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障害の始まりは人それぞれ|先天性・進行性・中途障害と支援者の関わり方

  • 全身性障害者ガイドヘルパー養成研修

高齢者福祉と障害者福祉の違いはいくつもありますが、ひとは必ず年齢を重ね、高齢者になります。みなさんも、必ず高齢者になります。

しかし、障害者になるかどうかというと、いまは障害がないかもしれませんが、将来障害者になるかもしれませんし、ならないかもしれません。また、ご家族が障害者という方もいるかもしれませんし、友人が障害者という方もいるかもしれません。

障害のある方と関係を築く際に、「いつから障害なのか」という視点が、時には大切になってきます。今回は、この「いつから?」という切り口から、障害をもつ方の背景を理解していきましょう。

障害の始まりには3つのパターンがある

「いつから障害があるのか」は、大きく分けると3つのケースに整理できます。

障害の始まり 3つのパターン

① 生まれた時から(または小さいころから)障害がある

② だんだん障害が進んでいく(進行型)

③ 突然障害者になる

それぞれのケースによって、本人の「障害の受け止め方」が大きく異なります。支援者として関わるうえで、この3つの違いを知っておくことがとても重要です。

① 生まれた時から(または小さいころから)障害がある

要因は様々ですが、身体や脳の働きに関する障害が多く、目が見えない・身体が動きづらい・言葉が理解してもらえないなど、様々な障害があります。

このケースで特徴的なのは、本人より先に親が障害を受け止めることになるという点です。そしてそれは、とっても時間がかかることです。その後、本人が成長するにつれて、まわりの人と比べ始めた時に「自分は他の人と違うのかも?」と気づき始めます。

自分の障害を受け入れる時期は、人それぞれです。幼いころから当たり前のように障害と共に生きてきたからといって、すでに受け入れていると決めつけることは禁物です。

② だんだん障害が進んでいく(進行型)

だんだん目が見えなくなる(網膜色素変性症など)、だんだん身体が動かなくなる(筋ジストロフィー・ALSなど)といった「進行型」の障害です。

このケースの特徴は、「今までできたことができなくなる」という変化が続くことです。不安やくやしさを感じながら、少しずつ障害を受け入れていかれます。昨日できたことが今日できない——そのくり返しの中で生きている方の気持ちに、どれだけ寄り添えるかが問われます。

③ 突然障害者になる

交通事故で車いすでの生活が始まったり、職場で過度のストレスを受け精神疾患になったりと、予想もしていなかったのに突然障害者になることもあります。

このケースでは、「昨日まで障害のなかった自分」を知っているだけに、その落差がとても大きく感じられることがあります。突然変わってしまった生活や将来への見通しが描けない不安は、言葉では言い表せないほどのものかもしれません。

「まだ受け入れていない」段階の方との関わり

大きく分けるとこの3つのケースとなりますが、それぞれのケースによって、私たちの関わり方は変わってきます。

特に、「まだ自分の障害を受け入れていない段階」の方々との関わりは、デリケートな部分が多いと思います。「受け入れてほしい」「前向きになってほしい」という気持ちから、つい急かしてしまいそうになることもあるかもしれません。でも、受け入れるペースは、その方自身のものです。

だからこそ、本人をよく知り、理解し、決めつけず、何を望んでいるのかを考えながら、関係を築いていくことが求められます。

久保田 穂
介護福祉士・保育士

私がこれまで関わってきた利用者の方の中にも、長い時間をかけてようやく「わかりあえた」と感じられた瞬間がありました。
時間はかかるかもしれません。でも、あきらめないで関係を続けてよかった——そう思える日が、必ず訪れます。支援者として、そのことを信じてほしいと思います。

「いつから障害か」を知ることで、支援の質が変わる

「いつから障害があるのか」を知ることは、単なる情報収集ではありません。その方がどんな時間を過ごし、どんな気持ちと向き合ってきたのかを想像するための、大切な手がかりです。

生まれた時から障害のある方と、突然障害を負うことになった方では、同じ「身体障害」であっても、必要な関わり方はまったく異なります。画一的な支援ではなく、その方の「物語」を知ったうえで関わること——それが、障害者支援の仕事のもっとも大切な部分のひとつだと私は思っています。

障害の受け止め方に関するよくある質問

Q1.
障害の受け入れには、どのくらいの時間がかかりますか?
A

人によって大きく異なり、「これが正解」という期間はありません。生まれた時からの障害でも成長の過程で改めて向き合う時期があったり、突然の障害では何年もかかる場合があります。支援者として大切なのは、受け入れを急かすのではなく、その方のペースに寄り添い続けることです。

Q2.
進行型の障害がある方への支援で気をつけることはありますか?
A

「今できること」を最大限に活かしながら、できなくなったことを補う支援を考えることが大切です。また、「できなくなること」への不安や悲しみを否定せず、感情をそのまま受け止める姿勢も重要です。先を急がず、今この瞬間の生活の質を一緒に考えていく関わりが求められます。

Q3.
障害者支援の仕事で「関係を築く」とはどういうことですか?
A

「この人はこういう人だ」と決めつけず、その方の言葉・表情・行動から何を望んでいるかを丁寧に読み取り続けることです。特に障害を受け入れていない段階の方には、正解のない関わりが続くこともあります。それでも諦めずに関係を続けた先に、「わかりあえた」と感じられる瞬間が訪れることがあります。その体験が、支援者としての大きなやりがいになります。

次回のコラムについて

次回(第4回)は、「障害の4つの分野」について解説します。身体障害・知的障害・精神障害・発達障害——それぞれどんな特性があるのか、支援者として知っておきたい基本をお伝えします。

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この記事を書いた人
2006年に異業種から福祉業界へ転身。障害児者福祉を中心に、高齢者福祉・児童福祉に幅広く従事し、責任者・管理者・施設長として現場と研修指導の両面で活躍。
2023年11月より湘南国際アカデミー専任講師として、初任者研修・実務者研修・介護福祉士受験対策講座及びガイドヘルパーや同行援護従事者養成研修など、障害福祉分野の研修を担当。
「福祉=幸せ」をテーマに、知識・技術に加えて「心」の大切さを重視し、一期一会の精神で受講生に寄り添っている。
久保田 穂
藤沢校・横須賀校・海老名校・相模大野校・横浜戸塚校・横浜馬車道関内校・小田原校・横浜二俣川校
【所持資格】
介護福祉士・保育士
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