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【第1回】介護人事考課目標|介護人材採用“戦略”のポイントは目標期間

  • 介護職員初任者研修
【第1回】介護人事考課目標|介護人材採用“戦略”のポイントは目標期間

〜「介護人事考課目標」と「定着目標期間」で変わる採用設計〜

人手不足時代の「採用」は“選ばれる力”が求められる

本記事は、湘南国際アカデミーが提案する全6回+特別編のコラムシリーズ「介護・医療法人向け人材支援コラム」の第1回目です。

このシリーズでは、慢性的な人材不足に悩む介護・医療法人に向けて、採用から定着、そして育成までを一貫して見直すための実践的なノウハウをお届けしています。現場の声に耳を傾けながら、戦略・戦術・戦闘という3つの視点を軸に、法人が中長期で人材を確保し続けるための支援策を構造的に解説していく連載企画です。

その中でも本稿では、採用後の“定着”に焦点を当て、「介護人事考課目標」と「定着目標期間」という2つの概念について深掘りしていきます。

採用して終わりではなく、「育てて、定着して、活躍してもらう」ことを前提に採用戦略を組み立てる時代が始まっています。

人材を“採って終わり”にしない時代へ

「とにかく人が足りないから、誰でもいいから採りたい」という採用姿勢は、今の時代には通用しません。求人広告や紹介会社への出稿費用が高額化する中、採用した人材が数ヶ月で離職してしまえば、法人にとっては“採用損”以外の何ものでもありません。

そこで重要なのが、「採用をコストではなく“投資”として捉える」視点です。たとえば、30万円かけて採用した職員が3ヶ月で辞めてしまったら、1ヶ月あたり10万円の損失となり、全く回収できなかったということになります。

この投資を“回収可能”にするためのフレームが、湘南国際アカデミーが提唱する「定着目標期間」です。

減価償却モデルで考える「人材定着」とは?

企業経営において「減価償却」という考え方があります。これは、設備やソフトウェアといった資産にかけた費用を、複数年にわたって分割しながら計上していく仕組みです。たとえば1,200万円の設備であれば、月々100万円ずつのコストとして管理するようなものです。

湘南国際アカデミーでは、こうした「費用対価を計画的に管理する」という発想を、人材採用と定着にも応用できるのではないかと考えています。

たとえば、一人の介護職員の採用にかかるコストが30万円だったとしましょう。
この金額を“12ヶ月の定着”で回収する設計を立てた場合、1ヶ月あたり2.5万円の戦力価値があると捉え、1年間勤務してもらうことで初めて投資が回収されたことになります。

一方で、仮に3ヶ月で退職してしまった場合、回収できたのは7.5万円だけ。残りの22.5万円は未回収、すなわち「損失」となってしまいます。

こう聞くと、まるで人を“モノ”として扱っているように思われるかもしれません。
しかし、ここで私たちが伝えたいのは**「人材の価値を定量的に捉えて軽視すること」では決してありません。**

むしろ逆に、「人材にこそ真摯に向き合い、採用する段階から“どう育て、どう活かしていくか”を明確に設計する必要がある」という考え方です。

人に期限を設けないまま、期待だけを背負わせていないか?

多くの法人では、モノに対しては「何年で償却するか」という明確な管理基準を持ちながら、人材に対しては“いつまでも働いてくれる”という漠然とした期待を抱いたまま、目の前の一人ひとりに計画的に向き合えていないという現実があります。

しかし、私たちはもう一度冷静に振り返る必要があります。

終身雇用制度が事実上終わったのは、すでに20年以上も前のことです。
いまの労働市場では、職員がスキルアップやライフスタイルの変化を求めて転職をすることは、むしろ自然なキャリア形成の一環となっています。

そんな時代において、いつまでも同じ職員が自社にいてくれるという前提で採用や育成を設計してしまうと、教育体制も評価制度も、現実に追いつかない“絵に描いた餅”になってしまう危険性があります。

だからこそ、「定着目標期間」を設けるのです。

これは、「この人には最低1年は働いてほしい」「1年経ったらこのくらいのスキルに育っていてほしい」という法人側の期待を可視化し、目の前の人材ときちんと向き合うための誠実な姿勢でもあります。

「定着目標期間」は育成と評価の設計図

定着目標期間を軸に設計することで、次のような管理が可能になります:

  • 採用基準の明確化(どんな人に何を期待するか)
  • 面接で伝えるキャリアパスの可視化
  • OJTや教育の段階設定
  • 処遇と評価の一体化

これは単なる「人件費の管理」ではなく、一人ひとりの職員がその人らしく活躍し、法人の力になってもらうためのマネジメント戦略なのです。

そして、しっかりと1年間活躍してくれた職員が次の場所でリーダーとして活躍したり、「この職場で学べてよかった」と語ってくれるような関係性を築ければ、それは離職ではなく、“地域の中で循環する人材価値”を生み出したことにもなります。

