介護業界は高齢化社会の進展により人材の需要が急増しています。一方で「介護職は給料が安い」という印象が根強く残ってしまっているようです。本記事では、初任者研修(旧・ヘルパー2級)や実務者研修、介護福祉士といった資格がどのように収入アップに直結するかを解説します。
資格ごとの給料差、処遇改善加算の活用法、施設形態別の給与相場などを分かりやすく紹介します。
介護職で安定収入を得たい方はぜひ参考にしてください。
介護職の給料が安いと言われる理由と収入アップを目指す方法
介護職の給与が低いとされる背景には、処遇改善加算の仕組みや、資格の有無による差がわかりにくいという現状があります。加算制度をうまく活用し、資格や勤務年数に応じた正当な報酬を得るには、職場選びが重要です。
特に、実務者研修や介護福祉士を取得することで、資格手当や役職手当が支給され、年収が大きく変わります。キャリアアップと合わせて、勤務先の制度をよく確認しておくことが賢明です。
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処遇改善加算・特定処遇改善加算を活用
処遇改善加算は、一定条件を満たした施設が申請できる制度で、介護職員の賃金改善が目的です。特定処遇改善加算は2024年5月に廃止。2024年6月より「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」の3つの制度を統一化した「介護職員等処遇改善加算」に一本化されております。
転職や職場選びで給料アップを狙う
介護職の給与は施設の規模や運営母体によっても差があります。給料アップを狙うなら、資格手当や福利厚生が充実している施設、処遇改善加算を積極的に還元している職場を選ぶのが鍵です。(ホームページに処遇改善計画書が公開されている施設は比較的しっかり還元している傾向にあります)
実務者研修や介護福祉士の取得支援制度が整った職場であれば、働きながらキャリアアップがしやすく、長期的に見ても収入に好影響があります。

介護福祉士
キャリアアドバイザー
【キャリアアドバイザーからの余談】
2025年4月現在の神奈川県の最低賃金は1,162円ですが、現在では「処遇改善加算を含めてこの金額である」と見なされるような運用が一般的になっています。実際、県内で最も多くの施設を運営しているA社では、無資格者や初任者研修修了者の時給が1,162円(処遇改善加算を含む)と設定されています。
正直なところ、これはやむを得ない状況だと思います。というのも、最低賃金は毎年約50円ずつ上昇しているにもかかわらず、介護報酬はほとんど見直されていないからです。
毎年10月の最低賃金の引き上げ時期が近づくと、多くの介護事業所の方々が対応に苦慮されています。
最低賃金が上がっても介護報酬が連動して増額されない限り、事業所の経営は厳しくなっていきます。一方で、賃金が大きく改善されなければ、介護職を志す人はますます減少していくのではないかと危惧されます。
資格手当・役職手当を充実させる
ヘルパー2級(初任者研修)では月数千円程度の資格手当、実務者研修では1万円以上の支給が期待できます。介護福祉士やケアマネジャー(介護支援専門員)、管理職になるとさらに高額な手当が上乗せされる場合もあります。
保有資格が複数ある場合、すべてに手当が出るか、最高位資格のみに限られるかは施設によって異なるため、就職前に確認することが重要です。
転職回数の増加による昇給・賞与の機会損失
転職によって給与が上がるケースもありますが、あまりにも頻繁に転職していると勤続年数が評価されにくく、昇給やボーナスの対象から外れることもあります。長期的な視点でキャリアを設計し、資格取得や職場選びを戦略的に行うことが、安定収入への近道です。
介護職の給料はどのくらい?平均給与と資格別の傾向
介護職の給与は、資格や職種、勤務先によって大きく変わります。無資格では初任給が低くなりがちですが、介護職員初任者研修や実務者研修、介護福祉士などを取得すれば、資格手当が加算されるため年収アップにつながります。管理職やケアマネジャー(介護支援専門員)を目指すと、さらに高収入も期待できます。
介護業界全体の平均年収・月収
介護職の平均年収はおよそ300万〜350万円程度。月収ベースでは20万〜25万円が相場です。都市部ではやや高めに設定される傾向がありますが、経験や役職によって大きく上下します。処遇改善加算の影響で、全体的に底上げされつつあります。
介護職員初任者研修の平均給与・年収
初任者研修修了者の月収は約20万円、年収は250万〜300万円ほど。未経験でもスタートしやすく、訪問介護や施設勤務で活躍できます。資格手当が支給される職場も多く、就職や転職での優位性があります。
実務者研修の平均給与・年収
実務者研修を修了すると、月収は22万〜25万円前後に上がるケースが多く、介護福祉士へのステップにもなります。資格手当や夜勤手当も加算されやすく、昇給や役職昇進にも有利な資格です。
介護福祉士の平均給料・年収
介護福祉士は国家資格で、月収は23万〜28万円、年収は350万〜400万円が目安です。経験を積むと管理職候補になれる可能性もあり、給与面でも安定した収入が期待できます。専門性と信頼性が高い資格です。
ケアマネジャーや管理職、施設長の給与相場は?
