介護福祉士国家試験を受けるには、「従業期間3年以上」かつ「従事日数540日以上」の条件を満たす必要があります。この540日は、単なる年数ではなく、実際に介護業務に携わった実働日数でカウントされます。
本記事では、540日の正確な定義や数え方、対象となる施設や職種、実務者研修との関係、さらに未経験者や外国籍の方への対応までを分かりやすく解説。あわせて、証明書の取得方法や注意点も紹介し、スムーズな受験準備をサポートします。
※本記事は2025年5月時点の公益財団法人 社会福祉・振興試験センター公式HPの情報を一部参照しています。内容は今後の更新に応じて適宜修正予定です。
※記事の途中に、どなたでも無料視聴できる「最新版・介護福祉士合格案内オンライン講座」情報もありますので、ぜひご覧ください。
介護福祉士試験の受験資格:従業期間3年と従事日数540日の基本
介護福祉士を目指すには、介護の現場で3年以上の勤務経験があり、そのうち実際に介護業務に従事した日数が540日以上あることが条件となります。ここでいう「従業期間」とは、雇用契約に基づく在職期間であり、有給休暇や病欠も含めた通算日数です。
一方、「従事日数」は、実際に介護業務に携わった実働日を意味し、研修や事務業務など介護に直接関係しない日は含まれません。夜勤が含まれる場合、1回の夜勤が2日分に換算されることもありますが、これは事業所の規定に基づくため、事前に確認が必要です。
出勤簿やシフト表で正確に管理し、3月末の試験基準日までに必要日数を満たせるかを常に把握しておくことが重要です。
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従業期間と従事日数の計算方法
従業期間は雇用契約の開始日から終了日までを基に算出され、1日単位でのカウントとなります。従事日数は、実際に現場で介護業務を行った日を基準に計算され、有給や病欠、オリエンテーション期間中の非介護業務などは含まれません。
また、複数の事業所で働いている場合は、それぞれの従事日数を合算することが可能です。ただし、同じ日に複数の事業所で介護等の業務を行なった場合、「従業期間」、「従事日数」は1日として扱います。 また、事業所ごとの証明書が必要になるため、早期から記録の整備と申請準備を進めることが重要です。
実務経験3年の定義:540日と1,095日との違い
「介護福祉士の受験資格には3年以上の実務経験が必要」と聞くと、540日だけを意識しがちですが、実際には「従業期間1,095日以上」と「従事日数540日以上」の両方を満たす必要があります。
従業期間とは、雇用契約に基づいて勤務していた連続期間であり、たとえ介護業務を行っていない日があっても通算されます。一方、従事日数は実際に介護業務に携わった日数を指し、現場での経験を積んだ証明としてカウントされます。
夜勤や短時間勤務など、就業形態によって従事日数の積算速度が異なることもあるため、早い段階から自分の働き方と照らし合わせながら要件を確認しておくことが大切です。
参照元:公益財団法人 社会福祉・振興試験センター公式HP「介護福祉士国家試験・よくある質問」
未経験・異業種転職パターンの場合の注意点
介護職が未経験でも、条件を満たせば受験資格を得ることは可能です。ただし、事務職や相談員など、直接介護を行わない職種は実務経験として認められません。
転職時には、実際に身体介護や生活支援等の介護業務を行うポジションかどうかを確認することが大切です。また、研修期間中は従事日数にカウントされないこともあるため、できるだけ早く現場に入って経験を積むことが受験資格取得への近道となります。
介護福祉士国家試験の実務経験の対象となる施設・職種
実務経験として認められるのは、高齢者分野だけではありません。病院、児童分野、障害者分野等で「介護等の業務に従事したと認められる職種」 であれば、幅広い施設や職種が対象となります。
代表的なもで実務経験として認められるのは、以下のような現場が含まれます。
- 特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、グループホーム
- デイサービス、小規模多機能型施設、ショートステイ
- 障がい者支援施設、病院の看護助手業務
- 訪問介護事業所(ホームヘルパー)、訪問入浴
