介護業界の人材不足は「採用できない」だけでなく「定着しない」ことも重なり、現場の負担増やサービス提供の継続性に影響しています。
本記事では、統計データをもとに現状を整理し、不足が起こる原因、現場への影響、国や事業所が進める対策までを体系的に解説します。
これから介護職の中で活躍される方、採用・育成に課題を抱える事業所の方が、状況を理解し具体策を検討できる内容を目指します。
当記事はこちらのデータを参照して執筆しております。
(参照:厚生労働省「介護人材確保の現状について」)
(参照:湘南国際アカデミーの独自調査「介護ニュース最新情報|介護職動向&意識マンスリーレポート 」)
介護人材不足の現状と統計データ
まずは「どの程度足りていないのか」「どこで深刻なのか」を、代表的な指標(有効求人倍率など)と将来推計から押さえます。
介護人材不足を把握する際は、現場の感覚だけでなく、求人の出方と求職者の少なさを示す指標で確認することが重要です。代表例が有効求人倍率で、数値が高いほど「働きたい人1人に対して求人が多い」状態を意味します。介護分野は全産業平均より高い水準で推移しやすく、慢性的に採用が難しい構造が読み取れます。(厚生労働省 『介護人材確保の現状について』令和7年5月資料より)
また、人材不足は全国一律ではなく、地域の人口構造や住宅事情、賃金相場、事業所密度によって体感が大きく変わります。同じ採用施策でも地域で成果が異なるため、データで地域特性をつかんだうえで、採用と定着の両面から戦略を組み立てる必要があります。
将来推計では、介護需要の増加に対して供給が追いつかない見通しが繰り返し示されています。短期的な募集強化だけでは埋まらず、離職を減らす職場づくりと、業務のやり方そのものを見直す生産性向上が、同じくらい重要なテーマになります。
| 年度 | 必要人数 | 不足数 | 不足率 |
|---|---|---|---|
| 2025年度 | 約243万人 | 約32万人 | 約13% |
| 2040年度 | 約272万人 | 約57万人 | 約21% |
(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)
有効求人倍率と地域差(都市部での深刻化)
介護分野の有効求人倍率は、全産業と比べて高水準になりやすく、採用市場では常に売り手優位です。これは「求人を出しても応募が集まりにくい」「紹介会社への依存が強まり採用コストが上がる」状況を招き、事業所の体力差がそのまま採用力の差になりやすいことを意味します。
特に都市部は深刻化しやすい傾向があります。人口が集中しているため高齢者数も多く介護ニーズが増える一方で、事業所数も多く求人が同時多発的に出るため、人材獲得競争が激しくなります。結果として、同じ人材を複数事業所が奪い合う構図になり、賃金だけでなく働き方や教育体制の差が選ばれる要因になっていきます。
| 都道府県 | 介護職有効求人倍率 |
|---|---|
| 東京都 | 4.91倍 |
| 埼玉県 | 4.09倍 |
| 神奈川県 | 3.45倍 |
| 全国平均 | 3.57倍 |
(出典:厚生労働省「図表1-2-40 都道府県別有効求人倍率(2022年2月)」
都道府県別に見ると倍率や不足感にはばらつきがあり、背景には通勤圏、家賃、他産業の求人量、家族介護の比率などが絡みます。採用難を単に事業所努力不足と捉えるのではなく、地域の需給ギャップを前提に、採用チャネルの複線化や、定着を優先する投資判断が必要です。
2025年問題と今後の見通し
2025年問題とは、団塊世代が後期高齢者となり、医療と介護の需要が一段と増える節目を指します。介護は利用者の生活を支えるサービスであるため、需要が増えれば単純に現場の業務量も増えやすく、今の人員配置のままでは負担が先に限界に達しやすくなります。
将来推計では、介護職員は中長期で大幅な不足が見込まれています。たとえば2040年に必要人数が大きく増える一方で、数十万人規模の不足が想定される試算もあり、短期間で自然解消する見立ては立ちにくいのが現実です。
