
中澤みほ(国家資格キャリアコンサルタント)
この記事の監修者
大学でキャリアカウンセリングを学び、最年少でキャリアコンサルタント資格を取得。公共職業訓練校や大学の就職支援を担当し、企業向け研修のプロデュースも手掛ける。湘南国際アカデミーでは、介護資格教育や就職支援を通じ「介護する側のQOL向上」を目指し、受講生や企業から信頼を得ている。
介護福祉士の資格は、介護業界で働く上で大きなアドバンテージになります。人材不足の課題が深刻化する介護現場では、専門的な知識や技術を身につけた人材の需要が高いため、資格の有無は採用の重要な判断材料となることが多いです。
一方で、まだ正式に介護福祉士の資格を取得していない場合でも、「取得見込み」があることをどう履歴書に記載し、どのようにアピールするかによって、選考結果は大きく変わる可能性があります。実際に多くの企業では、資格取得前の意欲や学習状況を評価するケースが増えています。
そこで本記事では、介護福祉士取得見込みの記載方法を中心に、履歴書作成から面接対策までのポイントを解説します。細かな記載ルールや注意点、面接での具体的な受け答え例などを交えてご紹介しますので、是非参考にしてみてください。
介護福祉士の「取得見込み」とは
まずは「取得見込み」がどのような状態を示し、資格保有者とは何が違うのかを明らかにしていきましょう。
「取得見込み」とは、介護福祉士試験の合格発表待ちや研修修了を間近に控えている状態を指します。正式取得前でも、進捗をきちんと示すと採用担当者から評価されやすくなります。
資格保有者と同じ業務範囲にはならない点に注意が必要ですが、今後の成長が期待できる人材として見てもらえるケースが多いです。
介護福祉士試験合格見込みの意味
介護福祉士国家試験を受験済みで結果を待つ段階や、試験後の自己採点などで合格の可能性が高いと判断できる状況を指します。学習の進捗を履歴書に書くと、熱心さや自己管理能力を伝えやすくなるでしょう。
ただし、誤解を招かないよう、受験日や合格発表日も併せて示すと親切です。
資格取得見込みと実際の資格保有者の違い
「取得見込み」は正式な資格保有ではないため、業務範囲や責任が限定されます。ただし、実務者研修や試験への取り組み自体が評価され、採用後すぐにスキルアップが期待できる点はアピール材料となります。
修了見込みと取得見込みの違い
「修了見込み」とは、特定の研修課程や学校教育の課程を修了する予定がある状態を指し、「取得見込み」は介護福祉士国家試験の合格を前提とした資格取得が近い状態を意味します。介護福祉士の場合、実務者研修の修了見込みか、介護福祉士国家試験の合格見込みかで内容が変わることがあるので注意が必要です。
実務者研修や介護職員初任者研修を修了することで受験資格を得られる場合もあるため、どの段階を指して「見込み」なのかを明確に整理しておくと良いでしょう。
試験合格を待つ状態に加えて、実務者研修の修了見込みもあるなど重複するケースもあり得ますが、履歴書に記載する際は状況に合わせて簡潔かつ正確に説明するのが大切です。
履歴書に「介護福祉士取得見込み」を記載する際のポイント
ここからは、資格欄や志望動機欄などへの具体的な反映方法を中心に、履歴書の効果的な書き方を確認していきましょう。
履歴書は採用担当者の最初の判断材料となるため、資格やスキルを正確に書き込むことが大切です。介護福祉士の取得見込みがある場合、資格欄はもちろん、志望動機や自己PR欄においてもアピールのチャンスになります。
ただし、まだ資格を正式に保有していない以上、拡大解釈されないように表記の仕方には注意が必要です。「取得見込み」と一旦明示し、その正確な状況(受験日や合格発表日など)を添えることで誤解を防ぎます。
面接時にも、記載した内容とのブレがないように回答準備を進めておくと一貫性が出て好印象です。履歴書提出から面接までの流れを見据え、記載方法を工夫していきましょう。
資格欄での正しい記載方法
資格欄には「介護福祉士(取得見込み)」のように、正式名称と「取得見込み」をセットで書きます。予定している受験日などを添えると、企業側がスケジュールを把握しやすくなります。
「介護福祉士取得見込み」を記入する方法
「介護福祉士(〇〇年〇月取得見込み)」とし、試験受験予定月などを加えると誤解を防ぎやすいです。資格取得済みと誤認されないよう注意してください。
