介護福祉士の資格は国家試験に合格することで取得できます。ただし、試験を受けるには一定の条件を満たす必要があり、誰でも受験できるわけではありません。
受験資格を得るには、いくつかの方法があります。このうち、介護現場で働きながら資格取得を目指すのが「実務経験ルート」です。実務経験ルートは原則として3年以上の実務経験などが求められます。
しかし、試験の申込時点で全ての要件を満たしていなくても、試験が実施される年度の末日(3月31日)までに要件を満たすことができれば、「実務経験見込み」として受験の申し込みが可能です。
この記事では、湘南国際アカデミーが「実務経験見込み」で受験を申し込む際のポイントや、いつまでに申し込めば良いのかといった点について解説します。
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介護福祉士試験における「実務経験見込み」とは
介護福祉士試験の受験資格における「実務経験見込み」とは、試験の申込時点ではまだ必要な受験資格を満たしていなくても、「試験年度の末日(3月31日)までに要件を満たす予定」という見込みの状態で、先に受験の申し込みができる制度のことです。
この制度を利用するために年度末までに満たすべき「受験資格」とは、実務経験ルートで定められた、主に以下の2点を指します。
- 従業期間3年(1,095日)以上、かつ従事日数540日以上の実務経験
- 介護福祉士実務者研修(または介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修)の修了
この制度があるおかげで、実務経験が要件の日数に達する前に受験の申し込みができるようになっています。つまり、「試験を受けたいけれど、申し込み期限の9月上旬時点では実務経験期間が少し足りなくて受けられない……」といった事態を回避することができるのです。
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実務経験ルートの基本要件
ここからは、実務経験ルートについて、より詳しく解説していきます。
従業期間・従事日数
実務経験ルートの受験資格である従業期間は、試験年度の3月31日までが計算対象です。期間中に介護業務に従事した日数を合計し、従業期間1,095日以上かつ従事日数540日以上であれば受験資格を満たせます。
実務経験の対象
介護福祉士としての実務経験は、厚生労働省が定める施設・事業所での介護業務に限定されています。
対象となる範囲は以下のように定められています。
- 【対象の名称 施設の例】
- 児童分野 知的障がい児施設や自閉症児施設、肢体不自由児施設など
- 障がい者分野 障がい者支援施設、生活介護、療養介護など
- 高齢者分野 特別養護老人ホームや介護老人保健施設、通所介護事業所など
- その他の分野 救護施設、更生施設
- 介護等の便宜を供与する事業 地域福祉センター、労災特別介護施設
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見込み受験に必要な書類
介護福祉士試験の「実務経験見込み」で受験申し込みをする際には、いくつかの書類が必要です。どのような書類の準備がいるのか、一つずつ見ていきましょう。
勤務証明書
勤務証明書は、受験者が介護業務に従事していたことを証明するための書類で、勤務している各事業所が発行元になります。具体的には、事業所の管理者や施設長、人事担当者などが作成・発行します。
実務経験見込みで申し込む場合、試験年度末(3月31日)までの予定も含めて記入する必要があります。申込時点で2年10カ月の経験しかなくても、翌年3月31日までに3年に達する見込みがあれば、その旨を記載します。
実務者研修修了証明書
実務者研修修了証明書は、「介護福祉士実務者研修」の修了を証明するものです。研修を受けた実務者研修の実施機関(スクールや通信講座など)が発行元となり、担当の事務局や講師、研修責任者が作成・発行します。証明書には、研修の開始日、修了日、修了見込みの旨などが記載されています。
実務経験見込みで申し込む場合は、実務研修修了見込み証明書という形になります。発行元は同じです。
発行タイミングや申請手続きはスクールごとに異なる場合があるため、受講機関に事前に確認を取り、早めに発行依頼をしておきましょう。
実務経験見込みで申し込む際の注意点