この見通しが示す本質は、採用強化だけでは追いつかないという点です。離職を減らして経験者を残すこと、未経験者を段階的に育てること、そして記録や見守りなど周辺業務を効率化して、少ない人数でも安全に回る設計に変えることが、今後の鍵になります。
介護人材不足が起こる主な原因
人材不足は単一要因ではなく、人口構造、待遇、働き方、職場環境、業務設計の問題が複合的に絡み合って起こります。
介護人材不足は、単に「介護職の人気がない」から起きているわけではありません。需要が増えるスピードと、働き手が増えるスピードの差が広がり、その上に離職を生む職場要因が重なって不足が固定化します。
特に重要なのは、採用と定着が連動している点です。人が辞めやすい職場は採用しても穴が埋まらず、残った職員の負担が増えてさらに離職が進む、という悪循環に入りやすくなります。
少子高齢化による需要増と担い手減
少子高齢化によって、介護を必要とする人は増え、支える側の生産年齢人口は減っていきます。これは介護業界だけで解決できない大きな構造要因で、努力しても人材確保が難しくなりやすい前提条件です。
さらに、人材獲得競争は介護業界の中だけで起きているわけではありません。建設や物流、外食、宿泊など他産業も人手不足が進むと、同じ生活圏で求職者を取り合う形になります。その結果、介護が選ばれるためには、仕事内容の魅力だけでなく働き方の納得感がより重要になります。
賃金・処遇と社会的評価
賃金や手当、昇給の見通しは応募数と定着に直結します。介護は責任が重く専門性も必要ですが、その重要性が賃金や処遇に十分反映されていないと感じる人が多いと、離職の引き金になりやすくなります。
もう一つの課題はキャリアの見えにくさです。経験を積むほどできることは増えるのに、役割や評価基準が曖昧だと成長実感が得にくく、他業界へ移る判断が起きやすくなります。処遇改善は金額だけでなく、役割定義や評価の納得感とセットで考える必要があります。
社会的意義が大きい一方で評価が追いつかないギャップは、採用広報にも影響します。仕事内容を美化するのではなく、他職種の経験が介護職の中で活かせることや、介護の専門性、チームケアの価値を具体的に言語化し、待遇や働き方の情報も透明にすることが信頼につながります。

国家資格キャリアコンサルタント
【監修者コメント】
キャリアコンサルタントとして約1万人の就職・転職を支援してきた経験から、介護職を離れる方の多くが「給与が低いから」だけでなく、「頑張りが正当に評価されていないと感じた」ことを理由に挙げます。
賃金の数字そのものより、「なぜこの金額なのか」が見えないことへの不満が離職の引き金になるケースが非常に多いです。
(参照:湘南国際アカデミーの独自調査「介護ニュース最新情報|介護職動向&意識マンスリーレポート 」)
身体的負担と業務量(夜勤・残業)
介護は移乗や入浴介助など身体的負担が大きく、腰痛をはじめとする慢性的な不調につながりやすい仕事です。体の負担は「慣れ」で解決しづらく、技術指導、福祉用具の活用、配置の工夫がないと、長く働くほどダメージが蓄積します。
夜勤や不規則勤務も負担要因です。生活リズムが乱れることで体調管理が難しくなり、家庭との両立ができずに離職するケースも出ます。夜勤回数の偏りや急な欠勤による穴埋めが常態化すると、組織全体の疲弊が進みます。
残業が増えやすい背景には、ケア以外の作業の多さもあります。記録、申し送り、会議、家族対応などが積み上がるため、業務の優先順位と標準手順を整えないと、現場の善意とサービス残業で回る状態になりがちです。
人間関係・ハラスメントと離職率
介護はチームで行う仕事のため、連携がうまくいくと働きやすい一方で、相性や価値観の違いがストレスとして表面化しやすい側面があります。指導方法が属人的だったり、忙しさでコミュニケーションが簡素化すると、小さな不満が離職理由に変わっていきます。