ポイントは、「直接介護業務に従事していること」です。雇用形態にかかわらず、介護業務に関わった実績があればカウントされます。
参照元:公益財団法人 社会福祉・振興試験センター公式HP「介護福祉士国家試験・受験資格・実務経験の範囲」
受験資格の対象外となる実務経験年数のケースとは
以下のような業務は基本的に実務経験としてはカウントされません。
- 事務、経理、受付などの一般業務
- 生活相談員や管理者業務
- 清掃、調理など間接支援のみの職務
- ドライバーや営繕業務
迷った場合は、施設の責任者や人事担当者に確認をとり、実務証明が可能かを事前に確認しておきましょう。
540日を満たすための実務経験証明書の取り扱い
介護福祉士試験の申込時には、「実務経験証明書」や「従事日数内訳証明書」が必要です。これらは、勤務していた事業所ごとに発行してもらうもので、勤務日数や内容が正確に記載されていることが求められます。
証明書作成には日報やシフト表などの記録が活用されますが、夜勤回数や有給取得なども反映されるため、記録が曖昧な場合は事前の確認が重要です。不備があると再提出になることもあるため、提出期限の1か月前には依頼を済ませておくと安心です。
実務経験証明書の取得手順・提出方法
実務経験証明書に関しては、公益財団法人 社会福祉・振興試験センター公式HPを参照しましょう。在職中であれば勤務先に、退職後であれば以前の職場に発行を依頼します。証明書の作成は、施設の管理者や人事担当者が行い、署名・押印された正式な書類として完成させます。
提出時は、介護福祉士国家試験の申込書類とともに、各都道府県の指定先へ郵送するケースが一般的です。申込期間は例年8月上旬〜9月上旬と限られており、記入内容の不備や提出漏れがあると受験資格が認められない可能性があるため、早めの準備が必要です。
湘南国際アカデミーでは、証明書の提出方法や書類準備の相談にも対応しており、初受験者でも安心して申請できる環境を整えています。
参照元:公益財団法人 社会福祉・振興試験センター公式HP【「実務経験証明書」作成依頼書、実務経験証明書、従事日数内訳証明書の様式と作成例】
従事日数内訳証明書の書き方・準備
従事日数内訳証明書には、いつ・何日間・どのような介護業務に従事していたかを具体的に記載します。事業所ごとにフォーマットが異なる場合があるため、必ず指示に従って記入することが求められます。最近では、社会福祉・振興試験センター公式HPにて「実務経験証明書作成支援ツール」や「従事日数内訳証明書作成支援ツール」、「従事日数内訳証明書作成支援ツール」などを利用することができますので、事前に確認しておくことをおすすめします。
参照元:公益財団法人 社会福祉・振興試験センター公式HP「介護福祉士国家試験・各種支援ツール」
また、夜勤の回数や有給取得日、病欠日なども正確に反映する必要があり、事前に勤怠管理表や日報などの記録を確認しておくとスムーズです。内容に不備があると再発行が必要になる場合もあるため、記入後は施設側としっかり確認し合うことが重要です。
旧職場が倒産・廃業していた場合の対処方法
勤務していた施設がすでに閉鎖・倒産している場合でも、雇用契約書、給与明細、社会保険の加入記録などで勤務実績を証明できることがあります。
旧職場が倒産・廃業していた場合の対処方法は、社会福祉・振興試験センターの以下のページにて具体的な対応方法が記載されておりますので、是非ご確認ください。
参照元:公益財団法人 社会福祉・振興試験センター公式HP「廃業した施設・事業所等の実務経験について(ご案内)」
実務経験見込みでの受験申し込み
試験申込時点で540日の従事日数を満たしていなくても、試験実施年度の3月31日までに条件を満たす見込みがあれば、受験申込は可能です。これを「見込み申請」と呼びます。
この制度を活用すれば、実務経験の途中でも受験勉強をスタートでき、スケジュールに余裕をもって準備を進められます。ただし、申請後に勤務が予定通り進まず、540日を下回ると受験資格が無効になるため、勤務スケジュールは慎重に管理する必要があります。
湘南国際アカデミーでは、見込み申請を活用した計画の立て方についてもアドバイスを行っており、働きながらの受験準備を支援しています。
見込みで申し込むメリット・注意点
受験申込時点で540日を満たしていなくても、試験実施年度の3月31日までに達成見込みであれば「見込み申請」が可能です。この制度を利用すれば、実務と並行しながら早めに学習を開始できます。
