「一人では買い物に行けない」「外出のたびに家族が付き添わなければならない」——障害のある方を介護・支援する家族にとって、日々の外出サポートは大きな課題です。
そんなときに活用できるのが移動支援事業です。うまく活用することで、ご家族の負担を軽減しながら、ご本人の生活の質(QOL)を向上させることができます。
この記事では、移動支援での買い物サポートについて、制度の仕組み・できること・できないこと・費用の目安・申し込み方法まで、わかりやすく解説します。
移動支援とは:買い物で使える外出支援の基本
移動支援とは、障害者総合支援法第77条に基づき各市区町村が実施する地域生活支援事業のひとつで、障害のある方が買い物・余暇活動・社会参加などの外出をする際に、ガイドヘルパー(移動支援従事者)が付き添いサポートするサービスです。
公的なサービスであるため費用が抑えられ、専門のスタッフが対応してくれる点が大きなメリットです。
参考:厚生労働省の公式情報はこちら
買い物で移動支援を利用できるケース
移動支援は、以下のような状況での買い物外出に活用できます。
- 近所のスーパーや商店街への買い物同行
- ドラッグストア・衣料品店など複数の店舗をまわる外出
- 日用品・食料品の購入に伴う外出全般
ただし、対象となる障害種別や利用条件は市区町村によって異なります。まずはお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に確認することが重要です。
同行援護・行動援護・移動支援の違い
買い物時の外出支援には、移動支援のほかにも似た名前のサービスがあります。それぞれの違いを整理しておきましょう。
| サービス名 | 根拠 | 対象者 | 主な目的 |
|---|---|---|---|
| 移動支援 | 地域生活支援事業(市区町村の裁量) | 身体・知的・精神障害者、難病患者など(市区町村が決定) | 買い物・余暇・社会参加などの外出全般 |
| 同行援護 | 障害者総合支援法(個別給付) | 視覚障害により移動に著しい困難がある方 | 外出時の視覚情報の提供・移動の援護 |
| 行動援護 | 障害者総合支援法(個別給付) | 知的・精神障害により行動に著しい困難がある方 | 危険回避・外出時の突発的な行動への対応 |
同行援護・行動援護は国が定める「個別給付」であり支給内容が明確なのに対し、移動支援は市区町村の裁量が大きく、対象者・内容・費用が地域によって異なります。視覚障害のある方が買い物に行く場合は「同行援護」、自傷・他傷などの危険行動を伴う方は「行動援護」が優先して適用されるケースが多いです。
参考:厚生労働省の公式情報はこちら
移動支援でできること:買い物同行の範囲
ヘルパーの荷物持ちは可能か
結論からいうと、荷物持ちは基本的に可能です。移動支援は「外出の付き添いと見守り・介助」が主な業務です。店内での移動補助や、購入した商品を一緒に持ち帰ることはサービスの範囲内とされることが多いです。
ただし、「どこまでが移動支援の範囲か」については事業所や自治体によって解釈が異なる場合があります。事前にヘルパーや事業所に確認しておくと安心です。
支払い・金銭管理はどこまで頼めるか
お金の支払いをヘルパーが代わりに行うことは、原則として移動支援の範囲外です。ヘルパーはあくまで「外出の付き添い」が役割であり、本人に代わって金銭を管理・支払う行為は別サービスの領域になります。
金銭管理に不安がある場合は、日常生活自立支援事業や居宅介護の家事援助との組み合わせを、担当の相談支援専門員にご相談ください。
移動支援でできないこと:買い物代行は原則不可
移動支援は「一緒に外出するサービス」であり、ヘルパーが一人で買い物に行く「買い物代行」は原則として対象外です。これは、サービスの目的が「外出支援・社会参加の促進」にあるためです。
また、以下のような行為も移動支援の対象外となるケースが多いです。
- 本人が参加しない外出(ヘルパーだけでの買い物代行)
- 家族の用事と組み合わせた外出
- 医療行為・通院が主目的の外出
- 自治体が認めていない時間帯・場所への外出

介護福祉士
サービス提供責任者経験
「移動支援=何でも頼める」と誤解されているご家族は非常に多いです。現場でも「先週ヘルパーさんに一人で買い物を頼んだのですが…」というご相談をよくいただきます。
移動支援はあくまで"一緒に出かけるサービス"。買い物を代わりにしてほしい場合は、居宅介護の家事援助を別途契約する必要があります。
サービスの組み合わせについては、ぜひ担当の相談支援専門員にご相談ください。
「移動支援を使いたいが、どこに相談すればいいかわからない」「サービスの組み合わせが複雑でよくわからない」——そのようなお困りごとを、湘南国際アカデミーでは無料でご相談いただけます。介護資格取得の講座から就職・転職サポートまで、介護に関するさまざまなご支援を行っています。
買い物代行が必要な場合:居宅介護(家事援助)の利用
「本人は外出できないが、食材や日用品の買い物を頼みたい」という場合は、居宅介護(家事援助)の活用が適しています。
| 比較項目 | 移動支援 | 居宅介護(家事援助) |
|---|---|---|
| 本人の外出 | 必要(一緒に行く) | 不要(代行してもらう) |
| 目的 | 外出・社会参加の支援 | 家事全般の援助 |
| 根拠 | 地域生活支援事業 | 介護給付(個別給付) |
介護保険の要介護認定を受けている高齢者の場合は、訪問介護の「生活援助」として買い物代行を利用することもできます。
移動支援の費用:買い物同行にかかる料金の目安
移動支援の利用者負担は原則1割で、所得に応じた月額上限が設けられています。
| 世帯区分 | 月額上限(目安) |
|---|---|
| 生活保護・低所得世帯(市町村民税非課税) | 0円(無料) |
| 一般世帯(市町村民税課税・所得割16万円未満等) | 9,300円 |
| 一定以上の所得がある世帯 | 37,200円 |
市区町村によって独自の助成がある場合もあります。実際にかかる費用は、支給量(月の利用時間)と1時間あたりの単価によって変わるため、利用前に事業所へ確認しましょう。

