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認知症介護に関する公的な研修は4種類|各研修の特徴から選び方を解説

  • 介護福祉士実務者研修

認知症介護に関する公的研修は主に次の4種類です。

これらの研修は、基礎 → 実践 → チームリーダー → 指導者と段階的に学べる仕組みになっています。

認知症ケアは、単に知識を覚えるだけではなく、観察・判断・環境調整・チーム連携などを組み合わせて支援することが求められます。そのため、介護現場では経験や役割に応じて研修を受講し、専門性を高めていく仕組みが整備されています。

本記事では、認知症研修の種類、各研修の特徴、受講対象、選び方まで分かりやすく解説します。

認知症研修とは?介護現場で必要とされる理由

日本では高齢化の進行に伴い、認知症の人の数は増加しています。
厚生労働省は、認知症の人が住み慣れた地域で安心して暮らせる社会を目指し、認知症施策推進大綱を策定しています。

認知症ケアの質を高めるため、介護職員の専門性向上や人材育成が重要な課題とされています。
参考:厚生労働省「認知症施策推進大綱

現場では経験則だけで対応するとケアの質にばらつきが生じる可能性があります。そこで厚生労働省は、認知症ケアの質を全国で一定水準に保つため、段階的な研修制度を整備しています。

認知症研修は、以下のような目的で実施されています。

  • 認知症ケアの基礎知識の習得
  • BPSDの理解と対応力の向上
  • チームケアの質の向上
  • 人材育成と現場教育

これらの研修を通じて、介護職員が専門性を高め、認知症の人の生活を支える質の高いケアにつなげることが目的です。

30秒で分かる認知症研修の種類(4種類)

認知症研修の種類(4種類)
研修名対象者主な目的キャリア段階
認知症介護基礎研修無資格・新人職員認知症ケアの基礎理解初級
認知症介護実践者研修介護職・看護職実践的ケア能力の向上中級
認知症介護実践リーダー研修リーダー・主任チームケア推進上級
認知症介護指導者養成研修指導者人材育成・研修指導教育者

代表的な研修は、認知症介護基礎研修認知症介護実践者研修認知症介護実践リーダー研修、認知症介護指導者養成研修の4つです。大まかに言うと、基礎は「最低限の共通理解」、実践者は「事例で実装できるケア力」、リーダーは「チームで推進する力」、指導者は「地域・組織の人材育成を担う力」を目指します。

対象者のイメージは、基礎が主に無資格者や入職初期、実践者が現場で認知症ケアに直接関わる介護職・看護職など、リーダーがユニットリーダーや主任・教育担当といった中核人材、指導者が研修講師や実習指導も担える上級者です。

①認知症介護基礎研修とは?研修義務化で受講者急増

認知症介護基礎研修は、認知症ケアの基本的な知識や関わり方を学ぶ研修です。
介護職として働くうえで必要な認知症の理解やコミュニケーション方法など、基礎的な内容を学びます。

2021年度の制度改正により、介護に直接関わる無資格職員は受講が義務化されたことで受講者数も増加傾向にあります。
参考:公益財団法人 介護労働安定センター「介護に関する資格等について

この研修では主に次の内容を学びます。

  • 認知症の基礎知識
  • 認知症の人の心理と行動
  • 基本的なコミュニケーション
  • 安全な介護の方法

認知症ケアの基本的な考え方を理解し、現場で共通の視点を持ってケアを行うことが目的です。

認知症介護基礎研修について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

☑認知症介護基礎研修の義務化とは?対象者・期限・受講方法を解説

②認知症介護実践者研修とは

認知症介護実践者研修は、認知症ケアを現場で実践できるレベルまで高めることを目的とした研修です。
講義だけでなく、事例検討や職場での実践を通して、認知症ケアを体系的に学びます。
参考:厚生労働省「介護保険最新情報

