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介護に関する入門的研修とは?内容とメリットを解説

介護に関する入門的研修とは
江島 一孝 | 介護福祉士・実習指導者・介護支援専門員

江島一孝(介護福祉士)

この記事の監修者

介護福祉士、実習指導者、介護支援専門員として10年以上の経験を持ち、湘南国際アカデミーで介護職員初任者研修や実務者研修の講師、介護福祉士国家試験の対策テキスト執筆を担当。

「介護に関する入門的研修」とは、介護についての基本的な知識やスキルを学ぶための研修です。
この研修は、介護の現場で働くことを考えている方や家族の介護に備えたい方に最適なプログラムで、介護の基礎を体系的に理解することができます。また、受講後には介護職員初任者研修など上位資格へのステップアップが可能になるため、介護業界への第一歩として多くの方に選ばれています。

本記事では、介護職を10年以上経験したのち、介護の資格「湘南国際アカデミー」で介護に関わる様々な研修講師を担当している私(江島 一孝)が、神奈川県の藤沢市と相模原市の委託事業として開催している「介護に関する入門的研修」を担当した経験を基に、入門的研修の内容や目的、メリットについて詳しく解説し、あなたが一歩を踏み出すためのヒントをお伝えします。

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介護に関する入門的研修とは?

介護に関する入門的研修とは、介護についての基本的な知識やスキルを学ぶためのプログラムで、介護未経験者や家族介護を学びたい方に最適な内容となっています。
この研修では、介護の現場で役立つ基礎的な知識や、身体の使い方、認知症の理解、安全確保の方法などを学ぶことができます。誰でも受講可能であり、研修後には介護職員初任者研修など上位資格へのステップアップも可能です。

家族介護の備えとして役立つことはもちろん、介護のお仕事で役立つ知識を習得できますので、入門的研修とはどんな資格なのか、詳しくみていきましょう。

入門的研修が新設された背景と概要

厚生労働省は入門的研修で介護人材を増やしたい。

現在も介護職員が不足しているというニュースは耳にされていると思いますが、今後は更に少子高齢化が進むことは確実で、介護職員の不足は大きな課題となっています。このような背景から、国や厚生労働省としても、介護人材を増やすことに注力をしています。介護に興味がある介護未経験者の方に対して、入門的な研修を通して様々な不安を払拭し、現場で働く人材を増やすため、介護の学びスタート地点として介護に関する入門的研修が作られました。

入門的研修が今後の介護業界で必要とされる理由

介護業界では、これまで別の業界で働いてきた方々、これまでは働いてこられなかった方々も含め、現在でも多様な背景、多様な年代の方々が活躍しています。今後、更に介護人材が不足することから、より広く、多くの方々が介護のお仕事で活躍されるために、基本的な知識の習得に特化した、入門的研修の重要度は増しています。

介護に関する入門的研修の内容とは?

入門的研修の内容は、介護の基本を広く学べるカリキュラムで構成されています。具体的には、「介護に関する基礎知識」「基本的な介護の方法」「認知症や障害に関する理解」「安全な介護技術」など、日常生活や介護現場で役立つ内容を網羅しています。合計21時間の研修で、実践的なスキルだけでなく、介護職として働く上での心構えも学ぶことができます。

介護保険制度に関する知識をはじめ、安全に介護をするための身体の使い方(ボディメカニクス)、認知症に関する知識、障害に関する知識、様々な場面での基本的な介護方法など、介護職として働くために役立つ、広い知識を学べる内容となっています。
介護について基本から学べますので、はじめて介護の勉強をする方々にとって、とても受講がしやすい内容です。

入門的研修を修了すると、都道府県及び市町村が発行する公的な修了証が授与されます。公的な研修と聞くと、少し身構えてしまう方もいるかもしれませんが、多くの方々が受講しやすい研修ですので、概要をみていきましょう。

介護の入門的研修の概要(入門的研修と各種研修との関係)

入門的研修は、介護職員初任者研修介護福祉士実務者研修と比べ、短時間(21時間)で介護の基礎を広く学べる点が特徴です。この研修は、介護業界への入り口として設計されており、基礎的な知識を身につけたうえで、次の資格取得を目指すステップアップのために最適な内容となっています。
上位資格と異なり、誰でも気軽に受講できる点も大きな違いです。以下の表をご参照ください。