介護福祉士
サービス提供責任者経験
費用の自己負担については「思ったより安い」と驚かれる方が多いです。特に低所得世帯の方は月額上限が無料になるケースもあります。
ただし支給量(利用できる時間数)は市区町村ごとに異なるため、必要な時間が確保されるかどうかを窓口で確認することが大切です。
参考:費用の詳細はこちら
移動支援を使う流れ:相談から受給者証・利用開始まで
「移動支援を使いたい」という意向を窓口に伝えます。相談支援専門員がいる場合は、一緒に相談すると手続きがスムーズです。
窓口に行く前に「どんな制度があるのか」「何を準備すればよいのか」を知りたい方は、湘南国際アカデミーの無料相談もご利用ください。介護の専門スタッフが丁寧にお答えします。
コンピューターによる一次判定と市区町村審査会による二次判定を経て区分が決まります。自治体によって不要な場合もあります。
「地域生活支援事業受給者証」が交付され、月あたりの利用可能時間(支給量)が記載されます。
受給者証をもとに移動支援を行っている事業所と契約。窓口や相談支援専門員に紹介してもらえます。
ヘルパーやスケジュールの調整を行いサービスがスタートします。
参考:サービスの利用手続きについて
買い物をスムーズにする準備と当日のポイント
事前の準備
- 買いたいものをリストにまとめておく
- 予算をあらかじめ決めておく(財布の中身を確認)
- お気に入りの店・ルートをヘルパーと事前共有する
当日のポイント
- 本人のペースに合わせた移動を心がける
- 支払い時は本人ができる範囲で自分で行う
- 体調に合わせて休憩をこまめにとる
本人の「自分でやってみたい」という気持ちを大切にすることが、自立支援の観点からも重要です。
サービスの選び方:事業所・ヘルパーに確認する項目
- 対応できる障害種別・状態(身体・知的・精神など)
- ヘルパーの経験・研修の有無(ガイドヘルパー資格など)
- 対応可能なエリア・曜日・時間帯
- 緊急時の対応体制
- 利用者・家族とのコミュニケーション方針
初回のヘルパーとのマッチングは特に重要です。本人との相性も考慮しながら、試験的に利用してみることをおすすめします。
移動支援での買い物の注意点:対象外になりやすい例
- 本人が参加しないヘルパーだけの買い物代行
- 家族の趣味・行事への付き合い外出
- 通院が主目的の外出(「通院等乗降介助」などを活用)
- 自治体が認めていない場所・時間帯への外出
「これは対象になるの?」と迷ったときは、必ず事前に事業所か市区町村の窓口に確認することが大切です。
よくある質問:通院やお出かけと併用できるか
- Q1.買い物のついでに通院もお願いできますか?
- A
移動支援は「社会参加・余暇活動のための外出」が主目的のため、通院を主目的とした外出は対象外となるケースが多いです。通院のサポートには「通院等乗降介助(介護保険)」や「同行援護・行動援護」の活用を検討しましょう。買い物のついでに薬局に立ち寄る程度であれば認められる場合もあり、自治体の判断によります。
- Q2.移動支援と介護保険サービスを併用できますか?
- A
障害者が65歳になると、原則として介護保険サービスが優先されます(介護保険優先原則)。ただし、介護保険にはない社会参加のための外出支援については、移動支援を引き続き利用できる場合があります。詳細は市区町村の窓口にご確認ください。参考:厚生労働省「介護保険と障害福祉の適用関係」
- Q3.利用できる時間に上限はありますか?
- A
あります。支給量(月あたりの利用可能時間)は受給者証に記載されており、市区町村が個別に決定します。必要であれば増量の申請も可能です。
まとめ:移動支援を活用して安心して買い物に出かけよう

介護福祉士
サービス提供責任者経験
「こんなことを頼んでいいのだろうか」と遠慮してしまうご家族は少なくありません。しかし移動支援は、障害のある方が地域で自分らしく生活するために国が認めた権利です。
サービスをうまく活用することで、ご本人の外出する意欲や生活の質が大きく変わります。まずは一歩、お住まいの窓口か事業所に相談してみてください。
移動支援は、障害のある方が地域で自立した生活を送るための大切なサービスです。この記事のポイントをおさらいします。
- 移動支援は「一緒に外出するサービス」。ヘルパーだけでの買い物代行は対象外
- 視覚障害・行動障害がある方は「同行援護」「行動援護」が優先適用されるケースが多い
- 費用・支給量・対象者は市区町村によって異なる
- まずは市区町村の障害福祉窓口か相談支援事業所へ相談することが第一歩
※本記事の内容は2025年時点の情報をもとにしています。制度の詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。
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訪問介護のサービス提供責任者、デイサービス所長兼相談員を経て、現在はキャリアアドバイザーとして求職者の就労サポートと企業支援を担当。
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