デイサービス(通所介護)のモニタリングは、通所介護計画書や個別機能訓練計画書に基づいて提供したサービスが計画どおりに実施されているか、目標の達成状況や利用者の状態変化を定期的に確認・評価し、必要な見直しにつなげる業務です。記録として残っていない場合、実施していても「未実施」と判断されるリスクがあり、実地指導でも直接問われる事業所運営の根幹になります。
本記事では、法的根拠、加算別モニタリング頻度の違い、シートの記入例(状況別5パターン)、実地指導で確認されるポイントまでをデイサービス特有の視点で整理します。
この記事でわかること
・デイサービスのモニタリングの法的根拠
・通所介護計画書・加算別の頻度の違い(比較表あり)
・実務で使えるモニタリングシートの記入例(5パターン)
・実地指導で指摘されない記録の書き方
・現場でよくある5つのQ&A
デイサービスのモニタリングとは(法的根拠と目的)
デイサービス(通所介護)のモニタリングは、運営基準上の義務です。厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」において、「通所介護従業者は、それぞれの利用者について、通所介護計画に従ったサービスの実施状況及び目標の達成状況の記録を行う」と定められています。
目的は大きく3つです。第一に、目標達成状況と支援の適切性を定期的に確認すること。第二に、心身状態や生活状況の変化を早期に発見し、重度化や事故を防ぐこと。第三に、ケアプランの整合性を保ちながら、説明責任を果たせる記録を整備することです。特にデイサービスでは、複数の計画書(通所介護計画書・個別機能訓練計画書など)と加算ごとにモニタリングが求められる点が、他のサービスとの大きな違いです。
モニタリングの頻度・計画書別の違い(加算対応表)
デイサービスは、通所介護計画書だけでなく、算定している加算に応じて複数の計画書が存在し、それぞれにモニタリングの頻度が異なります。加算を算定している場合は、その要件を下限として頻度を設定します。
| 計画書・加算 | 評価頻度 | 主な担当者 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 通所介護計画書 | ケアプランの設定期間に応じて(一律規定なし) | 生活相談員等 | 自治体によって詳細が異なる場合があるため確認が必要 |
| 個別機能訓練加算 | 3か月に1回以上 | 機能訓練指導員等 | 3か月を超えると加算の返還リスクあり |
| 口腔機能向上加算 | 月1回を目安・少なくとも3か月に1回 | 歯科衛生士・看護師等 | 利用者の口腔状態に応じて頻度を調整 |
| 栄養改善加算 | 低リスク:3か月ごと 高リスク:2週間ごと | 管理栄養士等 | 低栄養リスクの程度で頻度が変わる |
| 入浴介助加算(Ⅱ) | 身体状況・居宅環境変化時 | 多職種協同 | 一律規定なし。変化があれば速やかに再評価 |
通所介護計画書のモニタリングにはケアプランとの整合性が前提です。ケアプランが変更になった場合は、通所介護計画書も連動して見直し、モニタリングを実施します。また、複数の加算を算定している場合は、それぞれの評価期限をカレンダーで管理し、誰が担当でも期限を超えない仕組みを作ることが重要です。

介護福祉士・デイサービス所長経験
加算ごとに評価頻度が異なるため、デイサービスの所長として現場を見ていた頃は、事業所内でカレンダーを使って「どの利用者が、いつ、どの加算のモニタリング期限を迎えるか」を可視化するという運用もしていました。
個別機能訓練加算の3か月を超えてしまうと、加算の返還リスクにもなりかねません。
参照:厚生労働省「介護職員・介護支援専門員」
モニタリングシートの書き方(記載項目と記入例)
通所介護のモニタリングシートに決まった様式はありませんが、第三者が読んでも状況と判断が追えることが重要です。記載のコツは、「問題なし」「安定」といった抽象語を減らし、観察事実・本人発言・数値で支えること。評価は事実→達成度→判断→次回の確認点の流れで書くと、ケアマネへの報告材料にもなります。
通所介護計画書のモニタリング項目
通所介護計画書のモニタリングで確認すべき主な項目は以下のとおりです。計画どおりにサービスが提供できているか、長期・短期目標の達成状況、事業所内での利用者の様子の変化、本人・家族の満足度と新たな要望、今後のサービスの継続・変更の要否。これらを記録することで、計画の妥当性とサービスの適切性が第三者にも伝わる記録になります。
