
江島一孝(介護福祉士)
この記事の監修者
介護福祉士、実習指導者、介護支援専門員として10年以上の経験を持ち、湘南国際アカデミーで介護職員初任者研修や実務者研修の講師、介護福祉士国家試験の対策テキスト執筆を担当。
介護職員初任者研修は、介護現場での基礎を学ぶ入門資格です。高齢化社会の進展により介護職が求められるなか、安心して働くための知識・技術を習得できる点が注目されています。
本記事では、初任者研修の受講の流れ・費用・メリットを網羅的にまとめました。介護業界を目指す方や資格取得を検討中の方は、ぜひ自分に合った学び方を見つける参考にしてみてください。
初任者研修とは|概要
介護職員初任者研修は、厚生労働省の認定を受けた資格で、同省が定めたカリキュラムに基づき、介護に必要な基礎知識と技術を学ぶ研修です。未経験者でも入りやすいよう設計されており、講義や実技演習を修了して合格すると、在宅・施設を問わず介護職として役立つスキルを証明できます。
初任者研修に関しての詳細は、以下のページをご覧ください
旧ヘルパー2級との関係
「ホームヘルパー2級」は制度改正により「介護職員初任者研修」に再編されました。「ホームヘルパー2級」が訪問介護員を要請する目的であったのに対し、「初任者研修」は、在宅・施設を問わず基本的な知識と技術を身につける研修内容となっています。
初任者研修の目的と概要
介護未経験・無資格から受講できます。介護のスペシャリストへの道を歩き始める方の「はじめの一歩」の研修です。
基本的な介護を実践するために最低限必要な知識・技術を理解できることを目的としています。
どんな人が受講する資格なのか
介護業界で働いている方、これから介護業界への転職を目指す方だけではなく、家族介護に役立てたい方、コミュニケーション技術を学びたい方など、どなたでも受講いただけます。年齢制限はなく、学歴要件も特にありません。
初任者研修のカリキュラム内容と学び
国が定める130時間のカリキュラムで、講義と実技を通じて幅広い介護技術を学びます。湘南国際アカデミーでは、受講生の皆さんが安心して学べるサポート体制を設けています。
初任者研修の科目及び研修時間数
厚生労働省により、職務の理解・尊厳と自立支援・コミュニケーション技術・認知症の理解など10科目が細かく規定されています。講義で理論を学び、演習で身体介護や生活支援技術を身につける流れです。
- 職務の理解(6時間)
- 介護における尊厳の保持・自立支援(9時間)
- 介護の基本(6時間)
- 介護・福祉サービスの理解と医療の連携(9時間)
- 介護におけるコミュニケーション技術(6時間)
- 老化の理解(6時間)
- 認知症の理解(6時間)
- 障害の理解(3時間)
- こころとからだのしくみと生活支援(75時間)
- 学習内容の振り返り(4時間)
上記とは別に、筆記試験による修了評価(1時間程度)を実施します。
初任者研修の実技演習の内容
ベッドメイキングや車いす移動、着替え、おむつ交換などを実際に体験しながら学びます。座学だけではわからない利用者との距離感や声かけのコツをつかむことができます。安全面や介護過程を意識した演習を繰り返すことが技術の習得と自信につながります。
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初任者研修の受講の流れ|試験内容と取得方法
スクールによって通信講座・通学講座など学習スタイルが異なりますが、基本的には「申し込み→講義・演習→修了試験合格→資格取得」という流れです。
受講の申し込みから開講まで
スクールの資料請求や説明会に参加して自分に合ったカリキュラムを確認した後、受講の申し込みを行います。時期によっては定員が埋まることもあるため、早めの検討と申し込みが大切です。
申し込み後、スクールから受講に関する具体的な日程や教材が案内されます。通学スケジュールや通学経路、交通機関のダイヤなどを把握しておきましょう。
初任者研修のスクーリングと通信学習の進め方
通信学習では講義用テキストやオンライン教材を用いて知識を深める一方、スクーリングでは演習や仲間とのディスカッションを通じて実践的に学びを深めます。両者をバランスよく取り入れることで幅広い理解が可能です。
スクーリング時はグループワークや演習が主になるため、単なる座学よりも体感的にスキルを習得できる点がメリットです。疑問点はその場で質問できるので、理解を深めながら進められます。
