※この記事は外国人の方にも読みやすいよう、難しい漢字や専門用語にふりがなをつけています。そのため、文字が少し多く見える場合がありますが、ご了承ください。
「自分の在留資格で介護福祉士の試験を受けられるの?」「外国人の合格率はどのくらい?」——この記事では、そんな疑問に答えます。
介護福祉士は日本の国家資格で、取得すると在留資格「介護」への変更が可能になり、更新制限なく日本で働けるようになります。特定技能・技能実習・EPA・留学など、在留資格によって受験ルートが異なるため、まず自分がどのルートに当てはまるかを確認することが最初のステップです。
本記事では、在留資格別の受験ルート早見表、外国人の合格率データ、試験の配慮制度(時間延長・ふりがな)、合格後の在留資格変更の手順、そして効果的な試験対策まで、外国人の方が知りたいことを一つの記事でまとめています。
当記事は以下のデータを参照して執筆しております。
(参照:厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」)
(参照:厚生労働省「介護福祉士国家試験のパート合格の導入について」)
【2026年〜新制度】介護福祉士国家試験に「パート合格制度」が導入されました
第38回試験(2026年1月実施)から、試験が3つのパートに分割されました。合格したパートは翌年の受験が免除されます(有効期限:合格した翌々年まで)。1回で全部合格できなくても、次の年に苦手なパートだけ再受験できます。外国人の方にも適用される制度です。
【2026年〜新制度】特定技能1号「5年の壁」に特例措置が設けられました
特定技能1号の在留5年目に受験し、合格に近い得点だった方は、一定の条件を満たすと最長1年間(6年目まで)日本に滞在して再受験できる特例措置が設けられました。詳細は関連記事でご確認ください。
(参照:厚生労働省「特定技能1号の在留期間延長に関する措置について」)
在留期間延長の特例措置の詳細はこちら
まず確認|あなたの在留資格と受験ルートの対応表
介護福祉士国家試験は、在留資格によって受験のルートが異なります。まず下の表で、自分の在留資格がどのルートに当てはまるかを確認してください。
参照:厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」
| あなたの在留資格 | 受験ルート | 必要な実務経験 | 必要な研修・課程 |
|---|---|---|---|
| 特定技能1号(介護) | 実務経験ルート | 3年以上 | 実務者研修の修了 |
| 技能実習(介護) | 実務経験ルート | 3年以上 | 実務者研修の修了 |
| EPA介護福祉士候補者 | EPAルート | 4年間の就労・研修 | 入国前・訪日後研修 |
| 留学(介護福祉士養成施設) | 養成施設ルート | 実務経験不要 | 2年以上の養成課程修了 |
| 在留資格「介護」 | 介護福祉士取得済み | ― | ― |
特定技能・技能実習の方は実務経験ルート、EPAの方はEPAルート、留学生の方は養成施設ルートが対象です。それぞれの詳細を次のセクションで解説します。
3つの受験ルートの詳細
①実務経験ルート(特定技能・技能実習の方)
特定技能1号(介護)または技能実習(介護)の方が利用するルートです。介護施設で働きながら受験資格を得ます。
受験資格の要件は2つです。①介護施設での実務経験が3年以上(従業期間1,095日以上・従事日数540日以上)、②実務者研修の修了。この両方を満たして初めて受験できます。
注意が必要なのは在留期間との関係です。特定技能1号・技能実習の在留期間は原則最長5年のため、受験できる機会は実質2回程度しかありません。実務者研修の受講は、実務経験3年になってから始めると間に合わないことがあるため、2年目から実務者研修の受講時期を計画することが重要です。
| 時期 | 取り組み内容 |
|---|---|
| 入職〜1年目 | 日本語学習(N3〜N2目標)・初任者研修受講・現場に慣れる |
| 2年目〜 | 実務者研修の受講時期を決める(2年以上で給付金対象になる場合あり) |
| 3年目前半 | 実務経験3年の要件を達成・実務者研修修了・秋に受験申し込み |
| 3年目1月 | 介護福祉士国家試験受験 |
| 3月 | 合格発表→在留資格「介護」への変更申請準備 |
実務者研修の費用が心配な方へ:2年以上勤務している方は専門実践教育訓練給付制度を利用できる可能性があり、受講費用の最大80%が支給されます。職場や受講機関に確認してみてください。
実務者研修の詳細・受講方法はこちら
②EPAルート(EPA介護福祉士候補者の方)
