こんにちは!
湘南国際アカデミーで介護職員初任者や実務者研修、介護福祉士受験対策講座の講師及び総合サポートを担当している江島です!
第37回(2025年1月26日実施)介護福祉士国家試験を受験された皆さま、本当にお疲れ様でした。
受験を終えた皆さまは、インターネット上の解説速報などで自己採点はされましたか?
まずは、解答を知りたいという方は、当校ホームページの「解答速報」をご覧ください。
全国の介護福祉士合格者が愛用した受験対策テキスト
このページでは、【生活支援技術】から出題された問題の解答・解説を致します。
<領域: 介護>生活支援技術
問題80
高齢者に配慮した居室環境に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 夏は高齢者が発汗してから冷房を使用する。
2 暖房を使用するときは除湿機を併用する。
3 冷房を使用するときは換気を控える。
4 温度は介護福祉職の感覚で調整する。
5 冬はトイレの温度を居室の温度に近づける。
解答:5
冬はトイレの温度と居室の温度差が広がりやすく、温度差による血圧変動(ヒートショック)のリスクが高まります。
問題81
次の記述のうち,介護の現場において,レクリエーション活動で実施するアイスブレーキングの効果として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 参加者の緊張感を軽減することができる。
2 活動内容を毎回固定して実施することができる。
3 介護福祉職の負担を軽減することができる。
4 利用者の参加を義務づけることができる。
5 勝敗を楽しむことができる。
解答:1
アイスブレーキングの効果は、選択肢1にあるとおり参加者の緊張感を軽減することです。必要に応じてアイスブレークを行うことでレクリエーション活動の効果も高まります。
問題82
次の記述のうち,介護福祉職が行う身じたく・整容の介護として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ベッド上で行う口腔ケアは,ガーグルベースンを用いる。
2 総義歯の洗浄は,歯みがき剤を用いる。
3 耳垢の除去は,ピンセットを用いる。
4 ベッド上で行う洗顔は,冷水に浸して絞ったタオルを用いる。
5 浴室で行う洗髪は,ドライシャンプーを用いる。
解答:1
ガーグルベースンは、うがいした水などを受ける容器です。ベッド上で行う口腔ケアに用いることは適切です。
問題83
次の記述のうち,障害のある人への事故防止の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 パーキンソン病 (Parkinson disease) の人には,低めのベッドを用意する。
2 認知症(dementia)の人には,ガスコンロを用意する。
3 在宅酸素療法中の人のそばでは,喫煙しない。
4 視覚障害のある人には,洗体用に頭受け台を用意する。
5 聴覚障害のある人には,補高便座を用意する。
解答:3
酸素は、燃焼を助ける性質があるため、在宅酸素療法中の人のそばは火気厳禁です。
問題84
次のうち,右片麻痺の利用者が多点杖を使用して3動作歩行を開始するときに,介護福祉職が行う説明として,適切なものを1つ選びなさい。
1「杖,右足,左足の順で歩きましょう」
2「杖,左足,右足の順で歩きましょう」
3「右足,左足,杖の順で歩きましょう」
4「左足,杖,右足の順で歩きましょう」
5「左足,右足,杖の順で歩きましょう」
解答:1
片麻痺のある利用者が3動作の杖歩行を行う際は、「杖」「患側の足」「健側の足」の順番で歩きます。この順番は人が歩行をする自然な動きに沿ったもので、平地での杖歩行や階段を降りる場面ではこの順番で歩行します。
問題85
ノーリフティングケアに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 仰臥位(背臥位)の利用者を抱え上げて,端座位にする。
2 仰臥位(背臥位)の利用者を手前に引きよせて,ストレッチャーに移乗する。
3 端座位の利用者の体幹を抱きかかえて,車いすに移乗する。
4 端座位の利用者にスライディングボードを使用して,車いすに移乗する。
5 立位が困難な端座位の利用者に回転移動盤を使用して,車いすに移乗する。
解答:4
ノーリフティングケアは、持ち上げない介護といわれます。持ち上げる介護は利用者、介護者ともに負担となるため、持ち上げず滑るような移動が効果的です。スライディングボードはノーリフティングケアを行う際の代表的な福祉用具です。
問題86
次の記述のうち,左片麻痺の利用者を右側臥位から端座位にするときの介護として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者に左手でベッド柵をつかむように伝える。
2 利用者に右肘を支点にして上体を起こしてもらう
