介護福祉士試験は、介護職として働く上で取得を目指す人が多い国家資格です。合格率が高めといわれる一方で、しっかりとした学習と実務経験が必要とされる試験でもあります。
本記事では、合格率の背景やよくある失敗パターン、効率的な学習方法、介護福祉士の「パート合格制度」などを詳しく解説していきます。
結論:介護福祉士試験は誰でも受かるわけではありません
一般的に高い合格率を誇る介護福祉士試験ですが、実際にはしっかりとした準備や学習が必要です。
介護福祉士試験はおおむね70〜80%の合格率があるため、合格しやすい印象を受けるかもしれません。しかし実際には以下の表にもあるように、様々な分野の科目から問題が出題されて、尚且つ一定以上の得点が求められ、バランスの良い知識が必要です。仕事や実務経験だけではカバーしきれない法律や医療知識も問われるため、勉強を怠ると合格が遠のくでしょう。
介護福祉士国家試験は以下の13科目群で構成されています。(順不同)
※以下の科目名をクリックすると対談形式で、各科目のポイント解説をご覧いただけますので、是非参考にしてください。
人間の尊厳と自立 | 社会の理解 | 介護の基本 | 認知症の理解 | コミュニケーション技術 |
生活支援技術 | 介護過程 | 発達と老化の理解 | 障害の理解 | 人間関係とコミュニケーション |
こころとからだのしくみ | 医療的ケア | 総合問題 |
試験勉強を始める前に、どの科目からどのような問題が出題されるかを把握しておくことで、効率的な学習計画が立てやすくなります。過去問や実務者研修の内容を通じて、苦手分野を洗い出しておくことが大切です。忙しい中でも計画的に学習し、知識を定着させることが成功へのポイントといえます。
そもそも介護福祉士国家資格とはどんな資格?
介護福祉士は、国が認める介護領域の専門資格であり、身体介助や生活援助をはじめとしたケアのスペシャリストです。利用者の日常生活を支援するだけでなく、安全面や衛生管理、機能訓練など幅広い業務を担います。福祉現場で責任あるポジションに就いたり、さらなるキャリアアップを検討する際にも、この資格の有無が大きく影響します。
「介護福祉士は誰でも受かる」と言われる理由
合格率の高さや実務経験のアドバンテージから、一見ラクに合格できるように思われがちです。
しかし「誰でも受かる」と言われるほど簡単なわけではありません。高い合格率の裏には、年間を通じてしっかりと対策を行う受験者が多いという背景があります。対策なく受験した場合、出題範囲の広さに圧倒されてしまい、本番で得点を落とすケースも少なくありません。ここでは、「介護福祉士は誰でも受かる」と言われる理由を見ていきましょう。
高めの合格率による誤解
介護福祉士試験の合格率はほかの国家資格と比べて高水準にあるとされています。そのため、「誰でも受かる」というイメージを抱きやすいのが現状です。しかし、実際には試験対策をしっかり行ったうえでの合格率である点を忘れてはいけません。合格率の高さばかりに気を取られると、必要な学習量を見誤る危険性があります。
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実務経験が大きなアドバンテージ
介護現場での実務経験は、利用者とのコミュニケーションや身体介助の流れを自然に身につけられるため、大きな強みです。試験範囲の理解を深めるうえでも有利ではありますが、業務経験だけではカバーしづらい理論や制度周りを補う勉強は必要です。実務経験を活かすには、経験と理論を結びつけて学ぶ姿勢が欠かせません。
実務者研修による試験範囲の理解
実務経験ルートの受験資格として実務者研修が義務付けられていますが、この研修では介護過程やコミュニケーション技術、医療的ケアの基礎など試験に直結する内容を学べます。ここで得た知識を日々の業務で活用しつつ、疑問点を整理しておくと筆記試験の理解がいっそう深まるでしょう。研修をただ受けるのではなく、意欲的に勉強することが重要です。
パート合格制度とは?試験制度の変革に注目【2026年から本格導入】
介護福祉士国家試験に関して、今最も注目されているのが、2026年(第38回)試験から導入される、介護福祉士の「パート合格制度」です。
パート合格制度の概要
介護福祉士のパーと合格制度は、介護福祉士試験の午前試験(Aパート)と午後試験(B・Cパート)の3パートに分けて、それぞれに合格基準が設定されます。不合格となった場合でも、合格したパートは次々回(最大2年間)まで再受験不要となる制度です。
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どんな人に向いている?