「定着目標期間」は法人の意思表示

「できれば長く働いてほしい」という気持ちは多くの法人に共通していますが、それが具体的に「何年なのか」「何ができる状態なのか」を定めていないと、採用後のフォローや教育もあいまいになります。

定着目標期間を明確にすることは、法人が採用した人材に対して掲げる“期待値の見える化”であり、同時に法人自身が「どのような人材をどのように育てたいか」という意思を外部に向けて発信する行為でもあります。

求職者にとっても、自分の働き方やキャリア形成をイメージできる職場は安心感があります。
「この職場なら1年頑張れば成長できる」「この会社には育成計画がある」と感じられることは、応募動機の形成や離職防止に直結します。

面接で伝えるべきは「成長の道筋」

面接時によくあるのが、「いてくれるだけでありがたい」と伝える対応です。
もちろん、本音ではあるかもしれません。しかし、これでは求職者に「期待されていない」「ただの人手として扱われている」と感じさせてしまう恐れがあります。

湘南国際アカデミーでは、「うちは“石の上にも3年”ではなく、“石の上にも1年”です」と伝えるよう推奨しています。
これは、1年間しっかりと頑張れば、他法人でも通用するレベルまで育てる体制がある、という意思表示です。

このメッセージは、求職者にとって「ここでなら、自分もやれるかもしれない」「1年頑張ってみよう」という前向きな気持ちを引き出します。
さらに、退職する時にも「1年間しっかりやった」という自信が残るような育成ができれば、離職もブランド化につながるのです。

つまり、「定着目標期間」を設定し、その道筋を面接の段階から明確に伝えることが、採用の質と職員のモチベーション維持に直結します。

次の章では、この「定着目標期間」に沿った育成設計の方法や、「介護人事考課目標」の具体的な活用事例について、段階別に丁寧に解説していきます。

「介護人事考課目標」とは何か?目標設定の概要

介護業界における人事考課の意義

人事考課とは、職員の業務遂行能力・勤務態度・成果などを評価する制度です。
しかし、介護業界ではまだ明確な人事考課制度が整っていない法人も多く、「経験年数」や「主観的な印象」が評価軸になっているケースも見受けられます。

こうした状況では、職員自身が「何を目指せばよいのか」が不明確になり、成長の実感や評価への納得感が薄れてしまいます。

職員の育成やモチベーション維持、離職防止において、目標を数値や行動で可視化する「人事考課目標」は不可欠です。

介護職の目標設定(仕上がり像)が求められる理由

人材が定着するためには、「自分がこの職場でどう成長していくのか」という未来像を描けることが重要です。
そのため、法人側が「いつまでに、どのような業務を任せられる人材に育てたいか」という“仕上がり像”を具体的に提示する必要があります。

この仕上がり像こそが、「介護人事考課目標」として機能し、求職者にとっての安心材料となり、法人にとっての評価基準にもなります。

採用を未来の仕上がり像から逆算する|定着目標期間とは?

「定着目標期間」とは、採用した職員が“最低限どのくらいの期間は定着してほしいか”を法人が明確に設定するものです。

例えば、以下のように設定できます:

  • 1年:業務の基本が身につき、他施設でも通用するレベル
  • 3年:介護福祉士国家資格の取得を経てリーダー職候補として育成
  • 5年:管理職や教育担当として後進指導を担う

このように、将来像を明確にし、そこに向けて人事考課目標を連動させることで、採用後の育成プラン・評価制度・処遇設計も連動します。

湘南国際アカデミーでは、この「定着目標期間」×「人事考課目標」による採用設計を、多くの提携法人様へ提供していきます。

定着目標期間で“育成の未来図”を考える

キャリア段階別:介護職の目標設定事例|目標期間は短めに

法人としては長く働いてほしいという思いがあるものの、目標期間はあえて短めに設定する方が、職員のモチベーション維持に効果的です。以下、段階別に目標設定例を紹介します。

新人(入社~1年目)の目標設定例

  • 3ヶ月:OJTにより基礎業務を習得(移乗介助、排泄介助など)
  • 6ヶ月:夜勤業務+日勤帯での業務を自立
  • 12ヶ月:業務の基本が身につき、他施設においても基本業務が通用するレベル

中堅(入社2~3年目)の目標設定例

  • 2年目:介護福祉士取得に向けた学習支援
  • 2年半:リーダー補佐として記録管理・シフト調整を習得
  • 3年目:ユニットリーダーとしてチーム運営に関与

ベテラン(入社3年目以降)の目標設定例

  • 4年目:後輩指導の体系化(育成マニュアル作成等)
  • 5年目:管理者補佐として施設運営や研修講師を担う
  • 6年目以降:法人全体の採用や教育の企画立案に携わる

