資料を無料で受け取る
資料請求
メールで問い合わせる

法人のお客様はこちら

資料を無料で受け取る

サービス概要・導入事例

メールで問い合わせる

導入相談/ご質問はこちら

資料請求

ご希望講座の資料を無料でお届け

Instagram X FaceBook

定期巡回・随時対応型訪問介護・看護とは?事業所の人材不足と夜間対応型統合にどう備えるか

  • 介護事業所向け研修

「定期巡回・随時対応型訪問介護看護(以下、定期巡回)」は、24時間365日の在宅生活を支えるサービスとして2012年に創設されましたが、10年以上が経った今も、多くの介護事業所にとって「知ってはいるが、実際に運営するとなると人材確保や収支の見通しが立てにくい」サービスであり続けています。
2026年度からは夜間対応型訪問介護との統合に向けた議論が本格化しており、既に夜間対応型を運営している事業所にとっては、経営判断を迫られる局面が近づいています。
本記事では、最新の公的統計をもとに、定期巡回の制度概要と人材不足の実態、夜間対応型統合の論点を整理し、事業所として今から準備できることを解説します。

当記事はこちらのデータを参照して執筆しております。
(参照:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第262回(令和8年8月5日)資料1「定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び夜間対応型訪問介護の現状と課題」)

定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは

定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、日中・夜間を通じて、定期的な巡回訪問と随時のコール対応を組み合わせ、要介護者の在宅生活を24時間体制で支える地域密着型サービスです。2012年(平成24年)4月に創設され、訪問介護と訪問看護を一体的、または密接に連携させて提供する点が特徴です。

従来の訪問介護が「決められた時間に1回訪問する」形であるのに対し、定期巡回は短時間の訪問を1日に複数回行い、必要に応じて随時のコールにも対応します。これにより、施設に入居しなくても、朝・昼・夕・夜と生活のリズムに沿ったケアを在宅のまま受けられる体制を作れる点が、このサービスの本質的な価値です。

対象者と報酬の仕組み(包括払い)

対象は要介護1〜5の在宅利用者で、要介護3〜5の中重度者が51.4%を占め、平均要介護度は2.7と、訪問介護よりも中重度者への対応割合が高いことが特徴です。報酬は訪問回数に応じた出来高ではなく、要介護度別の月額包括払いとなっており、利用者の状態やその日の生活リズムに合わせて、訪問の回数や時間帯を柔軟に調整できる設計になっています。

この包括払いの仕組みは、ケアマネジャーの間で「使い放題」と誤解されることが少なくありません。実際には、計画作成責任者を中心としたアセスメントに基づき、利用者に必要なケアの量と質をマネジメントする力が問われるサービスであり、単純な「回数無制限の訪問介護」ではない点は、事業所側からも丁寧に説明していく必要があります。

全国の事業所数・受給者数の推移と経営実態

定期巡回の請求事業所数と受給者数は、制度創設以来ほぼ一貫して増加しています。令和7年4月審査分では、請求事業所数は1,397事業所、受給者数は約47,100人に達しました。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の受給者数の推移
年度受給者数(千人)
平成25年度2.1
平成28年度13.8
令和2年度28.8
令和4年度34.8
令和6年度42.1
令和7年度47.1

(出典:厚生労働省 社保審・介護給付費分科会 第262回(R8.8.5)資料1)

経営面では、令和6年度決算の収支差率は13.4%(金額ベースで約82.5万円)となっており、一見すると収益性の高いサービスに見えます。ただし、この数値は平均値であり、実態は二極化しています。サービス付き高齢者向け住宅など集合住宅に併設し、多くの利用者をまとめて確保できている事業所では利益が出やすい一方、地域の在宅利用者を個別に巡回する形で運営している事業所では、収支が厳しいケースも少なくありません。自社の収支を検討する際は、全国平均の数値だけで判断せず、自社の運営形態(個別巡回型か、住宅併設型か)に近い事業所の実態と照らし合わせることが重要です。

江島一孝
介護福祉士・ケアマネジャー

【監修者コメント】
収支差率13.4%という数字だけを見て「儲かるサービス」と判断するのは早計です。地域の実践者から話を聞くと、集合住宅併設型と個別巡回型とでは収益構造がまったく異なります。新規参入や事業拡大を検討する際は、平均値ではなく、自社が想定する運営形態に近い事例のデータを確認することをおすすめします。
(参照:厚生労働省「社保審・介護給付費分科会 第262回資料1」)