ただし、最終的に従事日数が未達だった場合は、受験資格が無効になるため、勤務日数の管理と施設との連携が欠かせません。
参照元:公益財団法人 社会福祉・振興試験センター「介護福祉士国家試験・よくあるご質問(実務経験見込みについて)」
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実務者研修との関係:540日までに受講すべき理由
介護福祉士国家試験を受けるには、従業期間と従事日数だけでなく、「実務者研修」の修了も必須条件となります。実務者研修は、医療的ケアや介護過程の理解など、より高度な介護知識と実技を習得するための研修です。
540日の実務経験を積んでいる途中で研修を受講すると、現場での疑問をすぐに理論として理解できるという相乗効果もあります。また、所有資格によって研修の一部科目が免除される場合もあるため、早めに自身の資格状況を確認し、受講計画を立てることが大切です。
知っておきたい所有資格により異なる実務者研修の修了期間
実務者研修の受講期間は、保有している資格によって変わります。たとえば、介護職員初任者研修や旧ホームヘルパー2級を修了している方は、一部科目が免除されるため、学習時間や費用を抑えて研修を終えることが可能です。
一方、無資格の方は全科目(最長450時間)を受講する必要があり、計画的な準備が求められます。資格による免除の有無は、研修機関によって詳細が異なる場合もあるため、早めにカリキュラムを確認しておくと安心です。
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また、実務経験が540日に近づいたタイミングで研修を受け始めると、現場での経験を振り返りながら理解を深められるというメリットもあります。
パートやアルバイトでも受験資格を満たせる?
介護福祉士の受験資格は、勤務形態に関係なく取得可能です。フルタイムで働く正社員に限らず、パートタイムやアルバイトとして勤務している方も、一定の従業期間と従事日数を満たせば受験できます。
たとえば、週3〜4日の勤務でも短時間でも、勤務日ごとに1日分としてカウントされるケースが多く、安定して働いていれば十分に540日を達成することが可能です。
ただし、勤務日数やシフトにばらつきがあると、思ったよりも日数が積み上がらないこともあるため、自分の働き方を振り返りながら定期的に確認しておくことが重要です。
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外国籍やEPAなど特別なケースへの対応
外国籍の方でも、国内での実務経験が一定期間以上あれば、介護福祉士の国家試験を受験することが可能です。EPA(経済連携協定)ルートや技能実習、特定技能など、さまざまな制度に応じた受験要件があります。
ただし、在留資格や就労可能な職種、施設の種別など、確認すべき点が多く、受験資格を得るには慎重な準備が求められます。さらに、試験時にはふりがな付きの問題用紙や試験時間の延長など、配慮措置が用意されることもあります。
特にEPAルートの方は、実務者研修の受講、日本語能力試験(N1またはN2)の合格など、明確な条件があるため、早めに流れを把握し、勤務先と連携しながら進めることが重要です。
参照元:公益財団法人 社会福祉・振興試験センター「介護福祉士国家試験・よくあるご質問(EPA介護福祉士候補者の受験について)」
特定技能1号との違い・注意点
特定技能1号制度は、外国人介護人材を即戦力として受け入れる仕組みであり、比較的短期間の在留で就労が可能です。ただし、介護福祉士国家試験の受験資格を得るには、特定技能としての就労期間だけでは不十分なケースがあり、別途「実務者研修の修了」と「従業期間1,095日以上」、「従事日数540日以上」が必要になります。
また、特定技能1号では施設によって支援体制や受験に必要な情報の提供が不十分なこともあるため、自ら積極的にスケジュールや要件を確認する姿勢が大切です。
湘南国際アカデミーでは、外国人介護職の受講生に向けた研修や日本語サポートも行っており、文化や制度に不安を感じる方でも安心して学べる環境が整っています。
外国人介護士への日本語教育・介護教育の詳細は以下のページをご覧ください。
介護福祉士国家試験の試験日程と準備
