介護職の動向&意識調査の集計結果と所見
湘南国際アカデミーの受講生・卒業生をはじめとした現役の介護職員約1万人を対象にした最新動向と意識調査の結果並びに当校の所見を紹介します。介護業界の現況と今後の課題を把握し、様々な施策にお役立ていただければ幸いです。
※当マンスリーレポート「介護職の動向&意識調査」の情報は、無償で公開しておりますが、引用や転載などをする際には引用した資料やURLを明確に記載することをお願い致します。
【2025年4月度】 介護職の最新動向&意識調査マンスリーレポート
このたび湘南国際アカデミーでは、以下の方針で「介護職の最新動向と意識」に関するアンケート調査を実施しました。
- 介護のやりがいや課題、働きやすさについて
- 現場で働く方々の“リアルな声”を社会へ届ける
- 介護業界の未来づくりに役立つヒントを探る
介護の仕事が社会でどのように捉えられているのか。
そして、実際に現場で働く皆さまが何を感じ、何を望んでいるのか。
その「本音」に耳を傾け、可視化することで、介護という仕事の価値や可能性を、より多くの人に正しく届けたい——
そんな思いから、この調査を行いました。
本調査は今回限りではなく、マンスリーで実施していく予定です。
今後も介護職員の皆様を中心に現場の声を拾い上げ、介護業界の理解と発展に貢献してまいります。
各企業様や各業界関係者様からのご意見やご要望も賜れますよう、ご協力の程お願い申し上げます。
新たな商品・サービスの共同研究から開発に関しましても、積極的に取り組んでおりますので、お気軽にお問い合わせください。
第2回:介護職の最新動向&意識調査マンスリーレポートデータ一覧
- Q1.あなたの性別を教えてください。
- A

回答内容 回答数 男性 150 女性 541 その他 1 回答しない 6
- Q2.あなたの年齢を教えてください。
- Q3.あなたの国籍について教えてください。
- Q4.【外国籍の方のみ】 国籍を教えてください。
- Q5.現在の雇用形態を教えてください。
- Q6.あなたの現在の勤務先の事業所種別を教えてください\
- Q7.あなたが現在保有している介護資格を教えてください。(該当するものをすべて選択)
- Q8.介護業界での勤務経験を教えてください。
- Q9.現在の職種を教えてください。
- Q10.介護職の魅力を感じる瞬間はどのようなときですか?(複数選択可)
- Q11.介護職を選んだ理由を教えてください。(複数選択可)
- Q12.介護職として働く上での不安を教えてください。(複数選択可)
- Q13.介護職の仕事で最もストレスを感じる要因を選んでください。
- Q14.夜勤の負担について、どのように感じていますか?
- Q15.仕事を続けるために必要なサポートは何ですか?(複数選択可)
- Q16.介護ロボット・ICTの活用に対する意向を教えてください。
- Q17.現在の給与・待遇に満足していますか?
- Q18.経済的な安定度について、現在の収入で生活できていますか?
- Q19.今後のキャリアプランについて教えてください。
- Q20.転職する際に重要視する点を教えてください。
- Q21.介護業界への就職・転職を知人に勧めますか?
- Q22.介護職の離職理由として考えられる要因を教えてください。(複数選択可)
- Q23.現在の職場の満足度を5段階で評価してください。
- Q24.あなたの職場では外国人スタッフが働いていますか?
- Q25.外国人スタッフとのコミュニケーションで困った経験はありますか?
- Q26.2024年以降、働き方や現場の雰囲気に変化を感じましたか?
