看取りとは
看取りとは、回復が難しい終末期の方に対し、延命よりも苦痛の緩和と尊厳の保持を重視しながら最期まで寄り添う医療・介護の支援です。
単なる「死を待つこと」ではなく、
その人らしく生ききる時間を支えるケアを意味します。
あなたはどのような目的で調べていますか?
| 目的 | 当記事の該当箇所 |
|---|---|
| 家族として看取りを考えている | ▶ 看取りの流れ |
| 病院・在宅・施設の違いを知りたい | ▶ 病院・在宅・介護施設の違い |
| 事前準備をしたい | ▶ ACP(人生会議) |
| 介護職として学びたい | ▶ 介護職の役割 |
本記事では、「看取りとは何か」という基本的な意味から、病院・在宅・介護施設の違い、看取りの流れ、ACP(人生会議)や家族への支援、介護職に求められる役割までをわかりやすく解説します。
本記事は、2026年2月26日に最新の情報に更新しました。
看取りとは何か
看取りは、人生の終末期を迎えた方に対し、身体面・精神面の両面から支えとなる医療・介護を提供するプロセスです。ケアや医療処置だけではなく、会話やスキンシップを通じてその人らしさや尊厳を保ちつつ、苦痛や不安をできる限り軽減することを目指します。
厚生労働省は「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」において、本人の意思を尊重した医療・ケアの提供を重要視しています。
看取りの意義と役割
看取りの意義は、本人のみならず家族や周囲の人々が人生の最終段階をどのように受け止め、共に歩むかにあります。最後の時間を安心して過ごせるよう配慮することで、本人だけでなく、見送りを行う家族の心の負担も軽減されます。ケアにあたるスタッフは身体的ケアはもちろん、心のケアも行いながら、本人の人生観や希望を大切に寄り添うことが重要です。また、看取りの支援とは本人とかかわりのある人は誰でも行うことができます。医療・介護スタッフだけでなく、ケアマネージャーやソーシャルワーカー、家族、友人…職種を問わず関りを持つすべての人ができる関わり方といえるでしょう。
看取りと延命治療の違い
以下の表にあるように、看取りでは、「治す」よりも「支える」視点が中心になります。
| 項目 | 見取り | 延命治療 |
|---|---|---|
| 目的 | 苦痛の緩和・尊厳維持 | 生命維持の継続 |
| 医療処置 | 必要最小限 | 人工呼吸器・心肺蘇生など |
| 本人の意思 | 重視される | 状況により実施 |
| 家族の関与 | 対話が中心 | 判断を迫られる場合あり |
看取りの一般的な流れ
終末期から臨終までの流れを理解しておくことで、家族の不安は大きく軽減します。
| 段階 | 身体の変化 | 主な対応 |
|---|---|---|
| 終末期 | 食欲低下・活動量減少 | 緩和ケア開始 |
| 数日前 | 意識低下・呼吸変化 | 家族へ連絡 |
| 臨終前 | 呼吸不規則・脈弱化 | 付き添い支援 |
| 死後 | 心停止確認 | 医師の死亡確認・エンゼルケア |
※経過には個人差があります。
病院・在宅・介護施設の違い
看取りをどこで行うかは、本人と家族にとって大きな選択になります。病院・在宅・介護施設はそれぞれ異なる特徴があり、どの選択肢でも、本人や家族が求めるケアを実現しやすい環境を作ることが大切だといえます。
| 項目 | 病院 | 在宅 | 介護施設 |
|---|---|---|---|
| 医療対応 | ◎ | ○ | △~○ |
| 家族対応 | △ | 体制により異なる | ○ |
| 自由度 | △ | ◎ | △ |
| 費用 | 高め | 比較的低 | 施設費用必要 |
| 急変対応 | 即時 | 医師連絡 | 体制により異なる |
病院での看取り
【メリット】病院での看取りは、医療スタッフが常にそばにいるため、急な体調悪化にも対応しやすい点が最大のメリットです。重篤な症状や複雑な処置が必要な場合にも、迅速な診療や緩和ケアを受けられる安心感があります。
【デメリット】感染対策の一環から多くの病院では面会の時間や人数の制限を設けています。また大部屋や個室の利用では費用が異なるほか、入院している病院形態によっては長期間の入院対応ができない場合もあります。連携室のソーシャルワーカーと連携をはかり、患者と家族はどんな最期の時間をすごしたいのか、よく確認しながら検討することが大切です。
在宅での看取り
