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試験科目「人間の尊厳と自立」を対談形式で解説

介護福祉士国家試験 試験科目「人間の尊厳と自立」

こんにちは、湘南国際アカデミーで介護福祉士受験対策講座の講師や受験対策テキスト「介護福祉士国家試験・丸わかりテキスト」の作成に携わっている江島です。
「介護福祉士試験科目を対談形式で解説」の第1弾である試験科目「人間の尊厳と自立」編です。
多忙な介護現場で働く介護士の皆様が、効率よく介護福祉士国家試験に合格するためには、各科目の特色や受験対策に向けての考え方や勉強方法を整理する必要があります。
この「介護福祉士試験科目を対談形式で解説」シリーズでは、毎年の介護福祉士国家試験で90%以上の合格率を達成している、当校の介護福祉士受験対策講座や介護福祉士国家試験受験対策テキスト「介護福祉士国家試験・丸わかりテキスト」の著者である仲川一清に、私(江島)が科目ごとに重要なポイントを質問していくことで、各科目の特色や受験対策に向けての考え方や勉強方法を分かり易く丁寧にお伝えしていきます。
一人でも多くの方の介護福祉士国家試験合格への一助になりましたら幸いです。
それでは、早速始めていきましょう!

試験科目「人間の尊厳と自立」の全体像と特色

江島

Q1.
試験科目「人間の尊厳と自立」の全体像と特色について教えてください。

仲川

A1.
実は、この科目は一番勉強しにくいところです。
何故かと言うと、そもそも「人間の尊厳とは一体どういうことだろうか」という話です。
何故このような科目が介護福祉士国家試験に出題されるのかというと、大前提の話で、大事なポイントになるのが「介護福祉士さんって介護をやる人ですよね」という以前に、介護をする前に「介護を必要とする相手は人ですよ」という所をよく理解してくださいということです。
そこの部分の理解をちゃんとしているのかという倫理的な話になってきますので、「人間理解をしましょうね」ということが、この科目の大事なポイントです。具体的には、例えば、「高齢の方であろうが障害を持っている方であろうがなかろうが、まず向き合う人は人間ですよねということをきちんと理解しておいてくださいね」という趣旨の科目設定になっているわけです。
ですから、非常に哲学的というか、そういう類の問題が出たりすることかがありますので、実は我々(介護教員)の教えられる範疇を超えてくる場合が多々あります。
過去には、フランクリンの小説のことについての問題が出てきましたが、実際には現場で働いている多忙な介護士さんがそんな言葉までは、ちょっと勉強しきれないだろうなとも思いますし、「人間のあり方や人が生きるということは、こういうことですよね」という倫理観が必要とされる試験科目でもあります。
試験の対策としては、倫理観の基盤を持っている人であれば、何となく問題自体に馴染みがなくとも、「これが正解だろうな」というところは察知できる方もいらっしゃいます。つまり、そういう出題のされ方がありますから、この「人間の尊厳と自立」という科目は特に「暗記や覚えて何とかなるという科目ではない」という風に理解して、日々の業務での利用者様とのやり取りや利用者様への意識や考え方、過去に出題された介護福祉士国家試験の問題を繰り返して解いていき、暗記ではなく出題される問題自体に慣れていく方法で対策していくと良いですね。

