ケアマネ(介護支援専門員)として働くには、試験合格後に「実務研修」を修了し、登録手続きを行う必要があります。
まずは30秒でわかるケアマネ実務研修の概要を一覧で確認しましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 介護支援専門員実務研修受講試験 合格者 |
| 目的 | 実務に必要な知識・技術の習得 |
| 内容 | 講義・演習・実習 |
| 受講時期 | 合格後できるだけ早期(目安1年以内) |
| 費用 | 約5万円前後(都道府県により異なる) |
| 修了後 | 登録申請 → 介護支援専門員証交付 |
合格=即就業ではありません。
実務研修を修了し登録されて初めて、ケアマネとして働くことができます。
本記事では、実務研修の目的・対象者・カリキュラム、都道府県ごとの申込方法、費用相場、負担を減らすコツ、研修後の手続きまでを一つに整理して解説します。
ケアマネ実務研修を受ける目的と重要性
実務研修は「合格=すぐ就業可能」ではないケアマネ資格の要となるステップで、現場で通用する基礎知識・技能と倫理観を担保するために設けられています。
ケアマネの仕事は、介護保険制度を正しく理解し、利用者や家族の意向を踏まえてサービスを組み立て、関係者を調整していく専門職です。試験は知識を測りますが、実務では説明力、合意形成、記録、会議運営などの総合力が求められます。実務研修はそのギャップを埋めるためにあります。
研修が重視するのは「書類を作れる」だけではなく、「なぜその支援が必要かを言語化し、本人中心の方針として関係者に共有できる」ことです。ケアプランは形式が整っていても、根拠が薄いとサービスが過不足になり、結果として本人の生活が崩れます。研修で事例を扱うのは、根拠の立て方を反復するためです。
もう一つの重要点は倫理と法令順守です。ケアマネは利用者の生活と権利に直結する意思決定に関わります。情報の扱い、虐待や権利擁護、医療との連携など、判断を誤ると本人の不利益や事業所のリスクにもつながります。実務研修は、最低限の判断軸をそろえる安全装置でもあります。

介護福祉士
ケアマネジャー
【監修者コメント】
私自身、介護老人福祉施設で年間100名以上の研修生を受け入れてきましたが、現場で求められるのは“正解”よりも「なぜその支援を選んだのか」を説明できる力です。
実務研修は、その思考の土台をつくる大切な時間です。ここで判断軸が定まると、その後の実務が安定します。
受講対象者と要件:資格取得後の流れ
基本的に「介護支援専門員実務研修受講試験に合格した人」が対象で、以下のステップを通して介護支援専門員証の交付という順に進みます。
都道府県が実施する「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格すると、実務研修の受講資格を得ます。合格=資格取得ではありません。
合格通知後、都道府県から案内される日程に沿って申し込みます。定員制のため、早めの手続きが重要です。
制度理解から事例検討、現場実習までを通して実践力を養います。ここで実務の基礎を固めます。
全課程を修了すると修了証が交付されます。欠席や未提出があると発行されない場合があります。
修了証を添付し、都道府県へ登録申請を行います。手数料納付や必要書類の提出が必要です。
登録が完了すると「介護支援専門員証」が交付されます。これが正式な資格証明です。
介護支援専門員証の交付後、正式にケアマネジャー(介護支援専門員)として業務に従事できます。
重要ポイント
修了証を取得しても、登録手続きを完了しなければ業務はできません。
ケアマネ実務研修はいつまでに受講すべき?
