実務者研修は、介護職としてスキルアップや資格取得を目指す多くの方にとって重要な研修です。年齢制限があるのか、年を重ねても受講して大丈夫なのかといった不安を抱える方も少なくありません。本記事では、実務者研修と年齢にまつわる情報や注意点、費用面のサポート制度などを詳しく解説します。
実務者研修と年齢~何歳からでも大丈夫?
結論からいうと、何歳からでも大丈夫です。私が担当するクラスには80代の方もいらっしゃいます。
やりたい時がはじめ時で、年齢を理由にあきらめる必要もありません。受講される年齢も、実際はすごく幅広いのですが、50代の方が多いように感じます。
基本的には、介護の現場を経験された方が、スキルアップのため、もしくは、介護福祉士を受けるにあたり必要な研修なので、そのために受ける方、基礎的な理論や演習を行う初任者研修を受けた人が、引き続き学習するというパターンもあります。
では、全くの経験がないと受けられないでしょうか?
実務者研修は初任者研修など、介護のことをイメージして行うため、経験がないと、イメージしにくいかもしれません。
ですが、事前学習をしっかり行い、演習に臨めば、ついていけないという内容でもありません。
介護の現場はイメージとして、体力勝負のような感じがしますが、働き方は様々で、訪問介護のように一緒にお料理を作ったり、掃除したり、施設でも食事の配膳を行うなどの業務だけをされる方もいます。
また、生活を支える場にいるため、生活の豊かな経験が生きてくることも多いのが特徴です。
そういった意味でも、若くないとできないとあきらめず、むしろ経験豊富な年代の強みを生かして仕事するためにも、研修を受けることは非常に意味があると思います。
実務者研修における年齢制限の有無
実際、法律で年齢制限は設けられていません。そのためか、幅広い年齢の方たちが来られます。
幅広い年齢の方が同じ教室で一緒に学ぶという状況は、あまりないのではないでしょうか?そのため、演習の中でのディスカッションは、様々な見解や意見があり、それゆえに衝突することもありますが、だからこその結論を得ることができ、実りのある学習に結びついているのも、実務者研修の特徴ではないでしょうか。
年齢別の受講者層と実際の事例
若手の場合は初めての介護職として実務者研修を受講し、20~40代の方は、介護現場に在籍し介護福祉士国家試験を目指し、受講される方が多い傾向です。
また、実務者研修を受けることによって、資格が1つ増えるため、給与のupやまた新たな職場で経験を積まれる方も多いようです。
50代、60代の方は、定年後のライフワークとして、今のうちに資格を取っておこうとか、女性に関していえば、家庭での仕事が少し落ち着き、新しいこと学んでみたい、仕事をしてみたいと来られる方もいらっしゃいます。
年代ごとに学ぶ理由が違いますが、学ぼう、新しいことに挑戦しようという気持ちは皆さん一緒です。
50代・60代でも遅くないと言われる理由
介護業界は依然として人材不足が深刻であり、先ほどから少し話に出ていますが、介護の仕事は生活を支える仕事です。
利用者がいつまでもその人らしく生活するために、できないことを補っていく、年齢を重ねたからこそ補える生活の支援があると思います。
その経験と実務者研修で得た根拠のある知識が合わさることで、質の高いケアができると思います。
年齢ごとに考える実務者研修の受講スタイルと注意点
実務者研修は受講者の年齢層によって学び方や注意点が異なります。
若い世代は時間的な融通がききやすく、学業やアルバイトと並行して研修を受講するケースもあります。逆に仕事や家庭を抱える中高年層は、学習と実務を両立するためにより細かな学習計画が必要になるでしょう。年齢によって状況は異なりますが、それぞれの強みや経験値を活かせば、実務者研修は確実に身になる学びの場となります。
若手・中途・シニアで変わる学習の進め方
実務者研修は様々な年代の方が受講されます。若い方でいえば、自分の生活に融通が利く方が多いこと、体力があることから、お休みの日に一気に進める、日中の仕事や夜勤の休み時間を利用して進めるは効率がいいかもしれません。休みの日は遊びに行きたいなど、プライベートも充実させつつ、体力的にも、精神的にも無理なく学んでいただきたいと思います。
シニア層では、家事の合間、お仕事をされている方は、休み時間や通勤時間などを利用すると良いと思います。隙間時間を利用して、少しずつ進めるほうが良いかもしれません。
また、これは年齢に関係なく、介護福祉士を目指して実務者研修を受ける方は、課題がテキストに沿って出題されていることが多いため、1つ1つの言葉の意味など意識して学習を進めることをお勧めします。
年齢や体力面を問わない実務者研修を受講するメリット
実務者研修は初任者研修と違い、介護過程を中心とした座学中心のものが多くなっています。初任者研修で介護の技術を習得するのを目的とするのに対し、実務者研修は利用者のケアについて根拠(エビデンス)を持って支援を行うにあたっての考え方を学んだり、医療的ケアでは、実際に先に進めば行える喀痰吸引や経管栄養の基礎を学びます。
