実務者研修教員講習会とはどんなもの?

介護士は実務と資格があれば実務者研修を受けることができます。
そんな介護福祉士実務者研修を行う時に配属される専任の教員に対して行われる講習会が、この「実務者研修教員講習会」なのです。

専任教員(教務に関する主任者)の場合

この実務者研修教員講習会を受けるための条件は複数あります。

1.実務5年以上の介護福祉士であること
2.介護にまつわる資格を所有していること

ですが、さらにそこに付けくわえて3つの条件があります。
3.大学や専門学校の教授、准教授、助教、または介護の講師であること
4.福祉系の高校、または養成所で3年以上介護を教えていること
5.特例の福祉系の高校で5年以上介護を教えていること

この3つが条件であり、これらのうちのひとつでも該当をすれば2つ目の条件はクリアです。
2つの条件が揃えば、実務者研修教員講習会を受ける権利が与えられます。

一般教員(専任かどうかは問われない)の場合

以下を担当する教員に限って、一定要件が課されます。

1.介護過程Ⅲ(スクーリング)
上記の条件を満たし、かつ、実務者研修教員講習会などの修了者であること等
2.医療的ケア
看護師等の資格があり、実務経験5年以上を有する者であり、かつ、医療的ケア教員講習会等の修了者であること等

実務者研修教員講習会で得られる知識

実務者研修教員講習会の8日間のカリキュラムの中で行われる科目は3つあります。
1つは30時間かけて行われる科目で「介護教育方法」です。
こちらの科目では、教育理論に則って、介護士への適切な教育方法や、それぞれの科目の学習内容などについてを実務者研修教員講習会で学びます。

2つ目は15時間かけて行われる「介護過程の展開方法」という科目です。
こちらの科目では、講習をいかにして展開をしていくのか、という講習を行ううえでは重要なテクニックを実務者研修教員講習会で学びます。

3つ目は5時間の「介護福祉士実務者研修の目的・評価方法」という科目です。
こちらの科目では介護福祉士実務者研修を行うことの意味や目的、そして研修の全体の設計、そしてその評価について実務者研修教員講習会で学びます。

実務者研修教員講習会を受けることのメリット

実務者研修教員講習会を受けた後、「介護課程Ⅲ」の講義を行うことが出来るようになります。
実務者研修教員講習会を受けることそのものが大変ですので、介護課程Ⅲの講義を行うことのできる教員と言うのは、あまり数は多くはありません。
そんな中で実務者研修教員講習会を受け、介護課程Ⅲの講義を行うことができるようになれば、講義の仕事も増え、研修教員としての人材の価値が上がります。

率先して介護の指導を行っていきたいと言う前向きな方に、実務者研修教員講習会を受けることは非常にお勧めです。
また、実務者研修教員講習会を受ければスキルアップにも繋がるので、収入のアップも見込めます。実務者研修教員講習会を通じて介護指導の先駆けを担っていただきたいものです。

介護福祉士実務者研修の医療的ケアを指導するためには?

介護福祉士実務者研修内で実施する医療的ケアに関しての指導を行いたいという場合、”看護師等の資格があり・・・”と述べたのですが、看護師以外に、介護福祉士は含まれているのでしょうか。

介護福祉士の医療的ケア実習、介護福祉士実務者研修などにおいて、今まで医療行為であった「たん吸引」や「経管栄養」などを学ぶことができ、一定環境下でその医療行為を行うことができるようになりました。
介護福祉士の国家試験内容にも医療的ケアの項目が追加されていることなどから、指導の立場にまわりたいという介護福祉士の方やそれを目指す方もおられると思います。

しかし医療行為を行う介護士に対して指導するということから、医療的ケアの指導に携わるには、医師・保健師・看護師・助産師の資格を有していなくてはなりません。
そのため、介護福祉士の資格があり5年以上の実務経験があっても、医療的ケアの指導を行うことはできないということになります。

実務者研修実施機関には一定の専任教員が必要

平成28年度の介護福祉士国家試験より、実務経験ルートを通る方の場合には、実務経験3年以上に加えて実務者研修の修了が義務となりました。
これを受けて実務者研修の需要が高まり、実務者研修を実施する機関において、一定の専任教員を配置することが定められているのです。

原則としては、専任教員1人以上を配置または、介護過程Ⅲ(スクーリング)の指導教員は、介護福祉士の資格をもち5年以上の実務経験があり、さらに実務者研修教員講習会を修了している者と決められています。
つまり、実務者研修を実施する機関の教員や講師になりたいという方の場合には、この講習を修了することは必須となるのです。

この記事の監修者
湘南国際アカデミー講師

湘南国際アカデミー
講師:江島 一孝
所持資格:介護福祉士・
介護福祉士実習指導者・
介護支援専門員・
福祉用具専門相談員

 元ユニットリーダー研修指導者。10年在籍した介護老人福祉施設の現場では、研修受け入れ担当者として、年間100名以上の研修生の指導にあたる。湘南国際アカデミーでは、介護職員初任者研修実務者研修介護福祉士国家試験受験対策講座の講師や介護福祉士受験対策テキストの執筆などを担当する傍ら、ケアする側もケアするという立場で、介護をする側のQOL向上のためのイベントや総合的なサポートを手掛けている。
その他、介護事業所や医療機関などにおいて当校の「事業所内スキルアップ研修」の企画・提案・実施など各事業所用にカスタマイズする研修をプロデュースし、人材確保・育成・定着に向けた一連のプログラムを手掛けている。