介護福祉士試験の実務経験見込みで申し込む際には、いくつかの注意点があります。これらを正しく理解して、スムーズに受験申し込みをしましょう。
実務経験日数に含まれない期間があることを把握する
休職期間や長期休暇、産休・育休などは、原則として実務経験日数にカウントされません。また、介護業務以外の業務に従事していた期間も、実務経験日数の対象外になります。例えば、介護施設で事務職として働いていた期間は、たとえ介護関連の仕事であっても、実務経験日数としてカウントされません。
さらに、資格取得にかかる研修期間中の日数も注意が必要です。介護職員初任者研修や実務者研修の受講期間中、実際に介護業務に従事していない日があれば、実務経験日数にはカウントされません。こうした除外期間を考慮に入れて、試験年度末までに必要な日数を確実に満たせるかを確認する必要があります。
なお、勤務証明書にはこうした実務経験日数に含まれない期間がどれくらいあったのかが記載されます。
勤務証明書は働いている事業所ごとに用意する
複数の事業所で勤務している場合、事業所ごとに勤務証明書を用意する必要があります。
例えば、特別養護老人ホームと訪問介護事業所の両方で働いた経験がある場合、それぞれの事業所から勤務証明書を取得しなければなりません。片方の勤務証明書だけでは見込み受験の要件を満たせないので注意しましょう。
勤務証明書の取得に時間がかかる場合もあるので、早めに準備を始めることが大切です。特に、過去に勤務していた事業所からの証明書取得には時間を要する可能性があるため、十分な余裕を持って手続きを進めましょう。
介護福祉士試験の見込み受験に関する質問
最後に、介護福祉士試験を実務経験見込みで受ける際に、疑問を持ちやすい点の解説をします。
- Q1.実務経験の勤務証明書はどこで手に入りますか?
- A
実務経験の勤務証明書は、勤務先の介護施設や事業所から発行されます。これは、過去の勤務先でも同じです。
現在勤務している施設や事業所の場合、人事部門や上司に直接申し出て、証明書の発行を依頼します。過去に勤務していた施設や事業所の場合も、同じように勤務先に連絡を取り、証明書発行を依頼します。証明書の発行には時間がかかる場合もあるため、受験申し込みの締め切りに十分な余裕を持って依頼しましょう。
- Q2.もし試験日までに必要な従業期間・従事日数が満たなかったらどうなりますか?
- A
受験の申し込み後、何らかの事情があって試験年度末(3月31日)までに必要な従業期間や従事日数に満たなかった場合は、受験資格を失うことになります。この場合、既に支払った受験料は返金されません。次回の試験までに必要な従事期間や従事日数を満たせば、来年度の試験は受けられます。
- Q3.パートの雇用形態も見込み受験はできますか?
- A
パートタイムの雇用形態でも、実務経験見込みでの受験申し込みは可能です。ただし、いくつか注意点があります。
パートタイムでも実務経験の計算方法は基本的にフルタイムと同じです。つまり、1日の勤務時間の長短にかかわらず、実際に勤務した日数がカウントされます。
ただし、1日2時間未満など、勤務時間が極端に短い場合は、事業所の判断により日数が調整されることがあります。
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項目 | 内容 |
---|---|
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見込み制度を活用して介護福祉士試験に挑もう
今回は介護福祉士試験の受験資格に関連する「見込み制度」について解説しました。介護福祉士試験は年に一度しか実施されないため、受験を逃してしまうと次回まで1年待たなければなりません。
このような事態を避けるためにも、受験資格を満たす見込みがある方は、ぜひ「実務経験見込み」制度を活用し、早めの準備を進めましょう。
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現在はキャリアアドバイザーとして、求職者の就労サポートや企業支援を担当。採用担当経験者としての豊富な経験を活かし、求職者の強みを引き出す面接対策にも定評がある。介護業界の発展に貢献するべく、求職者・企業双方の支援に尽力。
プライベートでは息子と共にボーイスカウト活動を再開し、奉仕活動を通じて心を磨くことを大切にしている。