個別機能訓練計画書のモニタリング項目
個別機能訓練加算を算定している場合は、計画どおりに訓練が実施されているか、身体機能・活動・参加面の変化、意欲・疼痛・ふらつきなど訓練中の様子、メニューの変更有無、長期・短期目標の達成度と次期方針を記録します。3か月に1回以上の進捗評価が算定要件となっているため、評価日の管理が重要です。
記入例① 計画どおり・変化なしの場合(維持の根拠を書く)
記入例:変化なし(維持)
事実:欠席なく週2回通所。体操・レクリエーションに毎回参加。食事摂取量9割。服薬確認実施。本人より「ここに来ると体が動く」との発言あり。家族も継続を希望。
評価:短期目標「生活リズムの維持」は達成継続。通所がペースメーカーとなっており、活動量確保に寄与している。
判断・次回:現計画を継続。次回は食事量・体調の変化・家族介護状況の変化を確認する。
記入例② 一部変更が必要な場合
記入例:一部変更(入浴)
事実:本人の希望により2回入浴を控えた。理由は「体がだるい日がある」との発言。機能訓練には前向きに参加。家族は全体的に満足とのこと。
評価:入浴実施率が前回比で低下。疲労感と入浴回避が連動している可能性あり。
判断・次回:入浴時間帯を午後に変更し、体調確認後に実施する手順に修正。次回は入浴実施率・疲労の訴えの頻度を確認する。
記入例③ 機能訓練の進捗(改善あり)
記入例:個別機能訓練(改善)
事実:歩行訓練は週2回・計画どおり実施。立ち上がり動作が前回評価時よりふらつき減少。本人より「家でも動くのが楽になった」との発言。訓練中の疼痛訴えは軽度で意欲的。
評価:短期目標「屋内歩行の安定」は概ね達成。次期は屋外歩行時の安定と持久力向上を目標とする段階に入った。
判断・次回:訓練メニューを段階的に調整(平地歩行距離を延長)。次回3か月評価時に本人家族へ説明・同意を得る。
記入例④ 認知症症状の変動がある場合
記入例:認知症症状の変動
事実:ここ1か月、日中のうたた寝が増え、レクリエーションへの参加を辞退することが週2〜3回に増加。食事摂取量も日によって5〜6割に低下。本人は「最近あまり眠れない」と発言。
評価:認知症症状の変動または体調変化の可能性あり。日中活動量の低下が生活リズムに影響していると推定。
判断・次回:看護師にバイタル確認と体調観察を依頼。ケアマネジャーへ状況報告し、必要に応じて計画見直しを検討する。
記入例⑤ 利用状況・家族状況の変化
記入例:家族状況の変化
事実:主介護者の娘が先月から体調不良で来訪が減少。本人は「娘が来ないと不安」と発言。日中のデイ利用は継続できているが、帰宅後の夜間独居時間が増えている。
評価:介護力の低下により在宅生活の継続に課題が生じている。夜間の安全確保が新たなリスク項目として浮上。
判断・次回:ケアマネジャーへ報告し、ショートステイや夜間対応サービスの追加を含めた計画見直しを提案する。
実地指導で確認されるポイントとチェックリスト
実地指導(運営指導)では、モニタリングが適切に実施され、改善に活かされているかが記録で確認されます。「記録がない」だけでなく「記録が評価になっていない」「計画書間で内容が矛盾している」「加算の評価期限が過ぎている」ことも指摘対象になります。事前にチェックリスト化しておくと指摘リスクを下げられます。

介護福祉士・デイサービス所長経験
デイサービスで最もよく見られる指摘は「個別機能訓練計画書の目標達成度欄が『継続』だけになっていて、なぜ継続なのか、何がどう維持されているのかが書かれていない」ケースです。
「転倒なし・歩行安定継続・本人の意欲維持」など維持の根拠を一文添えるだけで記録の説得力が大きく変わります。
湘南国際アカデミーでは事業所向けの「介護記録の書き方研修」でもこの点を必須項目としてお伝えしています。
| 確認項目 | チェックのポイント |
|---|---|
| ①実施日時・担当者 | 誰がいつ評価したか明記されているか |
| ②サービス実施状況 | 計画との照合(回数・内容・変更理由)が書かれているか |
| ③目標達成度の評価 | 達成・一部達成・未達の区分と根拠が書かれているか(「継続」だけで終わっていないか) |
| ④本人・家族の意向 | 発言を直接引用する形で記録されているか |
| ⑤状態変化の有無 | 変化がある場合は内容・対応まで記録されているか |
| ⑥加算の評価期限 | 個別機能訓練加算等、3か月以内に評価が完了しているか |