仕事や育児をしながら無理なく受講するためには、スクールのスケジュールが合うかどうかも重要なポイントです。生活スタイルに合わせて、平日週1回コース、週末コースなど通いやすいコースを選びましょう。
初任者研修の修了試験の内容と難易度
修了試験は主に筆記形式で、研修中に学んだ知識を総合的に確認するものです。実技試験を課すスクールもありますが筆記試験が中心で、多くのスクールが合格ラインを70点前後に設定しています。日々の復習を怠らなければ難易度は高くありません。再試験制度があるスクールも多いので安心です。実技試験があるスクールも、落とすための試験ではなく、到達度、理解度を確認するためのものです。
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試験範囲と出題形式
試験範囲はカリキュラム全体にわたり、介護の基本知識、コミュニケーション、医療連携、福祉制度などが幅広く問われます。正しい選択肢を選ぶ選択問題や○×問題が中心です。
合格ラインと試験対策
多くのスクールでは70点程度を合格ラインと設定しています。テキストや模擬問題を活用し、要点をまとめるのが効果的です。スクールでの授業やレポート課題をこなしていれば合格しやすいでしょう。
初任者研修の資格取得までの流れ
資格取得までには、申し込み→講義・実技演習→修了試験→合格というシンプルな流れが一般的です。スクール独自に小テストや演習のチェックが行われる場合もありますが、基本的には大量に落とすような厳しい試験は少ないです。
合格後に修了証明書が発行されるため、これを介護事業所に提出すれば就職活動や転職活動などで資格の有無を証明できます。資格取得は給料アップにもつながります。
スケジュール管理をしっかり行い、余裕を持って学習に取り組むことで、途中で挫折せずに合格をつかむことができるでしょう。
初任者研修の通学制と通信制の違い
通学制は全てのカリキュラムを実際にスクールへ通い、講師や仲間と一緒に学習できるため、交流を楽しみながら学べる点が魅力です。講義内容をリアルタイムで質問でき、実技のフィードバックも細やかに受けられます。しかし、130時間すべて通学で学習するため、修了までかなりの日数を要します。
通信制は座学部分が自宅学習となります。通信制とは言っても、すべてのカリキュラムを通信のみで学べるわけではありません。実技演習は決まった日程でスクールに通って学習します。実際には「通学・通信併用」コースということになります。通学制よりもスクーリング日数が少ないため、スケジュールの管理がしやすいでしょう。
最近では湘南国際アカデミーも採用している上記の通信コースが主流です。この中から、曜日固定のコースや、短期取得コースなど、自分の生活スタイルや学習ペースに合わせて選ぶと良いでしょう。両者の違いを理解し、通いやすさや学費、サポート体制などを総合的に比較して決定することをおすすめします。
初任者研修の費用と助成制度|介護スクールの選び方
受講料は学ぶスクールや地域によって差がありますが、助成制度などを活用することで負担を軽減できる場合があります。
介護職員初任者研修の受講費用は平均的に5万円~10万円前後といわれており、スクールによっては分割払いやキャンペーン割引を実施しているところもあります。また、在職中の方は勤務先が受講料の一部を負担してくれるケースもあります。
助成制度や補助金を活用すると、実質的な自己負担を抑えて資格取得が可能となることがあるため、最初にしっかり情報収集しておきましょう。特に公共職業安定所(ハローワーク)の支援制度や自治体独自の補助制度などは見逃せないポイントです。
スクールを選ぶ際は費用だけでなく、講師の質やサポート体制、立地条件なども総合的にチェックしましょう。後述するスクール選びのポイントや、実際の通いやすさを比較検討することが肝要です。
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初任者研修の受講費用の相場
スクールによって異なりますが、5万円から8万円程度が受講費用の目安となっています。安価なコースでは3万円台で提供しているところもありますが、テキスト代や実技演習費などが別途必要な場合があるため、トータルコストを確認することが重要です。
助成金や補助金制度の活用法
公共職業安定所では、求職者支援訓練や離職中の方を対象とした制度を用意している場合があります。一定の条件を満たせば、受講料が実質無料になるケースも存在します。