ケアマネジャー(介護支援専門員)は平均年収400万円以上、施設長や管理職は450〜500万円超も珍しくありません。介護業務に加え、マネジメントやケアプラン作成に関わるため責任は重くなりますが、その分待遇も充実しています。
このように、資格取得と経験の積み重ねによって、介護職の収入は大きく伸ばすことができます。湘南国際アカデミーでは、初任者研修から介護福祉士までキャリアアップをサポートする講座を多数開講中です。給付金制度を活用したい方や働きながら学びたい方は、ぜひ資料請求をご検討ください。
ケアマネジャー(介護支援専門員)は処遇改善の対象外なのと夜勤等の勤務もないのでケアマネ単体での給料は400万に届かない場合もあります。管理者や介護職との兼務でしたら400万以上になる場合が多いです。
介護資格の種類と取得方法
介護職としてキャリアアップを目指すためには、複数の資格を計画的に取得していくことが重要です。ここでは代表的な資格と、それぞれの取得方法や特徴をまとめて紹介します。
介護の現場には国家資格から民間資格まで多様な選択肢が存在するため、自分の目指すキャリア像や業務の専門性に合わせて資格を選択することが大切です。どの資格が自分に向いているかを見極めるには、実務経験や興味のある分野を踏まえて検討する必要があります。
また、資格取得には研修や受験の費用、学習時間もかかりますが、施設によっては取得支援制度を整えているところもあります。自分が働く職場のサポートをうまく活用すると、負担を軽減しながらステップアップが可能になるでしょう。
初心者から始められる『介護職員初任者研修』
介護職への第一歩として推奨されるのが、介護職員初任者研修です。この研修では、訪問介護のヘルパー業務に必要な基本的な知識や技術を学びます。受講期間は1〜2か月程度で、修了後は資格手当が支給される場合もあります。未経験から介護業界に挑戦する方に適した資格です。
初任者研修に関しての詳細は、以下のページをご覧ください
キャリアアップの第一歩『介護福祉士実務者研修』
実務者研修は、介護福祉士国家試験の受験資格を得るために必要な研修です。より高度な介護技術や医学的知識を習得でき、受講期間は無資格の場合、最短6か月かかります。通信とスクーリングを組み合わせたカリキュラムが一般的で、働きながらでも受講しやすいのが特徴です。修了後は、資格手当の増額やサービス提供責任者への昇進など、キャリアの幅が広がります。
実務者研修に関しての詳細は、以下のページをご覧ください
介護のプロフェッショナル『介護福祉士国家資格』
介護福祉士は、介護分野で唯一の国家資格であり、高い専門性と社会的評価を持ちます。受験資格を得るためには、実務経験3年以上と実務者研修の修了が必要です。取得後は、給与面での優遇や、管理職への昇進など、さらなるキャリアアップが期待できます。長期的に介護業界で活躍したい方にとって、目指す価値のある資格です。
介護福祉士に関しての詳細は、以下のページをご覧ください
相談支援やケアプランで活躍『ケアマネジャー(介護支援専門員)』
ケアマネジャー(介護支援専門員)は、利用者一人ひとりのニーズを把握し、適切なケアプランの作成やサービス調整を行う役割を担います。受験資格として、介護福祉士などの資格と一定の実務経験が求められます。業務範囲が広く責任も大きいですが、その分給与面での手当も手厚く、やりがいのある職種です。
ケアマネジャー(介護支援専門員)に関しての詳細は、以下のページをご覧ください
認知症介護に特化した資格『認知症介護実践者研修』
高齢化社会の進展に伴い、認知症介護の重要性が増しています。認知症介護実践者研修では、認知症に関する深い理解と適切なケア方法を学びます。この研修を修了することで、認知症ケアに特化したスキルを持つ専門職として、施設からの需要が高まり、手当や昇進の機会が増える可能性があります。
2024年の介護保険の改正にて「認知症専門ケア加算」の要件が「認知症介護実践者研修」修了1年後以降に受講可能な「認知症介護実践リーダー研修」修了者の配置が必要になりました。
「認知症介護実践リーダー研修」を修了すれば加算に関わる資格なので高待遇が期待できます。
認知症介護実践者研修に関しての詳細は、以下のページをご覧ください
注目度アップ『レクリエーション介護士』ほかの専門資格
近年、レクリエーション介護士などの民間資格も注目されています。この資格では、利用者の楽しみや身体機能の維持を目的としたレクリエーション活動の企画・実践スキルを習得します。取得方法は、通学または通信講座を修了し、試験に合格することで資格が取得できます。資格取得により、現場での即戦力として評価されることが期待されます。
資格取得は、介護職としての専門性を高め、給与やキャリアアップにつながる重要な要素です。湘南国際アカデミーでは、これらの資格取得をサポートする多彩な講座を提供しています。自分の目指すキャリアに合わせて、適切な資格を選択し、計画的にステップアップを図りましょう。
レクリエーション介護士に関しての詳細は、以下のページをご覧ください
施設形態・雇用形態別でみる介護職の給料相場
