
江島一孝(介護福祉士)
この記事の監修者
介護福祉士、実習指導者、介護支援専門員として10年以上の経験を持ち、湘南国際アカデミーで介護職員初任者研修や実務者研修の講師、介護福祉士国家試験の対策テキスト執筆を担当。
こんにちは、湘南国際アカデミーで初任者研修や実務者研修、介護福祉士受験対策講座の講師を担当している江島です。
介護福祉士を目指すうえで必須となる実務者研修は、通信と通学を組み合わせて学ぶのが一般的です。
本記事では、「実務者研修は1日何時間くらい学習すればよいのか」という疑問に答える形で、学習時間の目安や効率的な勉強方法をわかりやすく紹介します。
さらに、実務者研修で学ぶ内容は介護福祉士国家試験の出題範囲を網羅しているため、研修を深く理解することが試験合格に直結する点も大きな特徴です。働きながらでもスムーズに研修を修了し、国家試験に備えられる学習プランを一緒に考えていきましょう。
実務者研修の概要と通信・通学コースの時間の目安
実務者研修は、より高度な介護技術・知識を修得するための研修で、通信学習と通学(スクーリング)を組み合わせて行うのが一般的です。
多くの教育機関では、通信学習でテキストや映像教材を使って自宅学習を進め、一定の日数のスクーリングで実技演習や講師からの直接指導を受ける流れが基本です。実務者研修の学習範囲は介護福祉士国家試験の出題内容をすべてカバーするため、研修を受けることで国家試験対策としても非常に有利になります。
保有資格 | 在籍期間 | 学習時間 (カリキュラム総時間) | 免除される科目 |
---|---|---|---|
無資格 | 6ヶ月以上 | 450時間 | 免除なし(全科目受講) |
初任者研修修了者 (旧ホームヘルパー2級) | 4ヶ月以上 | 320時間 | 130時間の科目免除 |
ホームヘルパー1級修了者 | 1ヶ月以上 | 95時間 | 355時間の科目免除 |
介護職員基礎研修修了者 | 1ヶ月以上 | 50時間 | 400時間の科目免除 |
実務者研修の1日あたりの学習時間は何時間必要?
実務者研修は通信と通学を合わせて450時間が基本ですが、初任者研修修了者などは科目免除により学習時間が短縮される場合もあります。
1日何時間学習できるかは、勤務形態や家族構成によって異なるため、無理のないペースづくりが大切です。研修を最後までやり切り、国家試験に合格するには、自分のライフスタイルに合わせた学習計画を立てることがポイントです。
無資格で実務者研修を受講する場合
無資格の方は約450時間の学習と10日前後の通学が必要です。1日1時間でも通信添削課題を継続して進める習慣が重要で、全科目を修了すれば介護福祉士国家試験に必要な基礎力が身につきます。
湘南国際アカデミーの目安では、介護過程Ⅲと医療的ケア50時間を除いた約400時間を通信添削課題レポートで6か月間学ぶ場合、1日2.19時間程度の学習ペースが想定されます。あくまで一例ではありますが、柔軟に計画を立てましょう。
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初任者研修(ヘルパー2級)修了者が受講する場合
初任者研修(旧ヘルパー2級)修了者は約320時間に短縮され、通学日数も7〜8日ほどで済むケースが多いです。ただし「介護過程Ⅲ」や「医療的ケア」はスクーリングが必須なので、授業中に積極的に講師へ質問し理解を深めることが重要です。
湘南国際アカデミーの参考では、対面授業50時間を除く約270時間を4か月(約121.6日)の在籍期間でこなす場合、1日2.22時間が目安とされています。
さらに詳しい内容は、以下の記事をご覧ください。
ホームヘルパー1級修了者が受講する場合
ホームヘルパー1級を取得していると約95時間まで短縮され、通学日数も3〜5日ほどに減るためスケジュールにゆとりが生まれます。免除科目が多くても、国家試験に直結する学習範囲をしっかり復習しましょう。
湘南国際アカデミーの目安では、対面授業50時間を差し引いた約45時間を1か月(30日)の在籍期間で学ぶなら、1日1.5時間が参考になります。
介護職員基礎研修修了者が受講する場合
介護職員基礎研修修了者は医療的ケア以外が免除され、通学日数2日ほどで短期間に修了しやすいのが利点です。医療的ケアの対面授業だけは必ず受ける必要がありますが、現場で役立つ実践力を養う良い機会にもなります。
湘南国際アカデミーの参考データでは、50時間から医療的ケア12時間を除いた約38時間を1か月(30日)の在籍期間で進める場合、1日1.26時間が目安です。学習期間を有効に使い、介護福祉士国家試験の対策も同時に進めましょう。
実務者研修の標準的な『1日何時間』の学習イメージ
実務者研修の学習時間は人によって異なりますが、働きながら受講する方が多いため、平日と週末で勉強時間を分けて確保するケースが目立ちます。
1日あたりの勉強時間を決めて地道に進める方法や、週末にまとまった時間をとって学ぶ方法など、自分のライフスタイルに適したやり方を選ぶことが、研修修了と介護福祉士試験合格を無理なく目指すコツです。
平日1〜2時間で進める方法