主な内容は次のとおりです。

  • BPSDの理解と対応
  • アセスメント
  • パーソンセンタードケア
  • チームケア
  • 家族支援

認知症ケアの専門性を高め、現場で再現性のあるケアを実践できるようになることが目的です。

認知症介護実践者研修について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

☑認知症介護実践者研修とは?|受講のメリットや受講方法・費用を解説

③認知症介護実践リーダー研修とは

認知症介護実践リーダー研修は、チームで認知症ケアを推進するリーダーを育成する研修です。

個人のケア能力だけでなく、後輩指導やチームマネジメントなど、組織として認知症ケアの質を高めるための能力を身につけます。

研修では次のような内容を学びます。

  • チームマネジメント
  • 人材育成
  • ファシリテーション
  • 困難事例への支援

現場のケアを「個人の技術」から「チームの標準」に引き上げる役割を担う人材を育成する研修です。

認知症介護実践リーダー研修の詳細はこちらをご覧ください。

☑認知症介護実践リーダー研修の講座内容

➃認知症介護指導者養成研修とは

指導者養成研修は、認知症ケアの専門性をもって研修の企画・講義・実習指導を担い、地域や組織の人材育成を推進するための最上位クラスの研修です。

指導者養成研修は、職場内に留まらず、地域や研修体系全体で認知症ケアの質を引き上げる人材を育てる研修です。現場で実践できるだけでなく、他者の学びを設計し、評価し、継続的に改善する役割が期待されます。

認知症ケアは、制度や薬、地域資源、家族支援など周辺領域の変化も速い分野です。指導者には、最新動向を整理して現場向けに翻訳し、誤解や形骸化を防ぎながら普及させる力が求められます。

認知症介護指導者とは

認知症介護指導者は、認知症ケアの専門性を背景に、研修講師や実習指導を担い、地域や組織の人材育成を推進する役割を持つ人材です。単に知識を伝えるだけでなく、現場で再現できる形に落とし込む支援が求められます。

活動範囲は、研修の講義・演習・実習指導に加えて、地域のケアの質向上への関与、所属事業所を中心とした人材育成支援など多岐にわたります。現場の課題を拾い上げ、研修内容や支援の形に反映させる“橋渡し役”でもあります。

全国の研修体系の中では、実践研修を支える中核人材として位置づけられます。現場の知恵を個別最適のまま終わらせず、他の職員にも届く言葉と仕組みに変えることが、指導者の価値になります。

研修内容と修了後の役割

研修内容は、教育設計、講義・演習の運営、学習評価、実習指導法、地域連携、最新動向の整理などが中心です。教える内容を作るだけでなく、学びが現場行動に変わったかを確かめ、改善する視点が含まれます。

修了後に期待される役割は、認知症介護実践研修などの企画・立案への参画、講師・演習担当、実習の支援、地域の指導者としての活動などです。現場の課題を言語化し、関係機関と連携しながら継続的に改善する力が問われます。

指導者として成果を出すコツは、理想論を語るより、現場の制約を理解したうえで“続けられる形”にすることです。例えば記録を増やすのではなく、既存の記録から必要な観察を引き出す設計にするなど、負荷と効果のバランスを取る視点が重要になります。

自分に合う認知症研修の選び方

研修は“今の立場で必要な力”と“次に目指す役割”から逆算すると選びやすく、受講条件・学習負荷・職場の支援体制も含めて検討するのがポイントです。

まずは「今の業務で困っている場面」を具体化すると、必要な研修が見えます。基本対応で迷う、声かけがうまくいかない、リスク対応が不安なら基礎研修で土台固めが有効です。事例で改善を回したい、BPSDの背景を整理してケア計画に落としたいなら認知症介護実践者研修が中心になります。

次に「次の役割」を考えます。後輩指導やケア会議の進行、標準化を担うなら実践リーダー研修、研修の企画や講師・実習指導まで視野に入れるなら指導者養成研修が目標になります。キャリアの階段を上るというより、職場が求める役割と自分の強みを噛み合わせる発想が現実的です。

最後に、受講条件と学習負荷を確認します。自治体や実施機関で要件が異なることがあるため、経験年数や事前研修の有無、推薦の必要性、課題の量、実習の可否を事前に把握しましょう。受講は個人戦になりがちなので、勤務調整、事例検討の時間、上司の承認、他職種の協力など、職場の支援体制まで含めて計画すると修了後の成果が定着します。

