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ケアマネ(居宅介護支援)の運営指導で必要な書類|36確認項目と整備のポイント

  • 介護事業所向け研修

居宅介護支援の運営指導(実地指導)は、ケアマネジメントの質と事業所運営、そして介護報酬請求の適正さを確認するために実施されます。事前に「何を見られるか」と「どの書類をどの状態で用意するか」を把握しておくことで、当日の指摘や手戻りを大きく減らせます。
この記事では、提示・提出が求められやすい必要書類の詳細、保存年限の考え方、書類同士の突合方法、自己点検の方法までを居宅介護支援(ケアマネ)向けに整理して解説します。

本記事は以下のデータを参照して執筆しています。
(参照:厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」)
(参照:厚生労働省「確認項目及び確認文書 別添1」)

運営指導の全体像・流れ・当日対応については、以下のページをご覧ください

☑ケアマネ(居宅介護支援)の運営指導(実地指導)対策ガイド

運営指導(実地指導)の必要書類を理解するための基礎

運営指導は、居宅介護支援事業所が運営基準・人員基準を守り、適切なケアマネジメントと適正な介護報酬請求を行っているかを指定権者が確認する場です。単なる「間違い探し」ではなく、事業所が基準に沿って運営できるよう改善を促す仕組みです。

確認は事前に示される「確認項目」と「確認文書」の枠に沿って進みます。必要書類を体系立てて準備し、すぐ取り出せる状態にしておくことが最短ルートです。運営指導対策の要は「書類があるか」よりも「記録同士がつながっているか」です。アセスメントから請求までが一貫して説明できる状態を作れば、指摘の多くは未然に防げます。

提示と提出の違い:個人情報の取り扱いに注意

書類には「提示」と「提出」の2種類があります。提示は当日の閲覧確認のみで持ち出しは不要です。提出はコピーやデータでの提供を求められるもので、個人情報の範囲を確認し、マスキングの要否・提出形式を事前に担当部署と確認します。通知書の指示に従い、安易な提出で個人情報を過剰提供しないよう注意が必要です。

居宅介護支援の標準確認項目と確認文書(36項目)

運営指導で確認される項目は「標準確認項目」として標準化されています。居宅介護支援では、個別サービスの質に関する14項目と、体制に関する22項目の計36項目が確認されます。確認文書以外の書類は原則として求められません。

個別サービスの質に関する確認項目(14項目)

個別サービスの質に関する確認項目と確認文書(14項目)
根拠条文確認項目(概要)主な確認文書
第4条(内容及び手続きの説明及び同意)①重要事項説明書の交付・説明・同意の有無
②重要事項説明書の内容に不備等はないか
重要事項説明書(同意の記録含む)、利用申込者の署名文書、利用契約書
第13条(指定居宅介護支援の具体的取扱方針)③介護保険外サービスの位置づけ
④アセスメントによる課題把握
⑤居宅訪問・本人家族への面接
⑥サービス担当者会議の開催
⑦計画原案の説明・文書同意
⑧居宅サービス計画の利用者・担当者への交付
⑨モニタリングの定期実施と記録(月1回)
⑩計画変更時の担当者会議または照会
⑪個別サービス計画の収受
⑫身体的拘束の禁止(緊急やむを得ない場合を除く)
⑬拘束を行う場合の3要件(切迫性・非代替性・一時性)の確認
⑭身体拘束の態様・時間・心身状況・理由の記録
アセスメント記録、居宅サービス計画書、サービス担当者会議の記録、支援経過記録、モニタリング結果記録、個別サービス計画、身体的拘束等の記録(該当時)

(参照:厚生労働省「確認項目及び確認文書 別添1」)

個別サービスの質を確保するための体制に関する確認項目(22項目)