深刻化する人材不足の実態|都市部ほど厳しい傾向

定期巡回の運営における最大の壁は人材確保です。事業所を対象にした調査では、職員の充足状況について「やや不足している」が39.0%、「とても不足している」が26.4%と、合わせて65.4%の事業所が人手不足を訴えています。特に注目すべきは地域差で、都市部では「やや不足」「とても不足」の合計が72.7%に達する一方、中山間地域等では39.3%にとどまっており、人材不足の深刻さは都市部の方が顕著という結果が出ています。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護における職員の充足状況(地域別)
地域区分やや不足+とても不足
全体65.4%
都市部72.7%
一般市町村68.4%
中山間地域等39.3%

(出典:厚生労働省 社保審・介護給付費分科会 第262回(R8.8.5)資料1、株式会社NTTデータ経営研究所「令和7年度老人保健健康増進等事業」調査より)

都市部で人材不足が深刻化しやすい背景には、24時間対応の夜勤シフトを組める人員を確保しにくいこと、他の訪問系サービスとの人材獲得競争が激しいことなどが挙げられます。一方で利用者側の充足状況を見ると、都市部・一般市町村では「とても不足している」が「充足している」を上回っており、需要はあるのに応えきれていない構造が浮かび上がります。つまり、営業活動でニーズを掘り起こせていないのではなく、受け入れ体制(人員)が追いついていないケースが多いという点は、採用戦略を考えるうえで重要な前提です。

令和6年度介護報酬改定と夜間対応型統合の論点

2026年度以降の制度改正で最も注目すべきは、夜間対応型訪問介護との統合です。社会福祉法等の一部改正法において、夜間対応型訪問介護は令和8年度末(第9期計画期間末)をもって廃止され、経過措置(令和11年度末まで)を設けたうえで、定期巡回・随時対応型訪問介護看護へ統合する方針が決まっています。

この統合を見据え、令和6年度介護報酬改定では、定期巡回の基本報酬に「夜間にのみサービスを必要とする利用者」向けの新区分が新設されました。

夜間にのみサービスを必要とする利用者向けの新設区分(一体型事業所)
区分単位数
基本夜間訪問サービス費(定額)989単位/月
定期巡回サービス費(出来高)372単位/回
随時訪問サービス費(Ⅰ)(出来高)567単位/回
随時訪問サービス費(Ⅱ)(出来高・2人体制)764単位/回

(出典:厚生労働省 社保審・介護給付費分科会 第262回(R8.8.5)資料1)

既に夜間対応型を運営している事業所への影響についての調査では、「収益が減少する可能性がある」と回答した事業所が46.4%と最多で、「ケアマネジャーへの説明対応が必要となり、運営コストが一時的に増加する可能性がある」「既存の利用者・家族への説明対応が必要となり、運営コストが一時的に増加する可能性がある」がそれぞれ39.3%となっています。夜間対応型は「お守り代わり」として、コールがなくても契約を維持している利用者が一定数存在する実態があり、定期巡回へ移行した際に利用実態に応じた出来高評価となることで、収益構造が変わる可能性がある点は、経営計画に織り込んでおくべきポイントです。

事業所が今から取り組める3つの準備

1.夜間帯の人員体制とシフト設計の見直し

夜間対応型区分の算定要件では、訪問介護員等が定期巡回・随時訪問・オペレーターの全職種を兼務することが認められており、複数事業所間での集約化や、併設施設の職員活用による単独配置の緩和など、柔軟な人員配置が可能な制度設計になっています。夜勤専従者の新規採用だけに頼るのではなく、日中スタッフとの兼務や、近隣の同一法人内事業所との連携体制を検討することで、人材不足下でも夜間体制を維持しやすくなります。

2.ケアマネジャーへの制度理解の促進

調査では、定期巡回の課題として「ケアマネジャーの理解・反対」(12.5%)「ケアマネジャーに対する説明不足」(9.1%)も挙げられています。包括payであることの誤解を解き、訪問介護との使い分けを具体的に提案できる営業・相談体制を整えることが、利用者確保に直結します。

