江島一孝(介護福祉士)
この記事の監修者
介護福祉士、実習指導者、介護支援専門員として10年以上の経験を持ち、湘南国際アカデミーで介護職員初任者研修や実務者研修の講師、介護福祉士国家試験の対策テキスト執筆を担当。
介護福祉士実務者研修は、介護福祉士国家試験の受験資格を得るために必要な研修であり、介護業界でステップアップを目指す方に欠かせないカリキュラムです。この研修では、「医療的ケア」や「介護過程」などの重要な学習内容が含まれ、所持資格や経験に応じて学ぶ科目や時間が異なります。
本記事では、実務者研修のカリキュラムの全体像や、具体的な学習内容を分かりやすく解説します。また、資格取得を効率的に進めるためのポイントもご紹介。これから実務者研修を受けようと考えている方に、必要な情報をお届けします。
実務者研修とは?
介護福祉士実務者研修は、介護や医療の現場で必要な知識と技術を体系的に学ぶための研修プログラムです。介護福祉士国家試験の受験資格を得るために必須であり、キャリアアップや専門性の向上を目指す方にとって重要なステップです。
研修内容は、厚生労働省が定めたカリキュラムに基づき、理論と実技をバランスよく学べる構成となっています。これにより、受講者は介護現場で即戦力として活躍できる実践的なスキルを習得できます。また、保有資格に応じて免除科目が設けられており、効率的に学ぶことが可能です。
実務者研修を通じて、たん吸引や経管栄養といった医療的ケアの知識も身につけ、専門的な介護サービスの提供ができる人材を目指しましょう。
実務者研修の目的と重要性
実務者研修の目的は、介護や医療現場で求められる専門知識と技術を体系的に学ぶことです。これにより、利用者の生活の質を向上させる質の高いケアを提供できる人材を育成します。
また、倫理観やコミュニケーション能力を養うことで、チーム医療や多職種連携を円滑に進められるようになり、現場全体の効率とパフォーマンス向上にも貢献します。
さらに、研修修了により資格取得が可能となり、個人のキャリアアップや職場での信頼性向上につながります。長期的な職業安定を目指す方にとって、重要なステップとなる研修です。
実務者研修に関してさらに詳しく知りたい方は
実務者研修のカリキュラム
介護福祉士実務者研修のカリキュラムは、厚生労働省が定める『人間と社会』、『介護』、『こころとからだのしくみ』、『医療的ケア』の4つの主要領域で構成され、総学習時間は450時間です。
これらの領域では、介護現場で必要な理論的知識と実践的技術をバランスよく学べます。特に、医療的ケアではたん吸引や経管栄養の基礎を実技で習得し、現場で即戦力となるスキルを養成します。
また、実務者研修では自宅学習とスクーリングを組み合わせた柔軟な学習方法が採用されており、働きながらでも無理なく資格取得を目指せます。このカリキュラムは、介護福祉士を目指す方やスキルアップを希望する方に最適な内容です。
引用元:実務者研修認定ガイドライン「届出の必要がない研修にかかる修了認定科目について」
教育内容 | 実務者研修 時間数 | 介護職員 初任者研修 | 訪問介護員研修1級 | 訪問介護員研修2級 | 訪問介護員研修3級 | 介護職員基礎研修 | その他 全国研修 |
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人間の尊厳と自立 | 5 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
社会の理解Ⅰ | 5 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
社会の理解Ⅱ | 30 | 〇 | 〇 | ||||
介護の基本Ⅰ | 10 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
介護の基本Ⅱ | 10 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
コミュニケーション技術 | 20 | 〇 | 〇 | ||||
生活支援技術Ⅰ | 20 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
生活支援技術Ⅱ | 30 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
介護過程Ⅰ | 20 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
介護過程Ⅱ | 25 | 〇 | 〇 | ||||
