介護福祉経営士は、介護事業所の運営に必要な「経営」と「現場」の視点を体系的に学ぶことを目的とした民間資格です。
本記事では、介護福祉経営士が注目される背景、役割、1級・2級の違い、試験内容と合格に向けた対策、取得メリット(キャリア・年収)までを体系的に解説します。
※本記事は2026年2月時点の公開情報に基づいて作成しています。
介護福祉経営士の認定団体と制度移行について【最新情報】
介護福祉経営士は、もともと一般社団法人日本介護福祉経営人材教育協会が認定していた民間資格です。
同協会は2025年8月25日付で、臨時社員総会の決議により2025年10月31日付で解散する旨を発表しました。今後は、一般社団法人日本医療経営実践協会が「介護福祉経営士」の認定を行う予定とされています。
※出典:一般社団法人日本介護福祉経営人材教育協会 公式発表(2025年8月25日)
http://www.nkfk.jp/
※移行先団体:一般社団法人日本医療経営実践協会
https://www.jmmpa.jp/
介護福祉経営士の主な役割【一覧】
介護福祉経営士は、単なる現場責任者ではなく、経営と現場をつなぐ存在です。役割は次の5領域に整理できます。
| 領域 | 具体的な役割 |
|---|---|
| 経営管理 | 稼働率・人件費率・加算算定状況の把握 |
| 業務改善 | 標準手順・記録設計・会議体整備 |
| 人材マネジメント | 教育設計・評価制度・離職防止 |
| コンプライアンス | 制度改定対応・監査・実地指導対策 |
| 外部連携 | 家族対応・地域連携・金融機関報告 |
単なる「管理職」ではなく、経営判断を現場に翻訳できる存在であることが特徴です。
介護福祉経営士が注目される背景:介護業界の構造課題
介護業界は需要増に対して人材・財源・制度対応が追いつきにくく、現場任せでは事業継続が難しい局面が増えています。
介護は「利用者ニーズがある=経営が安定する」業界ではありません。稼働率が高くても、以下の要因によって収支が崩れることがあります。
- 加算の取りこぼし
- 人件費高騰
- 物価上昇
- 離職による採用コスト増
認定制度の変遷と現在の状況【重要】
介護福祉経営士は長年、日本介護福祉経営人材教育協会が認定を行ってきました。しかし、以下の大きな転換期を迎えています。
- 2025年5月末:資格認定試験終了
- 2025年10月31日:協会解散
- 認定業務は日本医療経営実践協会へ移行
今後の以下に関する扱いについては、日本医療経営実践協会の公式発表に基づく確認が必要です。
- 新規認定
- 更新制度
- 研修制度
- 等級制度
1級・2級の違い(従来制度)
2級は制度・法規・報酬など基礎理解。
1級は経営戦略・財務・組織運営など実践領域。
介護福祉経営士の難易度・合格率(試験実施当時の目安)
合格基準は概ね6割前後とされてきました。出題傾向は、以下の項目が主な内容でした。
- 制度理解
- 用語の正確性
- 加算比較
- 横断的思考
※現在は試験終了のため、最新制度は移行先(日本医療経営実践協会)の確認が必要です。
介護福祉経営士の役割・業務範囲【経営ができる介護人材とは】
介護福祉経営士は、介護の専門性に加えて「経営管理(人・モノ・カネ・情報)」を扱い、組織の成果を最大化する視点を持つ人材像を示す資格です。
制度移行が進む現在においても、「介護事業を安定して継続するために必要な視点」は変わりません。ここでは、介護福祉経営士に求められる役割と業務範囲を整理します。
介護福祉経営士の主な役割【一覧】
介護福祉経営士は、単なる現場責任者ではなく、経営と現場をつなぐ役割を担います。主な役割は以下の表にある5領域に整理できます。
表を入れる
経営判断を“現場の行動”に変える力
介護福祉経営士の本質は、数字や制度を理解するだけでなく、それを現場の具体的行動へ変換できる点にあります。
例えば、以下の情報を数値として可視化し、優先順位を決めて改善テーマに変換します。重要なのは、「気合」ではなく「構造」で改善することです。
- 稼働率の低下
- 人件費率の上昇
- 加算算定の取りこぼし
- 離職兆候の増加
- 事故・苦情の傾向
属人化から脱却する“仕組み化”
介護現場では、個人の力量に依存しやすい傾向があります。安定した運営には再現性のある設計が不可欠です。
- 標準手順の明確化
- 記録の設計
- 会議体の整理
- 教育制度の体系化
- 評価制度の整備
- シフト設計の最適化
- ICT活用の合理化
介護福祉経営士は、これらを横断的に整理できる点に価値があります。
経営視点を持った介護サービス運営の重要性
介護サービスは公定価格制度のもとで運営されています。「良いケア=利益が出る」構造ではありません。差が生まれるのは運営設計です。
- 加算算定の精度
- 稼働率の安定
- 職員定着率
- 事故防止体制
- 業務効率
ケアの質を守るほど、運営設計力が問われます。
収支と品質を同時に考えるマネジメント
経営改善は「売上を上げる」だけではありません。構造的に分解する力が必要です。
例えば稼働率低下時は、主に以下の項目などを分解します。
- 利用者像とのズレ
- 提供価値の再定義
- 送迎・入浴体制
- キャンセル時の埋め方
- 職員配置の過不足
KPIを設定し、月次で確認し、改善を回すことで「勘と根性の経営」から脱却できます。
加算算定とコンプライアンスは経営の要
加算は利益に直結しますが、理解不足は返還リスクにつながります。重要なのは、以下のような制度改定対応は、単なる知識ではなく「運用に翻訳できる力」です。