「人間の尊厳と自立」に関する最近の出題傾向

江島

Q2.
「人間の尊厳と自立」に関する最近の出題傾向と、その背景にある試験問題の出題者側が受験者に求めていることについて教えてください。

仲川

A2.
皆さんもご存じのように、第35回介護福祉士国家試験から出題基準が変わって、新たに増えたところで申しますと、歴史的なところが入ってきました。
大事なポイントとしては、福祉の理念の歴史的変遷みたいなものが入ってきましたので、例えば困っている人を救済していきましょうという時代から、現在は分け隔てなく、「障碍者でも高齢者でも一人の社会を構成する一人の人間として一緒にやってきましょうね」ということです。
現在は、時間の経過とともに様々な理念的なものも変遷を経て、今この地点にいるわけですけれども、それぞれの時代に応じて介護に限らず、福祉としての役割、その時代に応じて変わってきたことや変わり続ける必要性を、歴史を通して学ぶことが必要であり、同時に介護福祉士になる方達はこのような歴史的変換からも学ぶことを求められているわけです。
日本で戦後すぐに行われてきた福祉と現在の福祉とを比較しても、当然のごとく変わっていますし、考え方もかなり変わってきています。
つまり、「そういった歴史も知っておいてくださいね」ということが、どういうことかというと、自分から歴史を学ぼうとしない限り、現場で働いていると今のことしか知らないわけです。
それでもこういう流れを受けて、今があるのだというところを理解しておくことによって、現場の中で何か対応に困った時に、「そのやり方は前時代的だ」とか、「現代で求められているやり方や考え方ではないですよね」ということを判断するための、いわゆる判断基準にもなるわけです。
そういった歴史的な変遷ということと、あとはどういう考え方で、実際に我々の先輩方が介護や支援をしてきたのかということをしっかりと理解しておくということは、これから我々が時代を作っていく上で、時代に逆行していないかとか、昔に戻ってしまうことにならないか、ということを判断する材料にもなりますので、そういったところを少しでも手厚く勉強しておかれると、実はこの科目だけではなく、介護福祉士国家試験の他の試験科目においても対応しやすくなると思いますね。
そして何よりも、「これからの介護福祉を作っていくのは自分たちである」ということをまず理解しておいてくださいというところが、出題者の意図でもあるかと思いますし、新たに出題されるようになった歴史に関する問題を解いていくために必要な大事なポイントであると思いますね。

「人間の尊厳と自立」で特に注意すべきポイント

江島

Q3.
「人間の尊厳と自立」で特に注意すべきポイントや絶対に落としてはいけない問題を教えてください。

仲川

A3.
上記で述べたところと多少重複しますけれども、いわゆる人間の尊厳ということ自体がかなり抽象的な概念なので、ここは少し勉強しづらいかなと思います。
「障害があってもなくても病気があろうとなかろうと、高齢であろうが何であろうが、一人の人間として生きる権利を持っているということですよ」ということをしっかりと腹の底から理解しておく必要があるということです。
ただ、先ほども言及しましたが、歴史的な変遷みたいなところは幾つかキーワードがあるので、そういったキーワードは押さえておくといいかなと思います。