介護過程Ⅲ (スクーリング) | 45 | 〇 | |||||
発達と老化の理解Ⅰ | 10 | 〇 | 〇 | ||||
発達と老化の理解Ⅱ | 20 | 〇 | 〇 | ||||
認知症の理解Ⅰ | 10 | 〇 | 〇 | 〇 | 認知症介護実践者研修 | ||
認知症の理解Ⅱ | 20 | 〇 | 〇 | 認知症介護実践者研修 | |||
障害の理解Ⅰ | 10 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
障害の理解Ⅱ | 20 | 〇 | 〇 | ||||
こころとからだのしくみⅠ | 20 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
こころとからだのしくみⅡ | 60 | 〇 | 〇 | ||||
医療的ケア | 50(※) | 喀痰吸引等研修 | |||||
実務者研修 受講時間数 | 450 | 320 | 95 | 320 | 420 | 50 |
※「医療的ケア」は講義50時間とは別に演習を修了する必要があります。
実務者研修カリキュラムは厚生労働省が定めた4つの領域から構成されている
実務者研修のカリキュラムは、上記でもお伝えしたように厚生労働省によって、『人間と社会』、『介護』、『こころとからだのしくみ』、『医療的ケア』の4つの領域で構成されています。これらは、介護現場で必要な知識と技術を体系的に学ぶために設定されています。
- 人間と社会: 利用者の人権や社会保障制度を学び、倫理観を深めます。
- 介護: 基本的な介護技術と実践的な対応力を習得します。
- こころとからだのしくみ: 心理・生理面の知識を学び、利用者を全体的にケアするスキルを育成します。
- 医療的ケア: たん吸引や経管栄養など、医療的ケアの基礎技術を学びます。
これらの内容により、受講者は現場で即戦力となる総合的なスキルを身につけられます。
自宅学習とスクーリング(対面授業)の内容
実務者研修を通信制カリキュラムで受講する場合には、自宅学習とスクーリング(対面授業)を組み合わせた学習スタイルが必要となります。
- 自宅学習: テキストやオンライン教材を使用し、理論的な知識を効率よく習得。
- スクーリング(対面授業): 実技練習やディスカッションを通じて、現場で役立つスキルを実践的に学びます。
講師から直接フィードバックを受けられるため、理解を深めながら柔軟に学習を進めることが可能です。
実務者研修に修了試験や実技試験は必須ではありません
実務者研修の修了には、修了試験や実技試験は必要ありません。全てのカリキュラムを履修し、所定の学習時間を満たせば修了できます。
ただし、一部の教育機関や民間の介護スクールの実技科目では、技術習得を確認するための実技評価が行われることがあります。これに備え、実践的なスキルをしっかり学ぶことが重要です。
介護過程や医療的ケアで技術習得のために行われる実技評価
介護過程や医療的ケアでは、技術習得を確認するための実技評価が行われます。移動支援やバイタルサインの測定、医療的ケアの手技などが評価対象です。
この評価を通じて、受講者は自分の技術を客観的に見直すことができ、必要に応じて改善点を見つけることが可能です。結果として、現場での実践力がさらに向上します。
実務者研修の自宅学習で対応できるカリキュラム(科目)
介護福祉士実務者研修では、自宅学習が可能な科目が設定されています。オンライン教材やテキストを活用し、自分のペースで学べるため、忙しい方でも無理なく進められます。
例えば、「人間と社会」や「こころとからだのしくみ」などの理論科目は自宅学習で対応可能です。効率的な学習を通じて、基礎知識を確実に習得できます。
領域➀:人間と社会
『人間と社会』の領域では、介護現場で必要な社会的背景や人間関係の理解を深めます。これにより、利用者との信頼関係を築き、質の高いサービスを提供する基盤が形成されます。
具体的には、高齢化社会の現状、福祉制度、介護保険制度の仕組み、倫理観やプライバシー保護の重要性を学びます。また、地域社会との連携や家族支援の考え方もカバーされます。
この学習を通じて、利用者一人ひとりに適したケアを提供するための社会的視点と実践力が身につきます。
人間の尊厳と自立(5時間)
学習内容
『人間の尊厳と自立』では、利用者の権利や尊厳、自立支援の重要性を学びます。内容は以下の通りです:
- 尊厳と権利の理解
- 日本国憲法に基づく人権の尊重、歴史的背景、プライバシーや個人情報の保護。
- 自立支援の意義
- 利用者の自立・自律を促す支援方法の目的と重要性。
- ノーマライゼーション