| ⑦ケアマネへの報告 | 報告日時・手段・内容の要点が記録されているか |
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ケアマネジャーとの情報共有のポイント
デイサービスで見えた変化は在宅生活のリスクのサインであることが多く、適切なタイミングでケアマネジャーへ返すことが、ケアプラン全体の質につながります。報告のポイントは「何が起きたか・いつからか・事業所としての対応・計画の変更が必要かどうか」の順で簡潔にまとめることです。特に転倒・認知症症状の変動・食事量の低下・家族介護力の変化などは、在宅サービス全体の組み替えが必要になることがあるため、速やかに連絡します。
報告した日時・手段・相手・内容の要点は必ず記録します。口頭で伝えたつもりが最もトラブルになりやすいため、連携履歴を残すことがチームの安全装置になります。

介護福祉士・デイサービス所長経験
デイサービスの所長兼相談員として現場に携わっていた頃、モニタリングが形骸化してしまう事業所を多く見てきました。
月1回や3か月に1回の評価が「問題なし」の一言で終わってしまうと、ケアマネへの報告材料にもならず、計画の見直しにもつながりません。
デイの中で見えた小さな変化こそが在宅生活のリスクのサインであることが多く、それを言語化してケアマネに渡すことが事業所の価値につながります。
デイサービスのモニタリングに関するよくある質問(FAQ)
現場でよく寄せられる疑問をQ&A形式で整理します。
- Q1.デイサービスのモニタリングはどのくらいの頻度で行う必要がありますか?
- A
通所介護計画書はケアプランの設定期間に応じて実施(一律規定なし)。個別機能訓練加算を算定している場合は3か月に1回以上が算定要件として義務付けられています。口腔機能向上加算・栄養改善加算もそれぞれ頻度の目安があります。加算ごとに管理し、どの利用者の評価期限が近いかをカレンダーで可視化することをお勧めします。
- Q2.モニタリングシートに決まった様式はありますか?
- A
国が定めた様式はなく、自由様式です。ただし、サービス実施状況・目標達成度・満足度・心身の変化・サービス変更の要否が揃っていることが実地指導対応の最低ラインです。自治体によって推奨様式がある場合もあるため、指定権者である自治体への確認をお勧めします。
- Q3.「変化なし」「問題なし」という記録は実地指導で指摘されますか?
- A
指摘対象になりやすいです。変化がない月でも「何がどう安定しているか」を事実で示す必要があります。「欠席なし・入浴実施率100%・機能訓練参加継続・ふらつきなし」など維持の根拠を一文添えるだけで記録の説得力が変わります。毎月同じ文言のコピペが続いている場合も、評価の形骸化として指摘されることがあります。
- Q4.個別機能訓練加算の3か月モニタリングを超えた場合、加算は返還になりますか?
- A
進捗評価が算定要件に含まれているため、3か月を超えた場合は算定の根拠が失われ、返還対象になる可能性があります。加算算定者の評価期限を事業所内でカレンダー管理し、誰が担当でも期限を超えない仕組みを整備することが重要です。
- Q5.ケアプランが変更になったとき、モニタリングも実施する必要がありますか?
- A
ケアプランの変更に伴い通所介護計画書も更新する場合、新計画に基づくモニタリングが必要です。変更が生じた時点でケアマネジャーへ連絡し、情報共有の経緯をモニタリング記録または支援経過記録に残します。計画変更後のモニタリングが記録されていないと、実地指導で「変更に対する評価がない」と指摘されることがあります。
まとめ:デイサービスのモニタリングは計画書・加算ごとの管理が鍵
デイサービスのモニタリングは、通所介護計画書だけでなく、算定している加算ごとに評価頻度・担当者・記録様式が異なります。特に個別機能訓練加算の3か月評価は返還リスクに直結するため、事業所内での期限管理の仕組みが不可欠です。
記録は「評価になっていること」が最重要です。変化がない月も「何がどう安定しているか」の根拠を一文書き添え、ケアマネジャーへの報告材料として機能する記録にしていきましょう。デイサービスの中で見えた小さな変化こそが在宅生活の質を守る情報になります。
訪問介護のサービス提供責任者、デイサービス所長兼相談員を経て、現在はキャリアアドバイザーとして求職者の就労サポートと企業支援を担当。
採用担当経験を活かした面接対策にも定評がある。