法律上「○年以内」という明確な期限は示されていないケースが多いものの、合格後できるだけ早く、目安として1年以内の受講が推奨されています。
理由は以下の通りです。
- 試験知識が薄れる前に実務へつなげられる
- 就業開始が遅れると収入機会を逃す
- 研修は年度ごとに定員制である
合格通知が届いたら、まず都道府県の案内を確認し、日程を確保することが最優先です。
受講延期や他都道府県での受講
日程が合わない、家族事情があるなどで受講できない場合、次年度への繰越や振替が可能かどうかは都道府県の運用によって異なります。多くは「繰越申請」などの手続きが必要で、何もしないとキャンセル扱いになることもあるため、受講できないと分かった時点で早めに担当窓口へ相談するのが基本です。
引っ越しや転勤で別の都道府県で受講したい場合も、自己判断で申し込む前に、登録予定(または合格時点の)都道府県と受講希望先の双方に確認が必要です。研修の枠や受講対象の考え方が異なり、必要書類や手続き順が変わる可能性があるためです。
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実務研修の内容:講義・演習・実習の流れ
実務研修は、制度理解からケアマネジメント実践までを段階的に学ぶ設計で、以下の表にあるように実務研修は、大きく「講義・演習・実習」の3つで構成されています。
| 区分 | 主な内容 | 目的・到達目標 | 時間 |
|---|---|---|---|
| 講義 | ・介護保険制度の理念・現状 ・ケアマネジメントの基本概念 ・人格の尊重・権利擁護・倫理 ・高齢者疾患別のケアマネジメント概要 ・実習オリエンテーション | 制度理解と判断軸の習得 基本知識の体系化 | 16時間 |
| 演習 | ・相談援助技術と関係者説明 ・アセスメント・ニーズ把握 ・居宅サービス計画作成 ・サービス担当者会議の運営 ・モニタリングと評価 | 思考力・説明力・合意形成力の習得 | 71時間 |
| 現場実習 | ・見学・観察実習 ・模擬ケアプラン作成実習 ・実習振り返りと記録整理 | 基礎的な技術を実務の流れを通して体験的に理解 現場対応力 | 3日間 |
※出典・参照資料:第29期神奈川県介護支援専門員実務研修 カリキュラム
※このカリキュラムは一例ですが、多くの自治体で同様の構成になります。
実務研修は、前半で基礎知識と考え方をそろえ、実習で現場を体験し、後半で振り返りながら実践力を固める流れが一般的です。単に知識を増やすのではなく、ケアマネジメントの一連のプロセスを「説明できる」「記録に落とせる」「会議で合意形成できる」状態に近づけていきます。
研修が長時間になりやすいのは、判断の質を上げるには反復が必要だからです。例えばアセスメントは情報を集めるだけでは足りず、生活課題を整理して優先順位を付け、サービスに置き換えない支援も含めて組み立てます。演習では、この思考の筋道を言語化し、他者にレビューされることでブレを修正します。
実習と演習を通して身につくのは、テンプレートの使い方よりも「根拠の置き方」です。根拠が明確だと、医療職やサービス事業者との連携がスムーズになり、家族への説明も納得を得やすくなります。逆に根拠が曖昧だと、ケアプランが形骸化し、調整が対立に変わりやすい点が実務の落とし穴です。
講義形式で学ぶ必須カリキュラム
講義では、介護保険制度の理念と仕組み、給付の考え方、ケアマネの役割と責任、法令・倫理、個人情報の扱いなど、実務の土台となる科目を学びます。制度は改正が多く、古い知識のままだと誤った説明や不適切な手続きにつながるため、最新の運用を前提に整理し直す意味も大きいです。
ケアマネジメントのプロセスとしては、インテーク、アセスメント、課題分析、ケアプラン原案作成、サービス担当者会議、モニタリング、再アセスメントといった流れを、書類と実務行動の両面から押さえます。特に重要なのは、情報の集め方よりも「課題をどう定義するか」で、ここがズレると支援全体がズレます。
医療連携や多職種協働、地域包括ケア、地域資源、権利擁護なども主要テーマです。例えば退院支援では、医療側の退院調整のスピード感に合わせ、介護保険サービスや生活支援を短期間で組み立てる必要があります。講義で共通言語を持つことで、現場での連携コストを下げられます。
オンデマンドやeラーニングが含まれる場合は、視聴期限と確認テストの有無を先に確認し、演習日の直前にまとめて視聴しないことが重要です。知識を入れてから演習に参加したほうが発言の質が上がり、結果として提出物の修正も減らせます。
実習と演習で身につく実践力
実習は初回面談の準備、利用者情報の読み解き、アセスメントの観点、記録の粒度、連絡調整の段取りなど、机上では見えにくい「仕事の型」を吸収できます。
