高齢社会が進行し、介護職に就く人材が多く求められる今、「介護福祉士」という資格が気になり始めた人も多いのではないでしょうか。介護福祉士は、介護分野で唯一の国家資格であり、スキルや介護現場での信頼を高めるうえで大きな強みとなります。
介護福祉士を目指す際、その受験ルートの一つに「実務経験ルート」があります。現場での経験を通して資格の取得を目指せるのが実務経験ルートの大きな特徴です。
この記事では、介護福祉士受験対策講座や実務者研修を開催してきた湘南国際アカデミーが、実務経験ルートで介護福祉士を目指すための条件や対象となる施設・職種を解説します。
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介護福祉士になるには?
介護福祉士は、専門性が高いと評価される資格です。ただし、誰でもすぐに資格を取得できるわけではなく、受験には一定の条件を満たす必要があります。
介護福祉士試験の受験資格には全部で4つのルートがあります。
- 福祉系の養成施設を卒業する「養成施設ルート」
- 福祉系高校を卒業する「福祉系高校ルート」
- 現場での実務経験を積んで受験する「実務経験ルート」
- 来日した外国人介護福祉士候補者向けの「EPAルート」
なかでも、現在介護の現場で働いている人や、これから働こうと考えている無資格の人にとって現実的なのが、「実務経験ルート」です。
ここからは、実務経験ルートの詳細について解説します。
実務経験ルートで介護福祉士を目指すのに必要な従事期間や日数は?
実務経験ルートの条件を満たして介護福祉士試験を受験する場合、実際の介護現場で一定期働く必要があります。
具体的には、次の2つの条件を満たす必要があります。
- 従事期間が3年以上(1,095日以上)あること
- 従事日数が540日以上あること
「従事期間」と「従事日数」はそれぞれ別の基準です。例えば、3年在籍していても、その間が週1日勤務なら、従事日数の条件を満たせないことになります。
また、同一事業所に限らず、複数の職場で働いた期間を合算することも可能です。ただし、同じ日に複数の事業所で働いたとしても、それは「1日分」としてカウントされます。
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実務経験ルートの対象となる施設や事業所は?
介護福祉士試験の受験資格に必要な実務経験は、どのような職場の経験でも良いというわけではありません。厚生労働省が定める対象施設・事業所での勤務であることが条件です。対象となる分野は大きく以下の5つに分かれます。
ここでは、代表的な施設や事業所の一部を紹介します。既に介護業界で働いている人は、自分の勤務先が該当するかを、分野別に確認してみましょう。
児童分野(児童福祉法関係の施設・事業)
「児童分野」の対象となるのは、障がいのある子どもを支援する福祉サービスです。例えば、以下のような施設や事業が該当します。
- 放課後等デイサービス
- 児童発達支援センター
- 知的障がい児施設
- 肢体不自由児施設
これらの施設や事業で、介護や日常生活の支援業務に従事していれば、実務経験として認められます。
障がい者分野(障がい者総合支援法関係の施設・事業)
障がいのある成人を対象とする福祉施設も実務経験ルートの対象です。具体的には以下のような施設や事業が該当します。
- 就労移行支援
- 就労継続支援
- 生活介護
- 療養介護
- 短期入所(ショートステイ)
- 障がい者支援施設
従事期間や日数にカウントするには、介護業務や生活支援業務に従事していることが条件です。
高齢者分野(老人福祉法・介護保険法関係の施設・事業)
高齢者分野は多くの施設が対象に含まれている分野です。以下のような高齢者向け施設が対象になります。
- 養護老人ホーム、特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 有料老人ホーム
- 介護医療院
- 訪問介護事業所
- デイサービス等
高齢者への身体介護や生活援助などに携わっていれば、実務経験として認められます。
その他の分野(生活保護法関係の施設や社会福祉施設等)
生活保護法関係の施設や社会福祉施設なども、特定の条件を満たせば実務経験の対象になります。具体的には以下のような施設や事業が該当します。
- 救護施設
- 更生施設
- 地域福祉センター
- 労災特別介護施設
サービス内容や雇用形態によっては対象外となる場合もあるため、勤務先に確認することをおすすめします。
介護サービスを提供しているその他の事業
やや例外的な分類ですが、例えば生活保護世帯などに対する家事援助や生活支援なども、一定の条件を満たせば「介護等の便宜を供与する事業」と認定され、実務経験をしているとみなされる場合があります。
ただし対象範囲が限定的なため、制度や事業所の種類については自治体などに確認が必要です。
介護福祉士の受験資格に含まれない職種
介護福祉士試験の受験資格を得るには、上記で説明したように、主な業務として「介護等の業務」に従事している必要があります。そのため、介護の現場で働いていたとしても、業務の中心が介護ではない職種は実務経験として認められません。