個別サービスの質を確保するための体制に関する確認項目と確認文書(22項目)
根拠条文確認項目(概要)主な確認文書
第2条(従業者の員数)①従業者の員数は適切か
②必要な資格を有しているか
③専門員証の有効期限は切れていないか
勤務体制一覧表・勤務実績表、タイムカード等、資格証の写し
第3条(管理者)④管理者の常勤専従・兼務体制は適切か管理者の雇用形態がわかるもの、勤務体制一覧表・勤務実績表、タイムカード等
第7条(受給資格等の確認)⑤被保険者資格・要介護認定の有無・有効期限を確認しているか介護保険番号・有効期限等を確認している記録等
第18条(運営規程)⑥事業の目的・方針・職員の員数・営業日・利用料・実施地域・虐待防止措置等を定めているか運営規程
第19条(勤務体制の確保等)⑦事業所の従業者によるサービス提供
⑧研修機会の確保
⑨ハラスメント防止のための方針の明確化等
勤務体制一覧表・勤務実績表、雇用の形態がわかるもの、研修の計画・実績、ハラスメント防止方針
第19条の2(業務継続計画の策定等)⑩BCP(業務継続計画)の策定・必要な措置
⑪従業者への計画周知・研修・訓練の定期実施
⑫計画の定期的な見直し
業務継続計画、研修の計画・実績、訓練の計画・実績
第21条の2(感染症の予防及びまん延防止のための措置)⑬感染症対策委員会(概ね6か月に1回以上)の開催・結果周知
感染症予防指針の整備
研修・訓練の定期実施
感染症対策委員会の開催状況・結果、感染症予防指針、研修・訓練の実施状況・結果
第23条(秘密保持等)⑭個人情報の利用に関する同意取得
⑮退職者を含む従業者の秘密保持誓約
個人情報の利用に関する同意書、従業者の秘密保持誓約書
第24条(広告)⑯広告は虚偽・誇大になっていないかパンフレット・チラシ、Web広告
第26条(苦情処理)⑰苦情受付時の内容等の記録苦情の受付簿、苦情への対応記録
第27条(事故発生時の対応)⑱市町村・利用者家族等への連絡
⑲事故状況・処置の記録
⑳損害賠償の実施
市町村・利用者家族等への連絡状況がわかるもの、事故に際して採った処置の記録、損害賠償の実施状況がわかるもの
第27条の2(虐待の防止)㉑虐待防止委員会の定期開催・結果周知
虐待防止指針の整備
研修の定期実施
㉒虐待防止の担当者設置
虐待防止委員会の開催状況・結果、虐待防止指針、研修の計画・実績、担当者を置いていることがわかるもの

(参照:厚生労働省「確認項目及び確認文書 別添1」)

必要書類の4区分と整備の要点

必要書類は多いですが、運営・人員・記録・請求の4区分で整理すると漏れが減ります。各区分は独立しているようで連動しており、例えば加算の算定要件を満たす運用(会議・研修・連携)が運営・記録の両方に残っていないと説明が成立しません。

必要書類の4区分と整備のポイント・よくある落とし穴
区分主な書類整備のポイントよくある落とし穴
運営運営規程、重要事項説明書、契約書、苦情・事故記録、BCP・感染症・虐待防止・ハラスメント関連、掲示物、広告改訂日と版管理を明記。改訂時は差し替えフローを決め旧版を残さない規程を改訂しても重要事項説明書が旧版のまま。掲示物の差し替え漏れ
人員従業者名簿、勤務体制一覧表・勤務実績表、タイムカード等、資格証の写し、雇用契約書資格証の有効期限を台帳で管理しリマインドを仕組みに。勤務表と実績を月次で突合専門員証の期限切れ。シフトと勤怠記録のズレ。管理者兼務の根拠説明不足
記録アセスメント記録、居宅サービス計画書、サービス担当者会議の記録、支援経過記録、モニタリング結果記録、個別サービス計画、委員会・研修記録ケースファイルは標準目次で時系列に整理。アセスメントから請求まで一本の線でつながる状態に計画変更の根拠が支援経過にない。署名・日付の漏れ。「特変なし」コピペ
請求給付管理票・請求データ控え、提供票・サービス利用票、加算算定根拠となる各記録月次で請求データと根拠記録を突合。加算は要件ごとに証跡の保管場所を明確にする会議録や同意書の日付が算定対象期間外。提供票の反映が計画変更後に遅れる

事業所の運営に関する書類

運営に関する書類は「この事業所がどう運営するか」を示す根拠です。運営書類で最も多い落とし穴は最新版が混在していることです。改訂したのに掲示や周知が古い、様式は新しいのに契約書の条文が旧版のまま、といったズレは指摘されやすいです。各文書に版数や改訂日を入れ、改訂履歴と周知記録をセットで保管すると説明が簡単になります。