3 利用者の右脚をベッドから下ろす。
4 利用者の頸部を支えて上体を起こす。
5 端座位の利用者の右側に立って上体を支える。
解答:2
起き上がりの介護では身体の自然な動きを取り入れることが重要です。左片麻痺の利用者が右側臥位から端座位になる場合、選択肢2のとおり、利用者に右肘を支点にして上体を起こしてもらうとスムーズに身体を起こしやすくなります。
問題87
口腔ケアに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 うがいは,顔貌を整える。
2 歯みがきは,感染予防になる。
3 口腔内の乾燥は,口臭を予防する。
4 唾液腺マッサージは,唾液の分泌を抑える。
5 咀嚼機能の向上のために,タッピングを行う。
解答:2
口腔内の清潔保持は、感染予防に大きく関わります。ちなみに顔貌(がんぼう)とは、顔の様子や顔つきのことで、うがいに顔貌を整える効果があるとはされていません。
問題88
次の記述のうち,口腔ケアを実施するときの留意点として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 実施中は,利用者に顎を上げた姿勢をとってもらう。
2 総義歯は,上顎から下顎の順に外してもらう。
3 歯みがきの前に,うがいを行ってもらう。
4 歯ブラシは,大きく動かして磨いてもらう。
5 舌ブラシは,舌先から咽頭に向かって動かしてもらう。
解答:3
歯みがきの前に,うがいを行ってもらうことで、口腔内の残渣物をある程度取り除くことができます。そのうえで歯磨きをすることで効果的に口腔ケアを行うことができます。
問題89
次の記述のうち,介護が必要な人への熱中症対策のために,介護福祉職が行う水分補給の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 のどが渇いてから,水分を取るように伝える。
2 水でむせるときは,ゼリーの提供を控える。
3 起床時は,水分摂取を控えるように伝える。
4 食事のときの水分は,一日の水分摂取量から除く。
5 汗の量が多いときは,塩分を含んだ飲み物を勧める。
解答:5
熱中症対策では、水分のみではなく、塩分補給が有効となり、選択肢5が最も適切となります。
問題90
Aさん(75歳,男性)は,1年前に前頭側頭型認知症 (frontotemporal dementia) と診断され,現在は,認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)に入居している。若い頃から食べることが好きである。現在,咀嚼や嚥下機能の低下はなく,スプーンを使い,自分で食べている。最近,飲み込む前に次々と食べ物を口に入れることが増えた。
次の記述のうち,Aさんの現在の状態に合わせた食事の介護として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 取っ手つきのコップを準備する。
2 食器に少量ずつ盛りつけて提供する。
3 すべての料理をテーブルの上に並べる。
4 大きなスプーンに変更する。
5 手で持って食べられる物を準備する。
解答:2
Aさんは、咀嚼や嚥下機能の低下はなくスプーンを使い自分で食べている、最近飲み込む前に次々と食べ物を口に入れるという情報から、誤嚥やむせ込みを予防するために選択肢2が最も適切です。
問題91
次の記述のうち,パーキンソン病 (Parkinson disease)で上肢の震えはあるが,自力摂取が可能な利用者の食事の介護として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 食事後に口腔内のアイスマッサージを行う。
2 片側の縁が高くなっている皿を準備する。
3 上半身を後ろに20度程度倒すように伝える。
4 食器の置いてある位置を説明する。
5 踵を床から浮かすように伝える。
解答:2
上肢の震えがある場合、箸やスプーンを使って食べ物がすくいづらい可能性が考えられます。選択肢2のように片側の縁が高くなっている皿(自助具)を準備することは適切です。
問題92
次の記述のうち,入浴の作用を生かした,高齢者への入浴の介護として最も適切なものを1つ選びなさい。
1 食事は,入浴直前に摂取する。
2 高血圧の人には,42℃以上の湯につかってもらう。
3 浴槽の中では,関節運動を促す。
4 心疾患(heart disease) のある人には,肩まで湯につかってもらう
5 個浴の浴槽内では,足を浮かせてもらう
解答:3
入浴の作用には「温熱作用」「浮力作用」「静水圧作用」があります。浮力作用により関節に負担をかけず動かしやすくなるため、選択肢3が最も適切です。
問題93
次の記述のうち,下肢筋力が低下して介護を必要とする人の入浴に適した環境として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 浴室の入口は開き戸にする。