より実践的ですが、初任者研修に比べて、演習を行う作業が少ないため、体力面を気にしている方でも安心して取り組むことができる研修でもあります。
介護の現場では、利用者の背景やニーズに合わせて柔軟に対応する力が求められます。多様な年齢層が実務者研修を受講することで、より幅広い視点や豊富な経験をチームケアに活かすことが可能です。
実務者研修受講の流れとスケジュール
実務者研修の受講までの流れは申し込みをすると、テキストと、添削課題が送られてきます。初任者研修でも通学と通信の併用をしているように、実務者研修も通信課題と通学の併用となります。また、初任者研修130時間に対し、実務者研修は450時間の学習時間を考えると、課題の量がかなり多くなります。
初任者研修など、介護の資格を持っている方はその時間分が免除となりますが、無資格者はその分課題が多くなります。
通学が終わっていても通信添削課題が終わらないと研修が終わっておらず、資格ももらえません。
そのため、課題が届いたら、その課題をとにかく進めていくことが大事です。
また、実務者研修には医療的ケアの授業もあり、演習が中心ですが、課題学習で得られた知識を生かした演習となることが多いので、通学も見据えて学習できると良いと思います。
シニア層であっても、時間や体調に考慮した学習計画を立てれば無理なく修了を目指せます。逆に若い世代の方は、積極的に実習や現場研修を活用して実務を早く覚えることができるでしょう。受講スタイルや期間を上手く選択することで、仕事や家庭との両立をしながら資格取得を実現する方も増えています。
実務者研修を働きながら取得するコツ
働きながらの研修はとても大変だと思います。私自身も現在大学院に在籍ですが、毎週課題や発表の準備に追われています。私は通勤時間をうまく使っています。通勤時間が1時間もあるため、その中でできることしていき、調べなければならないことはまとめておいて、帰って家事が落ち着いたときに進めます。たまってしまうとつらいですが、少しずつ解決していけば、すごく負担になるということはありません。
休みの日を使うということもいいと思いますが、お仕事や家庭のことを考えると私にはできませんでした。
人それぞれ時間を使える時は違います。誰のやり方があっているとも思えませんので、同じ研修をした方からアドバイスをいただいたり、いろいろ試して、自分に合った、負担の少ない学習方法を見つけていきましょう。
実務者研修は受講費用が高額になることもありますが、公的制度を利用することで経済的負担を軽減できます。積極的に各種助成金や給付金制度を調べ、条件を満たす場合は申請を検討しましょう。
受講費用は教育機関やカリキュラムの内容によって多少の違いがありますが、数万円から十数万円と非常に幅広い価格帯が見られます。こうした費用の一部を国や自治体がサポートしてくれる制度を活用することで、実務者研修を始めるハードルを下げることができます。学びたい気持ちはあるけれど出費が不安、という方は早めに情報収集を行い、受給可能な支援策を確認するのがおすすめです。
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受講費用や助成金・給付金の利用に年齢制限はありません
公的助成金や給付金制度は、年齢要件で排除されるケースが少なく、幅広い世代で利用できる仕組みとなっています。高齢だから申請できないのではないか、と心配する必要はほとんどなく、実務者研修の学習を支えるための支援策として有用です。申請には必要書類や手続きの流れがあるので、受講前に行政窓口やスクールに問い合わせて確認し、スムーズに手続きを進めましょう。
年齢制限なく実務者研修修了後に広がるキャリアパス
実務者研修修了後は、介護福祉士への道をはじめ、様々なキャリアアップへとつながります。
実務者研修と聞くと介護を経験している人からは、介護福祉士になるための研修というイメージがあると思います。
もちろん経験年数があれば、実務者研修を受けて、国家試験に挑戦するのもいいと思います。
また、介護福祉士の資格から、ケアマネジャー(介護支援専門員)などほかの資格に挑戦することができたり、その幅は大きく広がっていきます。
ですが、初任者研修もですが、1つの資格なのです。実務者研修を持っているだけで、無資格者と比べるとキャリアとしてはアップしていると思います。
特に実務者研修は、介護過程を通して、利用者の生活をよりよいものにするためにとことん考え、追求していく演習が続きます。これは現場に帰ったとき、担当者会議やケア会議に大いに役に立っていきます。
そういう意味では施設のリーダーとして介護職員を引っ張っていくという立場も十分なキャリアアップかなと思います。
また、受講生の感想として「研修を受けながら利用者の顔がうかんだ」「これからの仕事の視点が変わる気がする」「優しい気もちで仕事の望めると思う」と研修を受けたことで考えた方や見方が変わった方が多いです。
それだけでも研修を受けた価値があったのではないでしょうか?