介護職の収入は、勤務先の施設種別や雇用形態によって大きく変わります。訪問介護は移動が多く身体的負担も大きい分、サービスごとの単価が高めに設定される傾向があります。一方、施設介護(特養・老健・グループホームなど)では、夜勤手当や資格手当が収入に直結します。正社員かパート、夜勤専従かでも給与差が出るため、自分の希望やライフスタイルに合った働き方を選ぶことが重要です。
訪問介護で正社員の給料
訪問介護の正社員は月給制が一般的で、月収は20万〜25万円程度。夜勤が少ない分、移動手当や訪問件数によって収入が変わります。処遇改善加算を活用している事業所もあり、経験やスキルに応じて昇給が見込めます。対人スキルが重視されるため、利用者との信頼関係構築も評価ポイントとなります。
訪問介護の登録ヘルパーの給料
登録ヘルパーは時給制で、平均時給は1,200〜2,200円。サービス提供時間に応じて給与が決まるため、稼働時間の確保が収入を左右します。スケジュール調整がしやすく、主婦や副業希望者にも人気。ただし、移動時間の手当の有無やキャンセル時の保障など、条件は事業所ごとに異なるため注意が必要です。
特養・老健・グループホームなど施設別の給料
特養では夜勤回数に応じて月収が増えやすく、老健は医療ケア寄りの職場で専門性が評価されやすいのが特徴です。グループホームは家庭的な雰囲気があり、小規模での介護が中心。施設ごとに給与形態や手当制度が異なるため、勤務条件やキャリア支援の有無をよく確認しましょう。
常勤・パート・夜勤専従など雇用形態の違い
常勤職員は安定収入と福利厚生が魅力で、昇給や賞与も期待できます。パートやアルバイトは時給が高めで、柔軟な働き方が可能。夜勤専従は夜勤手当が加算されるため収入が高くなる傾向がありますが、体調管理が重要です。収入と健康のバランスを考えて、自分に合った雇用形態を選ぶことが大切です。
介護職の給料の違いですが、介護度と人数に比例しています。
介護度が高ければ高いほど介護報酬や処遇改善が上がり企業の収入は増え、スタッフの収入もアップします。ネットで介護職の給与ランクを見ても特別養護老人ホームの給料が一番高い理由はそこにあります。
逆に介護度が低いデイサービスやご利用者様の人数が少ないグループホームは少し給料が低めですね。
訪問介護の場合ですが、施設は部屋数が決まっているので施設の収入はある一定までしかあげられないのですが、訪問介護はスタッフさえいれば無限に売上を伸ばせるので、在宅系ではもっとも給料が良い傾向にあります。
都道府県別の介護職の給料の違い
介護職の給料は、働く地域によって大きく変わります。最低賃金や物価水準、自治体の補助制度などが影響し、同じ資格を持っていても収入差が生じます。
都市部は求人が多く、給与水準も比較的高めですが、家賃や物価が高く、手取りベースで見ると地方と大差がないケースもあります。一方、地方では高齢化が進み、介護人材の需要が増加中。施設ごとの処遇改善加算や特別手当で待遇を上げる取り組みも増えています。
また、都道府県ごとに最低賃金の設定が異なるため、時給ベースでの収入にも地域差があります。給与だけでなく、生活コストや通勤環境、支援制度なども含めて、バランスよく就業先を選ぶことが重要です。
FAQ|介護資格と給料に関するよくある質問
介護職の給料は資格によってどう変わるのか、キャリアアップの影響はあるのかなど、多くの方が疑問を抱いています。ここでは、よくある質問に分かりやすくお答えします。
- Q1.介護職の給料は資格でどのくらい変わりますか?
- A
- Q2.処遇改善加算って何ですか?
- A
処遇改善加算とは、国が介護職の待遇改善を目的に設けた制度で、一定の要件を満たす施設で働くと給与に加算がつく仕組みです。特定処遇改善加算では、ベテランや資格保有者が優遇されやすくなります。
- Q3.給料が高い介護の資格は何ですか?
- A
介護福祉士やケアマネジャー(介護支援専門員)、施設長などは平均年収が高く、管理職や専門職としての待遇も受けやすいです。また、認知症介護実践者研修やレクリエーション介護士などの専門資格も、現場で評価される傾向があります。
まとめ|キャリアアップで安定した収入を実現しよう
介護業界では、資格取得やキャリアアップによって給料が大きく変わります。初任者研修から始まり、実務者研修、介護福祉士、ケアマネジャー(介護支援専門員)とステップを踏むことで、手当や役職、年収の向上が見込めます。
湘南国際アカデミーでは、各資格に対応した講座だけでなく、給付金や支援制度を活用した学習計画の提案も行っています。介護職として長く働きたい方、収入アップを目指したい方は、まずは資料請求や無料相談をご利用ください。将来のための一歩を、私たちが全力でサポートします。
現在はキャリアアドバイザーとして、求職者の就労サポートや企業支援を担当。採用担当経験者としての豊富な経験を活かし、求職者の強みを引き出す面接対策にも定評がある。介護業界の発展に貢献するべく、求職者・企業双方の支援に尽力。
プライベートでは息子と共にボーイスカウト活動を再開し、奉仕活動を通じて心を磨くことを大切にしている。