3.既存職員のスキルアップと定着支援

24時間対応の負荷が大きいサービスだからこそ、新人教育や夜間対応のノウハウを体系化し、定着率を高める取り組みが欠かせません。湘南国際アカデミーでは、介護事業所向けに運営指導対応の法定研修やスキルアップ研修、外国人介護士の受け入れ研修などを提供しています。人材確保が難しい今だからこそ、既存スタッフの多能工化(訪問介護・随時対応・オペレーター業務を横断できる人材の育成)が、柔軟な人員配置を実現する近道になります。

介護事業所様へのサポート内容・CTA-事業所向け研修

定期巡回・随時対応型訪問介護看護に関するよくある質問

Q1.
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は儲かるサービスですか?
A

令和6年度決算の収支差率は平均13.4%で、他の在宅系サービスと比べて高い水準です。ただしこれは平均値であり、集合住宅併設型など多くの利用者をまとめて確保できる事業所と、個別巡回型で利用者数が伸び悩む事業所とで実態が大きく異なります。自社の運営形態に近い事例を確認したうえで採算性を検討することが重要です。(出典:厚生労働省 社保審・介護給付費分科会 第262回資料1)

Q2.
夜間対応型訪問介護はいつまで運営できますか?
A

社会福祉法等の一部改正法により、夜間対応型訪問介護は令和8年度末(第9期計画期間末)で廃止され、令和11年度末までの経過措置期間中は従前どおりの実施が可能とされています。経過措置期間中に、定期巡回・随時対応型訪問介護看護への円滑な移行を検討する必要があります。(出典:厚生労働省 社保審・介護給付費分科会 第262回資料1)

Q3.
定期巡回の人員配置基準はどうなっていますか?
A

24時間を通して訪問介護員等が定期巡回・随時訪問・オペレーターの職種を兼務することが可能で、看護職員は一体型の場合2.5人(一体的計算)が目安とされています。複数事業所間での集約化や、併設施設の職員活用による単独配置の緩和も認められており、事業の実施方法に応じた柔軟な人員配置が可能です。(出典:厚生労働省 社保審・介護給付費分科会 第262回資料1)

Q4.
定期巡回の人材不足はなぜ都市部で深刻なのですか?
A

調査では、職員が「やや不足」「とても不足」と回答した割合は都市部で72.7%、中山間地域等で39.3%と、都市部の方が顕著に高くなっています。24時間対応の夜勤シフトを組める人材の確保競争が激しいこと、他の訪問系サービスとの人材獲得競争があることなどが背景として考えられます。(出典:厚生労働省 社保審・介護給付費分科会 第262回資料1)

Q5.
定期巡回を新規開設する場合、どんな準備が必要ですか?
A

夜間帯を含む人員体制の設計、ケアマネジャーへの制度理解の促進、既存職員の多能工化(定期巡回・随時対応・オペレーター業務を横断できる体制)の3点が重要です。夜間対応型との統合を見据え、経過措置期間中に無理のない移行計画を立てることもあわせて検討してください。

まとめ

定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、受給者数が右肩上がりに増え続けている成長分野である一方、職員充足状況で「不足」と回答した事業所が全体の65.4%、都市部では72.7%にのぼるなど、人材不足が事業拡大の最大のボトルネックとなっています。加えて、夜間対応型訪問介護との統合という大きな制度変更が経過措置期間中(令和11年度末まで)に控えており、既存の夜間対応型事業所は収益構造の見直しを迫られる可能性があります。

収支差率の平均値だけを見て判断するのではなく、自社の運営形態に応じた採算ラインを見極めたうえで、夜間帯の人員体制、ケアマネジャーへの理解促進、既存職員の多能工化という3つの準備を進めることが、これからの数年を乗り切る鍵になります。

この記事を書いた人
介護老人福祉施設に10年在籍し、研修受け入れ担当として年間100名以上の研修生を指導。
湘南国際アカデミーでは初任者研修・実務者研修・介護福祉士受験対策の講師を務めるほか、受験対策テキストの執筆も担当。
介護技能実習評価試験評価者として外国人介護士の受け入れ支援、事業所向けスキルアップ研修のプロデュースなど、人材確保・育成・定着に向けた幅広い活動を展開している。
江島 一孝
藤沢校・横須賀校・海老名校・相模大野校・横浜戸塚校・横浜馬車道関内校・小田原校・大和校・横浜二俣川校
【所持資格】
介護福祉士・介護福祉士実習指導者・介護支援専門員・福祉用具専門相談員・介護技能実習評価試験評価者
国人介護人材のキャリアアップに役立つ情報多数!まずは資料請求!