「人間の尊厳と自立」で点数を稼げるポイント

江島

Q4.
「人間の尊厳と自立」で点数を稼げるポイントを教えてください。

仲川

A4.
実は、この科目は点数を稼ぎにくい科目になります。
なぜかというと出題される問題数が2問ですので、そもそも論でここはちょっと点数を稼ぐという科目ではないという風に思っていただきたいです。
ただし、これはちょっと注意しておいていただきたいのは、毎年、湘南国際アカデミーで開催している介護福祉士の受験対策講座でもお伝えしているのですが、介護福祉士国家試験は午前中に試験が開始されまして、1問目に出題されるのがこの「人間の尊厳と自立」という科目になります。
そして大事なポイントは、1問目でいきなり聞き慣れない難しい問題が出題されます。
例えば、糸賀一雄さんに関することやフランクリンに関することなどが出てきたり、過去には朝日訴訟の裁判に関する問題が出題されたりもしました。
現場で働く介護士の皆さんにとって、聞き慣れない人名や事柄がいきなり出てくる、そしてそういう馴染みのない問題が、最初の問題として出題されたりすると、そんなに広く深い内容までを想定して現場の介護士さんたちが勉強するほど受験対策のための時間を用意することは難しいわけですから、心が動揺してしまうのは当然ですよね。
そうなってくると、実際に試験の時に心を折られてしまう方が出てくるものです。
そんな難しい問題を一問目で当たってしまうと、心の中で「今年は難しい」みたいな感じになるわけです。そうすると自分に自信が持てなくなり、結果的に解答する際に迷いの幅が大きくなることが多々あります。大事なことは1番最初に答える問題でそういうことが起こり得るのだということは、念頭に置いて心の準備をしておいた方が良いということです。
介護福祉士国家試験の本番が始まり、最初の大事なポイントとして、この「人間の尊厳と自立」において、1問目や2問目に出題される問題には、「介護現場で働いている介護士にとって通常は聞き慣れないキーワード(人名や事柄など)が出題されるものだ」というように割り切っておくということが大切なポイントです。
心の準備として、この「人間の尊厳と自立」という科目で点数を取るということよりも、他の科目で点数を落とさないために、「心を折られないようにする」ことが、この科目では必要だと思ってください。
そして、同時にこの「人間の尊厳と自立」の科目で、決して落としてはいけない問題やポイントについてお伝えするとしたら、「人間の尊厳と自立」の科目は概念的な問題になってくるので、これからお伝えすることが理解できていないと、他の科目でも恐らく点数が取れなくなるだろうなというところが2点あります。
まず1点目は、「人間の尊厳」ということ。
何度もお伝えしているように、「どんな障害があっても高齢であっても人として生きる権利を持っているのだ」ということを理解できていない人は、恐らく介護福祉士国家試験の他の科目でも点数を取ることは難しいかと思います。
例えば、悪い例でいうと、「認知症だから、施設の外へ出て行っちゃうよね。閉じ込めておけばいいよね。縛っておけばいいよね。その方がこの人にとっても安全だよね。家族も介護職員も困らないよね」というような、こういう理解の仕方をしている人は、他の科目においても点数を取ることは非常に難しいと思います。
ここがまず1点目の大事なポイントで、2点目は「自立の概念」です。
自立とは何かということです。特に高齢者介護をやっている介護士の中にもよく見受けられるのですが、「自立って日常生活動作、いわゆるADLを自分でできるようにすることだよね」ってそういう理解のし方しかしていない介護士が実は多く見受けられます。
一方では、「食事介助を受けているけれども、自分で食べられるように頑張ってくださいってやるのが自立支援だよね」って思っている介護士さんもいるのですが、そもそも論で、自分で食べたいと思ってない人に自分で食べてくださいって言われたら、これはむしろ強要ですよねという話にもなります。
自立って何なのかというところをしっかりと理解して、自立支援のあり方をしっかりと理解しておかないと、先ほどもお伝えしたように他の科目においても点数を取れなくなってしまいます。
この部分は本当に抽象論にはなりますが、普段、無意識的に接していることだからこそ、普段からの意識と理解を深めておくことが必要なのが、この「人間の尊厳と自立」という科目になります。

江島

仲川学院長、ありがとうございました。
これから、介護福祉士国家試験を受験する皆様の一助になりましたら幸いです。

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【経歴】
元ユニットリーダー研修指導者。10年在籍した介護老人福祉施設の現場では、研修受け入れ担当者として、年間100名以上の研修生の指導にあたる。湘南国際アカデミーでは、介護職員初任者研修実務者研修介護福祉士国家試験受験対策講座の講師や介護福祉士受験対策テキストの執筆などを担当する傍ら、ケアする側もケアするという立場で、介護をする側のQOL向上のためのイベントや総合的なサポートを手掛けている。
その他、介護事業所や医療機関などにおいて当校の「事業所内スキルアップ研修」の企画・提案・実施など各事業所用にカスタマイズする研修をプロデュースし、人材確保・育成・定着に向けた一連のプログラムを手掛けている。

【所持資格】
介護福祉士、介護福祉士実習指導者、介護支援専門員、福祉用具専門相談員

江島 一孝
講師
湘南国際アカデミー
この記事のインタビュアー(聞き手)
【経歴】
元学校法人九里学園 浦和短期大学実習指導担当、元学校法人帝京大学 帝京大学福祉・保育専門学校 講師。社会福祉法人神奈川社会福祉協議会かながわ福祉人材センターキャリア支援専門員などを経て、湘南国際アカデミー学院長へ就任。現場経験も豊富な教育のプロとして、心に響く講座が大人気。特に介護福祉士国家試験の受験対策講座においては受講生の合格率が95.1%(2023年5月現在)まで向上し、直前対策講座や模擬試験など数々の人気講座をプロデュース。
その他、次世代の教育者の育成にも力を入れており、湘南国際アカデミーの実務者研修教員講習会の講師を務め、今までに200名以上の教員育成の実績がある。執筆活動においては、湘南国際アカデミーの介護福祉士受験対策講座のテキストや同じく介護福祉士受験対策のeラーニング「受かるんです」をはじめ、過去には「うかる!介護福祉士合格コーチ」「現場に役立つ介護福祉士実習の手引き」などがある。

【所持資格】
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員

湘南国際アカデミー学院長:仲川 一清
湘南国際アカデミー介護福祉士国家試験丸わかりテキスト
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