例えば、医師や看護師、理学療法士などの医療職のほか、生活相談員や支援相談員といった相談援助職、福祉用具専門相談員、事務員、清掃員、送迎ドライバー、調理員などの職種は対象外となります。
また、介護支援専門員(ケアマネジャー)や計画作成担当者なども、直接的な介護業務に従事していない場合はカウントされません。
「介護施設で働いている=実務経験になる」とは限らないため、自分の担当業務が受験要件を満たしているかどうかは、あらかじめ確認しておくことが大切です。
実務経験ルートで介護福祉士を目指す際の注意点
実務経験ルートで介護福祉士を目指すには、提出書類の準備や必要な研修の修了など、いくつかの注意点があります。ここからは、特に重要な2つのポイントを解説します。
実務経験証明書の提出が必要
介護福祉士試験を受ける際、実務経験ルートの場合は「実務経験証明書」の提出が必須です。これは、実際に介護の仕事に従事していたことを証明する書類で、勤務していた施設や事業所が発行します。
証明書には、先述した従事期間と従事日数が正確に記載されている必要があります。複数の事業所で働いていた期間を合算して条件の従事期間・従事日数を満たす場合は、それぞれの勤務先から証明書を発行してもらわなければなりません。
介護福祉士実務者研修または同等の研修修了が必要
介護福祉士の国家試験を受験するには、実務経験に加え、「介護福祉士実務者研修(以下、実務者研修)」の修了が原則として必要です。この研修では、介護に関する知識や技術を体系的に学び、介護福祉士に求められる専門性を習得します。
研修では、認知症ケアやターミナルケア、介護過程の展開など、実践的な内容を学びます。無資格・未経験からでも受講できるため、初任者研修などの資格を持っていなくても問題ありません。
また、「介護職員基礎研修」と「喀痰吸引等研修」の両方を修了している場合は、実務経験の従事条件を満たしていれば、実務者研修を修了した人と同様に受験資格が認められます。
実務者研修の修了には一定の期間がかかるため、介護福祉士の資格取得を目指す年の前に、受験計画を立てておくと良いでしょう。
第38回介護福祉士国家試験対応「はじめの一歩講座」のご案内
項目 | 内容 |
---|---|
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見逃し防止機能について | 見逃し防止をご希望の方は以下をクリックしてください ⇒LINEで見逃し防止登録 |
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ミーティングID | 864 9154 9845 |
パスコード | 039281 |
FAQ|実務経験ルートで介護福祉士を目指す際のQ&A
最後に、実務経験ルートで介護福祉士を目指す人によくある質問について解説します。
- Q1.介護福祉士の実務経験にはパートやアルバイトで働く期間も従事日数に含まれる?
- A
パートやアルバイトで働く期間も従事日数に含まれます。
介護福祉士試験における実務経験の要件では、雇用形態(常勤・非常勤・パート・アルバイト)は問いません。大切なのは「介護業務に従事していた実績があるかどうか」です。ただし、パートやアルバイトであっても、就業実態が明確で、事業所側が実務経験証明書を発行できることが前提です。また、週当たりの勤務日が少ない場合は、3年在籍していても従事日数が不足する可能性があるため、シフトの頻度も重要になります。
- Q2.受験申込時に受験要件をすべて満たしている必要がある?
- A
申し込み時点で受験要件を満たしていなくても、満たす「見込み」があれば申し込み可能です。
介護福祉士試験の受験資格は、「試験日までに条件を満たすこと」が要件となっています。そのため、申し込み時に従事期間が3年に達していなくても、試験当日までに達成見込みであれば申し込み可能です。
その場合は、申し込み時に「見込証明書」を提出することで対応します。
- Q3.実務受験申込時に必要な書類は?
- A
証明書に加えて、受験申込時には以下のような書類も必要です。
・受験申込書
・振替払込受付証明書貼付用紙(受験手数料)
・受験用写真等確認票
・従事日数内訳証明書
・実務者研修修了証明書または修了見込証明書不備があると受験できなくなるおそれがあるため、余裕をもって準備することが大切です。
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実務経験ルートで介護福祉士を目指すために今できることを始めよう
この記事では、実務経験をもとに介護福祉士の国家試験を受けるための条件や、対象施設・職種、注意点について解説しました。
実務経験ルートは、現場での経験を積みながら資格取得を目指せるのが大きな魅力です。無資格や未経験からでも、働きながらステップアップすることができ、将来的なキャリアや待遇の向上にもつながります。
湘南国際アカデミーでは、実務者研修や介護福祉士受験対策講座をはじめ、介護業界でのキャリアアップを支援する多彩な講座を開講しています。講座内容や受講スケジュール、資格取得までの流れについて詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。
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