ハラスメントの問題は、被害者の離職だけでなく、周囲の職員の心理的安全性を下げ、職場全体の定着率を落とします。相談しても改善しない職場だと認識されると、採用広報でどれだけ良いことを言っても応募が戻りにくくなります。
離職率が高いほど、残った職員への負担が増え、新人育成の時間も奪われます。この悪循環を断ち切るには、面談や相談窓口を形式で終わらせず、配置や指導体制、ルール運用まで踏み込んで改善することが必要です。
デジタル化の遅れによる非効率
紙記録や転記、二重入力が残っている職場では、ケアそのものより周辺作業に時間が取られやすくなります。結果として残業が増え、疲労が蓄積し、定着を阻む要因になります。
デジタル化が遅れると、情報共有のスピードと精度も落ちます。申し送りの伝達漏れや、記録の遅れによる状況把握不足は、事故リスクやクレームリスクにもつながります。現場が忙しいほど、情報が古いまま動くことが増え、安全面に影響します。
重要なのは、ICT導入が目的化しないことです。何を減らしたいのか、どの作業がボトルネックなのかを先に特定し、ケアの質を落とさずに負担を減らす設計として進めることが、定着改善に直結します。湘南国際アカデミーの卒業生の中でも「パソコンができないから介護の仕事を選んだのに、最近パソコンやスマホで記録を書くようにICT導入が進み、突然残業が増えた。」と相談に来るかたもいらっしゃいます。まずは、現場で働くスタッフのICTに対するネガティブ感を払拭することが先決な場合もあります。

国家資格キャリアコンサルタント
【監修者コメント】
湘南国際アカデミーが発行する「介護業界マンスリーレポート」の中でも、ICT導入に関する現場の声は継続的に取り上げてきたテーマです。
導入の失敗事例を見ると、ツールの選定よりも「スタッフへの説明不足・練習機会のなさ」が原因であることがほとんどです。「できないから怖い」という感情を解消することが、ICT活用の第一歩です。
介護現場で起きる課題と影響
人材不足は、現場の忙しさだけでなく、利用者の生活の質や事業継続にも波及します。具体的にどんな影響が起きるかを確認します。
サービスの質・安全面への影響
人員が足りないと、一人当たりの担当業務が増え、見守りが手薄になりやすくなります。転倒や誤嚥などのリスクはゼロにできませんが、余裕がないほど予兆に気づく機会が減り、事故の確率は上がります。
記録の質も影響を受けます。後回しになった記録は内容が薄くなりやすく、ケアの根拠や経過が追いにくくなります。これは情報共有の質を下げるだけでなく、家族説明や監査対応にも影響します。
さらに、新人教育の時間が確保できないと、ケアのばらつきが生まれます。現場で大切なのは個人の頑張りではなく、標準手順とフォロー体制で安全を担保することですが、人材不足はその仕組みづくりの時間を奪ってしまいます。
事業所運営への影響(採用コスト・閉鎖リスク)
採用が難しくなるほど、求人広告費や紹介料、採用担当者の工数が増えます。採用しても定着しない場合、同じコストを繰り返し支払うことになり、資金が教育や設備に回らなくなる悪循環が起きます。
欠員が続くと、稼働率が下がったり、提供できるサービス量を減らさざるを得なくなったりします。人員配置や研修体制に関わる要件を満たせず、加算が取れなくなると収入面の影響も大きくなります。
最終的には、職員確保ができないことで事業継続そのものが難しくなり、縮小や閉鎖に至るケースもあります。地域の介護基盤が弱ると、利用者が行き場を失うため、事業所単体の問題ではなく地域課題として捉える必要があります。
国が進める介護人材確保・定着の取り組み
国は処遇改善、業務効率化、多様な人材確保、外国人受け入れなど複数の政策を組み合わせて人材不足の緩和を図っています。
国の施策は、賃金の原資確保だけでなく、働き続けられる環境づくりや業務の効率化を同時に進める設計になっています。人材不足が構造問題である以上、単一施策での解決は難しく、複数のレバーを同時に引く必要があるためです。
