日本では高齢化が進む中、認知症患者の増加に伴い適切な介護の重要性が増しています。この背景から、無資格の介護職員にも研修の義務化が進められており、認知症介護基礎研修が導入され注目を集めています。
この研修では認知症についての基礎知識や介護技術を習得できるとして、特にeラーニングの形式が忙しい介護職員にとって便利な事情に合わせた内容になっています。
湘南国際アカデミーでは、横浜市と藤沢市から指定を受けて、認知症介護基礎研修をeラーニングで受講できるように運営しております。(※神奈川県と相模原市からの指定は申請手続き中)
本記事では、当校だけでなく全国の認知症介護基礎研修の実施機関様の情報や、認知症介護基礎研修の受講に関する情報を詳しく解説していきます。
認知症介護基礎研修とは?

認知症介護基礎研修は、高齢化が進む現代社会において急増している認知症患者に対するケアの基本的な知識とスキルを学ぶ重要なプログラムです。この研修は、主に無資格の介護職員を対象にしており、認知症に関する基礎的な理解を深め、質の高いケアを提供するためのスキル向上が目的です。
無資格の介護職員に対する認知症介護基礎研修の義務化
認知症介護基礎研修は、2015年に策定された「新オレンジプラン」に基づき、介護職員のスキル向上を目的として2016年度から全国で導入されました。2021年度からは、eラーニング形式での受講が可能となり、認知症に関する基礎知識や介護の考え方を効率的に学べる環境が整っています。この研修を通じて、正しい介護方法を習得し、自信を持って認知症介護に取り組むことが期待されています。
2021年度より、無資格の介護職員に対してこの研修の受講が義務付けられています。対象者は全国の介護事業所(一部除外)で働く無資格者であり、約150分のeラーニングを修了することで認定を受ける仕組みです。また、外国人労働者や生活援助業務に携わる人にも適用されており、介護サービス全体の質向上に寄与しています。
この研修制度により、介護現場での知識や技術の標準化が進み、信頼される介護人材の育成が期待されています。介護需要が高まる中、研修は安心して利用できる介護環境の整備に重要な役割を果たしています。
認知症介護基礎研修の学習内容とカリキュラムの詳細

認知症介護基礎研修では、認知症ケアに必要な理論と実践をバランスよく学べるカリキュラムが用意されています。この研修は、認知症の基礎知識や具体的な対応方法、利用者へのサポートスキルを習得できる内容です。
学習内容には、認知症の症状や原因の理解、心理的ケアの方法、利用者と家族へのコミュニケーションスキルなどが含まれます。現場ですぐに役立つ技術を身につけ、より質の高い介護を提供できる力を養います。
このような充実したカリキュラムで、認知症介護に必要な知識とスキルを確実に習得することが可能です。
認知症介護基礎研修のカリキュラム概要
以下の表のように、認知症介護基礎研修のカリキュラムは、介護職員が現場で実践できる知識とスキルを段階的に学べるよう設計されています。基礎知識から実践的な技術まで体系的に構成されており、初心者でも安心して学べる内容です。
認知症の症状や原因の理解、心理的ケア、対応技術などを学び、介護現場での自信と実務能力を高めることができます。
国が定める標準的な認知症介護基礎研修のカリキュラム
項目 | 内容 |
---|---|
研修のねらい | ・認知症の人や家族の視点を重視し、本人主体の介護を遂行するための基礎的な知識・技術を習得する。 ・チームアプローチの一員として基礎的なサービス提供を行えるようにする。 |
対象者 | 介護保険施設・事業者等で業務に従事する介護職員等。 |
研修の義務付け免除資格 | 医師、歯科医師、薬剤師、看護師、准看護師、介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者、生活援助従事者研修修了者、 介護職員基礎研修課程又は訪問介護員養成研修一級課程・二級課程修了者、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、 あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師、管理栄養士、栄養士、社会福祉士、介護支援専門員、精神保健福祉士等。 |