実習で経験しやすい内容は、利用者理解のための情報収集、アセスメント、ケアプラン作成の補助、会議への同席、モニタリング記録の確認などです。
後期の演習では、実習で得た気づきを言語化し、事例検討やロールプレイで説明力と調整力を磨きます。指摘を受ける場面もありますが、実務では家族や事業者、医療職から常に質問されるため、研修で安全に鍛えておく価値があります。大切なのは正解探しではなく、根拠と代替案を持ち、状況が変わったときに修正できる柔軟性です。
オンライン受講の現状とメリット・課題
近年は、講義の一部をZoomやeラーニング、オンデマンド配信にする自治体が増えています。移動時間や交通費を抑えられ、育児・介護と両立しやすい点は大きなメリットです。特に都市部では会場の混雑を避けられ、地方では長距離移動の負担軽減につながります。
実務研修にかかる費用とテキスト代
都道府県別の受講料相場
受講料は都道府県によって差があり、目安としては以下の表にあるように5万円前後のレンジで設定されることが多いです。差が出る理由は、運営の委託先、会場費、集合研修の割合、オンラインシステム利用の有無など、実施体制が異なるためです。
| 区分 | 費用目安 |
|---|---|
| 受講料 | 約4〜6万円(都道府県や地域によって異なる) |
| テキスト代 | 数千円〜1万円 |
| 交通費 | 研修施設や現場実習までの距離により異なる |
事前に「受講料にテキスト代が含まれるか」を確認しておきましょう。
助成や免除制度の活用方法
費用負担を下げたい場合は、まず教育訓練給付制度の対象講座かどうかを確認します。対象になっている自治体・研修では、一定の条件を満たすことで受講料の一部が支給されることがあります。重要なのは、申請は受講後ではなく受講前の手続きが必要になるケースがある点です。
次に、自治体や勤務先の補助制度を探します。法人によっては、資格取得支援として受講料の一部補助や特別休暇を設けていることがあります。転職予定の場合も、内定後に制度を使える可能性があるため、面接時に確認しておくと実務研修の負担が軽くなります。
実務研修がしんどい?負担を軽減するコツ
時間拘束の長さ、事例検討の緊張、提出物の多さなどから『しんどい』と感じやすい研修ですが、以下の表にまとめた内容の準備と段取りで負担は下げられます。
| 理由 | 対策 |
|---|---|
| 長時間拘束 | 事前に職場との調整を行う |
| 事例検討の緊張 | 用語や事前に想定できることを復習しておく |
| 提出物の多さ | 締切を逆算しておく |
| 初対面の演習 | 早めのコミュニケーションを取れるように工夫する |
| 仕事との両立 | 学習を小分けにしてため込まない 学習内容の特性上、積み重ねが必要になるため、締め切り直前の提出物作成は避けるべき |

介護福祉士
ケアマネジャー
【監修者コメント】
実務研修は決して楽ではありません。ただし、ここで鍛えた“考える力”が、現場に出た後の安定感につながります。研修が大変だった人ほど、実務では強い傾向があります。
仕事との両立方法
両立の第一歩は、職場への早期相談です。研修日程が確定する前でも、合格した時点で「今後、平日の日中に研修が入る可能性がある」ことを共有し、勤務調整の余地を作っておくとスムーズです
研修期間の学習計画を立てるポイント
計画は、締切から逆算して作るのがコツです。まずオンデマンド視聴期限、課題提出日、実習日、後期演習日をカレンダーに入れ、次に「いつ、何を、何分でやるか」を小さく区切ります。1回60分の学習枠を確保できない人は、15分単位で積み上げたほうが継続します。
事例検討の準備は、全部を暗記するのではなく、頻出の用語と制度の確認に絞ると効率的です。例としては、給付の種類、医療と介護の連携場面、権利擁護、家族支援の視点などです。用語がつかめると演習中の発言がしやすくなり、精神的負担が下がります。
研修後の登録手続きと就業までの流れ
研修修了後に必要な書類
登録申請で求められがちな書類は、修了証明書、登録申請書、本人確認書類、写真、手数料の納付書類、返信用封筒などです。自治体によっては住民票や戸籍抄本、誓約書の提出を求める場合もあるため、必ず最新の案内で確認してください。

介護福祉士
ケアマネジャー
【監修者コメント】
登録が完了するまでが実務研修です。証の交付前に就業日を決めてしまい、慌てるケースも少なくありません。逆算して動くことをおすすめします。
実務経験の有無で異なる手続き
