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定期巡回・随時対応型訪問介護看護をケアマネジャーはどう使う?在宅限界点を上げるケアプランのポイント

  • ケアマネジャー(介護支援専門員)

「定期巡回・随時対応型訪問介護看護(以下、定期巡回)」は、在宅の限界点を引き上げる切り札として制度上は期待されながら、実際のケアプランへの組み込みが十分に進んでいないサービスの一つです。
包括報酬の仕組みや訪問介護との違いが分かりにくく、「使ったことがないので提案しづらい」と感じているケアマネジャー(介護支援専門員)も少なくありません。
2026年度以降は夜間対応型訪問介護との統合も本格化する見込みで、契約中の利用者を担当しているケアマネジャーにとっても影響が及びます。
本記事では、最新の公的統計と現場の声をもとに、定期巡回の基本とケアプランへの組み込み方、押さえておきたい制度動向を整理します。

当記事はこちらのデータを参照して執筆しております。
(参照:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第262回(令和8年8月5日)資料1「定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び夜間対応型訪問介護の現状と課題」)

ケアマネジャーが押さえておきたい定期巡回の基本

定期巡回は、1日複数回の短時間巡回訪問と、利用者からのコールに応じる随時対応を組み合わせ、日中・夜間を通じて在宅生活を支える地域密着型サービスです。2012年(平成24年)の創設から10年以上が経ち、令和7年4月審査分で全国の請求事業所数は1,397事業所、受給者数は約47,100人まで拡大しています(出典:厚生労働省 社保審・介護給付費分科会 第262回資料1)。

対象は要介護1〜5の在宅利用者で、要介護3〜5の中重度者が51.4%を占め、平均要介護度は2.7です。訪問介護よりも中重度・独居・認知症の利用者への対応割合が高く、在宅限界点を引き上げるための選択肢として制度設計されている点が特徴です。

ケアマネジャーが誤解しやすい3つのポイント

定期巡回は制度の仕組み上、訪問介護や訪問看護とは根本的に設計思想が異なります。ケアプランに組み込む際に誤解が生じやすい3つのポイントを整理しました。

定期巡回に関する誤解と実際の仕組み
誤解しやすいポイント実際の仕組み
要介護度別の月額包括payなので「使い放題」である訪問回数に上限はないが、計画作成責任者によるアセスメントに基づく提供が前提。利用実態が乏しいまま契約を維持すると事業所側の収支を圧迫し、サービスの質にも影響しうる
訪問介護に短時間訪問が増えただけのサービスであるオペレーターによる随時対応、訪問看護との一体的・連携的な提供体制を含む包括的なマネジメントが前提の設計であり、訪問介護の延長線上にはない
どの地域・どの利用者にも同じように提案できる事業所ごとに提供可能な圏域が限られ、集合住宅併設型か個別巡回型かによって対応できる利用者数・エリアが異なる。提案前に事業所の運営形態の確認が必要

実際の調査でも、事業所側が感じている課題として「ケアマネジャーの理解・反対」(12.5%)「ケアマネジャーに対する説明不足」(9.1%)が挙げられており、事業所・ケアマネジャー双方の理解のずれが、利用が広がりにくい一因になっていることがうかがえます(出典:厚生労働省 社保審・介護給付費分科会 第262回資料1)。

普及状況と「使いたくても使えない」現場のギャップ

定期巡回の受給者数は制度創設以来ほぼ一貫して増加していますが、事業所の人材充足状況を見ると、「やや不足」「とても不足」の合計が全体で65.4%、都市部では72.7%にのぼります。一方で利用者側の充足状況を見ると、都市部・一般市町村では「とても不足している」という回答が「充足している」を上回っており、需要はあるのに事業所側の受け入れ体制(人員)が追いついていない構造が浮かび上がります。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護における職員の充足状況(地域別)
地域区分やや不足+とても不足
全体65.4%
都市部72.7%
一般市町村68.4%
中山間地域等39.3%

(出典:厚生労働省 社保審・介護給付費分科会 第262回(R8.8.5)資料1、株式会社NTTデータ経営研究所「令和7年度老人保健健康増進等事業」調査より)

