介護福祉士は、介護業務に関する専門知識とスキルを証明する資格です。取得すると介護職としてできる業務の幅が広がったり職場で高い評価が得られたりします。
ちなみに、介護福祉士は介護分野で唯一の国家資格で、資格を得るには試験に合格する必要があります。試験ではどのような出題があるのかと同様に、どれくらいの点数を取れば合格に近づくのかが気になっている人もいるかもしれません。
本記事では、長年にわたり介護福祉士受験対策講座を提供してきた湘南国際アカデミーが、介護福祉士試験の概要、出題形式、合格ラインについて詳しく解説します。また、合格率や試験対策のポイントも紹介します。
介護福祉士試験の概要
まずは介護福祉士試験の概要を説明します。試験対策を立てるためにも、まずは試験の概要を理解しておきましょう。
試験の実施主体
介護福祉士試験は、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが主体となって実施しています。社会福祉振興・試験センターは介護福祉士のほかに、社会福祉士や精神保健福祉士の資格試験も運営しています。
試験日
介護福祉士試験は、年1回の実施で、例年1月下旬に筆記試験が行われます。ちなみに、令和7年度(第38回)の試験は2026年1月25日に実施される予定です。介護福祉士試験は行われる日程がおおむね固定されているため、長期的な学習計画を立てやすい試験と言えるでしょう。
受験資格
介護福祉士試験の受験資格を満たすには、全部で4つのルートがあります。
まず、養成施設ルートでは、厚生労働大臣が指定した介護福祉士養成施設で必要な課程を修了することが条件です。福祉系大学や社会福祉士養成施設、保育士養成施設を卒業している場合は1年間、高校卒業の場合は2年間通う必要があります。
実務経験ルートでは、3年以上の実務経験に加え、介護福祉士実務者研修の修了が必要になります。介護福祉士実務者研修の代わりに、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修を組み合わせることでも条件を満たせます。
福祉系高校ルートは、指定された福祉系高校を卒業し、9カ月以上の実務経験を積むことで受験資格を得られます。
最後に、EPAルートは、経済連携協定に基づいて来日した外国人介護福祉士候補者が対象となります。条件を満たすためのルートが複数あるため多様な人が介護福祉士を目指すことができ、介護業界の人材確保に貢献しています。
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介護福祉士試験の出題形式と出題科目
介護福祉士試験は、幅広い知識と実践的な理解を問う構成となっています。出題形式と科目を把握することで、効率的な試験対策が可能になります。
出題形式
介護福祉士試験の出題形式は、5択の選択肢から正解を選ぶマークシート方式が採用されています。筆記試験は全125問で構成され、1問1点の配点で125点満点となります。試験は二部制で、午前の部が100分間、午後の部が120分間となっています。
出題科目
介護福祉士国家試験は以下の13科目群で構成されています。(順不同)
※以下の科目名をクリックすると対談形式で、各科目のポイント解説をご覧いただけますので、是非参考にしてください。
- 人間の尊厳と自立
- 社会の理解
- 介護の基本
- コミュニケーション技術
- 人間関係とコミュニケーション
- 生活支援技術
- 介護過程
- 発達と老化の理解
- 認知症の理解
- 障害の理解
- こころとからだのしくみ
- 医療的ケア
- 総合問題
これらの科目は、介護福祉士として必要な知識と技能を網羅しており、介護の基礎から実践的な内容まで幅広くカバーしています。
ちなみに、過去に出題された問題は社会福祉振興・試験センターのWebサイト上で公開されています。それぞれの科目でどのような出題がされているのか気になる人は、チェックしてみましょう。
介護福祉士試験の合格ライン
介護福祉士試験の合格ラインは、受験者の実力を適切に評価するために設定されています。
合格点の基準
介護福祉士試験の合格基準は、総得点の60%前後に設定されています。具体的な合格点は、試験の難易度により調整されます。令和6年度(第37回)の試験では、70点が合格点となりました。
ただし、介護福祉士試験には独特なルールがあり、以下の11科目は1問以上の正解が必須となっています。
・人間の尊厳と自立・介護の基本
・人間関係とコミュニケーション・コミュニケーション技術
・社会の理解
・こころとからだのしくみ
・発達と老化の理解
・認知症の理解
・障害の理解
・医療的ケア
・生活支援技術
・介護過程
・総合問題
これらの科目について、1つでも0点の科目があると不合格になります。
パート合格制度
令和7年度の介護福祉士試験から、パート合格制度が導入される予定です。これは、パートごとに点数の到達具合を見て、基準に達しているパートを合格扱いとする制度です。合格扱いになったパートは合格した試験の翌々年までは受験免除となり、受験者は残りのパートに合格すればすべての試験に合格したのと同じ扱いになります。
これにより、もし試験に落ちてしまっても次回以降は苦手なパートを集中して学習することが可能です。また、仕事や家庭の事情で十分な学習時間が確保できない受験者にとっても、この制度は大きなメリットとなるでしょう。