EPA(経済連携協定)ルートは、インドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国の候補者が対象です。来日前後の研修を経て介護施設で就労・研修しながら国家試験合格を目指します。
在留期間は原則4年間で、受験チャンスは1回が基本です。そのため配属直後から計画的に学習を進めることが不可欠です。頻出分野(認知症、医療的ケアの基礎、介護過程、制度)を早い段階から繰り返すことが合格への近道です。
EPA候補者向けの配慮として、申請により試験時間が1.5倍に延長され、漢字にふりがなが付いた問題用紙で受験できます。申請は受験申し込み時に行う必要があります。
③養成施設ルート(留学の方)
在留資格「留学」で介護福祉士養成施設(専門学校など)に入学し、2年以上の課程を修了してから国家試験を受験するルートです。授業の中で試験範囲を体系的に学べるため、知識に抜けが起きにくいのが強みです。
一般的には日本語学校で1〜2年間日本語を学んでから養成施設に入学します。入学には日本語能力試験(JLPT)N2程度の力が必要です。授業は専門用語が多く、実習記録もあるため、会話だけでなく読み書きの力が求められます。
卒業後は国家試験合格を経て、就職先の確保と在留資格の手続きが同時進行になります。学校の進路担当と早めに連絡を取り、試験勉強と手続きが重ならないようスケジュールを分けて管理することが大切です。
介護福祉士になるまでの全ルートを詳しく知りたい方はこちら
外国人の合格率と難易度
介護福祉士国家試験の全体の合格率は約78%と高い水準ですが、外国人受験者の合格率はこれより大きく低い傾向があります。その背景と対策を理解することが合格への近道です。
参照:厚生労働省「第37回介護福祉士国家試験合格発表について」
| 受験区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 全体(日本人含む) | 75,387名 | 58,992名 | 78.3% |
| 特定技能1号 | 4,932名 | 1,643名 | 33.3% |
| 技能実習 | 155名 | 50名 | 32.3% |
| EPA介護福祉士候補者(ベトナム) | — | — | 84.3% |
| EPA介護福祉士候補者(インドネシア) | — | — | 36.5% |
| EPA介護福祉士候補者(フィリピン) | — | — | 22.8% |
特定技能・技能実習の合格率が低い主な理由は、日本語の読解力の差です。試験は専門用語を含む文章を読んで解答する形式のため、日常会話ができても問題を正確に読み取れないと失点します。また、在留期間の制限からプレッシャーが大きくなりやすいこともあります。
ベトナムのEPA候補者の合格率が高い理由は、入国要件として日本語能力N3以上が求められ、インドネシア・フィリピン(N4〜N5程度)より日本語力が高い状態で来日するためです。下の表が示すように、日本語レベルと合格率には強い相関があります。
参照:厚生労働省「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」
| JLPTのレベル | 合格率 | ポイント |
|---|---|---|
| N1 | 86.7% | 合格率は非常に高い |
| N2 | 53.4% | N3から大きく上がる |
| N3 | 25.2% | 合格率が低くなりやすい |
| N4 | 25.0% | 日本語の壁が大きい |
日本語力をN2レベルに近づけることが、合格率を大きく上げるカギです。専門知識だけでなく、日本語の読解力を同時に伸ばす学習が合格への最短ルートです。

介護福祉士
介護技能実習評価試験評価者
介護技能実習評価試験評価者として外国人介護士の国家試験対策支援に携わっています。合格率のデータを見ると「難しい試験」と感じるかもしれませんが、日本語力をN2レベルに近づけると合格率が大きく上がることがわかります。湘南国際アカデミーが支援した外国人介護士の2025年度試験合格率は71.2%を達成しました。現場で「できている」ことと、試験で「選べる」ことは別のスキルです。試験の文章に慣れる練習を早めに始めることが合格への近道です。(参照:厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」)
外国人向けの試験配慮制度(時間延長・ふりがな)
介護福祉士国家試験では、外国籍の受験者向けに2つの配慮が用意されています。受験申し込み時に申請が必要なので、忘れずに手続きしてください。
- 試験時間の延長:通常3時間40分(午前1時間40分+午後2時間)が、1.5倍の約5時間30分に延長されます
- ふりがな付き問題用紙:問題文の漢字にふりがなが付いた問題用紙で受験できます