介護をただの業務にするのか、自分も楽しみながら利用者とかかわっていくのか、そして、それを続けていくためには、今後どのような学習をしていけばいいのか、常に考えていき、自分に必要なキャリアアップを考えていってほしいと思います。
実務者研修も介護福祉士も年齢制限はありません
介護福祉士国家試験の受験資格にも年齢の上限はなく、シニア層でも受験者や合格者が増えている実情があります。実務者研修を修了して国家試験を受ける流れは、若手と同じようにシニア層でも問題なく進められるものです。むしろ豊富な人生経験を持つ方は、利用者からの信頼を得やすく、現場で即戦力として活躍するケースも目立ちます。
年齢に関係なく働くことができる介護職で活躍する
介護の現場は年齢に関係なく働き続けられる特徴を持ち、実務者研修を修了すればより専門的な仕事に携わるチャンスも増えます。例えば、デイサービスや特別養護老人ホームなどではシニア世代ならではの共感力や落ち着いたコミュニケーションが大いに活かされるでしょう。多様な年齢層が協力し合うことで、利用者へより質の高いサービスを提供できるのも介護業界の魅力です。
FAQ|実務者研修で年齢に関するよくある質問
- Q1.実務者研修には年齢制限は本当にありませんか?
- A
ありません。若い方はもちろん、50代・60代でも問題なく受講できます。健康面や学習計画を考慮すれば、シニア層でも実績のある修了者は多いです。
- Q2.高齢だから体力的に不安ですが、問題ないでしょうか?
- A
スクールでは正しいボディメカニクスや無理のないケア技術を学べるため、体力に不安があっても実践しやすい環境が整っています。湘南国際アカデミーでは個別サポートも充実しており、安心して学習を続けられます。
- Q3.仕事や家事がある中で学習時間を確保できるか心配です…
- A
通信+通学を組み合わせたカリキュラムを採用するスクールが多く、隙間時間を活用した通信学習が可能です。働きながらでも無理なく進められ、湘南国際アカデミーでは日程調整や学習ペースのアドバイスにも力を入れています。
まとめ
実務者研修は年齢制限がなく、若い世代からシニア世代まで誰でも挑戦できる介護資格です。受講スタイルや助成金の活用など、年齢やライフスタイルに合った方法を選べば、学習負担を大きく減らしながら介護業界でのキャリアを確実に伸ばすことが可能です。
湘南国際アカデミーでは、一人ひとりの状況に合わせた講座やフォロー体制を整え、初心者からシニア層まで幅広くサポートしています。実務者研修に興味をお持ちの方は、ぜひお問い合わせや資料請求をしてみてください。あなたの年齢や経験を強みに変え、新たな一歩を踏み出すサポートを全力で行います。
また、看護師業務と並行して助産師としても20年間従事し、夜勤専属として10年間の分娩経験を有し母子の安全を守り続けた。
現在では湘南国際アカデミーで実務者研修教員講習会を修了後、医療的ケア・介護職員初任者研修の講師を担当し、多くの介護現場で活躍する生徒からは技術の根拠をしっかりと学べると信頼を置かれている。
自身も大学院で健康科学を学びながら指導にあたり、学ぶ楽しさを広げることも実践中。