2 床から浴槽の縁までの高さは20cmにする。
3 縦に長く,浅めの洋式の浴槽にする。
4 浴槽の縁の幅は 20cmにする。
5 浴槽への出入りのために,水平および垂直の手すりを設置する。
解答:5
下肢筋力が低下している利用者の場合、手すりを使用して安定を促す視点は特に大切です。主に水平の手すりは立位の保持や安定、垂直の手すりは立ち上がりの際に効果的です。
問題94
次の記述のうち,体調不良で入浴できない片麻痺の利用者に対して,ベッド上で行う全身清拭の方法として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 清拭時は,窓を開けて行う。
2 洗面器には,40℃程度のお湯を準備する。
3 最初に,腹部から清拭する。
4 背部は,患側を下にした側臥位にして拭く。
5 蒸しタオルで拭いた後は,乾いたタオルで水分を拭き取る。
解答:5
ベッド上での清拭では、水分が蒸発して乾くときに体から熱を奪うこと(気化熱)に留意が必要です。選択肢5が最も適切となります。
問題95
次のうち,同居の高齢者におむつを使用する家族介護者に対する,介護福祉職の説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「使用する本人の羞恥心に気を配りましょう」
2 「尿失禁を防ぐことができます」
3 「尿量を気にせずに,1日中同じおむつを使うことができます」
4 「おむつを着けると,安心して排泄ができます」
5 「家族の都合に合わせて,おむつを使いましょう」
解答:1
介護福祉職として、介護に関する助言を介護者へ行うことが求められます。おむつを使用することによる羞恥心を家族介護者に伝える選択肢1が最も適切です。
問題96
次の記述のうち,ポータブルトイレを使用するときの排泄の介護として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ポータブルトイレの下に新聞紙を敷く。
2 ベッドで臥床している状態で,ズボンや下着をおろす。
3 ポータブルトイレには,前かがみになって座ってもらう。
4 排泄が終わるまで,ポータブルトイレの後ろに立って待つ。
5 排泄後の陰部の清拭は,ベッドの上で行う。
解答:3
トイレやポータブルトイレを使用する際は、前かがみの姿勢をとることで、直腸と肛門の角度(直腸肛門角)が一直線に近くなる、お腹に力を入れて力みやすくなるなど排便を促す効果があります。
問題97
次の記述のうち,介護福祉職が行うことのできる,坐薬(座薬)を用いた介護として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 膣から挿入する坐薬 (座薬) が扱える。
2 坐薬(座薬)は,あたたかな場所で保管する。
3 坐薬(座薬)は,とがっていない方から挿入する。
4 腹部に力を入れるよう促しながら,坐薬 (座薬)を挿入する。
5 下剤以外の坐薬(座薬)挿入は,先に排泄を済ませてから行う。
解答:5
介護福祉職は、利用者の状態が安定している場合、医療職による状態観察が不要な場合、肛門からの出血などの可能性がなく専門的な配慮が必要でない場合など、条件を満たした場合に坐薬(座薬)の挿入が可能です。下剤以外の場合は先に排泄を済ませてから行います。
問題98
次の記述のうち,調理における基本調味料の効果や使い方として,適切なものを1つ選びなさい。
1 砂糖は,塩より先に入れると,食物に甘みが浸透しやすくなる。
2 塩は,食物のうま味を増し,照りを出す。
3 酢は,食物の水分を引き出し,保存性を高める。
4 しょうゆは,食物のくさみを抜き,肉を柔らかくする
5 みそは,味付けの最初に入れると,特有の香りが逃げない。
解答:1
基本調味料を入れる順番の略称として「さしすせそ」といわれます。「さ」は砂糖、「し」は塩、「す」は酢、「せ」は醤油(せうゆ)、「そ」は味噌を指し、この順番で味付けをすると、よりおいしく仕上がるといわれています。
問題99
食品の保存に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 賞味期限の切れた未開封の缶詰は,すぐに廃棄する。
2 ウインナーには,消費期限が記載されている。
3 前日調理して常温保存した肉入りカレーは,再加熱する。
4 りんごを冷蔵庫で保存するときは,ビニール袋に入れて密封する。
5 冷凍食品は,一度解凍しても再冷凍すれば長期間の保存が可能である。
解答:4
りんごは暑さにより傷みやすいため冷蔵庫で保存するとよいといわれています。また、りんごの水分が蒸発するのを防ぎ、りんごが発散するエチレンガスの影響で冷蔵庫内の食品が傷まないようビニール袋などで密封するとよいとされています。
問題100
次の記述のうち,衣類の保管方法として,適切なものを1つ選びなさい。
