障害福祉サービスの支援は、提供して終わりではなく「いまの支援が本人の状態・希望に合っているか」を定期的に確かめることが重要です。その中心となるのがモニタリングです。
本記事では、モニタリングの実施タイミング・シートの項目設計・書き方の型・状況別記入例・注意点を、介護のモニタリングと混同しないよう障害福祉サービスに特化して解説します。
介護のモニタリングとの違いについては、以下のページで解説しています
障害者支援のモニタリングとは
モニタリングは、個別支援計画やサービス等利用計画の内容が利用者の状況・ニーズに合っているかを定期的に確認するプロセスです。支援の効果・安全性・本人の満足度を点検し、必要な改善や計画修正につなげることが目的です。
介護保険のモニタリングがケアマネジャーの役割であるのに対し、障害福祉では個別支援計画のモニタリングはサービス管理責任者が、サービス等利用計画のモニタリングは計画担当者が実施します。担当者が誰かを記録に明記しないと、減算の対象になるため注意が必要です。
実施タイミングと頻度(法令の規定)
モニタリングの頻度は障害者総合支援法で定められています。「何かあったらやる」ではなく、変化が表面化する前に兆しを拾うことが目的のため、定期的な実施が義務づけられています。
| 頻度 | 対象者・条件 |
|---|---|
| 1か月ごと(3か月間に限る) | 新規利用者/サービスの種類・内容・量に著しい変更があった者 |
| 1か月ごと(継続) | 入所施設からの退所等に伴い集中的支援が必要な者/単身世帯または家族等の障害・疾病により連絡調整が難しい者 |
| 3か月ごと | 居宅介護・行動援護・同行援護・短期入所・重度訪問介護・自立訓練・就労移行支援・就労定着支援・自立生活援助・日中サービス支援型GH利用者/65歳以上で介護保険ケアマネジメントを受けていない者 |
| 6か月ごと | 障害者支援施設・のぞみの園・療養介護の利用者および重度障害者等包括支援利用者 |

介護福祉士・介護支援専門員
【監修者コメント】
介護老人福祉施設での研修受け入れ担当として100名以上の指導にあたった経験から言うと、モニタリングの頻度が遅れると、支援者間の認識のズレが静かに広がります。担当者が変わっても引き継げる記録を残すことが、利用者の安全と支援の継続性を守る基本です。
(参照:厚生労働省「障害福祉サービスについて」)
モニタリングシートの記入項目
モニタリングシートには決まった国の様式はありませんが、「本人の状態を捉える項目」と「個別支援計画と連動して評価する項目」をセットで設計すると、判断の根拠が明確になります。
| 区分 | 項目 | 記載のポイント |
|---|---|---|
| 基本情報 | 実施日・実施者・同席者 | 実施者はサービス管理責任者または計画担当者を明記 |
| 本人の状態 | 生活面(ADL・IADL・生活リズム) | 「自立/介助」だけでなく、どこで声かけが必要かを具体化 |
| 健康面(身体・精神) | 数値が取れるものは変化を示す。精神面は頻度・程度・持続時間で記載 | |
| 計画連動項目 | 短期・長期目標の達成度 | 達成率・実施回数・支援の必要量の変化で示す |
| 本人・家族の満足度・意向 | 本人の発言を引用、または具体的行動で記録。主語を分けて記載 | |
| 計画変更の必要性 | 「なぜ必要/不要か」を根拠とセットで記載 | |
| 課題・次回 | 新たな課題・今後のアクション・再評価時期 | 誰が何をいつ行うかまで書く |
モニタリングの書き方の基本(事実→評価→判断→次回)
読み手が再現できる記録にするには、出来事の列挙ではなく「根拠→解釈→結論→次アクション」の順で書くのが基本です。
| ステップ | 書くべき内容 | 避けるべき表現 | 良い例 |
|---|---|---|---|
| ①事実 | 観察事実・回数・頻度・期間・場面 | 「最近落ち着いている」 | 「直近4週間、離席は週1回から0回に減少」 |
| ②評価 | 目標への影響・支援要因の分析 | 「頑張っていた」 | 「視覚的な確認が見通しの安定につながったと考えられる」 |
| ③判断 | 現行支援の妥当性・修正の要否 | 「様子をみる」 | 「現行支援は概ね妥当。計画修正は不要」 |
| ④次回 | 具体的アクション・担当者・再評価時期 | 「継続して対応」 | 「2か月後に支援回数を○○が再評価する」 |

介護福祉士・介護支援専門員
アセスメントとモニタリングの違いについては、以下のページで整理しています
状況別モニタリングシート記入例
以下では代表的な3パターンで、同じ項目でも書き分けるポイントを示します。どのパターンでも「事実と評価を分け、次回の打ち手を明確にする」点は共通です。
① 目標達成に向かっている場合
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 事実 | 直近4週間、通所は週4日を欠席なく継続。作業開始前の不安訴えは週3回から週1回となり、スタッフへ体調を言葉で伝えられる場面が増えた。 |
| 評価 | 事前に一日の流れを視覚的に確認し、開始前に選べる休憩方法を用意したことで見通しが立ち、不安が軽減したと考えられる。 |
