介護福祉士実務者研修は、介護を行うにあたって必要な知識や実務技術を学べる資格です。専門的なスキルを習得できるのに加えて、「介護福祉士国家試験」の受験資格を得るために必要な研修でもあります(実務経験ルートの場合)。
介護福祉士実務者研修は指定されたカリキュラムをスクールで受講することで資格が取得できます。もしかしたら、スクールを受講するのにかかる費用が気になっている人もいるかもしれません。
この記事では、介護福祉士実務者研修の受講の際に利用できる割引制度を解説します。
介護福祉士実務者研修の受講資格や内容
まずは、介護福祉士実務者研修で何を学べるのか、どこで学べるのかといった、基本的な概要について解説します。
介護福祉士実務者研修で学ぶ内容
介護福祉士実務者研修は介護サービスの利用者一人ひとりに合わせた質の高いケアを提供するために、「なぜそうするのか」という根拠と、それを実践するための技術を体系的に学びます。
例えばおむつ交換や入浴介助、ベッドから車いすへの移乗といった基本的な技術を理論的に学習します。利用者の体に負担をかけず、かつ自分の体も守るためのボディメカニクスも演習します。
さらに、加齢や障がいによって起こる心や体の変化も学びます。利用者の言動の背景を推測し、寄り添う視点を身につけるためです。
また、「喀痰吸引(かくたんきゅういん)」や「経管栄養(けいかんえいよう)」といった医療的ケアを学べる点も介護福祉士実務者研修の特徴です。
介護福祉士実務者研修の標準的な受講時間の目安は450時間で通学(スクーリング)と自己学習を組み合わせて受講します。
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介護福祉士実務者研修が学べる場所
介護福祉士実務者研修は、全国各地のさまざまな機関で受講できます。主な受講先には、福祉系の専門学校や養成校、民間のスクール、資格講座を運営する会社、また地方自治体や社会福祉協議会が委託する研修などがあります。
介護福祉士実務者研修の受講資格
介護福祉士実務者研修は誰でも受講可能で、介護の実務経験がなくても申し込むことができます。なお、旧ホームヘルパー2級や介護職員初任者研修の修了者は、以下の表の通り一部科目が免除されるため、資格取得のための受講時間や在籍期間を短縮できる場合があります。
保有資格 | 在籍期間 | 学習時間 (カリキュラム総時間) | 免除される科目 |
---|---|---|---|
無資格 | 6ヶ月以上 | 450時間 | 免除なし(全科目受講) |
喀痰吸引等研修 | 4ヶ月以上 | 400時間 | 50時間の科目免除 |
初任者研修修了者 (旧ホームヘルパー2級) | 4ヶ月以上 | 320時間 | 130時間の科目免除 |
ホームヘルパー1級修了者 | 1ヶ月以上 | 95時間 | 355時間の科目免除 |
介護職員基礎研修修了者 | 1ヶ月以上 | 50時間 | 400時間の科目免除 |
介護福祉士実務者研修の受講にかかる費用
ここでは、介護福祉士実務者研修の一般的な費用相場と、保有資格による違いについて解説します。
受講費用の相場と内訳
介護福祉士実務者研修の受講費用は、無資格者の場合には一般的に10万円から20万円程度が相場ですが、以下の表にあるように地域や所持資格の他にも、スクールや受講形態によって異なるため事前に確認しましょう。費用は主にテキスト代などの教材費も含みます。スクールによっては、受講申込料や補講費用、実習費用などが別途必要となる場合もあるため、費用の内訳も確認しましょう。
保有資格の種類 | 首都圏エリア 実務者研修の費用相場 | 首都圏以外のエリア 実務者研修の費用相場 |
---|---|---|
介護職員基礎研修 | 2.5万円~5.5万円程度 | 3万円~6万円程度 |
ホームヘルパー1級 | 4万円~9万円程度 | 5万円~10万円程度 |
介護職員初任者研修 ホームヘルパー2級 | 8万円~12万円程度 | 8万円~13万円程度 |
生活援助従事者研修 | 9万円~13万円程度 | 10万円~15万円程度 |
入門的研修 | 10万円~14万円程度 | 11万円~17万円程度 |
無資格者(実務経験1年以上) | 11万円~18万円程度 | 12万円~20万円程度 |
無資格者(実務経験1年未満) | 11万円~18万円程度 | 12万円~20万円程度 |
取得資格による費用の違い
介護福祉士実務者研修の受講費用は、受講者が保有する資格によって大きく異なります。これは、保有資格に応じて一部科目が免除されるためです。
無資格の場合
介護に関する資格を何も持っていない場合は、すべてのカリキュラムを受講する必要があるため、受講費用は最も高くなります。通常10万円~20万円程度かかります。
介護職員初任者研修を修了している場合