- 全ての人が普通の生活を送れる社会の実現を目指す理念の理解。
到達目標
- 利用者の尊厳を守りつつ、自立を支援する介護を実践できる。
- ノーマライゼーションの理念を実践に活かし、質の高いケアを提供する。
この知識は、利用者に寄り添う柔軟な支援を行う基礎となります。
社会の理解I(5時間)
学習内容
『社会の理解I』では、介護保険制度や福祉サービスの基本を学びます。主な内容は以下の通りです:
- 介護保険制度の基礎
- 創設の背景、目的、保険者・被保険者の仕組み、サービス利用までの流れ。
- 福祉サービスの種類
- 居宅介護、施設サービス、地域密着型サービスの概要と内容。
- 専門職の役割
- 介護職とケアマネジャーの役割や連携方法。
到達目標
- 介護保険制度や福祉サービスを理解し、利用者や家族に適切な助言ができる。
- 介護現場で制度を活用し、円滑なサービス調整が行えるようになる。
この科目は、利用者支援の基本となる知識を身につける重要な内容です。
社会の理解II(30時間)
学習内容
『社会の理解II』では、福祉制度や地域社会における支援の仕組みを深く学びます。主な内容は以下の通りです:
- 生活と福祉
- 家族や地域コミュニティの役割、ライフスタイルの変化とその影響を理解。
- 社会保障制度
- 年金、医療保険、雇用保険など社会保障の体系と目的を学ぶ。
- 障害者自立支援制度
- 障害者総合支援法やサービス利用の流れについての理解を深める。
- 介護関連の諸制度
- 成年後見制度や高齢者虐待防止法、医療関連法を学び、制度を実践で活用する方法を習得。
到達目標
- 福祉制度や社会保障の仕組みを理解し、利用者に適切な助言ができる。
- 地域連携や制度を活用し、具体的な支援策を提案・実施する力を養う。
この科目は、利用者を包括的に支えるための知識を深める重要な学びの場です。
領域②:介護
『介護』の領域では、介護福祉士実務者研修の中で最も実践的なスキルを習得する科目です。この領域は、介護現場で即戦力として求められる技術や倫理観を身につけるために構成されています。
この領域を通じて、利用者の生活の質を向上させるための総合的なケアスキルと、倫理的な対応力が身につきます。
介護の基本I(10時間)
学習内容
『介護の基本I』では、介護業務の基礎知識を学びます。主な内容は以下の通りです:
- 介護福祉士の制度
- 介護福祉士制度の沿革、法的定義、業務範囲を理解。
- 尊厳の保持と自立支援
- ICF(国際生活機能分類)を活用し、利用者の自立を促す介護の考え方を学習。
- 介護福祉士の倫理
- 身体拘束禁止や虐待防止など、法制度と職業倫理を理解。
到達目標
- 基本的な介護技術を習得し、利用者に安心感を与えるケアを提供できる。
- 尊厳を尊重し、自立を支援する倫理的な介護を実践できる。
この科目は、介護の基本姿勢を学ぶ重要なステップです。
介護の基本II(20時間)
学習内容
『介護の基本II』では、利用者の多様なニーズに応じた高度な介護技術と安全管理を学びます。
- 生活の理解と支援: 高齢者や障害者の日常生活や生活環境の理解、その人らしさを尊重した支援方法を習得。
- 多職種連携: 医療・福祉職や家族、地域との連携方法を学び、チームケアの重要性を理解。
- 安全とリスク管理: リスクマネジメント、感染対策、介護事故防止の知識を学ぶ。
- 介護職の健康管理: 心身の健康維持や腰痛予防、労働環境の整備について学習。
到達目標
- 高度な介護技術を実践し、複雑な支援課題に対応できる力を養う。
- 多職種や地域と連携し、質の高いチームケアを提供できる。
- リスク管理や感染対策を徹底し、安全で安心な介護を実現する。
この科目は、実践的で包括的なケアを提供するための知識とスキルを習得する重要なステップです。
生活支援技術I(20時間)
学習内容
『生活支援技術I』は、利用者の日常生活を支える基本技術を学ぶ科目です。
- 移動・移乗介助: 車いすの操作や体位変換などの基本技術を習得。
- 食事介助: 安全で快適な食事支援方法を学習。
- 入浴・清潔保持: 入浴介助の基本と事故防止の注意点を理解。
- 排泄介助: 基本的な排泄支援の技術を学び、自立を促進。
- 着脱・整容・口腔清潔: 衣服の着脱、身だしなみ、口腔清掃の介助方法を習得。
- 家事援助: 調理、掃除、洗濯など生活を支える家事スキルを学ぶ。
到達目標
- ICF(国際生活機能分類)の理解: 支援の意義と枠組みを把握し、個別ケアを実践。
- ボディメカニクスの活用: 効率的かつ安全な介護を提供。
- 生活の質向上: 基礎技術を活用し、利用者に安心で快適な生活環境を提供する力を養う。