入門的研修と各種研修との関係
厚生労働省 入門的研修の概要 より引用

入門的研修は、大きく分けて以下に紹介する6つの科目で構成されています。

介護に関する基礎知識

介護に関する基礎知識では、介護保険制度や福祉サービスの仕組みを学びます。
介護の仕事が社会全体の中で果たす役割を理解できるため、初めて介護を学ぶ方でも業務の全体像をイメージしやすくなります。また、介護が必要になる背景や利用者様が求める支援内容についても触れるため、現場でのコミュニケーションに役立つ知識が身につきます。

介護の基本

介護における安全な身体の動かし方(ボディメカニクス)や認知症予防で活用できる体操などを学びます。

基本的な介護の方法

基本的な介護の方法では、着替えの介助や移動のサポート、排泄や食事の介助など、介護現場で求められる生活支援技術を学びます。さらに、ボディメカニクス(身体の正しい使い方)を活用することで、介護者自身の身体を守りながら安全にケアを行う方法を習得します。このセクションは、実践的な介護スキルを身につける重要なポイントです。

認知症の理解

認知症の理解では、認知症の種類や原因、症状の特徴を学びます。利用者様が直面している問題を理解することで、適切な対応や支援ができるようになります。また、認知症ケアにおける注意点や家族との連携方法についても触れるため、現場での支援に役立つ具体的な知識が得られます。

障害の理解

障害に関する知識では、障害の種類や特徴、支援の方法について学びます。障害福祉制度や利用者が抱える課題を理解することで、介護職として適切な対応を行う基盤が築かれます。この内容は、介護と障害福祉のつながりを深く理解するための重要なカリキュラムです。

介護における安全確保

介護における安全確保では、介護現場での事故や感染症のリスクを防ぐ方法を学びます。たとえば、正しい手洗いや感染症予防策、事故が起きた際の対応法などを具体的に学習します。このセクションは、利用者様の安全だけでなく、介護職員自身の安全を守るためにも欠かせない重要な内容です。

入門的研修は初任者研修カリキュラムの一部?

入門的研修は、介護職員初任者研修という、介護職として働く多くの人が受講される研修とつながっています。こちらのつながりを知っておくと、次のスキルアップもイメージしやすくなりますので、詳しくみていきましょう。

入門的研修を取得した後の科目免除について

介護職の資格制度の仕組み
介護職の資格制度の仕組みのイメージ図

介護の資格や研修には入門的研修以外に様々なものがありますが、勉強をはじめる前に知っておくべき研修を解説します。
まず知っておきたい4つの研修として、上記の図にある「介護に関する入門的研修」、「介護職員初任者研修」「実務者研修」、「介護福祉士」が挙げられます。

研修時間数で整理しますと、介護に関する入門的研修は21時間、介護職員初任者研修は130時間、実務者研修は450時間、介護福祉士は国家試験に合格することで取得することができます。
「介護に関する入門的研修」を修了すると、「生活援助従事者研修」や「介護職員初任者研修」を受講する際に、科目の一部が免除されます。
これは「介護に関する入門的研修」で学んだ内容が上位資格に含まれるためです。例えば、「介護に関する入門的研修」を修了した人が「介護職員初任者研修」を受講する場合、受講すべき時間数が少なくなります。
そのため、入門的研修は初任者研修カリキュラムの一部であると認識してもよいでしょう。

入門的研修修了後の進路

入門的研修修了後の進路のイメージ図
入門的研修修了後の進路のイメージ図

入門的研修を修了すると、介護の現場で役立つ基礎知識を活かしてすぐに働くことができます。
また、この研修をきっかけに介護職員初任者研修介護福祉士実務者研修といった上位資格へ進むことで、さらなるスキルアップやキャリアアップも可能です。修了証が公的な証明書として発行されるため、就職活動においても大きなアピールポイントとなります。

入門的研修の修了後は、ここまで見てきたように、その先にスキルアップできる資格がありますので、入門的研修の受講は、介護職としてのスキルアップの入口とも言えます。

入門的研修を修了した後のキャリア形成について

入門的研修を修了した後は、利用者様のご自宅に伺う訪問介護の仕事を除き、すぐに介護の仕事へ就くことができます。さらにスキルアップ、キャリアアップを目指して介護職員初任者研修の受講に進み、修了すると訪問介護の仕事もできるようになります。介護職員初任者研修の修了後は、実務者研修の受講に進み、引き続きスキルアップ、キャリアアップを目指す方々が多くなります。実務者研修を修了すると、3年以上の実務経験があれば介護福祉士国家試験の受験要件を満たし、筆記試験に合格すると介護福祉士として活躍することができます。このように、入門的研修は修了した後のキャリア形成を見通しやすい研修です。

入門的研修の修了者を採用したい介護事業所はどんな会社?