| 判断・次回 | 現行の支援内容は概ね妥当。次回までに休憩の取り方を本人が自分で選択・申告できるよう、チェックリストを簡略化する。 |
② 計画修正が必要な場合
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 事実 | 直近1か月、欠席が月0回から月3回に増加。午後に疲労感の訴えが強く、集団活動では離席と拒否反応が出る場面が見られた。 |
| 評価 | 目標の「集団活動への参加頻度」が現状の体力・感覚過敏に対して負担が大きい可能性がある。通所自体への抵抗につながっていると考えられる。 |
| 判断・次回 | 計画修正が必要。短期目標を「安心できる場所で10分参加」などスモールステップへ変更。2〜4週間で再モニタリングし負担要因を再評価する。 |
③ 健康状態・環境に変化があった場合
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 事実 | 2週間前に服薬内容が変更となり、日中の眠気が増加。自宅内でふらつきがあり、転倒未遂が1回あった。家族の就労状況が変わり、朝の見守りが一部難しくなったとの申出があった。 |
| 評価 | 服薬変更による眠気が転倒リスクを高めている可能性がある。家族の支援力低下により、体調悪化の早期発見が遅れる懸念がある。 |
| 判断・次回 | 緊急度:中〜高。医療機関へ眠気・ふらつきの状況を共有し服薬調整を確認する。次回モニタリングは1か月以内に前倒しする。 |
モニタリング作成時の注意点
モニタリングは「評価文書」のため、根拠が薄い断定や計画と無関係な記述を避け、見直しにつながる情報に絞ることが重要です。以下の3点を特に意識してください。
①サービス提供内容の妥当性を確認する
計画どおりに実施できたかを事実で示す。実施できなかった場合は「なぜ実施できなかったか」を本人要因だけでなく、事業所側の体制や環境要因も含めて整理する。
②本人・家族のニーズ変化を主語を分けて記録する
本人のニーズと家族のニーズを混ぜず、「本人は〜と希望」「家族は〜と述べた」のように主語を明確にする。ニーズ変化への対応は、支援量の変更だけでなく方法の工夫・連携先の追加も選択肢に含める。
③否定的な記述は事実と環境条件に落とす
できていない点を書くときは本人の人格評価にならないよう、観察事実と環境条件で記載する。次回の支援内容を具体化し、いつ再評価するかまで書くとPDCAとして機能する。
FAQ|障害者支援のモニタリングに関するよくある質問
- Q1.障害福祉のモニタリングは誰が行いますか?
- A
個別支援計画のモニタリングはサービス管理責任者が、サービス等利用計画のモニタリングは計画担当者(相談支援専門員)が担います。記録の実施者名が担当者以外になっているとサービス管理責任者欠如減算の対象になるため、必ず確認が必要です。
- Q2.モニタリングシートに決まった様式はありますか?
- A
国が指定する様式はありません。自治体が参考様式を提示しているケースがありますので、まず管轄の自治体に確認することをお勧めします。様式が自由な場合でも、実施日・実施者・目標の達成度・計画変更の要否など必須項目を押さえれば自由に設計できます。
- Q3.モニタリングを実施しないと減算になりますか?
- A
減算の対象になります。モニタリングが正しく実施・記録されていない場合、「モニタリングされていない」とみなされる可能性があります。特にサービス管理責任者欠如減算は実務上の影響が大きいため、実施者・日付・内容の記録を必ず残してください。
- Q4.介護のモニタリングと障害福祉のモニタリングの違いは何ですか?
- A
根拠法・担当者・連動する計画が異なります。介護保険はケアマネジャーがケアプランと連動して実施しますが、障害福祉はサービス管理責任者または計画担当者が個別支援計画・サービス等利用計画と連動して実施します。「変化を確認し計画を見直す」という本質的な目的は共通です。
- Q5.モニタリングで大きな変化を発見した場合はどうすればよいですか?
- A
変化の程度に応じて対応が変わります。小さな調整はモニタリング内や次期計画で対応できますが、体調悪化・家族状況の変化・サービス継続が困難な状況など生活の前提が変わる場合は、定期モニタリングを待たず緊急モニタリングを実施し、個別支援計画の見直しを速やかに行います。
まとめ
障害者支援のモニタリングは、個別支援計画の実効性を担保し、本人の変化とニーズに合わせて支援を更新するための要です。
実施頻度は障害者総合支援法で規定されており、未実施・記録不備は減算につながります。シートは「本人の状態」と「計画連動の評価項目」をセットで設計し、書き方は「事実→評価→判断→次回」の型で統一すると、チームで共有できる記録になります。
記録の量より再現性を優先し、次回の具体的なアクションまで落とし込むことで、モニタリングがPDCAとして機能します。
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湘南国際アカデミーでは初任者研修・実務者研修・介護福祉士受験対策の講師を務めるほか、受験対策テキストの執筆も担当。
介護技能実習評価試験評価者として外国人介護士の受け入れ支援、事業所向けスキルアップ研修のプロデュースなど、人材確保・育成・定着に向けた幅広い活動を展開している。