この科目は、介護の基本を体系的に学び、現場での実践力を高める重要なステップとなります。
生活支援技術II(30時間)
学習内容
『生活支援技術II』は、30時間を通じて高度な支援技術や緊急時の対応を学ぶ科目です。
- 移動・移乗介助: 福祉用具の活用や体位変換など、部分的・全面的な介助方法を習得。
- 食事の介助: 誤嚥防止や栄養管理に配慮した支援技術を学習。
- 入浴・清潔保持: 福祉用具を活用した安全な入浴支援。
- 排泄の介助: 頻尿や便秘などへの適切な対応を学ぶ。
- 着脱・整容・口腔清潔: 身だしなみや衛生管理を含む支援方法を習得。
- 睡眠の介助: 睡眠環境の整備や薬の管理方法を学習。
- 終末期の介護: 家族支援や終末期ケアのポイントを理解。
到達目標
- 利用者の心身状態に合わせた高度な支援技術を実践。
- 福祉用具や環境整備を効果的に活用し、安心で快適なケアを提供。
- 緊急時や特殊な介護ニーズにも迅速かつ適切に対応可能。
この科目は、利用者一人ひとりのニーズに応じた実践的な介護スキルを深め、質の高い支援を提供する力を養います。
コミュニケーション技術(20時間)
『コミュニケーション技術』は、20時間を通じて介護現場で求められる効果的な対話スキルを学ぶ科目です。
学習内容
『コミュニケーション技術』では、介護現場で必要な対話スキルを学びます。
- 利用者との対話: 話を聴く、意欲を引き出す、意向を調整する技術。
- 家族との連携: 信頼関係を築き、相談や助言を行う方法。
- チーム内情報共有: 記録、報告、会議での効果的な情報伝達。
- 障害に応じた技術: 認知症や失語症などに対応するコミュニケーション法。
到達目標
- 利用者や家族と信頼関係を築き、意欲を引き出す対話力を身につける。
- チーム内で情報を適切に共有し、円滑なケアを実現する。
- 状況や目的に応じた最適なコミュニケーション技術を実践できる。
この科目では、利用者の個性や状態に応じた柔軟な対応力を養い、介護の質を高めるための対人スキルを磨きます。
介護過程Ⅰ(20時間)
『介護過程Ⅰ』は、20時間を通じて介護計画の作成と評価方法を学ぶ科目です。
学習内容
『介護過程Ⅰ』では、介護計画の立案から評価までを学びます。
- 介護課程の意義と目的: 介護の本質や課程を展開する意義を理解。
- 計画の展開: 利用者のニーズ把握、ケアプラン作成、実施、評価のプロセスを学習。
- チームアプローチ: 他職種との連携方法やチームでの介護計画実践を学ぶ。
到達目標
- 介護課程の目的を理解し、利用者に合った計画を作成・実施できる。
- チームでの情報共有を通じて効果的なケアを提供し、生活の質向上を支援する。
- 評価と改善を繰り返し、現場での実践力を向上させる。
この科目では、計画的かつ柔軟な介護実践を行うスキルを養い、利用者本位のケアを支える力を磨きます。
介護過程Ⅱ(25時間)
『介護過程Ⅱ』では、介護計画の作成から評価までの実践的なスキルを学びます。多職種連携やケアマネジメントも取り入れ、複雑な介護ニーズへの対応力を養う25時間の科目です。
学習内容
- 介護課程の進め方
- 介護課程の考え方と展開方法
- 利用者との関わり方の変化や思考プロセスの訓練
- ケアマネジメントを考慮した介護課程の進め方
- 介護課程の実践的展開
- 具体的な事例を用いた介護課程の学習
- アセスメントから計画立案、実施、評価までの流れをトレーニング
- 施設で暮らす高齢者の介護課程
- 施設における利用者へのケアの流れを事例で学習
- 在宅で暮らす高齢者の介護課程
- 在宅介護の事例を通じて、計画と実施方法を学ぶ
到達目標
- 情報収集、アセスメント、介護計画の立案・実施・モニタリング・見直しを一貫して行えるスキルを習得
- 具体例をもとに、介護課程の一連の流れを理解し、実務に活かすことができる
- 高齢者の生活環境(施設または在宅)に合わせた介護計画を実践的に展開
この学習を通じて、利用者に最適な介護サービスを提供するための高度な計画能力を身につけます。
領域③:こころとからだのしくみ
『こころとからだのしくみ』では、利用者の心と体の仕組みを理解するための基礎知識を学びます。この領域は、介護現場で求められる心身の健康に関する総合的な知識を提供し、利用者の状態に応じた適切なケアを行うための基盤を築きます。
発達と老化の理解Ⅰ(10時間)
『発達と老化の理解Ⅰ』では、老化に伴う心理的・身体的な変化とその日常生活への影響について学びます。老化の特徴を正しく理解することで、適切なケアを提供するための基礎を築きます。
学習内容
