介護職としてキャリアアップを目指すうえで、介護福祉士の国家資格は非常に重要です。2016年からは、介護福祉士国家試験の受験に「実務経験3年以上」と「実務者研修の修了」が必須となりました。この研修では、介護の基礎から医療的ケアまで幅広い内容を体系的に学べます。
本記事では、実務者研修の学習内容や受験資格、スクール選びのポイントに加え、初任者研修との違いや現場で得られるメリットも解説します。また、教育訓練給付金など制度の活用方法も紹介しており、介護福祉士の資格取得を考えている方に役立つ内容です。
特に、仕事や子育てと両立しながら資格を取りたい方や、未経験からスタートする方にも無理なく受講計画が立てられる点は大きな魅力です。キャリアや収入の向上を目指して、自分に合った学び方を見つけてみてください。
介護福祉士を受験するために必要な実務者研修とは?
介護福祉士国家試験を受けるには、実務経験に加え、実務者研修の修了が欠かせません。これは、現場で必要とされる実践的なスキルや知識を確実に身につけることを目的とした制度改正によるものです。
実務者研修は、介護の基本だけでなく、たんの吸引などの医療的ケアまで段階的に学べる内容となっており、無資格・未経験からでも受講できます。通信と通学を組み合わせた学習形式が多く、働きながら学びやすい点も魅力です。
この研修を修了することで、国家試験の受験資格が得られるだけでなく、訪問介護におけるサービス提供責任者の要件も満たせるようになります。知識とスキルの両面が高まり、実務の幅も広がるため、キャリアアップを目指す上で大きなメリットがあります。
実務者研修に関しての詳細は、以下のページをご覧ください
実務者研修のカリキュラム全体が介護福祉士国家試験の出題範囲
実務者研修では、多岐にわたる介護の知識と技術を体系的に学習することで、介護福祉士国家試験の範囲をほぼ網羅できます。介護過程やコミュニケーション技法から医療的ケアまで幅広く学ぶため、介護福祉士の試験問題への応用がしやすいという利点があります。つまり、実務者研修を真面目に取り組むことで、受験に必要な基礎力を総合的に養うことができるのです。
実務者研修の理解度・習熟度が介護福祉士合格に直結する
実務者研修で学ぶ内容は、日々の介護業務だけでなく介護福祉士試験でも重要なポイントとなります。カリキュラムの復習や実習での経験を積み重ねることで、現場でのケアに必要な思考力と判断力が身につくでしょう。介護福祉士試験対策としても、研修の内容をしっかりと学び取り、自身の弱点を補強しておくことで合格率を高めることが可能になります。
介護福祉士の受験資格と実務経験ルートの基本
介護福祉士の受験資格は複数ありますが、最も一般的なのが実務経験3年以上と実務者研修の修了を組み合わせるルートです。
介護職として一定期間働くことで実務経験を積み、そのうえで実務者研修を修了し、新たに受験の枠を広げるという流れが基本となります。特に実務経験の対象となる施設・事業所は厚生労働省で定められており、主に介護施設や居宅介護事業所などが該当します。介護福祉士の試験合格を目指す方は、勤務先が実務経験の対象になるかを必ず確認しておく必要があります。
介護福祉士の受験には実務者研修の修了と実務経験3年以上(見込み含む)が必要
2016年以降、介護福祉士国家試験を受けるためには実務者研修の修了が必須となり、以下の図にあるように合計で3年以上(540日以上の勤務かつ1,095日以上の在籍期間)の実務経験が必要となりました。実務者研修を修了していない場合は、受験申し込み時点で見込証明書の提出や、後日修了証明書を送付する手続きが必要になるので注意が必要です。いずれにしても、実務者研修と実務経験を並行して進めることで受験資格を確実に得られます。

介護福祉士に必要な実務経験の対象施設・事業所
実務経験の対象となる施設は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、訪問介護事業所などが挙げられます。居宅サービスや施設サービス、地域密着型サービスといった介護保険下の事業所であれば、原則として実務経験としてカウントできる可能性が高いです。ただし、書類上の確認が必要となる場合もあるため、実際の業務内容や事業所の種類を事前に調べておくことをおすすめします。
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実務経験の対象とならない業務と注意点
主に事務作業や清掃など直接介護に該当しない業務は、実務経験としてカウントされません。施設内での雑務が多い場合でも、介護が主な業務となっていることが重要です。自分の業務内容が実務経験の要件を満たしているかどうか、日々の業務内容を記録しつつしっかりと確認していきましょう。