- 要件の正確な理解
- 現場負担を増やさない記録設計
- 役割分担の明確化
地域ニーズを踏まえたサービス設計
地域包括ケアの時代では、自法人内の最適化だけでは不十分です。以下の地域の特性を読み、必要とされるケアを継続提供する戦略が求められます。
- 医療機関との連携
- ケアマネとの関係構築
- 在宅中重度化への対応
- 看取り支援体制
経営視点は営利目的ではなく、「サービスを続けるための手段」です。
利用者満足度向上と職員マネジメントの両立
持続可能な介護事業には、利用者満足と職員定着の両立が不可欠です。
満足度を高める標準化と情報共有
満足度は一貫性で決まります。属人化を防ぐ設計が重要です。
- 接遇の標準化
- 説明の明確化
- 苦情対応の初動整備
- 情報共有の迅速化
属人化を防ぐ設計が必要です。
職員が疲弊しない組織づくり
離職は個人の問題ではなく、構造の問題です。
- 業務量
- 夜勤・シフトの偏り
- 記録負担
- 育成設計
- ハラスメント対策
特に新人離職は、教育設計と現場受け入れ体制のミスマッチが原因になりやすい分野です。
会議とICTの設計が成果を左右する
業務改善はツール導入だけでは成功しません。運用設計が鍵です。
- 目的が曖昧な会議は残業を増やす
- 情報粒度が揃わないと事故が起きる
- ICT導入が逆に負担になる場合もある
運用設計まで踏み込んで初めて、業務改善は成功します。
利用者満足と職員定着はトレードオフではなく、仕組み化によって同時に改善可能です。
介護福祉経営士の取得メリット:キャリアと評価
資格の本質的価値は「説明できる力」にあります。
- 人員配置の根拠
- 加算算定の仕組み
- 労務管理の合理性
- 監査対応の妥当性
を論理的に示せる人材は重宝されます。
年収アップの可能性
資格取得だけで自動的に昇給するとは限りません。しかし、以下の責任範囲が広いポジションほど、賃金水準は上がりやすくなります。資格は「昇進の補強材料」になります。
- 管理者
- 施設長
- エリアマネージャー
マネジメント職・施設長としてのキャリアパス
介護福祉経営士の知識は、意思決定層で活きます。
活かしやすいポジション:
- ユニットリーダー
- 主任
- 管理者
- 施設長
- 事務長
- エリアマネージャー
施設長に求められる4つの経営力
施設長には、次の力が求められます。
- 収支管理
- 加算設計
- 人材育成
- 監査対応
資格の学びを成果につなげる方法
学びは実践して初めて価値になります。
自事業所の課題を一つ選び、KPIを設定し、改善を回すことが近道です。小さな成果でも記録すれば、昇進・転職時の強力な材料になります。
FAQ|介護福祉経営士に関するよくある質問
- Q1.介護福祉経営士は国家資格ですか?
- A
いいえ、国家資格ではありません。民間資格です。
2025年10月以降は、一般社団法人日本医療経営実践協会が認定を行う予定と発表されています。
- Q2.認定団体の解散で資格はなくなるのですか?
- A
なくなるわけではありません。
2025年8月25日の公式発表によると、一般社団法人日本介護福祉経営人材教育協会は解散予定ですが、認定業務は日本医療経営実践協会へ移行される予定です。最新情報は公式発表をご確認ください。
- Q3.難易度や合格率はどのくらいですか?
- A
選択式試験が中心で、体系的に学習すれば十分合格可能とされています。目安として得点率6割前後が基準となることが多いですが、年度により異なるため公式情報の確認が必要です。
- Q4.今から取得する意味はありますか?
- A
制度移行中ではありますが、介護事業において「経営視点を持つ人材」の需要は高まっています。資格名以上に、制度理解・収支管理・組織運営の知識を体系的に学べる点に価値があります。
- Q5.年収アップやキャリアアップにつながりますか?
- A
資格取得だけで自動的に昇給するとは限りません。ただし、管理者・施設長・エリアマネージャーなどのポジションを目指す際の評価材料になることがあります。実務成果と組み合わせることで価値が高まります。
総括:資格以上に“運営改善力”が本質
現在、認定制度は移行期にありますが、「経営視点を持つ介護人材」が必要であることは変わりません。
介護福祉経営士という名称に限らず、
- 数字を読み
- 制度を理解し
- 現場に翻訳し
- 改善を回せる人材
こそが、これからの介護現場を支えます。
制度変更に関する注意事項
介護福祉経営士の認定制度は現在移行期にあります。受験・登録・更新等の詳細は、必ず認定団体の最新公式発表をご確認ください。
※本記事は2026年2月時点の公開情報に基づいて作成しています。
無料資料請求やお問い合わせはこちらからお気軽にお問い合わせください。
介護の資格 湘南国際アカデミー
▶「介護資格に関する無料資料請求」
▶「各種ご相談やお問い合わせ」
▶「お電話でのお問い合わせ:0120-961-190」
(受付時間:9:00〜18:00/年中無休)
現在はキャリアアドバイザーとして、求職者の就労サポートや企業支援を担当。採用担当経験者としての豊富な経験を活かし、求職者の強みを引き出す面接対策にも定評がある。介護業界の発展に貢献するべく、求職者・企業双方の支援に尽力。
プライベートでは息子と共にボーイスカウト活動を再開し、奉仕活動を通じて心を磨くことを大切にしている。
また、湘南国際アカデミーが発行する「介護業界マンスリーレポート」の企画・監修にも関わり、介護事業所の人材課題や育成ニーズについて、継続的に現場情報の収集・分析を行っている。