- こころの変化と日常生活への影響
老化が心理面に及ぼす影響を学びます。自己概念の変化や生きがいの喪失が日常生活にどう影響するかを考え、支援方法を習得します。 - からだの変化と日常生活への影響
加齢による身体機能の変化(姿勢、皮膚、免疫機能、感覚機能など)を学び、それが日常生活に与える影響について深く理解します。
到達目標
- 心理的変化の理解:老化による心理的変化の特徴を把握し、適切なケアを提供できる。
- 身体的変化の理解:身体機能の変化が日常生活に及ぼす影響を理解し、利用者に寄り添った支援ができる。
この科目を通じて、利用者一人ひとりの心身の状態を総合的に捉え、質の高い介護を提供する基盤を習得します。
発達と老化の理解Ⅱ(20時間)
『発達と老化の理解Ⅱ』では、老化に関連する疾患や発達心理学をより深く学びます。
学習内容
- 老化関連疾患の理解:認知症やパーキンソン病などの疾患に関する知識を習得。
- 心理的変化の把握:老化が心身に与える影響を詳しく学び、適切な支援方法を検討します。
到達目標
- 老化関連疾患を理解し、利用者に最適なケア方法を選択・実施できる能力を身につける。
この学習を通じて、専門的な知識に基づいた質の高い介護を実現します。
認知症の理解Ⅰ(10時間)
学習内容
『認知症の理解Ⅰ』では、認知症ケアの基本を学びます。
- 認知症ケアの理念: 現代の認知症ケアの理念や視点を理解。
- 生活障害と心理・行動の特徴: 認知症による生活上の障害や中核症状、行動・心理症状(BPSD)の理解。
- 関わりと支援の基本: 認知症の人や家族との適切な接し方や支援の基本を学ぶ。
到達目標
- 認知症ケアの理念を理解し、利用者の心理や行動特性を把握。
- 初期から適切な対応を実践し、家族への支援も含めた基盤を築ける。
この科目では、認知症患者との関わり方を深く学び、安心感を与えるケアを実践する力を養います。
認知症の理解Ⅱ(20時間)
学習内容
『認知症の理解Ⅱ』では、認知症に関する医学的知識と支援方法を深く学びます。
- 医学的な理解: 認知症の原因疾患、進行、症状、検査や治療方法を学ぶ。
- 支援とアセスメント: 認知症の人の生活歴や環境をアセスメントし、状況に応じた支援方法を検討。
- 地域サポート体制: 新オレンジプランや認知症サポーターなど、地域での支援制度を理解。
到達目標
- 認知症の原因や進行を理解し、適切な介護計画を立案・実施できる。
- チームアプローチや地域支援を活用し、利用者と家族を包括的にサポートできる。
この科目を通じて、医学的知識とケア技術を組み合わせた質の高い支援力を養います。
障害の理解Ⅰ(10時間)
学習内容
- 障害者福祉の理念
- 障害の概念や歴史を学び、今日の福祉理念を理解。
- 国際障害分類(ICF)と福祉制度の基本を学習。
- 障害による生活・心理の特徴
- 身体・知的・精神障害、発達障害、難病の生活上の影響や心理的特徴。
- 障害者総合支援法や身体障害者福祉法の基本知識。
- 障害児(者)と家族への支援
- 家族支援の方法、介護負担軽減、障害受容を支援する基礎を学習。
到達目標
- 障害者福祉の理念を理解し、支援の基本的視点を習得。
- 各障害の特性を把握し、適切なケアやサポートができる。
- 障害者と家族への寄り添った支援を提供する力を養う。
この科目は、障害者支援の基盤となる重要な知識を習得します。
障害の理解Ⅱ(20時間)
学習内容
- 医学的視点からの障害の理解
- 視覚障害、運動機能障害、発達障害、難病など、各種障害の原因・特性を学習。
- 障害に伴う機能変化とその影響を理解します。
- 障害児(者)支援の実際
- 個別支援の重要性や家族の状況把握、介護負担軽減の方法。
- 地域サポート体制の活用法も学びます。
到達目標
- 各種障害の特性や医学的知識を修得し、適切な支援計画を策定できる。
- 利用者や家族の状況を的確にアセスメントし、最適な支援を実施する能力を養う。
- 地域のサポート体制を理解し、支援に活用できるスキルを身につける。
この科目では、複雑な障害を持つ利用者への専門的かつ柔軟な支援を提供する基礎を学びます。
こころとからだのしくみⅠ(20時間)
学習内容
- 移動・移乗のしくみ
- 基本的な姿勢(臥位・座位・立位)や動作(寝返り、立ち上がり)の体の構造と機能を学ぶ。
- 食事に関連するしくみ
- 口腔や嚥下、消化器の基本的な知識を理解し、栄養摂取のサポート方法を学習。
- 清潔保持と入浴
- 皮膚の役割や発汗機能を学び、清潔保持の重要性を理解。
- 排泄のしくみ
- 尿・便排泄や人工膀胱・人工肛門の仕組みとケア方法を学ぶ。