平日に1〜2時間の勉強時間を確保し、テキスト学習やレポート作成、過去問演習(実務者研修の一部のテキストには国家試験形式の問題を扱うものもある)を進める方法です。
毎日少しずつ取り組むことで、知識がこまめに定着しやすいというメリットがあります。業務の合間や通勤時間を活用しながら学習すれば、スキマ時間で国家試験の基本対策も同時に行える点が魅力です。
週末まとめて学習する方法
平日に学習時間が取りづらい方は、週末に3〜4時間などまとまった時間を一気に使うやり方がおすすめです。
大量の課題や実技演習の予習を集中してこなせる反面、疲れが溜まってしまうリスクもあるため、適度に休憩を挟みつつ進めましょう。テキストを読み返すだけでなく、模擬問題など国家試験対策も意識して学習を深めることがポイントです。
実務者研修は介護福祉士の受験が前提のカリキュラム
実務者研修は介護福祉士国家試験の受験必須要件となっており、カリキュラム全体も国家試験の出題基準と重なるように組まれています。
通信やスクーリングで学ぶ内容がそのまま試験範囲に直結するため、実務者研修の科目を体系的に理解するほど介護福祉士合格が近づくと言っても過言ではありません。
介護福祉士国家試験を念頭に置いたカリキュラムを選ぶこと
実務者研修で使用されるテキストや演習問題は、国家試験の出題傾向を意識した内容が多くなっています。特に試験対策に力を入れているスクールでは、模擬問題や復習テストを用意している場合もあります。
早い段階で見学会や問い合わせを行い、試験対策が充実した研修コースを探すことで、効率的に合格を目指せるでしょう。
中途半端に受講すると介護福祉士の受験時に苦労する
実務者研修は全科目を修了し、修了証を取得しなければ介護福祉士国家試験を受験できません。もし課題やレポートを締め切り間際まで放置すると、修了証の発行が遅れ、受験手続きに間に合わなくなる恐れもあります。
書類の準備や試験の申し込み期限も含め、余裕をもって計画を立て、研修を中断せずに完走するよう心掛けましょう。
実務者研修をよく理解して修了することが介護福祉士への近道
実務者研修の各科目は、現場の実務に直結する内容であると同時に、介護福祉士国家試験の基礎ともなる重要な学びです。
講義や実技演習を通じて得た知識をしっかりと復習し、「わかったつもり」で終わらせないことが大切。研修での理解度を高めるほど、本番の筆記試験でも応用が効きやすくなるでしょう。
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実務者研修を効率的に進める学習方法を講師が解説
通信課題やスクーリングの両立に悩む方は多いですが、講師から推奨される「早め着手」「スケジュールの細分化」を実践すれば、格段に進めやすくなります。
特に湘南国際アカデミーのように現場経験豊富な講師が揃っているスクールでは、グループワークや実技演習で得られる学びが豊富です。わからない点をその場で質問し、試験を意識した視点で疑問を解消しておきましょう。
通信添削課題はなるべく早めに取り組むこと
通信課題を締め切り直前まで溜めてしまうと、内容が重複して膨大になり、焦りが学習効率を下げる要因となります。
特に「介護過程」のレポートは複数項目にわたるため、計画的に進めるのが鉄則です。疑問を感じたらテキストやサポート制度で早期に解決し、介護福祉士試験でも頻出の理論をしっかり理解しておきましょう。
対面授業が必要な介護過程Ⅲの授業について
介護過程IIIでは、利用者の状態把握やケアプランの立案などをディスカッション形式で学びます。グループワークを通じて多角的な視点を得られるため、現場力が磨かれるのも利点です。
実技を伴う演習で身につけた理解は、国家試験の記述式問題や事例問題を解く際にも役立ちます。自宅学習では得られない生の声を吸収し、自分なりの知識を深めていきましょう。
対面授業が必要な医療的ケアの授業について
医療的ケアでは、喀痰吸引や経管栄養などの高度なケア技術を習得するため、国家資格を持つ講師の下で対面実習を行います。
正しい手順を見てもらいながら練習を重ねることで、実際の現場対応に自信がつくだけでなく、国家試験の問題でも理論的な背景を理解しやすくなります。実習は貴重な学習機会として有効活用しましょう。
働きながら実務者研修を受講するためのポイント
仕事と学習の両立が難しいと感じる方は多いですが、職場や家族の協力を得ることで受講をスムーズに進められます。
とくに通学日の連続でまとまった休暇が必要な場合などは、早めに職場へ連絡してシフト調整を行い、家族にも研修スケジュールを共有しておきましょう。周囲の理解が得られれば、勉強に集中できる時間を確保できます。
シフト調整や休暇の取得
スクーリング日数や実技試験日などはあらかじめ固定されていることが多いので、事前に休暇を取得しておくことが重要です。
とくに医療的ケアや介護過程IIIなどは日程変更が難しい場合があるため、上司や同僚に早めに相談しておくと安心です。
家族や職場の理解を得る
実務者研修の受講中は普段より学習時間が増え、家事や育児などに使える時間が限られます。家族と役割分担を再調整しておき、職場には研修中のスケジュールを伝えておきましょう。