正式名称と「取得見込み」の使い分けポイント
「介護福祉士」のあとに「取得見込み」と記載し、略称を使わないことで誠実さを示します。面接では受験計画や学習内容を説明できるよう準備しましょう。
受験日や合格発表日の記載の仕方
「2025年1月試験受験予定」「合格発表2025年3月見込み」などと書くと採用担当者がイメージしやすくなります。試験スケジュールは厚生労働省の発表と整合性を持たせて正確な情報を記載してください。
志望動機欄での効果的な記述方法
拠点となる介護施設や通所介護事業所に合わせた志望理由を記載しつつ、資格取得見込みがあることでどのような貢献ができるかを具体的に伝えるのがコツです。単に「受験予定です」と書くだけでは説得力に欠けるため、取得した際の役割や目標を盛り込むことで採用担当者に将来像をアピールできます。
例えば「介護福祉士取得後、リーダー候補として業務改善やスタッフ育成に取り組みたい」というように、入社後の展望を含めると具体性が増します。
また、なぜその事業所や法人を選んだのかを明確に示すことで、企業理念とのマッチ度を高める効果があります。
事業所を希望する理由とキャリアプラン
応募先の特徴や理念に共感した理由を述べ、介護福祉士としてステップアップしたい意欲を明確にします。湘南国際アカデミーなどの研修で学んだ実践的スキルを活かしたい、といった形で具体性を出すのも有効です。
事業所への貢献スキルをアピールする書き方
介護福祉士実務者研修や初任者研修で得た知識を活かし、利用者ケアの質向上や業務改善に貢献できることを示しましょう。勉強中の内容を現場で活かすイメージが伝わると好印象です。
志望動機を書く際のNG例
「通勤が楽」「給料が良い」など、自分本位な理由だけでは意欲が伝わりません。事業所が求める人材像を意識し、前向きな姿勢をアピールしましょう。
自己PR欄と趣味・特技の記載方法
自己PR欄では、介護現場で役立つ強みを具体的に書くと効果的です。コミュニケーション力やチームワークを示すエピソードを短くまとめましょう。
趣味・特技は人柄の理解につながる範囲で述べると良いですが、誇張や虚偽の情報は避けてください。
好印象を与える具体的な記載例
「週1回のミーティングを主導し、スタッフ間の情報共有を促進」など、数字や頻度を入れると成果が伝わりやすいです。介護の現場で応用できそうな行動例があれば積極的に紹介しましょう。
特に介護現場では、利用者との円滑なコミュニケーションや安全管理が求められるため、これまでに工夫した経験を記載すればプラス評価につながりやすいです。
記載内容の注意点
自己PRは本人の強みを明確にするための項目である一方、独りよがりの内容にならないように注意が必要です。読んだ相手が理解できるよう、長文になりすぎないよう要点を絞り、採用担当者に読みやすい形でまとめます。根拠のないアピールや曖昧な表現は避け、具体性を出すことが大切です。
見込み資格を履歴書に記載するメリットとデメリット
「取得見込み」といえども、履歴書に記載することで得られる利点と注意すべき点があります。
資格取得見込みを記載する最大のメリットは、勉強中であることや試験を受験する意欲をアピールできる点です。特に介護施設側から見ると、積極的にスキルアップを図る意思表示として好印象を持たれるでしょう。
同時に、見込みを記載するには正確な試験日や研修修了の見通しを把握しておく必要があり、日程が曖昧だと逆に「本当に取得できるのか?」という不安を与える可能性もあります。
また、合格や修了が確定していないため、企業からの期待値が高まった場合、実際にはスキルが足りなかったりタイミングが合わなかったりするリスクもある点を忘れないようにしましょう。
メリット:信頼性と誠実さを伝える
試験や学習に積極的に取り組んでいる姿勢は、前向きに仕事へ取り組む性格を示す証拠となります。実際に資格を取得していなくても、努力している過程を評価してくれる企業は多いです。
履歴書上で曖昧にせず、取得見込みの根拠や時期を記載することで、誠実さと努力する姿勢を同時にアピールできます。
これにより、採用側は「この人は入社後も積極的に成長してくれそうだ」とプラスに捉えやすくなります。
デメリット:企業からの期待値が高まるリスク