- 整容と口腔清潔
- 毛髪や爪、口腔の構造を理解し、清潔保持の方法を習得。
- 睡眠のしくみ
- 自律神経系や成長ホルモンと睡眠の関係を学び、ストレスと睡眠の関係性も理解。
到達目標
- 心身の健康維持に必要な基本的な体の構造と機能を理解する。
- 利用者の生活を支える実践的な技術を習得し、ケアに応用できる。
この科目を通じて、利用者の心身を総合的にサポートするための基礎知識を学びます。
こころとからだのしくみⅡ(60時間)
『こころとからだのしくみⅡ』では、人体の構造や心理機能を深く学び、利用者の状態を的確に把握する方法を習得します。
学習内容
- 人間の心理
- 基本的欲求、記憶や学習の仕組みを理解。
- 人体の構造と機能
- 骨格・筋肉・神経、ボディメカニクスを学び、生命維持の仕組みを把握。
- 観察のポイント
- 移動・移乗、食事、入浴、排泄、着脱・整容、口腔清潔、睡眠の各場面で阻害要因や変化を観察し、適切に対応する方法を学ぶ。
- 終末期のケア
- 看取りの現状、死後の対応、家族への支援方法を学習。
到達目標
- 心身の状態を正確にアセスメントし、適切な介護計画を立案・実施できる。
- 観察力を活用して他職種と連携し、質の高いケアを提供する。
この科目では、利用者の全体的な健康管理や変化に対応するスキルを養います。
領域➃:医療的ケア
医療的ケアは、介護現場での安全かつ専門的なケア提供を学ぶ重要な領域です。この50時間のカリキュラムでは、演習授業以外のカリキュラムを自宅学習で学ぶことができます。介護職が医療行為の一部を適切に担えるよう、知識と技術を習得します。
学習内容
- 医療的ケアの基本知識
- 喀痰吸引や経管栄養の必要性、対象者の状態を理解。
- 医療行為に伴うリスクや安全管理の重要性を学びます。
- 実技演習
- 喀痰吸引:口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部の吸引技術。
- 経管栄養:胃ろうや経鼻チューブを使用した栄養管理の手順を習得。
- 法的基盤の理解
- 医療的ケアを行う際の法律や倫理、職域の範囲を学び、安全な実践を支える基盤を構築します。
- 緊急時対応
- 呼吸停止や異常発見時の初動対応、医療スタッフへの迅速な引き継ぎ方法。
到達目標
- 喀痰吸引や経管栄養を安全に実施できる技術を習得。
- 利用者の状態を的確に観察し、異常時に適切に対応する能力を養う。
- 医療現場と介護現場の連携を深め、利用者に安心感を提供できるスキルを身につける。
医療的ケアを学ぶメリット
医療的ケアを学ぶことで、介護福祉士としての専門性が高まり、現場で即戦力として活躍できます。また、資格取得後にはリーダー職や医療的ケアを要する利用者のケア担当者としてキャリアアップの道が開けます。
このカリキュラムを通じて、利用者の命を守る重要な技術と知識を習得しましょう。
実務者研修のスクーリング(対面授業)が必要なカリキュラム(科目)
介護福祉士実務者研修には、スクーリング(対面授業)が必須の科目があります。これらの科目では、実技の練習やグループワークを通じて、実務に直結するスキルを習得します。
特徴:
- 実技重視: たん吸引や経管栄養などの医療的ケアの実技科目が該当します。
- 講師の指導: 対面でのフィードバックを受け、技術を正確に学べます。
- 実践的な学び: 現場に即した訓練で即戦力を育成。
スクーリングは、専門的な技術を効率的に習得する貴重な機会です。質の高いケアを提供するために重要なステップとなります。
介護過程Ⅲ(45時間)
『介護過程Ⅲ』では、介護計画の立案や評価、チームでのケア実践力を学びます。
学習内容:
- 介護過程の展開: 事例を基にケアプランの立案から評価までを実践。
- 介護技術の応用: 原理原則の理解と実践による応用力・判断力の育成。
- チーム連携: 多職種や家族との協力体制を構築するスキル習得。
到達目標:
- 知識や経験を活用し、利用者一人ひとりに最適なケアプランを提供。
- 介護計画の立案・実施・モニタリング・見直しを体系的に実施。
- 安全管理や事故防止を徹底し、チームで効果的なケアを展開。
この科目は、実務者研修で学習したことや介護の実務で経験したことを論理的に理解し、多職種や他機関との連携して一人ひとりの利用者の状態に合わせて、最適な介護サービスをチームで提供できるようになるためのカリキュラムです。
介護過程Ⅲの実技評価で求められること
- 総合力の活用: 知識、技術、経験を基に適切な介護計画を立案・実施・評価できること。
- 現場対応力: 利用者一人ひとりの状態に合わせたケアを提供し、柔軟に対応できること。