- Q27.どのような点で変化を感じましたか(自由記述欄)※一部抜粋
- Q28.あなたが日々の業務で重要だと感じる知識・技術・学びについて、以下の項目をそれぞれ評価してください。
- Q29.介護業界をより良くするために、現場から伝えたいことがあればお聞かせください。(自由記述欄)※一部抜粋
※当マンスリーレポート「介護職の動向&意識調査」の情報は、無償で公開しておりますが、引用や転載などをする際には引用した資料やURLを明確に記載することをお願い致します。
湘南国際アカデミー学院長 仲川の所見
仲川一清(介護福祉士)
介護職動向&意識マンスリーレポート 担当者
湘南国際アカデミー学院長。介護福祉士や社会福祉士などの資格を持ち、教育者としての豊富な経験を活かして次世代の介護人材育成に尽力。受講生合格率95.5%を達成した介護福祉士国家試験対策講座や200名以上の教員育成の実績を持つ。著書やeラーニング教材も手掛けるなど、幅広い活動を展開中。
はじめに
第2回では第1回よりも、多くの回答を得ることができました。皆さまのご協力に感謝いたします。さて、今回は前回と同じ質問に加え、外国人介護職員についての質問や、自由記述も加えました。
さて、『超・超高齢社会』を迎え、要介護状態の高齢者の増加と、それにともなう介護職員の不足が危惧されているところです。そこで国としても、要介護状態にならないよう、介護予防のしくみづくりや啓発をすすめているところです。
介護の仕事をしている私たちに密接に関連する問題としては、深刻なのは介護職員の不足でしょう。本調査の自由記述を見ても、人材不足への不満や懸念に対する意見は多くあげられています。そこで、外国人労働者の受け入れというわけです。
今回、「24.あなたの職場では外国人スタッフが働いていますか?」という調査項目を加えています。「はい」という回答が約44%となっていますが、今後、もっと増えるものと見込まれます。こうした結果を踏まえ、外国人介護職について言及しておきます。
1.外国人の介護職について
まず、外国人が日本ではたらこうとする場合、在留資格が必要です。いま、介護の分野で多いのは、特定技能や技能実習といった在留資格です。これらが、どのように異なるのかという詳細についての説明は省きますが、これらの資格には5年という在留期間が設けられており、これらの在留資格でずっとはたらき続けることは認められませんから、出稼ぎのような状況ではたらいているわけです。
では、外国人労働者が「5年経ったら帰ろう」と思っているかというと、「日本で暮らし続けたい」と考えている人が多くを占めています。また、来日した当初は「5年経ったら帰ろう」と思っていたが、「日本での生活や仕事に慣れてきたので、もっと日本で暮らし続けたい」と、気が変わることもあるでしょう。それでも、「5年」という条件があるため、日本に居続けることは認められないのです。
2.介護の現場において
外国人介護職の導入については、介護という対人援助の性質上、賛否がありましたが、議論の末、入所系のサービスに限り認められました。しかし、訪問介護員等の人材不足の状況を鑑み、令和7年からは、訪問系のサービスについても認められるようになりました。
実際、介護の現状はどうだろうかという点について、「25.外国人スタッフとのコミュニケーションで困った経験はありますか?」という質問では、「外国人スタッフがいない」という回答を除外すると、約60%の人が「よくある」「たまにある」と回答していますから、言語の問題というのは少なからず起きています。また、こうしたコミュニケーションの困難さにより、介護過誤・事故や外国人介護職自身の労働災害などが起きていることも指摘されています。
しかし、その一方で、いまやチームの主軸として活躍しているという人も出てきていますし、ケアマネを目指して勉強しているという人も出てきています。何事も、一長一短あるものですが、長所が伸びるためには時間が必要です。言語の問題がある外国人にとってはなおさらです。
おそらく、「5年」というのは、そのための時間としては十分でしょう。コミュニケーションに慣れ、日本の生活に慣れ、責任のある仕事を任されるようになり、日々の生活が生き生きとしてくるころではないでしょうか。また、事業所としても、ありがたい人材に育っているころでしょう。
ところがそんなときに、「在留資格の期限切れ」を迎えることになるのです。本人はもちろん、事業所にとっても大きな損失です。
3.日本で働き続けるためには
さて、どんなに、日本の生活や仕事になじんでいても、絶対に5年で帰らなければならないのかというと、そうではありません。就労の在留資格(いわゆる就労ビザ)を取得することで、働き続けることが可能です。
ただし、この在留資格を取得するためには、介護福祉士を所持していることが条件です。ご存じのとおり、介護福祉士を取得するためには、実務3年と国家試験の合格が必要ですから、特定技能や技能実習といった在留資格で就労し、3年経ったら国家試験を受験して、合格したら介護福祉士として永住できる在留資格に切り替えるというかたちになるわけです。
問題は、介護福祉士の国家試験です。ここ数年、国家試験の合格率は約70~80%で推移していますが、外国人に限ってみると、30~40%の合格率なのです。外国人介護職が就労の在留資格を取得するためには、それなりに高いハードルを越えなければならないのです。
制度的な問題点ということもできますが、現状、このようになっているということは事実です。
4.外国人介護職のために
人材不足が懸念される、今後の介護業界において、外国人介護職に期待するところはきわめて大きいと考えます。そのために、私たちは何ができるでしょうか?