【メリット】在宅での看取りは、住み慣れた空間で最期を迎えられるという大きなメリットがあります。本人の希望に沿った生活スタイルを最期まで維持しやすく、家族とのコミュニケーションも取りやすいです。在宅でも可能な医療態勢には限りがありますが、往診や訪問看護を使用し継続した医療を受けることができます。病院特有の緊張感から解放され、ご本人にとっての安心感が高いのが特徴です。
【デメリット】家族が最も身近な存在として日常的な生活の支援や精神的な支えを担います。本人を支える家族の負担が増すため、訪問診療、訪問看護や訪問介護など外部サービスの利用が欠かせません。
介護施設での看取り
【メリット】家族が遠方に住んでいる。本人が家族には介護をさせたくない。など、様々な状況で施設入所を選択される方もいます。施設といっても今では多くの形態がありますが、看取りができる施設は限られています。介護施設には24時間、日常生活の介助に慣れたスタッフがいるため、送迎や食事、排泄など手厚いケアを受けやすいのが特徴です。離れて暮らす家族も安心して過ごすことができるでしょう。
【デメリット】自宅のような自由度は限られ、夜間はスタッフの数が少ない施設もあります。病院とは異なるため、吸引や点滴などの医療処置が必要な場合では受け入れが困難な施設もあります。病状の進行度合いに合わせた外部の医療サービスを必要とすることも多く、急変時などの搬送の希望など事前に細かく決めておく必要があります。
ACP(人生会議)とは
看取りを考えるうえで重要なのが、ACP(Advance Care Planning:人生会議)です。
ACPとは、将来もし自分で意思表示ができなくなった場合に備え、受けたい医療やケアについて事前に家族や医療・介護職と話し合っておく取り組みを指します。
参照元:厚生労働省HP「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)してみませんか?」
終末期には、延命治療を行うか、どこで最期を迎えるかといった重要な判断が必要になることがあります。しかし、本人の意思が共有されていないと、家族が大きな葛藤を抱えることになります。
そのためACPでは、以下の内容を本人が元気なうちから話し合います。
- 延命治療の希望
- 看取りの場所(自宅・病院・施設)
- 誰に判断を委ねるか
看取りは突然始まるものではありません。
日頃からの対話が、本人の尊厳を守る看取りにつながります。
家族へのケアとグリーフ支援
看取りにおいて最期の別れの時と同じく家族へのケアが重要です。家族が故人との別れを受け入れることができるように医療・介護職は家族に寄り添うことが求められています。グリーフケアとは、大切な人を失ったことによる深い悲しみ(グリーフ)を抱える人々に寄り添い、その悲しみを乗り越え、立ち直り、再び生きる希望を持てるように支援することです。
遺族への適切な声掛けとグリーフケア
声掛けの基本は、遺族の感情を肯定することです。「お疲れ様でした」「大変だったでしょう」など、相手の気持ちを受け止める言葉をかけるだけでも、悲しみの中で心が少し楽になることがあります。
また、表情や間の取り方にも配慮し、遺族が話しやすい空気を作ることが大切です。むやみに「頑張ってください」と言うよりは、「何か気になることがあれば、何でもおっしゃってください」といったフレーズで寄り添う姿勢を示します。
グリーフケアは一度の声掛けで完結するものではなく、長期的に続く悲しみへの支えを意味します。エンゼルケアの現場でも、適切な間合いでフォローを続けることが望まれます。
以下の関連記事も読まれています
家族とのコミュニケーション
家族とのコミュニケーションでは、エンゼルケアの内容や手順を分かりやすく説明することが重要です。医療用語を避け、具体的に「全身を清めて、きれいな服に着替えさせます」といったようにイメージしやすい言葉を選ぶとよいでしょう。
特に、遺族が初めて看取りを経験する場合は、分からないことが多く不安が大きいものです。どういった作業がいつ行われるのか、どこまで手伝えるのかを示すことで、ケアの全体像を把握してもらいます。
もし家族が希望する場合には、清拭や着替えの一部を一緒に行ってもらうことも考えられます。直接触れることで気持ちの整理につながる場合もあるため、無理のない範囲で関わってもらうとよいでしょう。
以下の関連記事も読まれています
安心感を与えるための対応
遺族に安心感を与えるためには、故人がしっかりとケアされていることを見せるだけでなく、スタッフ側が落ち着いて対応する姿を見せることが大切です。