また、お住まいの自治体によっては独自の補助金を設けているところもあるため、事前に役所やハローワークの窓口で問い合わせてみるのがおすすめです。補助金を受け取った場合、一定期間内に報告が必要となることもあるため手続きは忘れず行いましょう。
初任者研修のスクール選びのポイント
スクールを選ぶ際は、費用だけでなく通いやすさやサポート体制など総合的に比較することが大切です。
実際に資料や説明会で確認し、理解が深まるカリキュラムになっているか、万一欠席した場合のフォロー制度があるかなどをチェックすると安心です。受講後の就職サポートや試験対策のサポートが充実しているかも大事な要素となります。
資格取得後も仕事の悩み相談や情報共有などがしやすい環境は、長期的にみてもプラスになるでしょう。
通いやすい場所とスケジュール
自宅や職場から通いやすい立地にあるスクールを選ぶことで、移動時間の負担を減らせます。特に実技演習が多い初任者研修では、通学頻度がある程度多くなる点に留意しましょう。
サポート体制と学びやすさ
欠席した際の振替制度や再試験の無料対応など、受講生が学び続けやすい環境を提供しているスクールが望ましいです。学習方法の相談なども気軽にできるサポート体制が充実していると安心です。
介護職員初任者研修おすすめのスクール例
多数の受講生を抱え、講師陣が現場経験豊富な大手スクールは、実務で活きる知識を惜しみなく提供してくれる傾向がありますが、きめ細やかなサポートやサービスが受けられるかはよく確認しましょう。ウェブでの口コミや評判を参考にして、失敗のないスクール選びを意識しましょう。
地元の介護スクールや専門学校、公共機関が運営するスクールでは、地域密着型のサポートが期待できる場合もあります。地元企業との連携が強いところでは、就職サポートの面でメリットが大きいです。
いずれにしても自分のライフスタイルに合ったスクールを見つけることが、研修を無理なく終え、資格取得後も長く活かせる学びにつながるポイントになります。
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初任者研修を受講するメリット
介護業界では常に人材不足が叫ばれており、介護職員初任者研修を修了しているだけでも就職や転職で大きなアドバンテージになります。何も資格を持っていない人より、「基礎的な知識が身についている」、「やる気がある」といったアピールポイントになります。
また、初任者研修で学んだ内容は、家族を介護するときやボランティア活動など多様な場面で活用可能です。正式な資格としてだけでなく、日常生活においても高齢者の身体特性や認知症対応などの知識を活かすことができます。
さらに、資格を足がかりに、専門性の高い実務者研修や介護福祉士などの上位資格へと進みやすくなります。キャリアアップの道筋を描きやすい点も、この資格の大きな魅力です。
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介護現場での即戦力となるスキルを習得
介護職員初任者研修では、利用者の体位交換や移乗介助、食事や排泄などの基本的な生活支援技術を体系的に学ぶため、研修後すぐに現場で役立てるスキルが身につきます。利用者に安心感を与えられるような声かけや接遇方法も学習できるのは大きな利点です。
初任者研修取得後の仕事の幅と安定性
介護施設や訪問介護事業所だけでなく、グループホームやデイサービスなど、初任者研修のスキルを活かせる職場は数多くあります。介護保険以外の福祉施設においても有資格者であることを評価してもらえるため、就職先の選択肢が広がるでしょう。
社会全体の高齢化が進んでいることもあり、一定の需要が今後も続く見通しです。安定した需要がある分、長期的に働きやすいというのも大きな魅力です。
介護業界でのキャリアアップと地域貢献
介護職員初任者研修を修了後、実務経験を積むことで実務者研修や介護福祉士など、さらなる上位資格を目指すことができます。段階的にキャリアアップを図れるというのは、介護業界ならではの特徴です。
また、高齢者が増加している地域社会において大きな貢献ができる仕事であるため、やりがいや社会的意義の高さを感じられます。自分のスキルを地域に還元することで、生活を支える重要な担い手となれるでしょう。
就職サポートの充実度
介護職員初任者研修を提供しているスクールの多くが、就職支援サービスも実施しています。実務経験がない方も、研修中から求人情報を得たり、紹介を受けたりすることが可能です。
