老舗漢方専門店「薬日本堂」さんにご協力いただき、介護職に役立つ漢方に関する情報を発信しています。
今回は、【漢方スクール講師が教える】介護職のための『関節痛・腰痛』解消法についてです。是非最後までご覧ください。
【前回の記事】
漢方スクール講師が教える介護職のための胃腸トラブル解消法!
介護職に多い関節痛・腰痛の原因とは
介護職の方が担う介護業務には、腰痛や関節痛など痛みを引き起こしやすい姿勢や動作が多くあります。
特に、介護の現場では利用者様の体位変換や移乗介助で、「身体を中腰で持ち上げる」「抱える」「前にかがむ」「しゃがむ」「足を踏ん張る」「不自然な姿勢が長時間続く」「立ち続ける時間が長い」といった動作では、腰や膝へ負担がかかることも多く、腰痛や膝関節の痛みを引き起こしやすくなります。
今回は、漢方の視点で腰痛や関節痛の予防や対策についてお伝えしていきます。
漢方で考える痛みのタイプと改善法|「通ぜざれば、すなわち痛む」
漢方には、「不通則痛(ふつうそくつう)」といって「通じなければ痛みが出る」という言葉があります。
生命活動を支える「気(エネルギー)」「血(血液・栄養分)」「水(体液)」の流れが何らかの原因でつまって通じなくなり、それが「痛み」となってあらわれると、漢方では考えられています。
漢方では、痛みの特徴から「気、血、水」が滞る原因を探り、タイプに合わせてめぐりを良くしていくことで痛みが解消しやすいお身体づくりを応援していきます。
おすすめ食材で痛みをケアする方法|タイプ別痛み解消法
ひきつり痛み(冷え)
痛みの特徴
□決まった部位が強く痛む
□手足や腰が冷える
□冬に悪化しやすい
□冷風にあたると痛みが悪化する
□温めると痛みが楽になる
冷えで腰の筋肉や関節が硬直して痛むタイプ。身体を冷やしたり寒い日に痛みが誘発されます。
冷え症で足腰が痛み、関節の曲げ伸ばしがつらくなっている介護職の方に見受けられます。
年間を通じて身体を冷やさないように夏でも冷房には要注意。ストールやソックスなど常備しておき腰、膝、足首を温めましょう。
生野菜や果物などは控えめに、根菜類を鍋やスープなどで取り入れましょう。
おすすめ食材:生姜、ねぎ、にんにく、にら、シナモン、紫蘇など、身体を温める食材
キリキリ痛み(血行不良)
痛みの特徴
□同じ場所が刺すように痛む
□夜間に痛みがひどくなる
□関節が硬く変形していることもある
□患部を押すとしこりがある
□同じ姿勢が続くと痛みが悪化する
長時間、同じ姿勢を続けていることで血液循環が悪くなり痛みが起こるタイプ。重いものを持ち上げた時に痛みが出やすく、キリキリと刺すような痛みがあり動くと痛みが悪化する傾向があります。
介護現場で、前かがみになりながら持ち上げる作業が多い方に見受けられます。肩こりや頭痛が起こりやすい方も要注意です。
痛むときは無理をせず安静にして血行をよくする食材を積極的に取り入れて血の流れをよくしていきましょう。
おすすめ食材:生姜、ねぎ、玉ねぎ、酢、紅花、黒きくらげなど、血をめぐらせる食材
重だる痛み(水たまり)
痛みの特徴
□身体がむくんで痛む
□朝から手指がこわばって痛む
□関節が腫れて重く痛む
□関節に水がたまりやすい
□梅雨や雨の日に痛みが悪化する
身体に余分な水がたまることで痛むタイプ。梅雨の時期や天候の変化で悪化しやすいのが特徴です。
利尿効果のあるお茶や食品をとりましょう。環境の湿気もよくないのでなるべく部屋の換気をよくして、布団もこまめに干しましょう。
暴飲暴食、冷たい物、生もの、アルコールのとりすぎている介護職の方は要注意。水分代謝を妨げて痛みが悪化しやすくなります。水分はなるべく温かいものをとるように心がけましょう。
おすすめ食材:小豆、黒豆、きゅうり、トマト、冬瓜、はとむぎなど、水めぐりをよくする食材
簡単ストレッチとツボ押しで血行促進
患部に炎症や腫れがない場合は、積極的に身体を温めるとめぐりがよくなり痛みが和らぎます。
よもぎや大根の葉を入れた薬草風呂や紅花を入れた薬酒、よもぎのお灸、針治療は血流をよくするのでおすすめです。
お酒が飲めない方は身体を温めてくれるシナモンと紅花を混ぜたお茶を飲むのもよいでしょう。
よもぎ風呂で血行促進
乾燥したよもぎの葉30~50gをお茶パックに入れて浴槽に入れます。または、乾燥したよもぎの葉を1ℓの水で15分程煮出し、煮汁を浴槽に入れます。
ゆっくりと半身浴をして身体を芯から温めましょう。血行が良くなり痛みが緩和されます。
腰痛解消のツボ:「腎兪(じんゆ)」
漢方では、腰は「腎の府」と言われ、五臓の「腎」と深く関わりがあります。
「腎」のはたらきをよくするツボ「腎兪(じんゆ)」を刺激することが腰痛の解消につながります。
「腎兪」の周りをカイロで温めてもよいでしょう。
【位置】ウエストの高さにある背骨(第2腰椎)の中心から指2本分外側
【方法】両手を腰にあて、ツボの部分を親指で押す。1回6秒を10回繰り返して刺激する。
手術的な治療法の対象にならない痛みの場合、痛み止めを服用したり、湿布薬で対処する方も多いと聞きますが、症状が進行すると安静にしていても強い痛みが生じ介護の仕事が困難になるばかりか日常生活にも影響がでます。
ひどくならないうちに、こまめな工夫で備えていきましょう。
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薬日本堂が運営する情報サイト『漢方ライフ』
漢方で元気に!介護の学びでハッピーに♪
薬日本堂漢方スクール講師・山吹先生に、関節痛・腰痛の解消法について、ご執筆いただきました。
タイプ別に紹介されているおすすめの食材を、普段のお食事に加えてみてはいかがでしょうか?
関節痛・腰痛にお悩みの方は、是非参考にされてください♪
また、年配の利用者さんで関節痛・腰痛に悩んでいる方も多いでしょう。介護職が、老化にともなう心や身体の仕組みを学ぶことで、利用者さんの健康維持や介助役立ちます。
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この記事の執筆者
薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師
山吹 育恵 Ikue Yamabuki
病院勤務を経て、漢方の健康観、生命観に興味を持ち1990年薬日本堂に入社。店舗において20年の漢方相談と店長を経験。現在はその臨床経験を活かし、薬日本堂漢方スクール(*)のコースやワンデイセミナーを担当する他、社内相談員の育成支援に携わる。
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