目標設定の基礎:評価基準と定性的要素の捉え方

目標を設定しても、それが「どう評価されるか」が曖昧であれば、職員のモチベーション向上や人材育成にはつながりません。
そこで重要になるのが、明確な評価基準の設計です。

評価制度は、採用・育成・定着のすべてをつなぐ“中核”とも言える存在です。特に介護職においては、業務が「対人・日常的」であるがゆえに、目に見える成果だけでは評価しきれない側面があります。
そのため、定量(数字)と定性(行動・姿勢)をバランスよく組み合わせる必要があります。

介護職に適した評価項目の設定方法

介護業務には、他の職種では見えにくい“感情労働”や“寄り添い力”といった、目には見えない要素が多分に含まれています。
よって、評価項目は次のような多角的視点で構築することが望ましいです。

【基本スキル】

  • 身だしなみ、感染対策などの基本遵守
  • 介助技術(移乗、排泄、食事、入浴 等)

【定性スキル】

  • 利用者への声かけ、笑顔、共感的対応
  • チームメンバーへの報連相、協調性

【成果/実績】

  • 介護記録の正確性・提出期限の遵守
  • 提案活動(業務改善の発信、ミーティング参加)

【自己成長】

  • 研修参加率、自己学習の取り組み
  • 資格取得への意欲・実績

法人によっては、これらを「職能基準表」「コンピテンシーモデル」「能力等級制度」などに分類し、キャリア段階ごとの期待値を明示している事例もあります。

定性的評価での目標例と数値目標のバランス

数値化が難しい“人間力”や“態度”の評価も、次のように「行動ベース」で記述することで、主観性を減らすことが可能です。

【例1】定性的目標 → 行動化の例

  • NG例:「チームワークを大切にする」
  • OK例:「週に1回は他職員へのサポート申し出や声かけを行う」

【例2】信頼構築の評価 → 定量化の例

  • OK例:「月に1回、担当利用者のご家族に様子を報告し、フィードバックを記録する」

このように、「行動の回数」や「頻度」「記録の有無」といった定量的指標と組み合わせることで、評価の“見える化”が進み、職員も納得感を持って振り返ることができます。

達成期限と成果指標の考え方

職員の目標設定には、「何を」「いつまでに」「どの程度できるようになるか」を明確にする必要があります。
これは、人材育成だけでなく“行動量の確保”にもつながります。

【SMART原則】で目標を具体化

  • S(Specific/具体的):「夜勤業務を自立してこなせるようになる」
  • M(Measurable/測定可能):「記録業務を30分以内に完了できる」
  • A(Achievable/達成可能):現状のスキルから段階的に目指せる内容
  • R(Relevant/関連性):法人の評価制度や処遇制度と連動している
  • T(Time-bound/期限がある):「入社6ヶ月以内に」など

達成目標の例:

  • 「3ヶ月以内にOJT評価90%以上」
  • 「6ヶ月後に夜勤に一人で入ることを許可」
  • 「1年後に介護福祉士受験の意思表明と学習開始」

これにより、職員が“漫然と働く”のではなく、「この時期にこれを目指す」というキャリアのマイルストーンを持つことが可能になります。

このように、評価制度の構築と目標管理は、育成と定着を両立させる“経営戦略の核”となります。
各法人様におかれましては、これらの評価の結果をどのように処遇(報酬・昇格)へ反映し、法人全体のモチベーション設計につなげていけるかを少しずつ掘り下げていくことになります。

FAQ|介護人事考課目標と定着支援に関するQ&A

Q1.
定着目標期間はどのくらいが適切ですか?
A

定着目標期間は、「この人にどのくらい働いてほしいか」という漠然とした希望ではなく、「その期間でどのような状態に育成したいのか」という法人側の明確な育成設計に基づいて設定すべきです。
新人職員の場合、1年間で基本スキルを定着させ、「他の施設でも通用する力を持った人材に育てる」という設計がひとつの基準です。
これは採用コストを回収するという視点だけでなく、人材を信頼し、戦力として育てる法人側の責任でもあります。

Q2.
人事考課目標はすべて数値化するべきでしょうか?
A

いいえ、必ずしもすべてを数値化する必要はありません。むしろ介護職の本質的な力には、「人への関わり方」「気づきの力」「思いやり」など、定量化しづらい要素が多く存在します。
重要なのは、そうした定性的な要素を具体的な行動に置き換えて評価できる状態にすることです。
たとえば「チームワークがある」ではなく、「週1回以上、他職員への声かけ・サポートの申し出を行っているか」といった形にすることで、実務との連動性も高まります。