取得見込みを記載することで、企業は「もうすぐ資格を活かして業務に貢献してくれる」と期待する可能性があります。しかし、もし試験に不合格となったり、研修を修了できなかったりすると、採用後にギャップが生じる場合があります。
こうしたリスクを避けるためには、試験や研修の日程をしっかりと確認し、実際の学習・勉強計画をきちんと立てておくことが必要です。
もし何らかの事情で見込みが延期になった場合は、早めに企業側へ報告するなど、誠実な対応を心掛けると信頼関係を保ちやすくなります。
履歴書作成時の具体例と注意点
ここでは、実際の記載例や必要書類の準備など、より実践的なポイントを取り上げます。
履歴書は基本的に、黒のペンで訂正がないよう書くことが推奨されています。日付や年号を統一し、誤字脱字を徹底的にチェックすることで、書類全体の信頼度を高めることができます。
書式は市販の履歴書でもフォーマットをダウンロードしたものでも構いませんが、空欄が多いと志望意欲が低いと見なされる恐れがあるため、適度に情報を詰めていきましょう。
資格取得見込みについては、表現を間違えると誤解を招きやすいものです。特に「介護福祉士(取得済)」と記載してしまうと虚偽にあたる可能性もあるため、状況に合った正確な書き方を意識してください。
履歴書作成の具体例
資格欄に「介護福祉士(2024年〇月取得見込み)」と書き、自己PRで学んだ技術を即戦力にできる旨をアピールすると効果的です。
志望動機欄においては「資格取得見込みを含めて、将来的に御社の運営に貢献したい」という意欲を示すと、採用担当者に明確な意思をアピールできます。
全体としては、事実ベースの情報と、今後の目標を組み合わせて書くことで、読み手に納得感を与えられる履歴書に仕上がります。
「介護福祉士資格取得見込み」を使った記載例
資格欄:介護福祉士(2024年3月取得見込み)
学歴・職歴欄:介護士としての実務経験があれば、その内容を簡潔にまとめ、研修終了や試験受験の予定を補足します。
志望動機や自己PR:具体的な介助の実践例や学んだ技術を示し、資格取得に対する熱意と企業への貢献意欲を同時に伝えましょう。
実務経験やスキルの効果的な補足方法
食事介助や入浴介助など、具体的な実務経験を示すと企業があなたのスキルをイメージしやすくなります。資格取得後に役立つ展望も簡潔に書き添えましょう。
履歴書作成に必要な証明書類
実務者研修の修了見込み証明書など、追加資料が必要な場合があります。事前に応募先の求人情報や担当者に確認しておくとスムーズです。
項目別の記載ポイント
基本情報、学歴・職歴、免許・資格、志望動機、自己PRなど、各項目をバランス良く埋めることが大切です。空欄が多いとやる気が伝わりにくくなります。
特に資格欄は、介護福祉士のような国家資格を正しく書くことで、採用担当者の信頼度を上げることができます。
また、誤字脱字や印字ミスなどがあると、他の項目の内容が優秀でも書類選考で印象を損ねる可能性があるため、最後に必ずチェックを行いましょう。
基本情報の書き方
氏名、住所、連絡先は正確に記入します。証明写真は清潔感があるものを選び、第一印象を大切にしましょう。
学歴・職歴の記載方法
学校名や法人名は省略せず、和暦・西暦をそろえて書きます。簡潔にまとめつつ、勤務期間や主な職務内容を記入しておくと評価しやすくなります。
免許・資格の記載方法
「介護福祉士(取得見込み)」のように、保有資格と見込み資格を区別して書きます。実務者研修や初任者研修も、修了済み・修了見込みを明確に記載すると好印象です。
証明写真の選び方
背景は無地で、スーツやオフィスカジュアルなど清潔感のある服装を選びましょう。撮影時には姿勢や表情にも気を配ります。
履歴書作成時の一般的な注意点
資格の名称や日付を正確に記入し、誤字脱字がないか最終チェックを行います。印刷や手書きの場合でも、必ず目視で確認してください。
資格名や日付の正確な記載
公的機関が発表しているスケジュールや正式名称と矛盾しないようにしましょう。略称ではなく正式名称を使うと信頼度が高まります。
試験日がまだ決まっていない場合は「未定」とするなど、安易に間違った日程を記入しないように注意すると良いでしょう。
誤字脱字を防ぐ方法
下書きを丁寧に行い、第三者にも確認してもらうとミスに気づきやすいです。ソフトの自動変換も過信せず、最後は自分の目でチェックしましょう.