実務研修の修了後にケアマネとして働き始める際、介護現場の実務経験が豊富な人でも、ケアマネ業務は別物として準備が必要です。例えば、調整や記録、説明責任の比重が高く、介護職の感覚のままだと時間の使い方でつまずきやすくなります。配属先では、担当件数の立ち上げ方、会議運営の型、記録のルールを早めに確認すると安定します。
一方、ケアマネ業務が実質的に未経験の人は、OJTや同行訪問の有無が定着を左右します。入職前に、引き継ぎ期間の有無、新人が最初に持つ件数、相談できる先輩の体制、地域包括支援センターや主任ケアマネとの連携状況を確認しておくと、入ってからのギャップが減ります。
更新研修との違いと継続学習の重要性
実務研修は『取得直後』、更新研修は『有効期限の更新(原則5年ごと)』に必要な研修で、目的・対象・内容が異なります。
| 項目 | 実務研修 | 更新研修 |
|---|---|---|
| 対象 | 試験合格者 | 現役ケアマネ |
| 目的 | 登録前 | 資格維持 |
| 頻度 | 初回のみ | 原則5年ごと |
実務研修はスタートラインに立つための研修で、更新研修は資格を維持し続けるための研修です。ケアマネの業務は制度改正や地域資源の変化の影響を強く受けるため、一定期間ごとに知識と実践のアップデートが求められます。
更新研修を受けないリスク
更新研修を期限までに受けないと、介護支援専門員証の有効期限が切れ、ケアマネとして業務を続けられなくなるリスクがあります。現場では担当の引き継ぎが必要になり、利用者や家族、事業所にも影響が広がります。
実務未経験者の対応策
資格取得後にケアマネとして実務に就いていない場合、更新の場面で実務未経験者向けの再研修など、別区分の研修が必要になる可能性があります。扱いは都道府県や状況で変わり得るため、早めに窓口へ確認することが確実です。
ブランクがある人は、制度改正のキャッチアップを先に行うと復帰が楽になります。介護保険は数年単位で運用が変わるため、古い前提で動くと、サービス選択や説明がズレて現場で混乱しやすくなります。地域の研修会や自治体の資料で、最新の用語と流れを押さえましょう。
復帰時は、いきなり単独で抱え込まず、同行支援やスーパービジョンを受けられる環境を選ぶのが安全です。別事業所のベテランから学べる仕組みがある地域もあるため、事業所内だけで解決しようとせず、地域資源としての支援も活用する視点が大切です。
FAQ|ケアマネ実務研修に関するよくある質問
- Q1.ケアマネ実務研修を受けないとどうなりますか?
- A
実務研修を修了し登録手続きを行わなければ、介護支援専門員として働くことはできません。試験に合格しただけでは業務に従事できないため、早めの受講と登録が必要です。
- Q2.実務研修はいつまでに受けるべきですか?
- A
法律上の明確な期限は示されていない場合が多いですが、合格後できるだけ早く、目安として1年以内の受講が推奨されます。知識が薄れる前に実務につなげることが重要です。
- Q3.実務研修に落ちることはありますか?
- A
試験のような不合格制度は原則ありません。ただし、欠席・課題未提出・実習未修了があると修了証が発行されない場合があります。全課程の履修が必須です。
- Q4.実務研修の実習先は自分で探しますか?
- A
多くの場合、都道府県や研修実施機関が実習先を調整します。勤務先での実習が認められるケースもあるため、事前に確認すると安心です。
- Q5.実務研修修了後、すぐに働けますか?
- A
修了証取得後に登録申請を行い、介護支援専門員証が交付されてから就業可能になります。登録完了までに数週間かかる場合もあるため、就職予定がある場合は逆算して準備しましょう。
まとめ・総括
ケアマネ実務研修は、試験合格後に必ず修了しなければならない重要なステップです。講義・演習・実習を通して、制度理解だけでなく「根拠をもって説明できる実践力」を身につけます。
合格後は早めに日程を確認し、申込や職場調整を進めることが、スムーズな修了と早期就業の鍵になります。費用や提出書類は都道府県ごとに異なるため、最新情報を必ず確認しましょう。
修了後は登録申請を行い、介護支援専門員証の交付を受けて初めて就業可能となります。その後も更新研修など継続的な学びが欠かせません。
湘南国際アカデミーでは、実務者研修や認知症介護実践者研修など、専門職としての成長を支える講座を展開しています。実務研修をキャリアの出発点と捉え、次の学びへとつなげていきましょう。
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また、湘南国際アカデミーが発行する「介護業界マンスリーレポート」の企画・監修にも関わり、介護事業所の人材課題や育成ニーズについて、継続的に現場情報の収集・分析を行っている。