Q3.
評価項目の設定はどのように行うと効果的ですか?
A

評価項目は、「法人が求める人材像」に直結している必要があります。
まずは介護職に求める能力(技術・態度・行動)を明確にし、そのうえで「誰が見ても公平に判断できる状態」に落とし込むことが大切です。
利用者満足度、記録の正確性、協調性、声かけの頻度など、目に見える行動レベルに細分化することで、育成と評価が両立しやすくなります。

Q4.
面談やフィードバックの頻度はどのくらいが理想ですか?
A

一般的には「3ヶ月に1回」が最低ラインであり、理想は「月に1回程度」の定期的な対話です。
定着率の高い法人では、面談が“評価”の場ではなく“成長支援”や“悩みの共有”の場として機能しており、それが信頼関係の構築にもつながっています。
忙しい現場であっても、“話を聴く文化”を定着させることが、人材流出を防ぐ最も効果的な方法のひとつです。

Q5.
離職を前提にした目標設定は、逆に職員のやる気を削いでしまいませんか?
A

その懸念はもっともですが、実際にはその逆です。
“終わりが見えない努力”よりも、「この1年間でここまで育つ」というゴールのある働き方の方が、職員は安心して力を発揮できます。
離職をネガティブに捉えるのではなく、「卒業後も地域の中で活躍する人材に育てる」という視点を持つことで、職員との関係性も継続的な信頼に変わっていきます。
採用時点で「まずは1年、やり切る価値のある職場」を提示することが、戦略的な採用設計につながるのです。

まとめ|適切な目標設定(定着目標期間)が未来をイメージさせる

介護業界における人材不足の本質は、「採用ができないこと」ではなく、「採用した人材が活躍する前に離職してしまう構造」にあります。

そしてその構造は、採用後の育成や評価、将来像の提示といった“戦略不在”によって引き起こされているケースが少なくありません。

そこで本記事で提案したのが、「定着目標期間」と「介護人事考課目標」という2つの軸です。

  • 定着目標期間は、“この人にどのくらい働いてもらいたいか”という法人の意思表示
  • 人事考課目標は、“どのように育ってほしいか”という具体的な成長設計図

この2つが連動することで、採用・育成・評価が一本の線につながり、職員にも法人にも「未来のイメージ」が共有されるようになります。

また、求職者にとっても「この職場でなら、自分の成長が見込める」「この1年に意味がある」と感じてもらえることは、離職率の低下だけでなく、入職動機そのものを高める効果もあります。

今から始められる「定着支援の第一歩」

  • 求人票に“1年後の姿”を明記してみる
  • 面接で「育成プラン」を提示してみる
  • 定着目標期間に基づいた評価制度の設計を考えてみる

小さな取り組みの積み重ねが、職員の安心感を生み、法人のブランディングにもつながっていきます。

湘南国際アカデミーでは、こうした考えに基づき、法人の採用・育成・評価制度の整備支援を行っています。
人材を単なる“人手”ではなく、“未来を担う存在”として育てていくための仕組みづくりを、ぜひ私たちと一緒に考えていきましょう。

次回予告:【第2回】介護職の離職率は面接時の応対次第で大きく変わる

介護業界では、採用面接で交わされる“たった一言”が、入職後の定着率を大きく左右することをご存知でしょうか?

次回は、「人が辞めない組織をつくるための面接設計」をテーマに、採用戦略の中でも見落とされがちな“対話力”と“期待の伝え方”について掘り下げていきます。

求職者の“心をつかむ”面接は偶然ではなく、構造と設計によってつくられる。
そんな面接の現場で使える実践テクニックを、事例とともにご紹介いたします。

続きはこちら⇒「【第2回】介護職の離職率は面接時の応対次第で大きく変わる

この記事を書いた人
学生時代から海外での仕事に興味を持ち、カナダに渡り約2年間社会人経験を積む。
父親が在宅介護を必要としたため、帰国。その後は介護の資格を取得し、訪問入浴に従事。数年間、事業コンサルティング・マーケティング業界にて営業職を経験し、2011年に株式会社アメイジュにて湘南国際アカデミーを立ち上げる。これまでの卒業生はのべ43,000名以上。
株式会社アメイジュ代表取締役社長、NPO法人湘南国際アカデミー代表理事、介護福祉業界の人材採用支援、コンサルティング、マーケティングサポートを手掛ける。業界全体の活性化に貢献できるよう、日々尽力している。
担当スタッフ
藤沢校・横須賀校・海老名校・相模大野校・横浜戸塚校・横浜馬車道関内校・小田原校・大和校・横浜二俣川校
【所持資格】