この配慮は「学力を補うもの」ではなく、日本語の読解にかかる負担を減らして本来の介護知識を正確に測るための制度です。申請は受験申し込み時のみ可能で、後から変更するのが難しい場合があります。
パート合格制度(第38回〜)のポイント
2026年1月実施の第38回試験から3パートに分割されました。1日ですべてのパートを受験します(初受験は全員が全パートを受験)。再受験時は不合格パートのみ受験(合格パートは免除)。有効期限は合格した翌々年まで。1回で全部合格できなくても、次の年に苦手なパートだけに集中できます。(参照:厚生労働省「介護福祉士国家試験のパート合格の導入について」)
パート合格制度の詳細はこちら
合格後の道筋|在留資格「介護」に変更する条件
介護福祉士に合格すると、在留資格を「介護」に変更できる可能性があります。在留資格「介護」の最大のメリットは更新制限がないこと(ずっと日本で働ける)と家族の帯同が可能なことです。
参照:厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」
| 比較項目 | 在留資格「介護」 | 特定技能1号 | 技能実習 | EPA |
|---|---|---|---|---|
| 必要な資格 | 介護福祉士(必須) | なし | なし | なし |
| 在留期間 | 更新制限なし | 最長5年 | 最長5年 | 原則4年 |
| 家族の帯同 | 可能 | 不可 | 不可 | 不可 |
| 訪問系サービス | 制限なし | 条件付きで可 | 条件付きで可 | 不可(一部例外) |
| 転職の自由 | あり | あり(一定条件) | 原則なし | なし |
ただし、合格しただけで自動的に在留資格は変わりません。変更には以下が必要です。
- 介護福祉士として雇用される契約があること
- 業務内容が在留資格「介護」の範囲に合っていること
- 出入国在留管理局への変更申請書類の準備・提出
合格発表から在留期限まで期間が短いケースも多いため、受験前から職場の担当者と手続きの段取りを確認しておくことを強くおすすめします。湘南国際アカデミーは登録支援機関として、在留資格の変更手続きのサポートも行っています。
外国人が合格するための勉強法と教材
働きながら合格を目指すには、限られた時間で効果的に学習することが重要です。
学習の基本:過去問を軸にする
介護福祉士試験の出題傾向は年度によって大きく変わりません。まず過去問(5年分)を解いて、正答率が低い分野を特定し、その分野を重点的に学習する方法が最も効率的です。
間違えた問題は「なぜ間違えたのか」を3つに分類してみてください。①知識が足りない、②日本語の意味が分からなかった、③解き方が分からなかった——この分類ができると、次の学習で何を優先すればよいかが明確になります。
日本語の読み方のコツ
試験問題を読むとき、長い問題文を最初から全部読もうとすると時間が足りなくなります。まず問題の最後の一行(「何を選べばよいか」という問い)を読んでから、選択肢を見る練習をするとスピードが上がります。
また、選択肢には「正しいが最優先ではないもの」が含まれます。「〜すべき」「〜が最も大切」という表現に注意して、「なぜその選択肢が正解か」の理由を言える練習をすると得点力が上がります。
湘南国際アカデミーの学習支援
湘南国際アカデミーでは、外国人介護士の方が就労しながら学習を続けられる環境を整えています。
- ふりがな付きテキスト・通信添削課題:初任者研修・実務者研修の教材はすべてふりがな付き。漢字が苦手でも安心して学べます
- eラーニング「マナリエ」:スマートフォンから隙間時間に受講可能。自分のペースで予習・復習ができます
- 日本語・介護オンライン授業:平日20〜22時開催・受け放題。試験に出る日本語の読み方から練習できます
- 神奈川県委託の国家試験対策講座:EPA候補者向けに神奈川県の委託を受けて対策講座を実施。2025年度試験では支援した外国人介護士の合格率71.2%を達成しました
日本語・介護オンライン授業の詳細はこちら

国家資格キャリアコンサルタント
レクリエーション介護士2級
キャリアコンサルタントとして外国人スタッフの学習サポートに関わっています。試験の勉強で「毎日少しずつ続けること」が一番大切です。忙しい日は過去問を1問だけ解くだけでもOK。「0か100か」ではなく「毎日1問」の習慣が3か月後に大きな差になります。湘南国際アカデミーの日本語・介護オンライン授業は平日20〜22時なので、仕事が終わった後でも参加できます。一人で勉強するより、先生や仲間と一緒に学ぶと継続しやすくなります。
よくある質問
- Q1.特定技能1号(介護)の私は介護福祉士国家試験を受験できますか?