1 衣装ケースで保管するときは,たたんだ衣類の下に防虫剤を入れる。
2 ドライクリーニング後の衣類は,ビニールを外さずに保管する。
3 汚れのひどい衣類は,介護福祉職の判断で廃棄する。
4 湿気を含んだ衣類は,たたんで引き出しに保管する。
5 絹製品は,タンスの上部に保管する。
解答:5
絹製品(シルク製品)は湿気に弱いため、湿気が少なく通気性のよい場所に保管します。湿気がたまりやすいタンスの下段は避け、タンスの上部に保管する選択肢5は適切です。
問題101
次の記述のうち,介護の現場で行うベッドメイキングとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 居室の窓は,閉めて行う。
2 キャスターのあるベッドは,ストッパーを外す。
3 シーツの中心線を,マットレスの端に合わせる。
4 シーツをマットレスの下に入れるときは,手掌を下にする。
5 シーツ交換は,両膝を伸ばしたままで行う。
解答:4
ベッドメイキングの際、シーツをマットレスの下に入れるときは、手掌(てのひら)を下にします。これはシーツをきれいにマットレスの下に入れ込むこととだけでなく、ベッドの金具などで介護福祉職の手の甲を傷つけないことにつながります。
問題102
Bさん(90歳,女性,要介護3)は,アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer's type) があり,介護老人福祉施設に入所している。テレビを見ることが好きで,日中はお茶を飲みながら,テレビを見て過ごすことが日課である。1週間前からBさんは,夜中に目が覚めたり,3時ごろに起きたりと,不眠が続いている。2時間ほどしか寝ていない日もある。ある日,Bさんは,「昼間,眠くてしかたがない。からだがだるい」と介護福祉職に話した。
次の記述のうち,Bさんに安眠を促すための介護福祉職の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 午前中,太陽の光を浴びることを勧める。
2 昼間眠いときは,1時間以上の昼寝を勧める。
3 夕食後,すぐに寝ることを勧める。
4 寝る前に,介護福祉職の判断で睡眠薬を勧める。
5 夜眠れないときは,居室でテレビを見ることを勧める。
解答:1
睡眠のリズムを調節する役割を担っているメラトニンは、脳の松果体から分泌されるホルモンです。朝や午前中に太陽の光を浴びることで、夜にメラトニン分泌が増えることがわかっています。うまく眠れていないBさんへの対応として選択肢1が最も適切です。
問題103
終末期の介護に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 決まった時間に食事を提供する。
2 部屋の換気は控えるようにする。
3 無反応のときは無言で静かに介護を行う。
4 呼吸困難時は,顎を下げて頭部を前屈させた仰臥位(背臥位)にする。
5 せん妄によって話のつじつまが合わないときは,否定せずに受け止める。
解答:5
せん妄とは、一時的な意識の混乱により起こる状態をいいます。終末期には身体機能の低下が脳の機能低下につながることで、せん妄が起こる可能性があります。話のつじつまが合わないときに否定せずに受け止める選択肢5が最も適切です。
問題104
次のうち,キューブラー・ロス(Kubler-Ross, E.)が提唱した終末期にある人の死の受容過程のうち,「死は避けられないと知り,さまざまな喪失感を抱く段階」に該当するものとして,適切なものを1つ選びなさい。
1 否認
2 怒り
3 取り引き
4 抑うつ
5 受容
解答:4
キューブラー・ロスが提唱した死の受容過程は、選択肢にある順番の5段階により人が死を受け入れるという心理プロセスです。問題文の記述から選択肢4が適切です。ちなみに、必ずしも順番に進むわけではなく、行きつ戻りつしながら受容に進んでいくといわれています。
問題105
Cさん(58歳,男性)は,アテトーゼ型(athetosis) の脳性麻痺(cerebral palsy)がある。腕,脚,体幹の筋肉は不随意的にゆっくりと動くことが多く,手指を細かく動かすことは難しい。言葉をはっきり発音することが困難であるが,音の聞き取りはできる。
次のうち,Cさんが使用している情報・意思疎通支援用具として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 福祉電話
2 携帯用会話補助装置
3 人工喉頭
4 助聴器
5 点字器
解答:2
携帯用会話補助装置は、言語障害、肢体不自由、聴覚障害などがある方に向けた情報・意思疎通支援用具です。問題文にあるCさんの情報から選択肢2が最も適切です。
その他、介護事業所や医療機関などにおいて当校の「事業所内スキルアップ研修」の企画・提案・実施など各事業所用にカスタマイズする研修をプロデュースし、人材確保・育成・定着に向けた一連のプログラムを手掛けている。