運営規程・重要事項説明書・契約書

運営規程・重要事項説明書・契約書は相互に内容が一致していることが重要です。営業時間・通常の実施地域・利用料・苦情窓口・個人情報の取扱いなど、重なる項目の不一致は指摘の定番です。確認されやすいのは説明と同意の証跡で、署名や日付が揃っているか、交付したことを記録しているかを整えます。改訂時は「いつからこの内容で運用しているか」が説明できるよう、改訂履歴と差し替え記録を残すと安全です。

苦情対応・事故対応・個人情報保護の記録

苦情対応は受付から対応・結果・再発防止までが一連で見られます。苦情受付簿だけで終わらず、事実確認・対応方針・利用者への説明・改善の記録が揃っているかがポイントです。事故対応も同様に、連絡の実施(家族・市町村等)・処置内容・原因分析・再発防止までの記録が求められます。個人情報は、同意書だけでなく持ち出し・廃棄・閲覧権限・鍵管理のルールと、従業者の秘密保持誓約書など、実際に守れる形になっているかが問われます。

各種会議・委員会・研修の記録

会議・委員会・研修は「計画して実施し、振り返って改善した」ことが分かるセットで保管します。感染症対策・虐待防止・BCPなどは書面を作っただけでは足りません。研修や訓練を実施し、その結果を共有しているかが確認されるため、実施記録と資料を残します。テーマ別ファイルを作り、年度ごとに「計画→実施→課題」の順で並べると閲覧が速くなります。

運営指導対応の法定研修については、以下のページをご覧ください

☑運営指導対応・介護職スキルアップ研修のご案内

加算・届出・変更届の控え

加算は「算定しているのに根拠が出ない」が最も危険です。届出の控えだけでなく、算定要件を満たしたことが分かる記録への導線を作ります。変更届は管理者変更・所在地変更・運営規程の変更など見落としやすい領域です。届出の控えを時系列で保管し、いつから何が変わったかが説明できるようにします。制度改定のタイミングで「算定中の加算一覧」と「根拠の保管場所」を見直すと、運営指導前の手戻りが減ります。

人員・勤務体制に関する書類

人員・勤務体制は、配置基準と勤務実態が一致しているかを確認されます。名簿や資格だけでなく、勤務表や勤怠、雇用形態がセットで必要になります。管理者の要件や兼務の説明は質問が出やすいため、勤務実績で説明できるようにし口頭だけで済ませない準備が重要です。

従業者名簿・資格証の写し

従業者名簿は常に最新にし、職種・常勤非常勤・兼務の有無が分かるようにします。名簿が古いだけで信頼性が下がるため、更新日を明記するとよいです。介護支援専門員証は有効期限切れがないかを必ず確認します。更新研修の受講状況も含め、証の写しと一覧表をセットにすると確認が速くなります。資格証の写しは個人情報でもあるため、保管場所と閲覧権限を明確にし、提示時にインデックスを付けます。

勤務表・出勤簿・雇用契約に関する資料

勤務体制一覧表やシフト、勤務実績は「実際にその時間にその人が働いていた」ことの裏付けとして見られます。勤務表だけでなく勤怠記録(タイムカード・システム記録など)も整合させます。雇用契約書は勤務日数・時間・職務内容・雇用形態が確認できる形にしておきます。よくあるズレは勤務表上は常勤でも勤怠記録や契約条件が一致しないケースです。運営指導前にサンプル月で突合しておくと安心です。

居宅介護支援のケアマネジメント記録

居宅介護支援の記録は運営指導の中心です。見られるのは「様式」よりも「中身の一貫性」です。計画に書いた目標が、担当者会議やモニタリング、支援経過に反映され、必要時に変更されているかが問われます。ケースファイル内の並び順を統一すると提示しやすくなります。

アセスメント・課題分析票

アセスメントは居宅訪問と本人・家族への面接を行い、生活状況や能力・環境を評価した根拠が残っていることが重要です。課題分析標準23項目を網羅し、課題としてどう整理したかが見られます。更新・見直しのタイミングが適切かも確認されます。状況が変わったのにアセスメントが古いままだと計画の妥当性に影響します。アセスメント結果が居宅サービス計画に反映されているかを説明できるよう、課題と目標・サービス内容のつながりを意識して記録を整えます。