たとえば、私たちがフランスやドイツなどに渡航して、そこの国の国家資格を取得しようと考えるでしょうか? 少なくとも、私はありません。おそらく、考えもしないでしょう。まったく生活文化の異なる国に渡り、その国ではたらき、稼ぎ、仕送りをする。しかも、その多くは20歳代ですから、本当に頭の下がる思いです。
こうした人たちを応援できなければ、おそらく日本の介護業界はダメになるでしょう。私は、現場のスタッフとしてできることは2つあると思っています。
まず一点は、外国人介護職で循環できるしくみをつくるということです。つまり、すでに就業している外国人介護職が、新たに入国した外国人介護職の教育を担っていくのです。
見知らぬ国で、まったく異なる生活文化の中で、そんなことに困り、どのように解決を図るのかということについて、体験している人が最もよくわかります。来日した人も、そうした先輩がいることは心強いことでしょう。介護の仕事についても、資格取得のための学習についても、日本人が指導するよりも、外国人同士で教え合う方が効果的であると思います。
さらには、日本で得た介護に関する知見を祖国に広げるわけです。世界的に高齢化が進んでいますが、とくに東南アジア諸国は日本よりも速いスピードで高齢化が進んでいます。当然、介護のニーズが増えることになります。そんなときに、「日本で介護の仕事をしていました」という人がいれば、日本の介護技術等の知見と、その国独自の生活文化が融合された、新たな介護を生み出すことができるでしょう。そうした技術の移転も期待できますから、ある程度、介護のスキルを身につけたら、指導力を修得してもらうように育成することも現場のスタッフとして重要な役割です。
そのようにして、循環するようなしくみ作りをしていくことが現在進められていますし、現場の介護職としても意識して関わっていかなければならないことのひとつだろうと思います。
もう1点は、夢を持てるような介護の仕事にすることです。
これは、何も外国人介護職に限ったことではないのですが、将来に夢や希望が持てるような介護の仕事にしていかなければなりません。前述したように、外国人介護職の多くは20歳代です。社会人としてまだまだこれからの世代です。そうした世代の人に、魅力ある仕事と感じてもらえなければ、介護の仕事の将来は悲惨なものになるに決まっています。
その魅力をどのように伝えていくかということですが、まず、介護職員として働いている私たち自身が、楽しく仕事をしていることではないでしょうか。介護という仕事を楽しむことです。
私は講師として授業をすることがありますが、本当に介護の仕事を楽しんでいる人は、授業や勉強も「大変だ!」といいながらも、楽しんでいます。また、どんなに楽しい仕事でも愚痴のひとつ、ふたつあるものです。講師という仕事柄、介護職員の愚痴を聞くことが多いのですが、介護の仕事を楽しんでいる人は、愚痴ることですら楽しんでいて、悲壮感などありません。
「毎日楽しそうに仕事していていいなぁ」という姿は、何よりの教育です。その姿は、理屈や言葉で伝えるものではありませんから、日本人だろうが外国人だろうが必ず伝播します。哲学者のヘーゲルは『欲望は模倣する』と述べていますが、「いいなぁ」という欲望は、「自分もそうなりたい」と模倣されることになるはずです。そして、それが介護の仕事に夢を持つことにつながるはずです。日々、忙しい中でも、そういった姿勢を見せ続けることが外国人介護職の将来にどれだけ大きな影響を与えるかというのは、想像に難くありません。
さて、今回の調査では外国人介護職についてふれましたが、今後も増えてくることは確実ですし、いろいろと戸惑うことも多いかと思います。この調査項目については、引き続き注視していきたいと思っています。




