介護福祉士を目指す実務者研修の学習内容とカリキュラム
実務者研修では、介護技術だけでなく医療的ケアの知識まで学べるため、まさに介護福祉士になるための基盤を築くカリキュラムが特徴です。
初任者研修との大きな違いは、より専門性の高い内容を学ぶ点と、医療的ケアの実習を行う点にあります。通信を中心とした自宅学習では理論や知識を学び、通学時には実技の習得を重点的に行います。学習時間は長めですが、その分介護現場で必要とされる実践力を身につけることができます。
実務者研修は保有資格によって科目の免除がある
すでにホームヘルパー2級や初任者研修を修了している方は、以下の表にあるように一部の科目において免除を受けられることがあります。これにより受講時間や受講費用の軽減を期待できる点は大きなメリットです。ただし、免除科目の申請には修了証明書の提示などが必要な場合があるので、スクール選びの際には事前に確認しておきましょう。
| 保有資格 | 在籍期間 | 学習時間 (カリキュラム総時間) | 免除される科目 |
|---|---|---|---|
| 無資格 | 6ヶ月以上 | 450時間 | 免除なし(全科目受講) |
| 喀痰吸引等研修 | 4ヶ月以上 | 400時間 | 50時間の科目免除 |
| 初任者研修修了者 (旧ホームヘルパー2級) | 4ヶ月以上 | 320時間 | 130時間の科目免除 |
| ホームヘルパー1級修了者 | 1ヶ月以上 | 95時間 | 355時間の科目免除 |
| 介護職員基礎研修修了者 | 1ヶ月以上 | 50時間 | 400時間の科目免除 |
実務者研修と初任者研修との違い
初任者研修は介護の基本的な知識を学ぶ入門編に近く、資格取得後すぐに取り組める範囲も限られています。一方、実務者研修は医療的ケアを含む応用的なスキルを修得でき、訪問介護事業所のサービス提供責任者を担当できる点が大きな特徴です。つまり、より幅広い業務に対応したい、あるいは介護福祉士の資格を目指したい方にとっては、実務者研修の修了が不可欠といえるでしょう。
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実務者研修の受講費用について
実務者研修は自費で受講するケースが多いものの、給付金制度や補助金を活用することで費用負担を軽減できます。ただし、事前に手続きが必要な場合もありますので、スクール選びと同時に以下に紹介する制度の利用条件をチェックしておくとスムーズです。
専門実践教育訓練給付金・補助金などで実質負担額はあまり変わらない
受講費が高額に感じられても、専門実践教育訓練給付金や自治体の補助金を併用することで大幅に費用を抑えることができます。とりわけ専門実践教育訓練給付金は、一定期間の受講修了後に受講料の最大80%が支給されるため、働きながら学ぶ方にとって非常にありがたい制度です。ただし、給付金を受けるためには登録要件や申請期間を守る必要があるので、事前に調べておきましょう。
給付金・補助金を利用するからには質の高い実務者研修を選ぶべき
給付金や補助金の活用だけを重視してスクールを選ぶと、肝心の学習環境が整っていない可能性もあります。医療的ケアに必要な器具や教材が充実しているか、講師の指導サポートが手厚いかなど、学習効果を高めるための基礎環境をしっかりチェックすることが大切です。せっかく費用負担が軽減できるのであれば、現場で即戦力となれる知識と技術を得られるスクールを選びましょう。
実務者研修のスクール選びで必要なポイント4選|介護福祉士を目指せるかが大事
実務者研修を受講するスクールはさまざまあり、カリキュラム内容や通学のしやすさ、サポート体制などが異なります。ここでは、実務者研修のスクール選びに役立つ4つのポイントを紹介します。
1.介護福祉士受験を見据えたカリキュラムになっているか
実務者研修のスクールを選ぶ際は、介護福祉士国家試験を意識した教材やカリキュラムになっているかを確かめることが大切です。特に試験範囲に直結した通信添削課題レポートや模擬試験を取り入れているスクールは、介護福祉士合格に向けて効率的に学習を進めやすくなります。合格実績などを参考に、自分が合格を目指すまで十分にサポートしてくれるスクールを探してみましょう。
2.教育訓練給付金や貸付金制度の対象になっているか
実務者研修は費用面での負担が大きくなりがちですが、教育訓練給付金制度や貸付金制度を利用することで、受講費の軽減を図ることができます。スクールの中にはこれらの制度に対応していないところもあるため、事前に確認が欠かせません。利用できる制度を最大限に活用しながら、コストパフォーマンスの高い学習環境を整えましょう。
3.医療的ケアなどで利用する医療器具の充実度やサポート体制