江島一孝
介護福祉士・介護支援専門員

【監修者コメント】
湘南国際アカデミーの事業所向けスキルアップ研修の中でよく受ける質問が「アセスメントの様式は何を使えばいいか」です。
実は様式よりも、アセスメントの内容が居宅サービス計画の目標と支援内容にどうつながっているかの方が重要です。
介護支援専門員として実務に携わった経験から言えば、「なぜその目標か」「なぜそのサービスか」を自分の言葉で説明できる記録こそ、運営指導で最も評価されます。
(参照:厚生労働省「確認項目及び確認文書 別添1」)

居宅サービス計画書(第1〜3表)・原案

居宅サービス計画書は原案の説明と同意・交付が確認されます。署名・日付の漏れは典型的な指摘なので原案段階から整えます。計画の妥当性として、目標とサービス内容の整合・医療連携の配慮・必要に応じて介護保険外サービスの位置づけも見られます。変更したのに旧版が混在している・差し替えルールが曖昧という状態は避け、変更履歴と変更理由が追える形で保管します。

サービス担当者会議の記録・開催根拠

サービス担当者会議は開催記録だけでなく、開催に至る根拠がセットで必要です。記録では参加者・意見・決定事項・役割分担が明確になっていることがポイントです。合意形成の過程が見えないと、会議が形だけになっていると受け取られやすいです。欠席者照会や文書会議の場合も、照会文書・回答・反映内容が証跡になります。

モニタリング記録・支援経過記録

モニタリングは頻度と内容が確認されます。定期的に利用者の状況を把握し、サービス提供状況と課題の変化を記録しているかがポイントです。「特変なし」のコピペは実施の証明として弱く見られます。支援経過は日々の判断の積み重ねで、計画変更が必要になったとき、いつ・何が起きて・どう判断したかが時系列で説明できると指導側も納得しやすくなります。ケースの時系列が一目で追える工夫(通し番号・月別タブ等)が有効です。

退院退所加算等の根拠記録(該当時)

退院退所加算などは算定時にだけ確認されるのではなく、前後の経過が整合しているかまで見られます。連携記録・情報提供書・支援経過・会議録などを日付順に束ね、要件を満たしたポイントが説明できる形にします。算定月の書類だけを抜き出すと連携の連続性が見えず不自然になります。関わりの始まりから生活再構築までの流れが追える束ね方が安全です。

給付管理・請求に関する書類

給付管理・請求は計画と実績・請求の一致が確認されます。チェックの要点は提供票・利用票・サービス提供実績・給付管理票・請求データが一致しているかです。加算の根拠は、該当利用者の記録まで辿れるようにしておきます。過去に返戻や過誤があった場合は、隠すより経緯と再発防止を説明できるようにする方が評価は安定します。

給付管理票・請求データの控え

国保連への請求データ控えと給付管理票は月ごとのファイルにまとめ、該当利用者へすぐ紐づくようにしておきます。返戻・過誤の記録も重要で、いつ・なぜ発生し・どう修正したかが追えると適正化の観点で信頼されます。請求一覧に「根拠の保管場所」や「該当ケース番号」を付けるだけでも当日の説明が格段に楽になります。

提供票・サービス利用票の整合確認

提供票・利用票とケアプラン・実績・請求の一致は運営指導で確認されやすいポイントです。回数・単位・開始日・変更月の取り扱いなど、ズレが起きやすい箇所を重点的に点検します。よくある不一致は計画変更後に提供票の反映が遅れる・実績の反映と請求月の扱いがずれる、といった運用起因のものです。運用ルールを文章化し、例外時の判断も記録に残すと指摘が減ります。

江島一孝
介護福祉士・介護支援専門員

【監修者コメント】
介護福祉士受験対策講座においても給付管理の仕組みを説明する際に伝えるのは、「請求は記録の結果であって目的ではない」ということです。
加算の算定要件を満たすために研修や会議を「やる」のではなく、利用者のために必要だからやった結果が記録になる——この順番が逆にならないようにすることが、返還リスクを根本から防ぐ考え方です。
(参照:厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」)

