めるパワーが不足して冷えています。新陳代謝が低下して熱を生み出せないため、夏でも冷えることがあります。
低体温気味で、足腰がだるく冷え、冷えるとトイレが近くなるのが特徴です。介護のお仕事に追われ休む暇もなく、疲れがたまっている方に起こりやすい冷えです。
②むくみ冷え
胃腸が疲れて消化吸収のはたらきが弱くなり、体内に余分な水分が溜まって冷えています。むくみやすく、お腹が冷えて下痢しやすいのが特徴です。
介護のお仕事で「食生活が不規則になっている」、「多忙のため食事の時間が取れず早食いになってしまう」方は要注意です。
③ストレス冷え
自律神経のバランスが乱れ、血流が悪くなって冷えています。淀んだ血が溜まりやすく、顔はほてるのに下半身が冷えるなど温まりにくいのが特徴です。
介護のお仕事によるストレスや不満が蓄積されている方に頻繁にみられる冷えです。
④血不足冷え
血の量が不足して温るために必要な栄養が末端まで行き渡らず冷えています。
肌にツヤがなく寒いとすぐに手足の先が冷たくなり、しもやけができやすいのが特徴です。
介護の仕事による細かいデスクワークで頭や目がお疲れ気味の方に起こりやすい冷えです。
タイプ別に学ぶ冷え性解消法|日常生活に活かせるヒント
全身冷え
朝の陽気は身体を温める大事なエネルギーです。早寝、早起きをこころがけ朝日を浴びましょう。
不規則な介護のお仕事で早寝早起きが難しい方は、できる範囲で歩く時間を増やしてみるとよいでしょう。新陳代謝を高まります。
ショウガやネギなど全身の冷えを追い出す最強アイテムです。活用してみましょう。
また、介護のお仕事による過労でパワーが消耗している方は、日頃から黒豆、黒米、黒きくらげ、ひじき、昆布、といった黒い食材を摂り入れ温めパワーを養いましょう。
むくみ冷え
胃腸に負担をかけないようにすることが最大のポイント。不規則な食生活や暴飲暴食を避け、温かく消化のよい物をとりましょう。
介護のお仕事柄、食生活が不規則になりやすい方は、よく噛んで腹八分目をこころがけましょう。
水分の摂りすぎはNGです。冷たい飲み物の一気飲みや夜遅くに果物をとることは控えましょう。
ハトムギ、小豆、黒豆は身体にたまった余分な水を追い出してくれます。むくみがちな方は普段から飲んでいるお茶をハトムギ茶や黒豆茶に変えてみるのもおススメです。
ストレス冷え
心と身体をゆるめて血行を良くすることが冷え取りポイント。
介護のお仕事で緊張を強いられることが多い方は、アロマテラピーや半身浴、気功やツボ押し、足腰のストレッチなどで、リラックスタイムを設けましょう。
シナモン、小茴香(フェンネル)などスパイスには詰まりを解消し身体を芯から温めてくれるものが多くあります。
お食事に加えるひと工夫でストレスによるつまりも解消できます。
血不足冷え
夜更かしや携帯電話による長時間の目の使い過ぎを控え、栄養である「血」の消耗を防ぎましょう。
介護のお仕事でデスクワークやパソコン作業で目や頭を使うことが多い方は、ニンジン、クコの実、黒ゴマ、黒米など「血」を補う赤や黒い食材を積極的に摂り入れるとよいでしょう。
利用者様を抱えたりすることで手足に力を入れることが多い方は、寝る前にストレッチをして十分に筋を伸ばし身体の隅々まで栄養を届けることも大切です。
その日の冷えは、その日のうちに!
冷えは根雪のように身体にたまっていきます。介護のお仕事でお疲れがたまっているときこそ、日々の入浴はシャワーですまさずに、しっかり湯船に浸かりその日に溜まった冷えは身体の芯からしっかり取り除きましょう。
ユズや大根の葉、ヨモギなど薬草風呂は身体を芯から温めてくれます。
冷え症を改善することは様々な不調の改善につながります。冷えは身体からの大事なサイン。
食事、運動、ストレスの解消など、日々の生活面からご自身に合った解消法で冷え体質を改善していきましょう。
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薬日本堂が運営する情報サイト『漢方ライフ』
漢方で元気に!介護の学びでハッピーに♪
薬日本堂漢方スクール講師・山吹先生に、冷え性解消法について、ご執筆いただきました。
身体の冷えが気になる方は、是非参考にされてください♪
今回は冷え性がテーマでしたが、暑い季節は熱中症にも注意したいですね。
一般的に高齢になると体温調節機能が低下し、熱中症になりやすいです。
介護職が、老化にともなう心や身体の仕組みを学ぶことで、利用者さんの健康を守るために大変役立ちます。
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この記事の執筆者
薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師
山吹 育恵 Ikue Yamabuki
病院勤務を経て、漢方の健康観、生命観に興味を持ち1990年薬日本堂に入社。店舗において20年の漢方相談と店長を経験。現在はその臨床経験を活かし、薬日本堂漢方スクール(*)のコースやワンデイセミナーを担当する他、社内相談員の育成支援に携わる。
*薬日本堂漢方スクール https://www.kampo-school.com/
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