実務者研修では、医療的ケアや喀痰吸引などの専門的な演習が取り入れられます。そのため、実習時に使う医療器具が十分に揃っているか、講師が実務経験豊富であるかなども重要な判断材料です。実技をしっかり身につけたい方は、最新の設備や質の高い指導が受けられるスクールを優先しましょう。
4.教室間の振替補講や教室の場所・日程は通いやすいか
仕事や家庭の事情などでスケジュールに制限がある方は、振替補講や複数の教室を活用できるスクールを選ぶと通いやすくなります。特に、最短7日程度で通学が可能なプログラムを用意しているスクールもあり、効率良く学べる環境は魅力的です。自分の生活リズムに合った形で学習を続けられるかどうかを必ずチェックしてください。
介護福祉士に必要な実務者研修を受講する5つのメリット
実務者研修を修了すると、介護福祉士の受験資格を得られるだけでなく、現場で活躍するためのスキルや待遇面でのメリットが大きく広がります。
さらに、訪問介護事業所でサービス提供責任者を担えるなど、キャリアアップにも直結するのがポイントです。ここでは実際にどのようなメリットがあるのか、その代表的な5つを見ていきましょう。
1.実務者研修は介護未経験・無資格からでも取得できる
介護業界の経験がなくてもチャレンジしやすいのが実務者研修の魅力です。初学者向けに基礎理論からしっかり学ぶ設計になっているため、無理なく介護スキルを身につけることができます。未経験から実務者研修を受講し、そのまま介護福祉士を目指す方も少なくありません。
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2.初任者研修よりも実務者研修の方が給料や待遇が良くなる
実務者研修を修了していると、職場によっては資格手当や給与のベースアップなど、待遇面で優遇される場合があります。初任者研修よりも専門性の高いケアを提供できるという評価が背景にあるためです。スキルアップにつながることはもちろん、経済的なメリットが得られるのも大きな魅力といえます。
3.サービス提供責任者になれる
訪問介護事業所において、サービス提供責任者はケアプランの作成やヘルパーの指導など、重要な役割を担うポジションです。実務者研修を修了していればこの役割を担えるため、キャリアの幅が一気に広がります。利用者やスタッフと密接に関わりながら業務調整を行うなど、やりがいを感じられる仕事です。
サービス提供責任者に関しての詳細は、以下のページをご覧ください
4.介護福祉士国家試験への受験資格を得られる
介護福祉士を目指す場合には、実務者研修の修了と実務経験3年が必須となっています。介護福祉士の試験範囲に直結する内容を研修で学ぶことができるため、効率よく合格を目指せる点がメリットです。研修中の学習と試験対策は重なる部分が多いので、早めに実務者研修に取り組んでおくほど試験本番での理解も深まるでしょう。
5.医療的ケアと介護過程の習得で介護力とキャリアアップにつながる
実務者研修では、喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアも取り扱います。これらの実践的なスキルを身につけることで、現場での信頼度が高まり、より高度なケアを提供できるようになります。自身のキャリアアップだけでなく、利用者の生活の質を大きく向上させる一助となることでしょう。
FAQ|介護福祉士と実務者研修に関するよくある質問
- Q1.
- A
- Q2.
- A
- Q3.実務者研修のスクール選びのポイントは?
- A
教育訓練給付金や貸付金制度への対応状況、通学日数や教室の立地、講師の質などを総合的にチェックするとよいでしょう。特に働きながら受講できるよう、日程や補講体制が柔軟かどうかは重要なポイントです。レビューや口コミ情報も参考に、最適なスクールを選ぶことを心がけてください。
まとめ・総括
介護福祉士を目指すには実務者研修の修了が不可欠であり、実務経験と組み合わせることで国家試験受験資格を得られます。
実務者研修の学習範囲は介護福祉士試験に直結しており、現場で必要とされる専門技術や医療的ケアを総合的に習得できる魅力があります。スクール選びの際は、給付金やサポート体制、通いやすい環境を重視して、無理なく学習を続けられるかをしっかり確認することが大切です。効率的に研修を終えて介護福祉士の合格を勝ち取り、キャリアアップを実現していきましょう。
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その他、介護技能実習評価試験評価者として外国人介護士の受け入れ機関への評価業務や、介護事業所や医療機関において「事業所内スキルアップ研修」の企画・提案・実施など各事業所用にカスタマイズする研修をプロデュースし、人材確保・育成・定着に向けた一連のプログラムを手掛けている。