FAQ|認知症介護に関するよくある質問

Q1.
認知症介護の研修にはどのような種類がありますか?
A

認知症介護に関する主な公的研修は、次の4種類です。

これらの研修は、認知症ケアの知識や役割に応じて 基礎 → 実践 → リーダー → 指導者 と段階的に学べるよう整備されています。

Q2.
認知症介護基礎研修は義務ですか?
A

はい。2021年度の制度改正により、介護に直接関わる無資格職員は受講が義務化されています。
そのため、対象となる職員は一定期間内に受講する必要があります。

Q3.
認知症介護実践者研修はどのような人が受講できますか?
A

主に以下の職種が対象です。

  • 介護職員
  • 看護職
  • 認知症ケアに関わる職員

自治体や実施機関によって受講条件が異なる場合がありますが、一定の実務経験が求められることが多いです。

Q4.
認知症研修はどの順番で受講すればよいですか?
A

一般的には次の順番で受講するケースが多いですが、介護現場で特に需要があるのが認知症介護実践者研修です。

  1. 認知症介護基礎研修
  2. 認知症介護実践者研修
  3. 認知症介護実践リーダー研修
  4. 認知症介護指導者養成研修

経験年数や役割に応じて段階的に専門性を高めていきます。

Q5.
認知症研修を受講するメリットは何ですか?
A

認知症研修を受講することで、次のようなメリットがあります。

  • 認知症ケアの専門知識が身につく
  • BPSDへの対応力が向上する
  • チームケアの質が高まる
  • 介護職としてのキャリアアップにつながる

現場で起きる課題に対して、より根拠のあるケアを実践できるようになります。

まとめ:認知症研修で現場対応力を高める

認知症介護の研修は段階的に学べるよう設計されており、基礎の標準化から実践力、チーム推進、指導者としての育成まで一貫してスキルアップできます。

認知症介護の研修は、基礎で共通理解を作り、実践者で現場に落とし込み、リーダーで仕組み化し、指導者で人材育成へ広げる流れになっています。どの段階も、次の研修のためではなく、現場の質を上げるために意味があります。

研修の効果は、受講中よりも修了後に出ます。学んだ考え方を、申し送りや記録、ケア会議、ケア計画の見直しに組み込み、チームで同じ視点を持てるようにすると、対応のばらつきが減って本人の生活が安定しやすくなります。

自分の経験年数だけで判断せず、今の課題と次の役割から逆算して研修を選ぶことが、最短で成果につながります。受講要件や運営形態は地域差があるため、募集要項を早めに確認し、職場と調整しながら計画的にステップアップしていきましょう。

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介護の資格 湘南国際アカデミー
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この記事を書いた人
飲食業界で12年間、店長職から統括マネージャーとして店舗運営や新規事業開発に従事。その後、湘南国際アカデミーの求職者支援訓練で「介護職員基礎研修課程」を修了し、訪問介護のサービス提供責任者として勤務。デイサービスに異動後は所長兼相談員としてスタッフ育成に尽力し、人材採用から離職率の低下や過去最高売上達成などの成果を上げる。
現在はキャリアアドバイザーとして、求職者の就労サポートや企業支援を担当。採用担当経験者としての豊富な経験を活かし、求職者の強みを引き出す面接対策にも定評がある。介護業界の発展に貢献するべく、求職者・企業双方の支援に尽力。
プライベートでは息子と共にボーイスカウト活動を再開し、奉仕活動を通じて心を磨くことを大切にしている。
また、湘南国際アカデミーが発行する「介護業界マンスリーレポート」の企画・監修にも関わり、介護事業所の人材課題や育成ニーズについて、継続的に現場情報の収集・分析を行っている。
五味 順
藤沢校・横須賀校・横浜戸塚校・横浜馬車道関内校
【所持資格】
介護職員基礎研修・介護福祉士・調理師免許
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