- 安全管理: 安全確保や事故防止を徹底し、安心できる介護環境を維持できること。
- チーム連携: 多職種や家族と協力し、効果的なチームケアを実現できること。
実技評価では、理論と実践力を統合した実践的なスキルが求められます。
医療的ケア演習(12時間)
『医療的ケア演習』では、医療的な介護技術の実践的な習得を目指します。この科目は12時間の学習で構成されています。
具体的には、医療機器の使用方法や吸引技術、経管栄養のサポート方法などが取り上げられます。これらの技術は、医療的ケアを必要とする利用者に対して、安全かつ効果的なサポートを提供するために不可欠です。
到達目標としては、医療的ケアの基本技術を正確に実施できるようになり、利用者に対して専門的なケアを提供できる能力を身につけることが求められます。
医療的ケア演習の実技評価で求められること
『医療的ケア演習』の実技評価では、医療的な介護技術の習得度を確認します。具体的には、医療機器の正確な操作や、緊急時の対応方法が評価対象となります。
受講者は、実際の介護場面を想定したシナリオに基づき、正確かつ迅速に技術を実施することが求められます。これにより、医療的ケアの実践力が確認されます。
実技評価を通じて、受講者は自分の技術を客観的に評価し、必要な改善点を明確にすることが可能となります。
所持資格により異なる受講条件と学習内容、免除科目の確認
介護福祉士実務者研修の受講条件や学習内容は、所持資格によって異なります。
無資格の場合、全てのカリキュラムを履修する必要がありますが、一部資格を保有している場合は、該当科目が免除され、学習時間が短縮されます。
免除の内容は資格や研修機関によって異なるため、事前に詳細を確認することが大切です。効率的な学習のためにも、自身の資格に応じた受講計画を立てましょう。
無資格から始める場合
無資格で実務者研修を始める場合、全20科目・合計450時間のカリキュラムを履修する必要があります。学習内容は基礎知識から高度な技術まで幅広く、受講期間は約6ヶ月が目安です。
効率的に進めるためのポイント
- スケジュールの計画: 研修内容を把握し、学習時間を確保。
- 教材の準備: テキストやオンライン学習ツールを活用。
- 実技への備え: 対面授業に必要な準備を事前に確認。
無資格からでも、体系的な学習でスキルを身につけ、介護現場で即戦力として活躍できるようになります。
必要な受講時間(450時間)
無資格者が実務者研修を修了するには、全20科目450時間の学習が必要です。介護技術から医療的ケアまで幅広い内容を含みます。各科目の学習時間を履修し、実習や評価を通じて理解を深めることで、効率的に要件を満たせます。
受講期間(6ヶ月程度)
無資格者の実務者研修の標準期間は約6ヶ月です。仕事や家庭と両立しながら進めるには、定期的な学習計画が重要です。研修機関のサポートを活用し、効率的に学習を進めましょう。
資格保有者の場合
介護職員初任者研修などの資格保有者は、一部の科目が免除されるため、学習時間が短縮されます。例えば、『介護の基本I』や『生活支援技術I』が免除対象です。免除科目や条件は資格や研修機関により異なるため、事前確認が必要です。
免除される科目
実務者研修での免除科目は、保有資格により異なります。介護職員初任者研修を取得している場合、『介護の基本I』や『生活支援技術I』などが免除されることがあります。無資格や資格保有者の具体的に免除される内容は以下の表を参考にし研修機関で確認してください。※「医療的ケア」は講義50時間とは別に演習を修了する必要があります。
保有資格 | 必要な受講時間 | 免除される科目 | 免除時間数 |
---|---|---|---|
無資格 | 450時間 | なし | 0時間 |
ヘルパー3級 | 420時間 | 『介護の基本I』 | 30時間 |
ヘルパー2級 | 320時間 | 『介護の基本I』『生活支援技術I』『コミュニケーション技術』 | 130時間 |
介護職員初任者研修 | 320時間 | 『介護の基本I』『生活支援技術I』『コミュニケーション技術』 | 130時間 |
ヘルパー1級 | 95時間 | 『介護の基本I』『生活支援技術I』『コミュニケーション技術』『介護過程Ⅰ』 | 355時間 |
介護職員基礎研修 | 50時間 | 『介護の基本I』『生活支援技術I・II』『コミュニケーション技術』『介護過程Ⅰ・Ⅱ』 | 400時間 |
実務者研修を受講するメリット