介護職員初任者研修を修了している場合、研修の一部科目が免除されます。受ける授業が少なくなる分、受講費用も5万円から10万円程度に抑えられます。
旧ホームヘルパー2級を修了している場合
旧ホームヘルパー2級の資格を持っている場合も、一部科目が免除されます。受講費用は介護職員初任者研修の修了者と同程度の5万円から10万円になることが多いです。
介護福祉士実務者研修の受講費用を抑えられる制度
介護福祉士実務者研修の受講費用を抑えるための公的制度や支援策が用意されています。厳密には割引とは異なりますが、こうした制度を利用すればかかる費用を抑えることが可能です。
ハロートレーニング(職業訓練)
ハローワークが提供するハロートレーニングの一つに、離職者を対象とした介護福祉士実務者研修があります。テキスト代などは受講者が負担しますが、受講料が無料になります。介護関係の仕事を経験したことがなく、離職中に資格を習得して転職しようとしている人向けの制度になります。
ちなみに、この制度は公共職業訓練と求職者支援訓練の2種類があります。
公共職業訓練は主に雇用保険(失業保険)を受給している離職者が対象です。雇用保険の受給期間中は、基本手当(失業手当)を受け取りながら、国や都道府県が運営する職業能力開発校などで学べます。
求職者支援訓練は主に雇用保険を受給できない離職者が対象です。民間スクールに通いながら学びます。一定の要件を満たせば、訓練期間中に月10万円の「職業訓練受講給付金」が支給されます。
教育訓練給付制度
教育訓練給付制度は、雇用保険加入者が対象の制度です。厚生労働省が指定する介護福祉士実務者研修のための教育訓練講座を受講した場合、受講費用の一部が支給されます。
この制度を利用するには、一定期間の雇用保険の加入履歴が必要です。
介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度
都道府県の社会福祉協議会が実施主体となり、受講費用(最大20万円程度)を無利子で貸し付ける制度です。この制度は、研修修了後に介護職員として特定の地域で2年間継続して従事すると、貸付金の返済が全額免除されます。介護分野への人材参入を促し、地域への定着を図るために、このような仕組みが設けられています。
さらに詳しい内容は、以下の記事をご覧ください。
母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業
母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業は、ひとり親家庭の人を対象とした支援制度です。介護福祉士実務者研修も支援の対象になっており、受講費用の一部が給付されます。自治体によっては制度が実施されていない場合があるため、居住している自治体の窓口で確認する必要があります。
事業所の支援制度
多くの介護事業所では、従業員のスキルアップを支援するために、資格取得のための支援制度を設けています。この制度を利用すると、介護福祉士実務者研修の受講費用の一部または全額を事業所が負担してくれます。
受講料が無料になる実務者研修についての詳細は、以下の記事をご覧ください
スクールの受講にかかる費用を減らすポイント
介護福祉士実務者研修の受講費用を抑えるためには、公的制度の活用だけでなく、スクール選びも大切です。ここでは、費用を節約するためのポイントを解説します。
費用を抑えられるスクールの選択
介護福祉士実務者研修の費用はスクールによって大きく異なります。教材費や実習費なども含め、複数のスクールの費用を比較し、自分に合ったスクールを選ぶと良いでしょう。特に通信講座を選択すれば、通学にかかる交通費を節約できる可能性もあります。
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スクール割引制度の利用
多くのスクールでは、受講費用を大幅に抑えられるさまざまな割引制度を用意しています。
例えば、スクールが設けている早期申込割引の制度です。ほかには、友人や家族と一緒に申し込む複数割引やペア割引の制度もあります。介護業界で働く同僚と一緒に申し込めば、割引を受けられます。
スクールが期間限定で実施するキャンペーンを利用する方法もあります。スクールのWebサイトやSNSをこまめにチェックし、情報を逃さないようにしましょう。
最新の実務者研修のキャンペーン情報はこちら
FAQ|実務者研修の割引に関するよくある質問
介護福祉士実務者研修の受講を検討している方にとって、「割引制度」や「受講料の負担軽減」は大きな関心事です。ここでは、湘南国際アカデミーの実務者研修に関する割引や給付制度について、よくある質問をまとめました。受講前に確認しておくことで、費用を抑えながら確実にスキルアップを目指せます。
- Q1.介護福祉士実務者研修の受講料が安くなる制度にはどんなものがありますか?