周囲が協力的だと、国家試験前の集中勉強もしやすくなり、より万全の態勢で本番を迎えられます。
オンラインサポートや振替受講制度
スクールによってはオンライン講義や学習サポートを用意している場合もあり、忙しい方でも柔軟に受講しやすくなっています。
また、振替受講制度があると、急なシフト変更や家庭の事情が発生した際も安心です。事前に各スクールの制度を確認し、働き方や生活リズムに合う研修を選ぶことが得策です。
受講期間を短縮するためのポイント
急いで介護福祉士の受験資格を得たい場合は、免除科目を十分に活用したり、計画的にレポートを提出して早めに単位を認定してもらうなどの工夫が必要です。
スクーリング日も先に把握しておくことで、スケジュールの組みやすさが変わってきます。一度決めた計画を軸に、着実に進めることが受講期間短縮と合格への最短ルートです。
計画的なレポート提出
通信課題の提出期限を守るだけでなく、余裕をもって提出することで、返却後の復習もゆとりをもって取り組めます。
レポート内容が介護福祉士国家試験の出題範囲と重なることも多いため、提出後も解説や添削をしっかり読み込み、試験対策としての理解を深めましょう。
所持資格による科目免除制度の活用
初任者研修や介護職員基礎研修などを修了している場合、免除科目により通学日数や通信課題が削減されることがあります。
スクールごとに提出手続きや必要書類が異なるため、早めに確認して準備を進めてください。免除制度を上手に利用すれば、研修期間を短縮しつつ国家試験の勉強時間を多く確保することも可能です。
FAQ|実務者研修のよくある質問
実務者研修は時間・費用の両面で大きな負担がかかりがちですが、その分、修了後は介護福祉士国家試験への準備が格段に進めやすくなります。ここでは、受講を検討している多くの方が抱える質問や不安に対する回答をまとめました。
- Q1.実務者研修は1日何時間勉強すれば間に合いますか?
- A
研修のカリキュラムや免除科目の有無にもよりますが、1日1~2時間の学習をコンスタントに続ければ、大半の課題を期限内に終わらせられます。平日にこまめに勉強したり、週末のまとまった時間を活用するのも一つの手です。
- Q2.働きながら実務者研修を受講しても合格率は下がらない?
- A
実務者研修は働きながらでも計画的に学習すれば合格率が大きく下がるわけではありません。むしろ現場経験があるほど学んだ内容をイメージしやすく、理解が深まりやすいというメリットもあります。
- Q3.実務者研修を修了しても介護福祉士の受験勉強は必要?
- A
実務者研修の学習範囲は介護福祉士国家試験の出題内容をすべて含みますが、試験特有の問題形式に慣れるための過去問演習や模擬試験は別途取り組んだ方が安心です。研修で基礎をしっかり固めれば、試験対策もスムーズに進められます。
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- Q4.実務者研修の受講費用やテキスト代はどのくらいかかりますか?
- A
各介護スクールや免除科目によりかなり幅があるため、3万円~12万円程度が一つの目安です。テキスト代などが別途必要となる場合もあるため、事前に確認してください。
- Q5.実務者研修のスクーリングは全日程出席しないとダメ?
- A
実務者研修の実技を伴う科目は対面受講が義務付けられているケースが多いので、原則として決められた通学日数を満たさなければ修了できません。やむを得ない事情がある場合、振替受講や補講制度を利用できるかどうかも、事前にスクールへ問い合わせておきましょう。
まとめ|実務者研修を受講して介護福祉士の受験に備える
実務者研修の学習内容は、介護福祉士国家試験の出題範囲をすべて網羅しています。研修を計画的に進めてしっかり修了すれば、国家試験の合格率向上にも大きく寄与します。
働きながらでも無理なく研修を修了できるよう、周囲の協力と綿密なスケジュール管理を行い、修了後は本格的に試験対策へ移りましょう。確かな知識と技術を身につければ、現場で活躍できる介護福祉士への道が大きく開けます。
湘南国際アカデミーの実務者研修は介護福祉士受験を想定したカリキュラム
湘南国際アカデミーの実務者研修は、介護福祉士国家試験を見据えたオリジナルカリキュラムが特徴です。通信添削課題の内容も試験範囲を余すところなく網羅し、修了後すぐに受験勉強を始められるよう配慮されています。
さらに、公式LINEによるサポート体制や現場経験豊富な講師陣による指導など、働きながらでもスムーズに研修を完了できるようバックアップ体制を整えています。年2,000人以上の受講生を支える経験から生まれたノウハウは、試験直結の学習だけでなく、介護現場で即戦力として通用するスキル習得にもつながるでしょう。
実務者研修に関しての詳細は、以下のページをご覧ください
その他、介護事業所や医療機関などにおいて当校の「事業所内スキルアップ研修」の企画・提案・実施など各事業所用にカスタマイズする研修をプロデュースし、人材確保・育成・定着に向けた一連のプログラムを手掛けている。