学習内容 | 1. 認知症の人を取り巻く現状: 認知症施策の概要(認知症施策推進大綱) 2. ケア提供時の判断基準: 基礎理念や考え方、尊厳の保持、偏見や誤解の解消、意思決定支援 3. 認知症理解に必要な基礎知識: 認知症の症状、生活・心理への影響、症状の要因 4. 認知症ケア技術と留意点: チームケアの観点を含む基礎的認知症ケア方法、家族介護者支援方法 |
認知症介護基礎研修の学習内容の詳細
章タイトル | 学習内容 |
---|---|
序章:認知症を取り巻く現状 | 認知症や認知症介護に関する国の考え方や方向性を理解 認知症を取り巻く社会の未来像を学ぶ 認知症施策推進大綱の概要 |
第1章:基礎となる理念や考え方 | パーソン・センタード・ケア 認知症の人への偏見・誤解の解消 介護者の視点 日常・社会生活での意思決定支援 |
第2章:認知症の定義と原因疾患 | 認知症とは何か(①・②) 各認知症の原因と主要な症状 アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症 |
第2章:認知症の定義と原因疾患 | 中核症状と行動・心理症状(①・②)の理解 中核症状が生活や心理面に与える影響 環境が認知症に与える影響(①・②) 健康管理(①・②) |
第4章:認知症ケアの基礎技術 | 認知症の治療(①・②) 認知症の人への適切な関わり方と症状対応(事例演習含む) 意思を尊重する支援方法(①・②) チームケアの基本 家族介護者の理解と支援方法(①・②) |
認知症介護基礎研修の受講方法

認知症介護基礎研修は、介護に携わる方にとって重要なスキルを習得するための基本的なステップです。研修の受講方法について正確な理解を深めることで、効率的かつ有意義な学びを得られます。
このセクションでは、認知症介護基礎研修の受講方法に関する主な選択肢や手続きを詳しくご説明します。eラーニングや集合研修の形態の違い、それぞれのメリットデメリットなどを含め、ご自身の状況に合わせた最適な学習方法を見つけるための参考にして頂けたら幸いです。
認知症介護基礎研修はeラーニングと集合研修を選べる
認知症介護基礎研修は、介護現場で必要な基本スキルを身につける第一歩です。受講方法を正しく理解することで、効率的かつ充実した学びを得られます。
研修は主に「eラーニング」と「集合研修」の2つの形式があり、それぞれ特徴があります。eラーニングは、時間や場所に縛られず自分のペースで学べるのが魅力です。一方、集合研修では講師や他の受講者と直接やり取りでき、実践的なスキルを深く学ぶことができます。湘南国際アカデミーでは動画を視聴するeラーニング形式でおこなっています。
自身のスケジュールや学び方に合った形式を選び、必要な手続きを進めることで、スムーズに受講を開始できます。
認知症介護基礎研修の実施機関と地域別情報
認知症介護基礎研修を受講するには、研修を提供している実施機関や地域ごとの情報を確認し、適した研修機関を選ぶことで、効率的かつ効果的に学習を進められます。
全国各地で開催されている研修は、地域や施設によってスケジュールや形式が異なるため、公式サイトや問い合わせ窓口で詳細を確認し、自分に合った研修を計画的に選択しましょう。
地域別の情報を以下にご紹介しますので、参考にしてください。
実施団体➀:認知症介護研究・研修 仙台センター
「社会福祉法人東北福祉会 認知症介護研究・研修仙台センター」は、認知症介護に関わる研究から研修創設など中心的な役割を担い、日本の認知症介護の権威とされています。全国の都道府県や地方自治体においても同センターの認知症介護基礎研修のeラーニングが導入されています。
公式HP:社会福祉法人東北福祉会 認知症介護研究・研修仙台センター
実施団体一覧➁:その他の認知症介護実施機関
自治体 | 実施団体名 | e-mail 連絡先 |
---|---|---|
岩手県 | 公益財団法人 いきいき岩手支援財団 | d-care-kiso@silverz.or.jp TEL.019-629-2300 |
埼玉県 | 公益財団法人 介護労働安定センター埼玉支部 | saitama@kaigo-center.or.jp TEL.048-813-2551 |
さいたま市 | 公益財団法人 介護労働安定センター埼玉支部 | saitama@kaigo-center.or.jp TEL.048-813-2551 |
神奈川県 | 株式会社アメイジュ 湘南国際アカデミー | info@si-academy.jp 0120-961-190 |