必要書類は過去何年分用意するか(保存期間)

保存期間は書類の種類と自治体の運用により異なります。まず指定権者の案内・実施通知・自己点検票の記載で確認するのが基本です。

居宅介護支援 書類種別と保存期間の目安
書類カテゴリ保存期間の目安主な根拠・注意点
ケアマネジメント記録(アセスメント・計画・経過・モニタリング等)完結の日から2年(自治体によっては5年)指定居宅介護支援等基準第29条。自治体の条例・規則で延長される場合あり。必ず指定権者に確認
人員・勤務関係書類(勤務表・勤怠記録・雇用契約書等)3〜5年(労基法関連は3年が基本)労働基準法第109条等。雇用保険・労災関係は別途確認
給付管理・請求関係書類完結の日から2年(自治体によっては5年)基準第29条。過誤・返戻がある場合は修正記録含め保管
運営規程・重要事項説明書現行版を常時保管+旧版を改訂履歴で管理旧版は廃棄より別保管が安全。いつからこの内容かが説明できる状態に
委員会・研修・訓練記録2〜5年(指定権者の指示に従う)実施の証明となるため年度をまたいで保管を推奨

(参照:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」)

準備の優先順位としては、まず直近のケースファイルを完璧にし、次に請求の突合、最後に古い年度の整理という順にすると、限られた時間でも指摘リスクを下げやすいです。

書類の突合ポイントと不足時の対応

運営指導は「書類の有無」だけでなく「書類同士の整合」が要点です。定期的な自己点検と突合の仕組みを作ると直前に慌てずに済みます。

突合の進め方(計画書・記録・請求)

突合は計画(第1〜3表)から請求までを一本の線でつなぎます。計画と担当者会議の内容が一致しているか、支援経過やモニタリングでの変化が計画に反映されているか、提供票・利用票が計画どおりか、給付管理・請求が実績どおりかを確認します。典型的なミスは、同意日が計画交付日より後・計画変更の根拠が支援経過にない・提供票の開始日が計画とずれる、といった時系列・運用のズレです。突合は全ケースを毎回完璧にやるより、抽出して定期点検する方が継続しやすいです。

江島一孝
介護福祉士・介護支援専門員

【監修者コメント】
湘南国際アカデミーでは事業所向けの運営指導対応研修もプロデュースしてきましたが、「突合を月次で回す仕組みを作っている事業所」と「通知が来てから慌てて整える事業所」では当日の印象が大きく変わります。記録の整合は技術よりも習慣です。月次で数件でも確認する運用があるだけで、指摘の多くは未然に防げます。(参照:厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」)

よくある指摘事項と直し方

よくある指摘は、署名・日付漏れ・版管理不備・モニタリング頻度不足・担当者会議の開催根拠不明・加算要件の根拠不足・苦情・事故記録の欠落・研修が計画倒れになっていることなどです。直し方の基本は事実関係を崩さないことで、後から整える場合も追記であることが分かるようにし、いつ誰が追記したか・根拠は何かを残します。再発防止は個人の注意ではなく仕組みで行い、チェック欄・版管理ルール・加算ごとの根拠ファイル・研修の実施管理など誰がやっても同じ品質になる形に落とし込みます。

書類が不足している場合の考え方(偽造NG・事実ベースの補完)

最も避けるべきは実施していないことを実施したように作ることです。これは偽造と判断されやすく、手続きが重くなる原因になります。一方、実際に実施していて当時のメモや関係者記録などがあり内容が事実に基づくなら、追記や整理としての補完を検討できます。その場合も追記日と追記者が分かり、元の記録が保持される形が基本です。不足があるときは事実確認・代替資料の提示・是正計画の提示の順で整理します。

自己点検票の活用と定期棚卸しの方法

自己点検票は指定権者のホームページから最新版を入手します。制度改定があると項目が変わるため改定時に差し替えます。点検は年1回の定期実施に加え、新規加算算定の前後・管理者交代・体制変更時に随時行うと効果的です。自治体の自己点検票に事業所独自の必要書類一覧を統合すると実用的です。必要書類ごとに保管場所・最新版の改訂日・担当者・更新頻度を入れると引き継ぎにも強くなります。