介護福祉士国家試験は、例年1月下旬に筆記試験が行われ、3月に合否が発表される流れとなっています。受験申込みは8月上旬から9月上旬に実施され、申請書類の提出期限もこの期間に含まれます。
受験までのスケジュールに余裕を持たせるためにも、従事日数や実務者研修の修了見込みを確認しながら早めに準備を始めることが重要です。試験対策には法令、介護技術、医療的ケアなど広範な知識が求められるため、計画的な学習スケジュールを立てておきましょう。
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【内容】
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試験対策に役立つ模擬試験・テキスト
介護福祉士試験は出題範囲が広く、独学では難しいと感じる方も少なくありません。そのため、模擬試験や過去問の活用が非常に効果的です。特に、出題傾向に沿った演習や、実務に基づく出題への対応力を養うには、解説付きの教材が役立ちます。湘南国際アカデミーでは、受講生向けに国家試験対策用の教材や模擬問題を用意しており、実務と学習の両立を支援しています。
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試験対策:模擬試験とスケジュール管理
試験対策では、過去問や模擬試験を使って出題傾向に慣れることが重要です。学習期間は6〜9か月が目安で、業務の合間にも取り組みやすいよう、1日30分でも学習時間を確保することが大切です。
直前期は模擬試験や重要分野の総復習を中心に進めると、得点力アップにつながります。
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FAQ|介護福祉士実務経験540日に関するよくある質問
- Q1.介護福祉士の受験要件である実務経験540日は、連続していなければいけませんか?
- A
連続している必要はありません。複数の施設での勤務やブランクがあっても、従事日数の合計が540日以上あれば受験資格に該当します。
- Q2.実務経験の日数は、パートタイムでも従事日数にカウントされますか?
- A
はい。短時間勤務であっても、1日分としてカウントされるケースが多く、シフトや契約形態によらず従事内容が認められれば有効です。
- Q3.実務経験証明書の発行に時間がかかりそうです。どうすれば?
- A
勤務先と早めに相談し、締切までに間に合うよう余裕を持って依頼しましょう。旧職場から取り寄せる場合はさらに時間が必要となるため、スケジュール管理が重要です。
まとめ・総括:実務経験540日をクリアし、介護福祉士への第一歩へ
介護福祉士国家試験を受けるためには、「従業期間1,095日以上」「従事日数540日以上」「実務者研修修了」の3つの要件をすべて満たす必要があります。勤務形態や施設種別によって日数のカウント方法は異なりますが、基本的な条件と証明書類を整えておくことで、確実に受験資格を得ることができます。
また、条件を満たすまでの過程そのものが、現場でのスキル向上につながり、自信と実力を養う貴重な経験となります。見込み申請や研修の受講タイミングを工夫することで、より早く受験のチャンスを得られることもあります。
湘南国際アカデミーでは、実務者研修の提供から受験資格の確認、証明書類の準備サポートまで、介護福祉士を目指すすべての方に向けた支援体制を整えています。今後のキャリアに向けて、計画的に一歩を踏み出してみませんか。
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【内容】
第38回(2026年1月試験)
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・合格のための勉強方法
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現在はキャリアアドバイザーとして、求職者の就労サポートや企業支援を担当。採用担当経験者としての豊富な経験を活かし、求職者の強みを引き出す面接対策にも定評がある。介護業界の発展に貢献するべく、求職者・企業双方の支援に尽力。
プライベートでは息子と共にボーイスカウト活動を再開し、奉仕活動を通じて心を磨くことを大切にしている。