介護福祉士実務者研修を受講すると、介護現場で必要な専門知識と技術を体系的に学べます。これにより、業務効率が向上し、質の高いサービス提供が可能になります。さらに、修了すると介護福祉士国家試験の受験資格を取得でき、キャリアアップや収入増加にもつながります。
介護福祉士国家試験の受験資格取得
実務者研修修了により、介護福祉士国家試験の受験資格を取得できます。介護福祉士は高い専門性を持つ資格で、キャリアの幅が広がり、職場での信頼やリーダーシップの機会が増加します。また、資格取得は給与や待遇の向上にも直結し、キャリアアップに大きなメリットをもたらします。
利用者の状態に合わせて最適な介護を「考える力」と質の高い介護技術の習得
実務者研修では、利用者一人ひとりの状態に応じた最適な介護を考える力と、質の高い技術を習得できます。身体介助やコミュニケーション技術など、実践的スキルを身につけ、利用者の生活の質を向上させる介護が可能となります。
医療的ケアを学べる
実務者研修では、喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアを学べます。これにより、安全で効果的なケアを提供し、緊急時にも迅速な対応が可能になります。医療と介護の連携が求められる現場で重要なスキルを習得できます。
キャリアアップにつながる
実務者研修を修了すれば、資格取得や専門性の向上により昇進や昇給のチャンスが広がります。責任ある役割を担えるようになり、転職や待遇改善にも有利です。長期的なキャリア形成に役立つステップです。
実務者研修のメリットに関してさらに詳しく知りたい方は
実務者研修の費用や講座選び
介護福祉士実務者研修を受講する際には、費用や講座選びが重要なポイントとなります。
実務者研修を受講する際には、受講費用や講座選びが大きなポイントとなります。これらをしっかりと比較検討することで、より自分に適した研修プログラムを選ぶことができます。
費用は研修機関や講座の内容によって異なるため、事前に詳細を確認することが重要です。また、割引制度や支払い方法についても確認しておくとよいでしょう。
講座選びでは、自分の学習スタイルやスケジュールに合ったカリキュラムを提供しているか、講師の質やサポート体制なども考慮することが大切です。
費用や割引制度の確認
実務者研修の費用は、講座の種類や研修機関によって大きく異なります。一般的には、自宅学習型の通信制の講座は比較的低価格で提供されている一方、スクーリングが含まれる講座はやや高額になる傾向があります。
また、多くの研修機関では、早期申込割引や団体割引、分割払いなどの割引制度を設けています。これらを活用することで、費用を抑えながら効率的に研修を受講することが可能です。
さらに、雇用保険や介護保険を活用した補助金制度も存在するため、受講前にこれらの制度を確認し、利用できるかどうかをチェックすることが推奨されます。
スクールや講座選びのポイント
実務者研修を選ぶ際は、以下の点を確認しましょう:
- 認定状況と実績
信頼できる研修機関かどうか確認します。 - 学習スタイルとスケジュール
働きながらでも無理なく受講できる講座を選ぶことが大切です。 - 講師やサポート体制
講師の質や受講後のサポートが充実しているかをチェックしましょう。 - 実技評価の有無
実践的なスキルを学べるかも重要です。
総合的に判断し、自分に合った講座を選ぶことが成功の第一歩です。
実務者研修カリキュラムのまとめ
介護福祉士実務者研修のカリキュラムは、『人間と社会』、『介護』、『こころとからだのしくみ』、『医療的ケア』の4領域で構成され、合計450時間の学習が必要です。
自宅学習とスクーリングを組み合わせた柔軟なスタイルで、働きながらでも無理なく受講可能です。また、資格保有者は一部科目が免除され、効率的に修了できます。
修了後は介護福祉士国家試験の受験資格を取得でき、キャリアアップや専門性向上に直結します。
湘南国際アカデミーの実務者研修カリキュラムで資格取得
湘南国際アカデミーでは、実務者研修カリキュラムを充実させ、受講者が効率的かつ効果的に資格取得を目指せるようなプログラムを提供しています。
湘南国際アカデミーのカリキュラムは、厚生労働省が定めた基準に準拠し、さらに通信添削課題の内容は介護福祉士国家試験の出題基準を網羅しているため、湘南国際アカデミーの実務者研修を受講すると同時に、介護福祉士国家試験の試験対策にもつながっております。
また、経験豊富な講師陣が直接指導することで、実践的なスキルの習得をサポートします。
さらに、柔軟な学習スケジュールやオンライン学習の導入により、忙しい社会人でも無理なく研修を進めることが可能です。湘南国際アカデミーの実務者研修カリキュラムを活用し、介護福祉士の資格取得を目指しましょう。