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令和6年度の合格者数や合格率
介護福祉士試験の合格率や合格者数は、毎年公表されており、受験者にとって重要な指標となっています。令和6年度(第37回)の試験では、受験者数が75,387人、合格者数が58,992人で、合格率は78.3%でした。
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介護福祉士試験の合格ラインを超えるためのポイント
介護福祉士試験に合格するためには、効果的な学習戦略が不可欠です。ここでは、合格ラインを超えるための重要なポイントを紹介します。
苦手な科目をなくす
介護福祉士試験では、すべての科目で得点が必要とされるため、苦手科目をなくすことが重要です。まず、自己分析を行い、苦手科目を特定しましょう。次に、その科目に特化した学習計画を立てます。苦手科目の学習には、通常より多くの時間を割り当てることが大切です。例えば、「医療的ケア」の問題を苦手に感じているなら、基礎的な医学知識から学び直しを行いましょう。苦手科目の克服は、試験全体の得点アップにつながります。
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出題傾向をつかむ
介護福祉士試験の出題傾向を把握することは、効率的な学習につながります。まず、過去の試験問題を分析し、頻出テーマや重要キーワードを洗い出します。例えば、「認知症ケア」や「介護過程」などの分野は毎年重点的に出題されています。また、最新の介護福祉士試験対策の書籍や解説サイトを活用するのも効果的です。さらに、介護現場の最新トレンドや法改正にも注目しましょう。出題傾向を把握することで、学習の優先順位を決定し、限られた時間を最大限に活用できます。
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過去問で対策する
過去問を活用することは、介護福祉士試験の合格に向けた効果的な対策の1つです。過去問を解くことで、実際の試験の出題形式や難易度を体感しつつ、自分の弱点を明らかにできます。
過去問に取り組むときは、時間を計りながら解いてみましょう。時間を意識することで、現在の実力や問題を解く時間配分の目安を把握できます。
次に、間違えた問題や迷った問題を重点的に復習します。この際、単に正解を覚えるのではなく、なぜその解答が正しいのかを理解することが重要です。過去問を繰り返し解けば解くほど、出題パターンに慣れることができます。過去問対策は、試験本番での得点アップに直結する重要な学習方法です。
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FAQ|介護福祉士試験に関するよくある質問
- Q1.介護福祉士試験の合格ラインは毎年同じですか?
- A
合格ラインは総得点の60%程度を目安とし、問題の難易度に応じて補正されます。そのため、毎年の試験によって合格基準点は変動します。
- Q2.すべての科目で得点が必要ですか?
- A
はい。11科目群すべてで1問以上正解する必要があります。どれか一つでも0点の科目があると、不合格となります。
- Q3.パート合格制度とは何ですか?
- A
令和7年度(第38回)から導入予定の制度で、試験科目を3つのパートに分け、各パートごとに合否を判定します。一度合格したパートは、その後2年間は免除されます。
- Q4.過去問はどこで入手できますか?
- A
社会福祉振興・試験センターのWebサイトで過去の試験問題が公開されています。また、市販の過去問題集や解説書も活用できます。
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- Q5.湘南国際アカデミーでは試験対策講座を実施していますか?
- A
はい。湘南国際アカデミーでは、介護福祉士試験対策講座を実施しており、経験豊富な講師陣によるわかりやすい授業と、過去問演習、模擬試験を通じて受講生の合格をしっかりサポートしています。通学・オンラインの両方に対応しており、自分のライフスタイルに合わせた学習が可能です。
介護福祉士受験対策講座に関しての詳細は、以下のページをご覧ください
効果的な学習で介護福祉士試験合格を目指そう
介護福祉士試験の合格ラインは総得点の約60%が目安とされており、それに加えてすべての主要科目で得点が必要となる厳格な基準が設けられています。令和7年度からはパート合格制度も導入予定で、受験者の負担軽減と学習の継続がしやすくなる点にも注目です。
試験対策には、苦手科目の克服や出題傾向の把握、過去問の活用など、計画的かつ実践的なアプローチが必要不可欠です。湘南国際アカデミーでは、試験に向けた実践的な学習プログラムを提供し、多くの受講生が高い合格率を達成しています。
介護福祉士資格の取得は、介護現場での専門性を高めるだけでなく、将来のキャリアアップにもつながる大きな一歩です。試験合格を目指して、今から一歩ずつ着実に学習を進めていきましょう。
その他、介護事業所や医療機関などにおいて当校の「事業所内スキルアップ研修」の企画・提案・実施など各事業所用にカスタマイズする研修をプロデュースし、人材確保・育成・定着に向けた一連のプログラムを手掛けている。
