「住み慣れた地域で暮らす高齢者を支える」、そんな仕事に興味はありませんか?
もし、一人ひとりの人生に深く関わるやりがいのある仕事を探しているなら、小規模多機能型居宅介護を検討してみてはいかがでしょうか。
この記事では、介護の仕事が初めての人にもわかりやすく、小規模多機能型居宅介護の仕事内容や魅力、必要な資格について解説します。
小規模多機能型居宅介護の特徴
まずは小規模多機能型居宅介護とはどのようなものか、サービスの特徴を確認していきましょう。
小規模多機能型居宅介護とは?
小規模多機能型居宅介護は、1つの事業所で「訪問介護(ホームヘルプ)」「通い(デイサービス)」「泊まり(ショートステイ)」の3つの介護を提供するサービスのことです。小規模多機能型居宅介護の役割は、利用者が住み慣れた地域や自宅での生活が続けられるようサポートすることです。
小規模多機能型居宅介護は、2006年の介護保険制度改正で導入された地域密着型サービスの一つに該当します。利用者(要介護者)の心身の状況や、置かれている環境、要望に応じて、複数の介護サービスを1つの事業所で行うため、一体的に利用しやすい特徴があります。
では、小規模多機能型居宅介護で提供される3つのサービスについて、詳しく解説します。
訪問介護(ホームヘルプ)
「訪問介護(ホームヘルプ)」とは、看護師や介護職員が利用者宅に出向いて行うサービスです。具体的には、入浴や排泄、食事などの身体介護をはじめ、掃除や買い物といった生活援助も担います。
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通い(デイサービス)
「通い(デイサービス)」とは、利用者に事業所へ通ってもらって行うサービスです。介護職員は送迎や入浴、食事、レクリエーションなどを介助・提供します。
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泊まり(ショートステイ)
「泊まり(ショートステイ)」とは、利用者が事業所に宿泊して介護を受けるサービスです。介護職員は、利用者が眠るまでの介助や夜間の見守り、起床時の介助などを行います。
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小規模多機能型居宅介護の利用者の条件と定員
小規模多機能型居宅介護には、市町村への登録や要介護認定など、利用開始にあたっての基本的な条件があります。
利用者の条件
小規模多機能型居宅介護を利用する人は、「要介護認定を受けている65歳以上」が前提です。さらに、事業所と同一の市町村に居住していることが基本条件となります。
利用者の定員
法律上の基準では、小規模多機能型居宅介護で登録可能な利用者数は1事業所あたり29人までと決められています。
1日に施設を利用できる人数は通いが15人以下、泊まりの受け入れは9人以下と定められています。
小規模多機能型居宅介護の人員基準
小規模多機能型居宅介護では、代表者や管理者、介護支援専門員(ケアマネジャー)、看護職員、介護職員などが働いています。
サービスを提供する職員は1事業所につき15人程度です。介護職員と看護職員は日中、「通い」の利用者3人につきそれぞれ1人+訪問対応1人以上、夜間は「訪問」「泊まり」対応で2人以上(1人は宿直可)必要です。
単体の「訪問介護」「デイサービス」「ショートステイ」の違い
小規模多機能型居宅介護と、ほかの介護サービスとの主な違いは、サービスの提供体制にあります。
前述したように小規模多機能型居宅介護は、一つの事業所が、「訪問」「通い」「泊まり」の3つのサービスを全て提供します。これに対し、単体の「訪問介護」「デイサービス」「ショートステイ」は、それぞれが独立してサービスを提供します。
小規模多機能型居宅介護の主な仕事内容
ここでは、「訪問」「通い」「泊まり」それぞれの、介護職員の主な仕事内容を解説します。
「訪問(ホームヘルプ)」の業務内容
「訪問介護(ホームヘルプ)」では、介護職員は利用者の自宅を訪問し、身体介護(食事、排泄、入浴介助など)や生活援助(掃除、調理、買い物など)を行います。安否確認や見守り、通院の付き添いなど、利用者の生活に合わせた支援が求められます。
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「通い(デイサービス)」の業務内容
「通い(デイサービス)」では、介護職員は利用者の自宅から事業所への送迎や、入浴介助、食事介助、血圧チェックなどの日常的な介護業務を行います。加えて、レクリエーションや機能訓練(リハビリテーション)の補助などを通じ、利用者の心身の活性化や社会交流を支援します。
「泊まり(ショートステイ)」の業務内容
「泊まり(ショートステイ)」での介護職員の仕事は、食事の介助や排泄介助、夜間の定期的な巡回や見守りなどです。日中から関わっている利用者が、そのまま安心して夜を過ごせるよう支援します。夜勤後は、日勤の職員への情報の引き継ぎも重要な仕事です。
小規模多機能型居宅介護の介護職員は、身体介護を含む生活支援が主な仕事内容ですが、「訪問」「通い」「泊まり」の3サービスを兼任するため、ほかにも幅広い業務を行います。したがって、職員同士の情報共有も重要な業務の一つです。利用者一人ひとりのニーズに合わせたケアを考える上で、どの場面でどのような支援を行うかを常にチーム全体で確認し合う必要があります。