履歴書の書き方や面接対策などのサポートを受けられる場合も多く、スムーズに就職活動を進めやすい点が魅力です。資格の取得と同時に次のキャリアも見据えられるため安心感があります。
初任者研修修了後の進路とキャリアイメージ
取得後は多くの介護事業所から求められ、安定した就職先やさらに高度な資格取得の道が開けます。
初任者研修修了後は、多くの方が介護の業界に進みます。デイサービスや特別養護老人ホーム、訪問介護事業所といった施設からのニーズは依然として高く、求人も豊富にあります。
就職後は、介護現場でキャリアを積み、次の資格である実務者研修を修了し、介護福祉士資格の受験資格を得る流れが一般的です。介護福祉士を取得すれば、より専門性の高いケアに携わることができ、給与面でも優遇されやすくなります。
こうした資格取得や現場経験を重ねていくことで、サービス提供責任者や施設管理職という道も開けます。将来的には管理職として職場の運営に関わるなど、多彩なキャリア形成が可能です。
就職先の選択肢とキャリアパス
介護職員初任者研修修了後は、多くの方が介護の仕事についています。一口に介護施設といっても、デイサービスや特別養護老人ホーム、訪問介護事業所など、形態も働き方も多岐にわたります。
現場で経験を積みながら並行して、初任者研修よりも幅広い知識を得られる実務者研修を受講し介護福祉士を目指すのが一般的です。
介護施設・訪問介護事業所での実務
施設での業務は多岐にわたります。身体介助に加えてレクリエーションの企画・運営など利用者の生活全般にかかわります。
訪問介護では、利用者宅を訪問し、身体介護、生活援助を行います。一人ひとりに合わせた柔軟な対応力が求められます。
実務者研修・介護福祉士へのステップアップ
介護職員初任者研修を修了後、さらに高度な内容を学ぶことで介護福祉士受験資格を得ることができます。実務者研修では、より専門的な知識や医療的ケアを含む実践スキルを習得します。
介護福祉士として現場経験を積みながら管理職を目指す、あるいはケアマネジャーを目指すなど、さまざまな道につながる足掛かりとなります。
介護現場での経験を積む際のポイント
現場では忙しい日々が続くため、最初は慣れないことも多いでしょう。しかし、基本スキルを押さえつつ、利用者の気持ちになってケアする姿勢を忘れないことが重要です。
上司や先輩に自分のできること・難しいことを素直に相談しながら、経験と知識を積み上げていくのが理想的な成長プロセスとなります。
よくある質問(FAQ)
介護職員初任者研修については多くの疑問があるかと思います。代表的な質問とその回答をまとめました。
初めて資格を取得する際は、手続きや学習方法、試験対策など戸惑うことがあるかもしれません。下記のQ&Aを事前に把握しておけば、スムーズな受講計画に役立ちます。
費用はどれくらいかかるのか、難易度はどれくらいか、といった基本的な疑問を解消しておくことで、安心して研修に臨めるでしょう。
その他の疑問については、スクールの担当者や公的機関の窓口に気軽に問い合わせてみることもおすすめです。
- Q1.未経験でもスムーズに学べますか?
- A
はい、初任者研修は未経験者でも理解しやすいように基礎から学べるカリキュラムが整っています。講義や実技演習を通じて分からないことはすぐ質問できる体制があるため、しっかりと理解を深めながらステップアップできます。
受講生の多くが介護未経験から学び始めるケースが多いので、同じような立場の仲間と助け合いながら取り組めるのも安心できるポイントです。
- Q2.実務者研修とどちらを先に取るべき?
- A
- Q3.費用を抑える方法はある?
- A
公共職業安定所の求職者支援訓練や自治体の補助金などを活用することで費用を大幅に抑えられる場合があります。タイミングによってはスクールが独自にキャンペーンを行っていることもあります。
また、就業中であれば雇用保険の教育訓練給付金などを適用できることもあるため、事前に対象となるか確認しておくとよいでしょう。
まとめ
介護職員初任者研修は、介護業界への第一歩として重要な役割を果たす資格です。
公的資格であるため、就職や転職での有利になるうえ、上位資格の実務者研修や介護福祉士につながるキャリアパスも開けます。自分に合ったスクール選びや助成制度の活用で費用を抑えながら、ぜひ資格取得に挑戦してみてください。
その他、介護事業所や医療機関などにおいて当校の「事業所内スキルアップ研修」の企画・提案・実施など各事業所用にカスタマイズする研修をプロデュースし、人材確保・育成・定着に向けた一連のプログラムを手掛けている。