この結果は、ケアマネジャーにとって重要な示唆を含んでいます。定期巡回の提案を控えている理由が「利用者ニーズがないから」ではなく、「対応できる事業所が近隣に少ない、または空きがないから」であるケースが多いということです。担当地域内で実際に稼働している事業所とその圏域を早い段階で把握しておくことが、いざという時の提案スピードを左右します。

江島一孝
介護福祉士・ケアマネジャー

【監修者コメント】
定期巡回は「知っているが提案したことがない」というケアマネジャーが多いサービスです。まずは自分の担当エリアにどんな運営形態(集合住宅併設型か個別巡回型か)の事業所があるかを知ることから始めてみてください。事業所の得意な利用者像を把握しておくと、いざという時の提案の精度が上がります。
(参照:厚生労働省「社保審・介護給付費分科会 第262回資料1」)

ケアプランに組み込みやすい3つのケースパターン

定期巡回は「どんな利用者にも合う」万能サービスではありませんが、以下のような生活パターンを持つ利用者には特に相性が良いとされています。個別の事例ではなく、一般的な傾向として整理します。

1.軽度〜中等度・認知症初期で見守りの頻度を上げたいケース

服薬確認や安否確認のために1日1回では不安が残るものの、施設入居や同居家族の常時対応までは必要としない利用者です。短時間の巡回を複数回組み合わせることで、生活リズムに沿った見守り頻度を確保しやすくなります。

2.中重度・独居または老々介護世帯で、体調変化への即応が必要なケース

持病の急変や転倒リスクを抱える独居・老々介護世帯では、決まった時間の訪問だけでは対応しきれない場面が生じます。随時のコール対応を組み合わせることで、緊急時に迅速に駆けつけられる体制を作りやすくなります。訪問看護と一体的に提供される事業所であれば、医療的な観察が必要な利用者にも対応しやすくなります。

3.看取り期・医療連携の密度を上げたいケース

終末期にさしかかり、本人・家族の状態が日によって変化しやすい時期は、訪問看護と訪問介護の連携頻度を高める必要があります。定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型)であれば、看護職員と介護職員が一体的に利用者の状態を共有しながら対応でき、家族の精神的な負担軽減にもつながりやすいとされています。

「在宅の限界点」を上げるための多職種連携

定期巡回の効果を最大化するには、ケアマネジャーが事業所のオペレーター・訪問看護師・主治医との情報共有の仕組みに早い段階から関与することが欠かせません。サービス担当者会議の場で、利用者の状態変化があった際の連絡フローや、家族への連絡ルールをあらかじめすり合わせておくことで、コールへの対応スピードと質が安定します。定期巡回は事業所任せにするのではなく、ケアマネジャーが多職種連携のハブとして機能することで、初めて「在宅の限界点を上げる」という制度本来の目的が発揮されるサービスだといえます。

令和8年度以降の制度動向|夜間対応型統合とケアマネジャーへの影響

社会福祉法等の一部改正法により、夜間対応型訪問介護は令和8年度末(第9期計画期間末)をもって廃止され、令和11年度末までの経過措置を経て、定期巡回・随時対応型訪問介護看護へ統合される方針が決まっています。既に夜間対応型を利用しているケースを担当しているケアマネジャーは、経過措置期間中に定期巡回への移行を見据えたケアプランの見直しが必要になります。

夜間にのみサービスを必要とする利用者向けの新設区分(令和6年度介護報酬改定・一体型事業所)
区分単位数
基本夜間訪問サービス費(定額)989単位/月
定期巡回サービス費(出来高)372単位/回
随時訪問サービス費(Ⅰ)(出来高)567単位/回
随時訪問サービス費(Ⅱ)(出来高・2人体制)764単位/回

(出典:厚生労働省 社保審・介護給付費分科会 第262回(R8.8.5)資料1)

この新区分は出来高部分を含む設計のため、利用実態に応じて費用感が変わります。既存の夜間対応型利用者の契約を担当しているケアマネジャーは、移行後の費用イメージについて早めに事業所へ確認し、利用者・家族への説明準備を進めておくことをおすすめします。