採用担当者は細かな部分も観察しているため、誤字脱字があると書類全体の信頼感を大きく損ねる可能性があることを認識しましょう。
見やすく書くための工夫
段落や改行、箇条書きを適度に入れて要点を整理します。余白を残して文字を詰め込みすぎないようにすることで、読みやすさが向上します。
修正ペンの使用はNG
ミスがあれば用紙を新しく用意し、最初から書き直すのが基本です。履歴書は公式文書に近い扱いのため、丁寧に作成しましょう。
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履歴書提出後と面接対策
履歴書を出したあとの面接準備も重要です。記載内容と面接時の受け答えが一致するよう、履歴書のコピーを見返しながら対策を進めましょう。
特に「介護福祉士取得見込み」の記載がある場合、どのように学んでいるか、合格に向けてどんな取り組みをしているかを具体的に話せるように準備しておくと万全です。
面接では企業の特色や施設の利用者層、介護の方針などを理解しているかどうかを問われることも多いため、事前リサーチをしっかり行うことをおすすめします。
履歴書提出後の準備
応募先のホームページや事業内容を再確認し、施設の特色や利用者層を理解しておくと面接がスムーズです。回答の軸を固め、志望動機や自己PRを具体的に再点検しましょう。
面接当日までにすべきこと
履歴書のコピーを用い、志望動機や資格取得見込みの説明に矛盾がないかを確認します。介護福祉士の学習状況や試験日程についてもすぐ答えられるようにしておきましょう。
最後に、当日の服装や持ち物、到着時間などにも気を配りましょう。介護業界では身なりや清潔感も重要視されるため、好印象を与えられるよう配慮してください。
面接でよく聞かれる質問と回答例
「なぜ介護業界を選んだのか」「現場で大変だと感じることは何か」など、介護職のモチベーションや働き方に関する質問が多くなります。自分の経験や目標と合わせて答えましょう。
「介護福祉士を取得したら、どのように活かしたいか」も頻出の質問です。具体的な経験や学んだ内容を示し、将来の働き方をイメージさせると好印象です。
スキル面だけでなく、コミュニケーション能力やリーダーシップをどう発揮していくかについても問われることがあるため、実例を交えながら回答を準備しておくとスムーズです。
面接での効果的な志望動機と自己PRの伝え方
面接官が最も知りたいのは、「この人が入社後、どのような形で施設に貢献してくれるのか」という点です。履歴書に書いた内容を踏まえながら、説得力のある説明を心掛けましょう。
特に取得見込み資格をどう活かして利用者のケアに取り組み、チームワークを高めるかを具体的に述べると、採用担当者は将来のイメージを描きやすくなります。
自己PRでは、資格取得への努力や実務経験を通して得た学びを、どのように活かしていくかを簡潔にまとめ、施設の理念やサービスと結び付けることで好印象を残せます。
まとめ・介護福祉士取得見込みを履歴書に記載する際のポイント
介護福祉士の取得見込みをアピールすることで、現場での貢献や成長意欲を伝えやすくなります。
ただし、誤解を招かないよう「取得見込み」と明確に書き、受験日や発表時期を添えるのがコツです。面接でも同じ内容を説明できるよう、学習計画や進捗を整理しましょう。
資格取得に向けた意欲を示すほど、企業は入社後の成長に期待を寄せてくれます。湘南国際アカデミーで実務者研修や介護福祉士試験対策を進める方も、自分の学んだ内容を具体的に伝えれば、さらなる評価につながるでしょう。
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湘南国際アカデミーでは、介護関連資格の教育・職業紹介にてキャリア相談・就職支援を行い、ケアする側もケアするという立場で「介護をする側のQOL向上」をコンセプトに、イベントや総合的なサポートに取り組み受講生や就労先である企業からの高い信頼を築いている。
その他、キャリアコンサルタントとしての経験や視点を活かして、様々な企業において、当校の「事業所内レベルアップ研修」を各企業に合わせた研修プログラムなどをプロデュースしている。