例えば、処置を開始する前に一礼する、名前を呼びながらケアを行うなどの所作は、故人や遺族を尊重していることを伝える良い手段となります。こうした細やかな気遣いは遺族の心に深く残ります。
また、何か疑問があればすぐに答えられる体制を整えておくと、遺族は安心して状況を受け入れやすくなります。一方的に処置を進めるのではなく、随時声をかけて意思を確認しながら作業を行うことが理想です。
看取りを取り巻く社会と制度
高齢化が進む日本では、看取りはますます身近なテーマになっています。現在、厚生労働省「人生の最終段階における医療・介護」によると、日本では現在も約7割の方が病院で最期を迎えており、医療機関への依存度が高い状況です。一方で、「できれば自宅で過ごしたい」と希望する声も少なくありません。
しかし、在宅看取りを支えるには医療・介護人材の確保が不可欠です。地域によっては訪問診療や訪問看護の体制に差があり、十分な支援を受けられないケースもあります。また、看取る家族が精神的・身体的に孤立しやすいことも課題の一つです。
こうした背景から、国は「地域包括ケアシステム」を推進し、住み慣れた地域で最期まで暮らせる体制づくりを進めていますが、今後は制度だけでなく、現場の質の向上と家族支援の充実が求められています。
【介護職向け】現場で求められる力
介護看取りは、医師や看護師だけでなく、日常的に利用者と関わる介護職が重要な役割を担います。利用者の小さな変化にいち早く気づき、穏やかな最期を支える存在だからです。
現場で特に求められる力には、次のようなものがあります。
- 観察力:食事量や表情、呼吸の変化など微細なサインを見逃さない力
- 家族対応力:不安や葛藤を抱える家族に寄り添い、安心感を与える関わり
- 多職種連携力:医師・看護師・ケアマネジャーと情報共有し、チームで支える力
- 自身のグリーフケア:利用者との別れに向き合い、心の負担を抱え込みすぎない力
看取りは介護福祉士国家試験や実務者研修でも重要分野とされており、終末期ケアの理解は専門職としての質を高める要素の一つです。
湘南国際アカデミーでは、終末期ケアやエンド・オブ・ライフケアに関する研修を通じ、現場で自信をもって看取りに関われる人材育成を行っています。
FAQ|見取りに関するよくある質問
人生の最終段階をどう迎えるかは、多くの人にとって重要なテーマです。ここでは、看取りについて寄せられる疑問に分かりやすくお答えします。安心して看取りの選択ができるよう、参考にしてください。
- Q1.看取りはどこで受けるのが最もよいのでしょうか?
- A
看取りの場としては大きく「病院」「在宅」「介護施設」の3つがあり、それぞれに特徴があります。医療処置が必要であれば病院、家族との時間を大切にしたい方は在宅、介護支援の整った環境を求める方には介護施設が向いています。ご本人の希望と家族の状況を踏まえて選ぶことが大切です。
- Q2.在宅での看取りはどのような支援が受けられますか?
- A
在宅看取りでは、訪問看護や訪問診療、訪問介護といったサービスが利用できます。医療機器の導入や介護用品の手配も可能で、支援体制が整えば病院に準じた対応ができるケースもあります。ただし家族の負担が大きくなるため、ケアマネジャーとの連携が重要です。
- Q3.看取りができる介護施設は限られているのですか?
- A
はい、すべての介護施設で看取りが可能なわけではありません。看取り介護加算が取得可能な体制が整っている施設や、医療との連携が取れている施設が対象になります。希望する施設が看取りに対応しているか、事前に確認しておくことが大切です。
まとめ:看取りの選択と心穏やかな最期の実現を目指して
看取りと言っても選択する場所により受けられる支援やかなえられる希望には違いが出てしまいます。
社会全体でも看取りを支えるための制度やサービスが拡充されつつありますが、まずはどんな最期をイメージするか。断片的でも周囲の人と共有していくことが、悔いなく過ごすためには必要不可欠です。家族間での情報共有はもちろん、医療・介護スタッフとのコミュニケーションがよりよいケアを実現する鍵です。最適な看取りの形を考え、尊厳を持って穏やかな最期を迎えられるよう、今から行動を始めてみましょう。
湘南国際アカデミーでは、看取りに関する基礎知識や介護スタッフ向けの実践研修、家族支援に役立つ無料講座などを多数ご用意しています。穏やかで納得のいく看取りの実現を目指す方は、ぜひお気軽に資料請求やご相談をお寄せください。あなたと大切な人の「その時」に、寄り添う力を育みます。