- 忙しくて一度に全科目を対策できない人
- 外国人介護士や子育て中の方など、学習時間が限られる人
- 合格を諦めたくないが、一発合格に自信が持てない人
注意点
- いずれかのパートのみの合格では「介護福祉士」の資格は得られません。全パート合格して初めて国家資格が与えられます。
- 報酬・配置基準上も「介護福祉士」としてはカウントされません。
介護福祉士試験に落ちるのはどんな人?失敗しがちなポイント
高い合格率といえども、対策を怠れば不合格を経験することもあります。失敗の典型例を把握しておきましょう。
勉強時間や計画が不足している
業務後に疲れて学習時間を確保できない、または何から学習すれば良いのか分からないままズルズルと日々が過ぎてしまうと、合格への道のりは厳しくなります。短期間でも計画的に取り組むことが必要で、スキマ時間を使いながら少しずつ知識を積み上げる意識が求められます。
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過去問・模擬試験をおろそかにしている
本番形式の問題に慣れるには、過去問や模擬試験が非常に有効です。これらを解いておくことで時間配分や出題パターンを肌で感じ、本番での緊張感にも対応しやすくなります。試験までの期間が限られているほど、模擬試験や過去問を繰り返すことが合格への近道です。
実務と試験範囲のギャップに気づいていない
介護現場での経験があっても、介護福祉士試験で問われる理論や法律は日常業務で充分にカバーできないことがあります。例えば、根拠となる法律や介護保険制度の改定内容など、現場では意識しないまま業務を進めている場合もあるでしょう。早めにテキストや研修資料で確認することで、理解の抜け漏れを減らすことができます。
合格点や試験問題の特徴|0点科目群があれば不合格
介護福祉士試験では、総合点が合格ラインを超えていても、特定の科目群で0点を取ると不合格になる仕組みがあります。つまり、苦手科目を完全に無視する勉強法はリスキーです。まんべんなく学習し、最低限の点数を確保することが重要となります。
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完璧を求めてしまい、非効率な勉強方法になってしまう
全ての分野を完璧に学ぼうとすると、時間と労力が偏りすぎる可能性があります。細部にとらわれて基礎的な部分をおろそかにすると、試験全体の得点力が落ちてしまうかもしれません。必要な範囲を見極め、重点的に学習しつつも過去問で総合的な実力を確認することが得策です。
介護福祉士国家試験に一発合格するためのポイント
効率的な学習方法と実践的な知識の習得が、一発合格への近道です。
介護福祉士試験で一発合格を狙うためには、まず計画的に学習スケジュールを立てることが大切です。過去問を解きながら苦手分野を明らかにし、重点的に補強していく流れを早期に確立しましょう。
実際の介護現場で得た経験と、テキストや研修で学ぶ理論を結びつけることで、理解を深めやすくなります。さらに、模擬試験をオンラインや書籍で活用し、本番さながらの演習を積むと安定した得点力が身につくでしょう。
~・介護福祉士合格の秘訣は満点を目指さない勉強法でした・~
介護福祉士国家試験では、講師陣や専門家でも間違えてしまうような「難問」が必ず出題されます。
しかし、それら全てを解くために「重箱の隅をつつくような勉強法」は効率的ではありません。
出題の可能性が低い内容は省き、「間違えてはならない問題を確実に解く」という合格するためのテキストと勉強法が必要です。
介護福祉士国家試験「受かるんですシリーズ」
「受かるんですシリーズ」とは?
介護福祉士合格請負人のプロが作った湘南国際アカデミー独自の受験対策テキスト教材です。
テキストはこちら⇒「丸わかりテキスト」
動画版はこちら⇒「丸わかり動画」
eラーニングはこちら⇒「解説付きWeb問題集」
外国人介護士も安心!湘南国際アカデミーの「介護日本語教育」支援
湘南国際アカデミーでは、外国人介護士向けに「介護日本語教育」支援も充実しています。専門用語や実技の理解を助け、国家試験合格と職場定着をサポートしています。
特徴
- 介護福祉士受験対策講座を夜間オンライン授業で働きながら学べる
- レベル別コースで基礎から受験対策まで対応
- サイクル式学習法で
介護福祉士国家試験に合格した外国人介護士の方からの声では「専門用語が理解できるようになり、職場でも自信を持って働けるようになった」という意見も多く見られます。
FAQ|介護福祉士国家試験に関するよくある質問
介護福祉士試験対策や受験資格に関して、疑問を抱えている方は多いです。ここでは代表的な質問をピックアップしてお答えします。
これから受験を目指す方にとって、勉強方法や試験制度に細かい疑問が生じるのは自然なことです。あらかじめよくある疑問を把握しておくと、スムーズに準備を進められるでしょう。
- Q1.どのくらい勉強すれば合格できますか?
- A
個人の学習ペースにもよりますが、3ヶ月から半年程度を目安に計画的に勉強すると安定した得点が見込めます。特に忙しい方は、早めに過去問や教材に触れて苦手分野を把握し、効率的に学習を進めることが鍵です。
- Q2.介護福祉士の「パート合格制度」とは何ですか?
- A
第38回介護福祉士試験からは、3つに分かれたパートのうち、規定点数を上回ったパート科目の合格を次々回試験まで持ち越せる制度があります。これにより1回の受験で合格できなかった場合でも、次々回までは合格していないパートのみ受験すればよいのが特徴です。
- Q3.介護福祉士は年齢制限がありますか?
- A
介護福祉士の受験資格に年齢制限はありません。必要とされる実務経験年数や研修・学校卒業などの条件を満たせば、何歳からでも受験が可能です。介護は幅広い世代が活躍できる分野であり、再就職やキャリアチェンジの選択肢にもなり得ます。
まとめ:介護福祉士はしっかり対策すれば「誰でも受かる」に近づける
適切な勉強計画を立て、実務と学習をうまく両立させれば、介護福祉士試験の合格は十分狙えます。
介護福祉士試験は合格率の高さから「誰でも受かる」と思われがちですが、実際には学習と実務経験のバランスを取る努力が欠かせません。特に法律や制度、医療的ケアなど日頃の実務だけでは理解しにくい分野を早めに対策することが大切です。
過去問を活用した実践的な勉強、職場や研修で得た知識の応用、そして実技の手順やコミュニケーションへの気配りを徹底すれば合格ラインに到達する可能性は高まります。しっかり対策を行い、自信を持って試験に挑みましょう。
その他、介護技能実習評価試験評価者として外国人介護士の受け入れ機関への評価業務や、介護事業所や医療機関において「事業所内スキルアップ研修」の企画・提案・実施など各事業所用にカスタマイズする研修をプロデュースし、人材確保・育成・定着に向けた一連のプログラムを手掛けている。