小規模多機能型居宅介護で働く魅力
小規模多機能型居宅介護で働く際には、利用者との関係構築やスキルアップなど、幅広いやりがいがあります。ここからは、小規模多機能型居宅介護で働く魅力を見ていきましょう。
利用者とじっくり向き合える
小規模多機能型居宅介護は少人数登録が基本のため、一人ひとりの利用者と深く関わりやすい環境です。信頼関係が築きやすく、利用者の生活習慣や好みを細かく理解したうえでケアを提供できます。
特に認知症のある方や、コミュニケーションに時間を要する方に対して、じっくりと関わりながら状態の変化を早期発見するなど、適切なアプローチを考えられます。利用者に寄り添う実感が得やすい現場といえるでしょう。
幅広い介護のスキル・経験が身につく
「訪問」では在宅でのサポート技術、「通い」ではレクリエーション企画や集団ケア、「泊まり」では夜間の見守りや緊急時対応など、幅広いケアを実践できます。複数の領域を経験できるため、介護全般のスキルが総合的に身につく環境です。
多様な場面に対応できる力は、長く介護業界で活躍したい人にとって大きな武器になります。キャリアを重ねるほどにサービス提供の幅が広がり、リーダーなどへのステップアップも目指せます。
柔軟なケアで生活全体を支える
小規模多機能型居宅介護は、「訪問」「通い」「泊まり」を組み合わせることで、利用者の生活全般を切れ目なく支えることが可能です。
また、ほかの単体サービスのように時間帯やサービス内容の制約に縛られにくいため、「ちょっとした話し相手」や「散歩の付き添い」といった介護外のニーズにも応えながらサポートしていくのも特徴と言えます。
小規模多機能型居宅介護で必要な資格は?
介護職員として働く際に役立つ資格や、未経験者がキャリアを積むためのポイントを解説します。
小規模多機能型居宅介護で働くのに役立つ資格
小規模多機能型居宅介護で介護職員として働く場合、無資格・未経験からでも働くことが可能です。一方で、就業前に「介護職員初任者研修」を取得しておくと、介護の基本的な知識と技能が身に付くため、よりスムーズに業務に入ることができます。
さらに資格手当の対象となるなど、給与面で優遇される場合があり、収入アップにもつながるため、おすすめです。
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介護関係の資格を持っていない場合
無資格で小規模多機能型居宅介護の介護職員として働く場合、入職後に必ず受講しなければならない研修があります。それが「認知症介護基礎研修」です。
介護職員は、入職後1年の間にこの研修を修了することが義務付けられています(2024年4月から完全義務化)。認知症介護基礎研修は自宅などで受けられるeラーニング(オンライン学習)で受講が可能です。6時間程度のカリキュラムを受ければ、資格が取得できます。研修の受講費用は、人材育成の一環として就職した事業所が負担することが多い傾向にあります。
FAQ|小規模多機能型居宅介護に関するよくある質問
小規模多機能型居宅介護で働いてみたい方や、仕事内容・資格に関心のある方が抱きやすい疑問にお応えします。就職前に気になるポイントを事前に把握し、自分に合った働き方やキャリアの方向性を見つける参考にしてください。
- Q1.小規模多機能型居宅介護とはどんな介護サービスですか?
- A
小規模多機能型居宅介護は、一つの事業所で「訪問介護(ホームヘルプ)」「通い(デイサービス)」「泊まり(ショートステイ)」の3つの介護サービスを一体的に提供する地域密着型の介護保険サービスです。利用者が住み慣れた自宅や地域での生活を続けられるよう支援することが目的です。
- Q2.無資格でも小規模多機能型居宅介護で働けますか?
- A
- Q3.小規模多機能型居宅介護の仕事はどんな人に向いていますか?
- A
- Q4.単体のデイサービスや訪問介護とどう違いますか?
- A
- Q5.働きながら資格取得を目指せますか?
- A
多くの施設では資格取得支援制度を整えており、働きながら「介護職員初任者研修」や「認知症介護実践者研修」などの取得を目指せます。無資格からキャリアアップを図りたい方にも適した環境です。
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小規模多機能型居宅介護でキャリアを築こう
小規模多機能型居宅介護の特徴と、そこで働く魅力について紹介しました。
「訪問」「通い」「泊まり」の全てを経験できる小規模多機能型居宅介護は、未経験からでも介護職員としてキャリアを築くことが可能です。受け入れる利用者の人数が少ないことから利用者と深く関わることができ、生活全体を支える経験は、大きなやりがいになるでしょう。小規模多機能型居宅介護の仕事に興味がある人は、まず近くの施設で求人が出ていないかぜひ調べてみてください。
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現在はキャリアアドバイザーとして、求職者の就労サポートや企業支援を担当。採用担当経験者としての豊富な経験を活かし、求職者の強みを引き出す面接対策にも定評がある。介護業界の発展に貢献するべく、求職者・企業双方の支援に尽力。
プライベートでは息子と共にボーイスカウト活動を再開し、奉仕活動を通じて心を磨くことを大切にしている。
