老舗漢方専門店「薬日本堂」さんにご協力いただき、介護職に役立つ漢方に関する情報を発信しています。
今回は、【漢方スクール講師が教える】介護職のための『体力の衰え』解消法についてです。是非最後までご覧ください。
【前回の記事】
【介護職の健康法シリーズ】漢方スクール講師が教える介護職のための『目の疲れ』解消法!
はじめに
介護職のお仕事は気を配り、心を配るとともに体力も相当使うお仕事と思います。
今回は「体力の衰え」がテーマです。どんな人でも年齢とともに体力は衰えますので、解消法というより、どのように体力の衰えを緩やかにして過ごすか、若々しさを保てるかをポイントにお伝えします。
女性は7の倍数、男性は8の倍数
まずは、年齢とともに変化する身体のターニングポイントを知りましょう。
中医学のバイブルである『黄帝内経 素問』では、「女性は7の倍数、男性は8の倍数」で身体が変化していくと述べています。
【身体機能に関するグラフ】
女性は7×4の28歳、男性は8×4の32歳で筋骨が引き締まって豊かになり身体はもっとも充実した状態になります。
その後、女性35歳、男性40歳からは顔や髪のツヤに変化が見え始め、体力的にも衰えを感じるようになります。
そして、女性42歳、男性48歳がターニングポイント。体力や持久力の衰えがあらわれます。
この時期は社会や家庭で何らかの役割を担い男女ともに多忙になりがち。気持ちは30歳前後のままだったりしますので、若いままの感覚で活動しようとします。
つまり、気持ちと身体能力の差が大きくなるのがこの時期なので注意が必要です。
体質や運動習慣の有無などにより個人差はありますが、女性42歳、男性48歳前後は体力が低下し、また生理機能のバランスが崩れやすい時期だと知りましょう。
活動をペースダウンする、こめまに休息をとる、睡眠時間を削らない、食事をおろそかにしない、心が癒されることする。
一旦立ち止まってご自身の身体と生活をチェックする時期です。
体力と若々しさを保つ要は、脾と腎
次に、体力の衰えを緩やかにするためのポイントです。
人体の生命活動のもっとも基本となるものを漢方では「気」といいます。気の充実度が体力を維持し衰えを緩やかにするポイントになります。
気の充実度に影響が大きい臓腑は脾(ひ)と腎です。
「脾」とは栄養を消化吸収するはたらきのことです。胃腸のはたらきと考えてください。胃腸が弱いと気をつくりだすパワーが低下します。
「腎」とは気を蓄える銀行だと考えてください。日々つくりだした気を貯蓄し、ピンチのときには気をとりだして使います。
老化とは、腎に蓄えられた気が少なくなるイメージです。
ですから、体力の衰えを緩やかにして、若々しさを保つには、脾と腎が健やかであることが大切です。
黒いもの、黄色いものでパワーをつける
日本で主食になっている穀類、芋類、豆類、ほかに黄色い食材であるカボチャ、栗、とうもろこしなどは脾(胃腸のはたらき)を整え、気を生み出します。
脾は筋肉と四肢につながっており、脾が元気だと筋肉が豊かで四肢の動きもスムーズになります。
黒い食べものは腎を健やかにします。黒米、黒豆、黒ゴマ、黒きくらげ、椎茸、ワカメ、昆布、ヒジキなどです。
腎は骨や髪の健康に関係していて、腎が元気であれば、骨は壮健で腰や下半身の衰えは緩やかになり、髪のハリ、コシ、太さ、色つやなども若々しく保たれます。
夏は脾、冬は腎を労わろう
季節と臓腑には関係性があります。梅雨時期から夏にかけては脾、冬は腎を労わりましょう。
夏の養生
脾(胃腸のはたらき)は湿気が苦手です。
そのため湿度が高い梅雨時期から夏にかけては脾に負担がかかりやすいです。この時期に食欲不振、むくみ、だるさ、夏バテが起こる人は、脾が弱い傾向があります。
食事に際しては脂っこいものは控えめにして、味付けは薄めを心がけてください。
また脾は冷えると機能が低下します。夏は冷たいものが欲しくなりますが、胃腸の冷やし過ぎは、結果「気」の不足につながります。飲み物は常温か温かいものを摂るようにしましょう。
冬の養生
腎は寒さが苦手です。冬は腎が頑張っている季節。この時期に手足の冷え、足腰のだるさ、腰痛や関節痛、頻尿が起こる人は、腎が弱っている可能性があります。
身体の冷えは腎の不調につながります。首、腰まわり、下半身を冷やさないように守り、シャワーで済ませず湯舟に浸かってしっかり温まりましょう。
また、冬は陰の季節なので睡眠が大切。よく寝ることが腎の保養になります。
季節の過ごし方が臓腑のはたらきに影響し、一年、一年の積み重ねが体力や身体の状態に反映されます。
夏に脾、冬に腎の元気を保つことを心がけると、同年代より若々しく年齢を重ねていけます!
古武術の動きで負担を減らす
以前、古武術を介護に活かすという内容のセミナーに参加したことがあります。介護する側、される側、どちらの体験もさせていただきました。
介護する側では、自分の体重を利用することで筋力に頼らない介助が出来ました。
介護される側では、さほど影響はないのかと想像していたところ、力みが少なく安定感があり安心して介助を受けることができました。
介護専門職の方々はもちろん家庭での介護も増える中、一般の人も学び活かしたい技術だと感じました。
古武術の動きを介護に応用することは、年齢とともに衰える体力・筋力に対して介護職の方々の健康を守ることにつながると思います。
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薬日本堂が運営する情報サイト【漢方ライフ】
漢方で元気に!介護の学びでハッピーに♪
今回は、薬日本堂漢方スクール講師・飯田先生に、体力の衰え解消法について、ご執筆いただきました。
最近体力の衰えを感じている方や、若々しく過ごしたいと思われている方は、是非参考にされてください。
湘南国際アカデミーでの初任者研修では、身体に負担の少ないボディメカニクスを活用した介護技術を学ぶことができます。
やりがいのある仕事を少しでも長く続けられるよう、自分自身の身体も大切したいですね。
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この記事の執筆者
薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師
飯田 勝恵 Katsue Iida
静岡県立大学薬学部卒業。ホリスティックな健康観をもった医療に携わりたく薬日本堂に入社。漢方薬局で約10年相談員を経験。店長を務めたのち、相談員教育を担当。現在は、「人の健康・人と地球に優しい社会創りに役立つ漢方の視点と知恵を伝えたい」と講師として活動。漢方の思想や理論に惹かれ、北京中医薬大学日本校(現:日本中医学院)医学気功整体専科を修学し、気功や太極拳、瞑想も生活に取り入れ漢方・養生を実践している。
*薬日本堂漢方スクール https://www.kampo-school.com/
自分の健康は自分で守り、自分で作る「漢方・養生ライフ」がテーマ。気軽に参加できるワンデイセミナーから、資格取得を目指した本格的に学べるコースまで、さまざまな講座をご用意。オンライン講座も充実しています。