富山県 | 一般社団法人 富山県介護福祉士会 | TEL.076-422-2442(平日9:00~16:00) |
名古屋市 | 社会福祉法人 名古屋市社会福祉協議会 社会福祉研修センター | zaitakunet@nagoya-shakyo.or.jp TEL.052-745-6660 |
滋賀県 | 社会福祉法人 滋賀県社会福祉協議会 滋賀県社会福祉研修センター | TEL.077-567-3927(平日9:00~17:00) |
山口県 | 一般社団法人 山口県宅老所・グループホーム協会 | info@yamaguchi-ghr.com |
山口県 | 有限会社みずほ企画 | mizuho-ltd@seirankai.or.jp TEL.083-933-6000 |
山口県 | 一般社団法人 山口県介護福祉士会 | info@yamaguchi-kaigo.jp TEL.083-987-0122 |
愛媛県 | 公益財団法人 介護労働安定センター愛媛支部 | ehime@kaigo-center.or.jp TEL.089-921-1461 |
長崎県 | 有限会社RAIMU | raimu-care@herb.ocn.ne.jp TEL.0956-28-4649(平日9:00~17:00) |
自治体や研修実施機関へのお問い合わせ
認知症介護基礎研修を受講する際には、地域の自治体や研修機関の連絡先を確認して、受講手続きや研修スケジュール、詳細な内容についての疑問を解消するため、事前に直接問い合わせを行いましょう。
特に、認知症介護基礎研修の開催に関しては、各都道府県や地方自治体が認定(指定)する協会団体や民間の研修機関、スクールが研修を管理・運営しており、申し込み方法や必要書類は、それぞれの公式ホームページや専用サイトで案内されています。事前に必要な情報を把握しておくことで、手続きをスムーズに進めることができます。
研修の準備をしっかりして、安心して受講に臨みましょう。
認知症介護基礎研修受講後のステップ

認知症介護基礎研修を修了後、更なるスキルアップと専門性の向上を目指す具体的なステップについて説明します。
基礎研修を修了した方は、認知症介護実践者研修や認知症介護実践リーダー研修などの高度な研修に進むことで、実践力の強化や専門的なケア技術の習得が期待できます。
認知症介護実践者研修
認知症介護実践者研修は、認知症を持つ方に対して専門的なケアを提供するための知識や技術を学ぶ研修です。現場での実践力向上を目的とし、基本的な理解から応用スキルまでを身につけることができます。
受講対象者
- 介護職員や福祉施設のスタッフ
- 認知症ケアに関心がある、または実践的スキルを高めたい方
受講資格・条件
- 介護職員初任者研修や実務者研修を修了していること(条件は自治体によって異なる)
- 介護福祉士などの資格保持者、または一定の介護経験があること(条件は自治体によって異なる)
メリット
- キャリアアップや職場での評価向上につながる
- 認知症ケアにおける専門知識と技術を習得できる
- 利用者や家族との信頼関係構築がスムーズになる
この研修は、さらなるスキルアップを目指す介護職員にとって重要なステップとなります。
認知症介護実践者研修に関しての詳細は、以下のページをご覧ください
認知症介護実践リーダー研修
認知症介護実践リーダー研修は、認知症ケアにおけるリーダーとしての役割を担う人材を育成する研修です。現場での指導力やチームをまとめるスキル、より高度な認知症ケアの実践力を身につけることを目的としています。
受講対象者
- 介護施設や事業所でリーダー的な役割を担う職員
- 認知症ケアにおける知識と経験を深めたい方
受講資格・条件
- 認知症介護実践者研修を修了していること(条件は自治体によって異なる)
- 一定期間以上の認知症介護の実務経験があること(条件は自治体により異なる)
- メリット
- チームリーダーとしての指導力や問題解決能力が向上する
- 高度な認知症ケアの知識と実践スキルが習得できる
- キャリアアップや組織内での信頼度向上につながる
- この研修は、介護現場でのリーダーシップを発揮し、チーム全体のケアの質を向上させるための重要なステップです。
認知症介護実践リーダー研修に関しての詳細は、以下のページをご覧ください
認知症介護指導者養成研修