ただし、制度があっても現場に届かなければ効果は限定的です。加算の算定や補助金の活用、機器導入後の運用など、事業所側の実務が結果を左右します。
政策の方向性を理解すると、事業所として何に投資し、何を優先して整備すべきかの判断がしやすくなります。
処遇改善と介護報酬改定
処遇改善加算は、介護職員の賃金改善に必要な原資を介護報酬の仕組みで確保する代表的な制度です。事業所が要件を満たして算定し、得られた財源を賃金や手当として還元することで、処遇の底上げを狙います。
介護報酬改定でも、人材確保や処遇改善への配慮が重要テーマになりやすく、現場の賃上げが継続的に進むよう調整が行われます。一方で、報酬は公費と保険料で成り立つため、上げ幅には限界があり、賃金以外の働きやすさ改善も同時に必要になります。
事業所側では、制度変更があるごとに、配分ルールの整備や職員への説明が欠かせません。処遇改善が不透明だと不信感につながり、定着の逆効果になり得るため、何にいくら反映されたかを分かりやすく見える化することが実務上のポイントです。
多様な人材の確保(未経験・中高年・子育て世代)
多様な人材確保は、介護の担い手の裾野を広げる考え方です。未経験者向けの入門的研修や職業訓練、復職支援などを通じて、経験がなくても段階的に仕事を覚えられる導線を整えます。
中高年の参入は、対人対応力や生活経験が強みになる一方で、身体負担への配慮が必要です。業務の切り分けや福祉用具の活用、短時間勤務などと組み合わせると、戦力化しやすくなります。
子育て世代には、シフトの柔軟性や突発休への対応が継続就労の鍵になります。制度として用意するだけでなく、現場で運用できる体制に落とし込むことが、定着の実効性を高めます。
外国人介護人材の受け入れ制度(EPA・在留資格など)
外国人介護人材の受け入れには、EPA、技能実習、特定技能、在留資格「介護」など複数の枠組みがあります。それぞれ在留期間、求められる技能や試験、転職の扱いなどが異なるため、事業所は制度の特徴に合わせた受け入れ計画が必要です。
受け入れで重要なのは、人手として数を埋める発想だけにしないことです。日本語の習得支援、介護記録の書き方、文化や生活習慣の違いへの配慮が不足すると、定着が難しくなり、結局は採用コストが増えてしまいます。
教育と生活支援を含めた受け入れ体制を整えると、長期就労につながりやすくなります。現場のキーパーソンを決め、相談ルートを明確にするなど、組織として支える仕組みが成果を左右します。
介護事業所ができる人材不足対策
政策だけでは解決しきれないため、現場レベルでの採用・定着・業務改善の打ち手を組み合わせることが重要です。
介護事業所の対策は、大きく採用、定着、業務改善に分けて考えると整理しやすくなります。特に優先順位を誤りやすいのが、採用だけを強化して現場負担が増え、結果的に離職が増えるケースです。
人手不足下では、応募数を増やすより先に「辞めない職場」を作るほうが効果が大きいこともあります。採用は即効性があり、定着と業務改善は遅効性ですが、後者が整うほど採用単価も下がります。
採用強化(発信・紹介・採用フロー改善)
採用強化の基本は、情報発信の質を上げることです。理念や雰囲気だけでなく、夜勤回数、残業時間、教育体制、資格取得支援、平均勤続年数など、求職者が不安に思う点を数字で示すとミスマッチを減らせます。
チャネルは複線化が有効です。自社サイトやSNS、職場見学、地域連携、紹介会社に加え、職員紹介のリファラル制度は定着しやすい人材につながりやすい傾向があります。見学では、現場の導線や記録方法など実際の働き方が伝わる設計にすると、入職後のギャップを減らせます。
採用フローの改善も重要です。応募から面接までの日数が長いと離脱が増えます。面接日程の柔軟化、連絡の即日対応、内定後のフォロー面談などで歩留まりを改善し、採用コストを下げることができます。
定着支援(教育・キャリアアップ・資格取得支援)