訪問介護を除く介護事業所では、無資格未経験の方を採用することもできますが、資格を持っていると就職に有利になる傾向があります。特に入門的研修を修了した後に、介護職員初任者研修の受講を考えている方を採用したいと考える介護事業所は多くなります。これは、多くの介護事業所が、学ぶ意欲があり基本的な介護に関する知識を持っている方を採用したいためといえます。

入門的研修は仕事以外でも活用できる

介護の仕事をするうえでも役立つ入門的研修ですが、仕事以外でも活用ができます。現代において介護は誰にでも関係することですので、家族の介護や、親戚や友だちからの相談を受けた場合など、基本的な介護の知識は、周りの大切な方々のためにも活用ができます。

入門的研修を取得する方法

ここまで、入門的研修の内容や位置づけをみてきました。ここからは、いよいよ実際に入門的研修を取得する方法を詳しくみていきましょう。

入門的研修の受講資格についてのQ&A

入門的研修は、受講資格や介護職経験などの要件はありませんので、誰でも受講することができますが、当校に寄せられるご質問をいくつか挙げさせていただきます。

A

入門的研修には修了試験はありません。

A

入門的研修は、無料で受講できるところがほとんどです。

A

都道府県および市区町村が実施主体となっていますので、各自治体のホームページなどで確認ができます。また、都道府県および市区町村に委託された民間団体でも実施しています。

A

注意点は特にありません。効果的に学ぶためにも、楽しみながら受講すると良いです。

入門的研修を受講するメリット

入門的研修を受講することで、介護に関する基本的な知識を体系的に学べるため、介護職に初めて挑戦する方でも安心して現場に臨めます。また、家族介護をサポートする知識を習得できるため、家庭内での負担軽減にも役立ちます。さらに、この研修を修了すると、介護職員初任者研修を受講する際に一部科目が免除されるため、次のステップに進む負担が軽減されます。

入門的研修は、通学制と通信制の2つがあります。通学制とは、研修会場に足を運び対面で受講するスタイルです。通信制とは、ご自宅など好きな場所でオンライン授業を受けるスタイルです。メリットとデメリットを踏まえ、ぜひご自分に合う方を選んでください。

通学制を選ぶメリットとデメリット

通学制は、対面で授業を受けることができるため、講師に直接質問をしたり、受講生同士で情報交換がしやすいメリットがあります。一方で、研修会場へ通う必要があるため、忙しいなかで21時間の受講は負担になるデメリットもあります。

通信制を選ぶメリットとデメリット

通信制は、オンラインで授業を視聴するため、好きな時間に授業を受けることができ、21時間の動画視聴を自分のペースで進められるメリットがあります。一方で、直接講師へ質問することができず、他の受講生との交流ができないデメリットもあります。

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湘南国際アカデミーの入門的研修の特徴

湘南国際アカデミーの入門的研修は、通学制と通信制の両方から選択でき、ライフスタイルに合わせた受講が可能です。
通学制では対面で講師に質問できる環境が整っており、通信制ではオンライン授業で自分のペースで進められる利便性があります。また、当校は自治体からの委託事業として実績があり、信頼性の高い研修を提供しています。初めて介護を学ぶ方でも安心して受講できるよう、充実したサポート体制も整えています。

湘南国際アカデミーでは、藤沢市や相模原市などの自治体から委託を受けて、入門的研修を通学制も通信制も実施しています。通学制では、通うのが大変というデメリットがありますが、欠席した授業は次回の開催回で振り替え受講ができる仕組みを整えています。通信制では、直接質問ができないというデメリットがありますが、LINEやメールなどで気軽に質問ができる体制を整えています。

自治体からの委託事業となりますので、年度ごとに規定が変更になる可能性があります。

湘南国際アカデミーの入門的研修の実績と今後の予定

湘南国際アカデミーでは、2021年度より藤沢市や相模原市から委託を受けて入門的研修を開催しております。藤沢市では通信制も通学制も開催し、相模原市では通学制のみを開催しております。
各市町村で開催している入門的研修の詳細は以下のボタンをクリックしていただけるとご覧いただけます。