点検結果を残すことが重要です。誰がいつ確認したかが分かるだけで改善の継続性が示せますし、運営指導時に「日頃から管理している」根拠として提示できます。点検後の是正は期限と担当者を決め、完了した証跡を残してから初めて指摘予防の仕組みになります。

FAQ|運営指導の必要書類に関するよくある質問

Q1.
書類は過去何年分用意すればよいですか?
A

法令上は「完結の日から2年」が基本ですが、自治体によって条例で3〜5年とされている場合があります。通知書や指定権者の案内で対象期間を確認し、直近のケースと請求を優先的に整えるのが現実的です。当日確認されやすいのは直近の運用と請求に直結する期間で、制度改定や加算変更があった時期は特に見られやすくなります。

Q2.
電子保存している書類の提示はどうすればよいですか?
A

オンライン実施では画面共有、現地実施ではパソコン等での閲覧提示が可能です。版管理(どれが最新か)と改ざん防止の説明ができる状態にしておくことが求められます。フォルダ構成と命名規則を統一し、改定日が分かる形で整理しておくと、紙の書類と同様に検索性と信頼性を確保できます。

Q3.
書類の不備が見つかった場合、当日に作成してよいですか?
A

実際に実施していた事実があり、その根拠(当時のメモや関係者の記録等)があれば追記の形で補完できます。その場合も追記日と追記者が分かり、元の記録が消えない形が基本です。ただし実施していないことを実施したように作ることは偽造になります。不足がある場合は事実確認・代替資料の提示・是正計画の提示の順で対応します。

Q4.
提示と提出の違いは何ですか?
A

提示は当日の閲覧確認のみで持ち出しは不要です。提出はコピーやデータでの提供を求められるもので、個人情報の範囲を確認し、マスキングの要否・提出形式を事前に担当部署と確認します。通知書の指示に従い、安易な提出で個人情報を過剰提供しないよう注意が必要です。

Q5.
ケースファイルの整理はどの順番にすればよいですか?
A

アセスメント→居宅サービス計画書(原案・確定版)→サービス担当者会議の記録→支援経過記録→モニタリング結果の時系列順が基本です。標準目次を作り全ケースで統一すると、提示依頼に即応できます。計画変更があった場合は変更前後の計画と変更理由が分かる経過記録をセットで綴じておくと、プロセスの説明が格段にスムーズになります。

まとめ:必要書類を早めに棚卸しして運営指導に備える

運営指導は突然のイベントではなく、日頃の記録・運用の積み重ねがそのまま評価されます。必要書類は運営・人員・記録・請求の4区分で整理すると準備しやすくなります。特に居宅介護支援では、ケアマネジメントのプロセスが記録で一貫して追えることが最重要です。

当日の指摘を減らすコツは書類を揃えること以上に、書類同士の整合を取ることです。日付・同意・変更理由・請求の根拠がつながっていれば、ヒアリングにも根拠を示して答えられます。早めに棚卸しを行い、自己点検と突合を定期運用に組み込むことで、運営指導は「特別な試験」ではなく「日常の確認」に変わります。

運営指導の全体像・流れ・当日対応については、以下のページをご覧ください

☑ケアマネ(居宅介護支援)の運営指導(実地指導)対策ガイド

ケアプランの書類整備については、以下のページもご覧ください

☑ケアプランとは?目的・種類・作成の流れをわかりやすく解説

運営指導対応の法定研修については、以下のページをご覧ください

☑運営指導対応・介護職スキルアップ研修のご案内

この記事を書いた人
介護老人福祉施設に10年在籍し、研修受け入れ担当として年間100名以上の研修生を指導。
湘南国際アカデミーでは初任者研修・実務者研修・介護福祉士受験対策の講師を務めるほか、受験対策テキストの執筆も担当。
介護技能実習評価試験評価者として外国人介護士の受け入れ支援、事業所向けスキルアップ研修のプロデュースなど、人材確保・育成・定着に向けた幅広い活動を展開している。
江島 一孝
藤沢校・横須賀校・海老名校・相模大野校・横浜戸塚校・横浜馬車道関内校・小田原校・大和校・横浜二俣川校
【所持資格】
介護福祉士・介護福祉士実習指導者・介護支援専門員・福祉用具専門相談員・介護技能実習評価試験評価者
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