- A
介護福祉士実務者研修の費用を軽減する主な制度には以下があります。
- 専門実践教育訓練給付制度(最大80%還付):対象者は受講料の最大80%(最大20万円)が戻ってきます。
- 母子・父子家庭自立支援給付金:ひとり親家庭の方が対象で、費用の一部が給付されます。
- 介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度:条件を満たすと貸付金の返済が全額免除になります。
- ハロートレーニング(公共職業訓練・求職者支援訓練):受講料無料や月額給付金支給の制度です。
- 事業所の資格取得支援制度:勤務先が費用の一部または全額を負担する場合があります。
- Q2.湘南国際アカデミー独自の割引キャンペーンにはどんなものがありますか?
- A
グループ割引:2名以上で同時申込すると、1人あたり最大5,000円の割引。
紹介キャンペーン:卒業生や在校生の紹介で3,000円OFF+紹介者にはクオカードをプレゼント。
スグ割キャンペーン:開講間近のコースへのお申し込みで受講料の一部が割引。
期間限定キャンペーン:アニマルセラピー犬「えのきだけ」引退記念など、限定割引を随時実施。
- Q3.割引制度と給付金制度は併用できますか?
- A
基本的に併用可能な制度もありますが、一部併用不可のキャンペーンもあるため、申込時に確認が必要です。たとえば、紹介キャンペーンとグループ割引など、他キャンペーンとの併用が不可の場合があります。教育訓練給付金との併用については、条件を満たしていれば使用可能ですので、事前に相談会などで確認すると安心です。
- Q4.介護福祉士実務者研修の受講料はいくらですか?どのくらい戻ってきますか?
- A
資格や受講形態により異なりますが、湘南国際アカデミーでは以下のような例があります。
- 無資格(実務1年以上):129,470円 → 最大80%給付で約25,894円の自己負担。
- 介護職員初任者研修修了者:99,990円 → 最大80%給付で約19,998円の自己負担。
- 分割払い(6回)にも対応しており、月々16,665円~と負担軽減できます。
- Q5.受講料以外に必要な費用はありますか?
- A
湘南国際アカデミーでは、テキスト代込みの受講料を明記しており、基本的に追加費用はありません。ただし、教育訓練給付制度を利用する際の手続きにかかる郵送費用や印刷費用、また補講が発生した場合の費用などは別途必要になることがあります。詳細は無料相談会で確認できます。
割引や制度を賢く使って介護福祉士実務者研修を受講しよう
介護福祉士実務者研修の受講は、介護業界でのキャリアアップにつながるステップです。この研修を修了することで、専門的な知識と技術を体系的に学ぶことができるほか、介護福祉士国家試験の受験資格が得られます。
受講費用は決して安くはありませんが、公的制度やスクール独自の割引を活用することで、経済的な負担を減らせます。ただし、スクールを選ぶ際は、費用だけでなく、サポート体制や通学の利便性など、複数の要素を考慮して総合的に判断することが大切です。
介護の需要は今後も高まり続けるため、介護福祉士実務者研修を通じて専門性を高めることは、自身のキャリア形成に大きく役立ちます。さまざまな支援制度をうまく活用し、受講を検討してみてはいかがでしょうか。
湘南国際アカデミーの実務者研修では、国の給付金制度や各種割引を活用することで、経済的な負担を大きく軽減することが可能です。さらに、国家試験対策に直結したカリキュラムやeラーニングの導入など、学びやすさにも定評があります。
「費用が不安…」「制度の手続きが難しそう…」という方も、無料個別相談会でスタッフが丁寧にご案内いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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介護の資格 湘南国際アカデミー
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湘南国際アカデミーでは、介護関連資格の教育・職業紹介を通じ、「介護をする側のQOL向上」をテーマにイベントや研修を企画し、受講生や就労先企業から厚い信頼を獲得。これまで延べ約1万人を支援する中でグリーフケアの重要性を痛感し、仕事と人を結ぶだけでなくケアの視点を含む総合的なサポートを目指している。現在は上智大学グリーフケア研究所でさらなる学びを得ながら、各企業向け「事業所内レベルアップ研修」の企画・運営にも携わり「レクリエーション介護士2級講座」の講師も務める。介護とキャリアの両面から多面的に活動を展開している。