定着支援の中心は、入職初期の不安を減らすことです。OJTを担当者任せにせず、メンターをつけて質問しやすい関係を作ると、早期離職を減らしやすくなります。特に忙しい職場ほど、教える時間が取れないことが離職の引き金になりやすい点に注意が必要です。
研修体系とキャリアパスは、成長実感を作るために欠かせません。できる業務の段階を明確にし、評価と役割が連動するように設計すると、納得感が高まります。昇給や手当だけでなく、リーダー業務の定義や相談窓口の役割など、役割設計の明確化が定着に効きます。
資格取得支援は、実務者研修などの費用補助やシフト配慮が実効性を左右します。資格は本人の将来の武器になるため、支援の姿勢自体が信頼につながり、長期就労の動機になりやすい施策です。

国家資格キャリアコンサルタント
【監修者コメント】
湘南国際アカデミーでは、受講生から「資格を取ったら職場が費用を出してくれる制度があると知らなかった」という声をよくいただきます。
事業所側が処遇改善加算を活用した資格取得支援制度を整えていても、それが職員に伝わっていないケースが多いのです。制度を作るだけでなく、採用時・入職時に明確に説明することが定着率向上の鍵です。
(参照:厚生労働省「介護職員の処遇改善:TOP・制度概要」)
働きやすい職場づくり(シフト・相談窓口・人間関係)
働きやすさは制度より運用で決まります。希望休の出しやすさ、夜勤回数の偏りを減らす調整、短時間勤務や固定シフトの選択肢など、生活と仕事が両立できる設計があると定着しやすくなります。
相談窓口や面談の仕組みは、問題の早期発見に役立ちます。ポイントは、相談を受けた後の対応速度と再発防止まで行うことです。対応が曖昧だと不信感が広がり、離職に直結します。
人間関係の改善は精神論ではなく、仕組みで支えると効果が出やすいです。たとえば申し送りの形式統一、インカム等での連携、リーダーのフィードバック研修、定期的な小さな振り返りの場づくりなど、衝突が起きにくいコミュニケーション設計が有効です。
介護の仕事の魅力と向いている人
人材不足の議論とあわせて、介護の仕事の価値ややりがい、適性を整理すると、採用・定着・キャリア選択のミスマッチを減らせます。
介護の魅力は、利用者さんの生活そのものに直接関わり、変化を目の前で感じられる点にあります。できなかったことができるようになったり、不安が減って表情が明るくなったりする瞬間は、成果が見えにくい仕事が多い中で大きな手応えになります。
専門性を積み上げられる点も価値です。身体介助の技術だけでなく、認知症ケア、コミュニケーション、リスク管理、家族支援、チーム連携など幅広いスキルが求められ、経験がそのまま力になります。資格取得や役割拡大によって、現場の中でキャリアを描けることも特徴です。
向いている人は、優しさだけでなく、観察して考える力がある人です。相手の小さな変化に気づき、なぜ起きたのかをチームで共有して改善する姿勢が、ケアの質を上げます。また、完璧主義よりも、報告連絡相談をきちんと行い、チームで安全を作れる人が長く活躍しやすい傾向があります。
介護人材不足に関するよくある質問
介護人材不足についてよく寄せられる疑問を、見通しと情報源の観点から簡潔に整理します。
- Q1.介護人材不足はいつまで続く?
- A
人口動態を見る限り、介護人材不足が短期で解消する可能性は高くありません。高齢者、とくに介護ニーズが高まりやすい後期高齢者の増加が続く一方で、生産年齢人口は減少していくためです。ただし「ずっと悪化し続ける」と決まっているわけでもありません。処遇改善による応募増、離職率の低下、ICTや介護ロボットによる生産性向上、多様な人材の参入、外国人材の定着などが組み合わさることで、不足の度合いを緩和していくことは可能です。結論としては、全国平均では不足が続きやすい一方、地域差が大きくなります。都市部の競争激化や地方の担い手不足など、課題の形が違うため、地域ごとの対策が重要になります。
- Q2.データはどこで確認できる?