ケアマネジャーとしての専門性を高めるために

定期巡回のような包括報酬型サービスを的確に使いこなすには、居宅サービス計画の作成技術だけでなく、介護保険制度全体の理解を継続的にアップデートしていくことが欠かせません。実務者研修や現任者向けの研修を通じて制度知識を整理し直すことも、提案力の向上につながります。湘南国際アカデミーでは、ケアマネジャー(介護支援専門員)を目指す方向けの講座情報に加え、法人向けの研修メニューもご用意しています。

ケアマネジャー(介護支援専門員)に関しての詳細は、以下のページをご覧ください

☑ケアマネジャーとは|役割・仕事内容・資格について解説

定期巡回・随時対応型訪問介護看護に関するよくある質問

Q1.
定期巡回は訪問介護と何が違うのですか?
A

訪問介護が決まった時間に1回訪問する形であるのに対し、定期巡回は短時間の訪問を1日複数回行い、あわせて随時のコール対応にも応じます。報酬も訪問回数に応じた出来高ではなく、要介護度別の月額包括payとなっている点が大きな違いです。(出典:厚生労働省 社保審・介護給付費分科会 第262回資料1)

Q2.
定期巡回はどのような利用者のケアプランに組み込みやすいですか?
A

認知症初期で見守りの頻度を上げたいケース、独居・老々介護で体調変化への即応が必要なケース、看取り期で医療連携の密度を上げたいケースなど、生活リズムに沿った柔軟な訪問頻度が必要な利用者との相性が良いとされています。

Q3.
包括payは「使い放題」という理解でよいのでしょうか?
A

訪問回数に上限はありませんが、計画作成責任者によるアセスメントに基づき、利用者に必要な量と質のケアを提供する前提の制度です。「使い放題」ではなく、計画的なケアマネジメントが求められるサービスです。

Q4.
夜間対応型を利用している方のケアプランは今後どうなりますか?
A

夜間対応型訪問介護は令和8年度末で廃止され、令和11年度末までの経過措置期間中に定期巡回・随時対応型訪問介護看護への移行が想定されています。担当事業所と早めに移行スケジュールを確認し、利用者・家族への説明準備を進めておくことをおすすめします。(出典:厚生労働省 社保審・介護給付費分科会 第262回資料1)

Q5.
担当エリアで定期巡回を提案したいのですが、何から確認すればよいですか?
A

事業所ごとに対応可能な圏域や、集合住宅併設型・個別巡回型といった運営形態が異なります。まずは担当エリア内で稼働している事業所の運営形態と得意な利用者像を把握しておくことが、提案の第一歩になります。

まとめ

定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、包括payという仕組みへの誤解や、事業所の運営形態による対応力の違いから、ケアマネジャーにとって提案のハードルが高く感じられがちなサービスです。しかし、都市部を中心に「利用したくても事業所の受け入れ体制が追いついていない」需要が存在しており、担当エリアの事業所情報を早めに把握しておくことが、いざという時の提案スピードにつながります。

加えて、令和8年度末に予定される夜間対応型訪問介護の統合という制度変更も控えており、既存の利用者を担当しているケアマネジャーは、経過措置期間中の移行スケジュールを念頭に置いたケアプランの見直しが求められます。多職種連携のハブとして事業所・訪問看護・主治医との情報共有体制を整えることが、在宅の限界点を上げるための鍵になります。

この記事を書いた人
介護老人福祉施設に10年在籍し、研修受け入れ担当として年間100名以上の研修生を指導。
湘南国際アカデミーでは初任者研修・実務者研修・介護福祉士受験対策の講師を務めるほか、受験対策テキストの執筆も担当。
介護技能実習評価試験評価者として外国人介護士の受け入れ支援、事業所向けスキルアップ研修のプロデュースなど、人材確保・育成・定着に向けた幅広い活動を展開している。
江島 一孝
藤沢校・横須賀校・海老名校・相模大野校・横浜戸塚校・横浜馬車道関内校・小田原校・大和校・横浜二俣川校
【所持資格】
介護福祉士・介護福祉士実習指導者・介護支援専門員・福祉用具専門相談員・介護技能実習評価試験評価者
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