- A
はい、受験できます。特定技能1号(介護)の方は実務経験ルートで受験が可能です。介護施設で3年以上の実務経験(従業期間1,095日以上・従事日数540日以上)と実務者研修の修了が受験資格の要件です。特定技能1号の在留期間は最長5年のため、受験できる機会は実質2回程度です。早めに実務者研修の受講時期を計画することが重要です。
- Q2.試験時間の延長やふりがなの申請はどうすればよいですか?
- A
外国籍の方は、受験申込時に申請すると試験時間が1.5倍(約5時間30分)に延長され、ふりがな付き問題用紙で受験できます。申請は受験申し込みと同時に行う必要があり、申込後の変更は難しい場合があります。試験の詳細は公益財団法人社会福祉振興・試験センターのホームページで確認してください。申し込みを忘れないようにカレンダーに入れておくことをおすすめします。
- Q3.合格したら在留資格「介護」に自動的に変わりますか?
- A
自動的には変わりません。合格後に、介護福祉士として雇用される契約があること、業務内容が在留資格の要件を満たしていることを確認した上で、出入国在留管理局へ変更申請が必要です。合格発表から在留期限まで期間が短いケースもあります。受験前から職場の担当者と手続きの段取りを確認しておくことが大切です。湘南国際アカデミーは登録支援機関として在留資格の手続きサポートも行っています。(参照:厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」)
- Q4.2026年から始まったパート合格制度とは何ですか?
- A
第38回介護福祉士国家試験(2026年1月実施)から、試験が3つのパートに分割され、合格したパートは翌年の受験が免除される「パート合格制度」が始まりました。1回で全部合格できなくても、次の年に苦手なパートだけ受験できます(有効期限は合格した翌々年まで)。在留期間の制約がある外国人にとっても、実質的に受験機会が広がる重要な制度改正です。(参照:厚生労働省「介護福祉士国家試験のパート合格の導入について」)
- Q5.湘南国際アカデミーで外国人の国家試験対策サポートを受けられますか?
- A
はい、対応しています。湘南国際アカデミーは神奈川県委託事業としてEPA候補者向けの国家試験対策講座を実施し、2025年度試験では支援した外国人介護士の合格率71.2%を達成しました。初任者研修・実務者研修のふりがな付き教材(マナリエ)、平日夜間の日本語・介護オンライン授業(受け放題)など、就労しながら学べる環境を整えています。神奈川県内11校舎のほか、今後は首都圏のサテライト校(東京・千葉・埼玉・山梨・静岡)でも順次開校予定です。詳しくはお問い合わせください。
まとめ
外国人が介護福祉士国家試験を受験するためのポイントを振り返ります。
まず自分の在留資格がどの受験ルートに当てはまるかを確認することが最初のステップです。特定技能・技能実習の方は実務経験ルート(3年の実務経験+実務者研修修了)、EPAの方はEPAルート、留学生の方は養成施設ルートが対象です。在留期間との関係で受験できる機会が限られるため、早めに計画を立てることが大切です。
次に、日本語力が合否を大きく左右することを忘れないでください。JLPTがN2レベルに近づくほど合格率が上がります。専門知識と日本語力を同時に育てる学習が合格への最短ルートです。2026年から導入されたパート合格制度により、受験のチャンスは広がっています。
最後に、合格後の在留資格変更は自動ではありません。受験前から職場の担当者と手続きの段取りを確認し、合格発表後にすぐ動けるよう準備しておきましょう。介護福祉士の資格は、日本での長期的な生活と安定した働き方への大きな一歩です。
湘南国際アカデミーでは初任者研修・実務者研修・介護福祉士受験対策の講師を務めるほか、受験対策テキストの執筆も担当。
介護技能実習評価試験評価者として外国人介護士の受け入れ支援、事業所向けスキルアップ研修のプロデュースなど、人材確保・育成・定着に向けた幅広い活動を展開している。