- A
介護人材不足の一次情報は、厚生労働省の公表資料で確認できます。介護人材の需給推計、介護保険事業状況報告、介護報酬や処遇改善に関する資料は、状況把握と施策理解の基本になります。求人動向はハローワークの求人統計や有効求人倍率で確認できます。介護分野の倍率を地域別に見ることで、採用市場の厳しさを把握しやすくなります。統計を横断的に調べたい場合はe-Statが便利です。加えて、都道府県が策定する介護人材確保に関する計画や資料も、地域課題と支援策を知る手がかりになります。
- Q3.介護職員の離職率はどのくらいですか?
- A
令和5年度の調査では、介護職員全体の離職率は13.6%、訪問介護員では11.8%とされています(公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」)。全産業平均と比較すると若干低い水準ですが、離職の背景に「採用が追いつかない」という需給ギャップが重なることで、現場の実態として不足感が強まっています。離職率を下げるためには、賃金改善だけでなく、職場の人間関係・シフトの柔軟性・キャリアパスの明確化など、複合的な定着支援が重要です。
- Q4.介護の仕事は未経験でも始められますか?
- A
はい、未経験から始める方は多くいます。介護の入り口となる資格「介護職員初任者研修」は、介護の知識がゼロの状態から取得でき、最短1〜2ヶ月程度で修了できます。湘南国際アカデミーでも多くの未経験者が受講し、介護職へのキャリアをスタートさせています。国も未経験者向けの入門的研修や職業訓練を推進しており、参入のハードルは以前より下がっています。まずは資格取得から始め、実務を経ながらステップアップしていく道が整っています。
- Q5.処遇改善加算とは何ですか?事業所が取得するとどんなメリットがありますか?
- A
処遇改善加算は、介護職員の賃金改善に必要な財源を介護報酬の仕組みで確保する制度です。事業所が要件(キャリアパスの整備、職場環境改善など)を満たして算定することで、介護報酬に上乗せした財源を職員の賃金・手当として還元できます。算定事業所にとっては「賃上げの原資が確保しやすくなる」「職場環境改善の仕組みづくりが促進される」というメリットがあります。令和6年度には「介護職員等処遇改善加算」として一本化・拡充されています。(参照:厚生労働省「介護職員処遇改善加算等について」)
まとめ
介護人材不足の現状をデータで確認し、原因→影響→国の施策→事業所の実務対策の順に整理すると、打ち手を複合的に設計できます。
介護人材不足は、有効求人倍率の高さや将来推計が示すとおり、採用難と定着難が重なって起きています。特に都市部では人材獲得競争が激しく、賃金だけでなく働き方や教育体制が選ばれる要因になります。
原因は少子高齢化だけでなく、処遇、身体負担、夜勤や残業、人間関係、デジタル化の遅れなどが複合しています。影響はサービスの質と安全、採用コスト、稼働率、最終的な事業継続にまで及ぶため、現場課題と経営課題を一体で捉える必要があります。
国の処遇改善やICT支援、多様な人材確保、外国人材受け入れの流れを踏まえつつ、事業所側は採用の見える化、入職初期の教育、働きやすいシフトと相談体制、ICTを含む業務改善を組み合わせることが現実的です。単発施策ではなく、辞めにくい職場設計を軸に継続的に改善することが、人材不足時代の最優先戦略になります。
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湘南国際アカデミーでは、介護関連資格の教育・職業紹介を通じ、「介護をする側のQOL向上」をテーマにイベントや研修を企画し、受講生や就労先企業から厚い信頼を獲得。これまで延べ約1万人を支援する中でグリーフケアの重要性を痛感し、仕事と人を結ぶだけでなくケアの視点を含む総合的なサポートを目指している。現在は上智大学グリーフケア研究所でさらなる学びを得ながら、各企業向け「事業所内レベルアップ研修」の企画・運営にも携わり「レクリエーション介護士2級講座」の講師も務める。介護とキャリアの両面から多面的に活動を展開している。
また、湘南国際アカデミーが発行する「介護業界マンスリーレポート」の企画・監修にも関わり、介護事業所の人材課題や育成ニーズについて、継続的に現場情報の収集・分析を行っている。