認知症介護指導者養成研修は、介護現場で認知症ケアの指導や研修を行う指導者を育成する研修です。認知症ケアに関する高度な専門知識と実践的な指導力を習得し、介護現場全体の質の向上を目指します。
受講対象者
- 介護施設や福祉施設のリーダー職や管理職
- 認知症ケアの研修や教育を担う立場を目指す方
受講資格・条件
- 認知症介護実践リーダー研修を修了していること
- 一定期間以上の認知症介護の実務経験があること(自治体や実施団体により異なる)
メリット
- 認知症ケアの指導者としてのスキルや指導力を習得できる
- チームや施設全体の認知症ケアの質を向上させられる
- 専門性を活かし、キャリアアップや業界内での評価が向上する
この研修は、介護現場を牽引するリーダーからさらに一歩進み、後進を育成しながら介護の質を向上させたい方にとって重要なステップです。
認知症介護基礎研修の重要性とまとめ

認知症介護基礎研修は、認知症ケアの基礎知識と技術を広め、介護の質を向上させるために不可欠な研修です。特に、無資格者や介護未経験者に必要なスキルを提供し、認知症高齢者に適切な対応ができる人材の育成を目的としています。この取り組みにより、介護現場全体のレベルアップを図るとともに、利用者とその家族の安心感や信頼性の向上にも貢献します。
認知症ケアの基準向上への寄与
認知症介護基礎研修は、介護職全体のスキルを統一し、ケアの質を向上させる重要な役割を果たします。研修で統一されたカリキュラムを学ぶことで、介護スタッフ間の知識や技術の差が縮まり、どの施設でも一定水準のケアを提供できるようになります。
これにより、認知症患者やその家族に安心感と信頼を与えるだけでなく、介護現場全体の質の向上に貢献します。また、ケアの標準化は利用者満足度の向上に加え、介護業界全体の信頼を築く大きなステップとなります。
FAQ|認知症介護基礎研修に関するよくある質問
認知症介護基礎研修について学びたいけれど、初めての受講では不安や疑問も多いものです。
ここでは、よく寄せられる質問をまとめました。
研修の内容や受講方法、受講後のキャリアアップに関することまで、事前に確認して安心して学びをスタートしましょう。
- Q1.認知症介護基礎研修は誰でも受講できますか?
- A
はい、受講できます。主に介護無資格者や介護未経験者を対象とした研修であり、介護に関する基礎知識やケアの基本を学べます。初めて介護に携わる方にも適した内容です。
- Q2.認知症介護基礎研修はどのような形式で受講できますか?
- A
認知症介護基礎研修は、eラーニング形式での受講が可能です。自宅などから自分のペースで学習でき、忙しい方にも適した受講スタイルです。
- Q3.認知症介護基礎研修を修了すると、どのようなメリットがありますか?
- A
研修を修了すると、認知症ケアに必要な基礎知識と技術を身につけた証明になります。今後、認知症介護実践者研修やリーダー研修など、さらに専門的なスキルを高めるためのステップアップも可能です。
- Q4.eラーニングだけで本当に現場で役立つスキルが身につきますか?
- A
eラーニングでは、現場で活かせる知識や対応方法についても実例を交えながら学べます。しっかりとしたカリキュラムが用意されており、実践に役立つ基礎力を養うことができます。
- Q5.受講後にサポートはありますか?
- A
湘南国際アカデミーの介護資格講座のご案内

湘南国際アカデミーでは、介護従事者や無資格者を対象に、横浜市と藤沢市の指定実施機関として認知症介護基礎研修をeラーニングで提供しています。(※神奈川県と相模原市からの指定は申請手続き中)
尚、当校では認知症介護基礎研修の義務付けの免除資格である、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修などの各種介護資格講座を開催しております。
家族介護に関するご相談や、介護の仕事、資格に関する事もお気軽にお問合せください。
湘南国際アカデミーは、超高齢社会となった日本の地域福祉の向上に寄与できるように、今後も研修の質の良さを追求し、エイジングを豊かにする教育機関を目指して職員一同励んでまいります。
認知症介護基礎研修に関しての詳細は、以下のページをご覧ください
その他、介護事業所や医療機関などにおいて当校の「事業所内スキルアップ研修」の企画・提案・実施など各事業所用にカスタマイズする研修をプロデュースし、人材確保・育成・定着に向けた一連のプログラムを手掛けている。