湘南国際アカデミーで、これまでに入門的研修を受講した方々からは、「介護に関する基本的な知識を広く学べました」や、「介護に対するイメージがつかめました」という声を多くいただいています。
介護に関する入門的研修は、超高齢社会となった日本で生活する多くの方々にとって、現在そして未来に向けて知っておくべき知識を学ぶことのできる有意義な研修です。

時期によって、新年度の情報に更新されていない場合がありますので、予めご了承ください。

入門的研修を受講する前に確認してもらいたいポイント

実際に入門的研修を担当してきた講師の視点や修了された方達の反応を見ていても、入門的研修は受講するメリットが多くデメリットは特に無い研修ですが、受講する前に確認しておくべきポイントがいくつかあります。より有意義な受講となるように、一つずつみていきましょう。

介護の仕事のために受講するのか?仕事以外のために受講するのか?

就労したい介護サービスに活用できる資格か?

介護職として仕事に就きたい場合、入門的研修での学びは、どのような種類の介護サービスであっても活用できます。ただし、訪問介護で直接利用者に触れて行う介護(身体介護)は介護職員初任者研修の修了が必須となります。訪問介護での活躍を考えている場合は、入門的研修の修了後に初任者研修を受講するか、はじめから初任者研修の受講を検討しましょう。

ボランティア活動やその他の目的に活用したいのか?

今は介護職として仕事をすることは考えておらず、ボランティア活動、家族の介護のために受講する方々も多くいらっしゃいます。仕事のために受講する方々にも、仕事以外のために受講する方々にも共通しますが、目的を意識して受講をするとイメージが湧きやすく、効果的な学びにつながるのでご自身の目的を確認することをおすすめします。

受講時間を確保できるか?

通学制では21時間の通い、通信制では21時間分のオンライン授業視聴が必要です。特に通学では、すべての日程に出席ができるか、欠席をした際に振り替え受講ができるかというポイントを事前に確認しましょう。

その他の介護資格と比較してから受講を決める

介護の資格には様々な種類があります。入門的研修、生活援助従事者研修、初任者研修、実務者研修、いずれも受講資格や介護職経験などの要件はなく、誰でも受講することができます。ご自身の目的に合わせ、他の研修と比較してから受講を決めることをおすすめします。

不安なことは気軽に、入門的研修の講師に相談してください

入門的研修は、介護について基本を広く理解することができる、学びの入り口に適した研修です。介護の仕事に少しでも興味がある方、家族介護のために少しでも興味がある方には受講をおすすめします。気になることがあれば気軽にお問い合わせ、相談をいただけますと幸いです。授業でお会いできることを楽しみにしています。

まとめ|入門的研修はどんな人におすすめ?

入門的研修は、介護の仕事に興味を持っている方や家族介護を学びたい方に特におすすめです。
介護が未経験でも安心して受講できる内容で、現場での仕事のイメージをつかむことができます。
また、介護業界に進むべきか迷っている方にとっても、超高齢社会となった日本で生活をしていくために、将来を考える上での貴重な体験となる研修です。
家族介護が必要な方や少しでも介護資格、介護の仕事に興味のある方は、お気軽に湘南国際アカデミーまでお問い合わせください。

【受講料無料】現在受講可能な介護入門的研修

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この記事を書いた人
元ユニットリーダー研修指導者。10年在籍した介護老人福祉施設の現場では、研修受け入れ担当者として、年間100名以上の研修生の指導にあたる。湘南国際アカデミーでは、介護職員初任者研修や実務者研修、介護福祉士国家試験受験対策講座の講師や介護福祉士受験対策テキストの執筆などを担当する傍ら、ケアする側もケアするという立場で、介護をする側のQOL向上のためのイベントや総合的なサポートを手掛けている。
その他、介護事業所や医療機関などにおいて当校の「事業所内スキルアップ研修」の企画・提案・実施など各事業所用にカスタマイズする研修をプロデュースし、人材確保・育成・定着に向けた一連のプログラムを手掛けている。
担当スタッフ
藤沢校・横須賀校・海老名校・相模大野校・横浜戸塚校・横浜馬車道関内校・小田原校・大和校・横浜二俣川校
【所持資格】
介護福祉士・介護福祉士実習指導者・介護支援専門員・福祉用具専門相談員
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