介護福祉士試験では、毎年、福祉・医療・心理学など幅広い分野の人物が出題されます。特に介護や福祉に大きく貢献した人物の思想や具体的な業績を理解しておくことは、合格のカギです。本記事では、試験に出やすい人物や科目の要点、学習テクニックを総合的に解説し、スムーズな合格を目指すための対策を紹介します。
※記事の途中に、全国の介護福祉士合格者が使用した介護福祉士受験対策教材「受かるんですシリーズ」の情報もありますので、ぜひご覧ください。
介護福祉士試験に絶対に出る13科目について
まずは出題形式や合格ラインの仕組みを理解し、自分にとってどの科目を優先して学習すべきかを明確にしましょう。
以下の表にある通り、介護福祉士試験は11科目群または13科目(順不同)と表現されることがあり、どの分野も幅広い知識が問われます。特に偏った学習をしてしまうと、ある科目で0点になりかねず、合格ラインをクリアできなくなるリスクがあります。全体点数と科目群別の基準を両方満たすことが必要なため、苦手分野を後回しにせず学習計画を立てていくことが大切です。
※以下の科目名をクリックすると対談形式で、各科目のポイント解説をご覧いただけますので、是非参考にしてください。
人間の尊厳と自立 | 社会の理解 | 介護の基本 | 認知症の理解 | コミュニケーション技術 |
生活支援技術 | 介護過程 | 発達と老化の理解 | 障害の理解 | 人間関係とコミュニケーション |
こころとからだのしくみ | 医療的ケア | 総合問題 |
出題形式と合格ラインの仕組み
介護福祉士国家試験は総合得点に加え、科目群ごとに1点以上という合格要件が設定されています。このため、例え他の科目群で高得点を取っても、他の科目群で0点となると合格できません。近年は出題傾向が実践的になっており、単なる暗記だけではなく状況判断を問う問題も増えています。対策としては過去問を繰り返し解き、形式や設問パターンに慣れておくことが不可欠です。
第38回介護福祉士に絶対に必要なパート合格制度の知識
第38回介護福祉士から導入される「パート合格制度」とは、一定の条件を満たせば次回試験で一部の科目合格を持ち越せる仕組みです。ここでは、要点を押さえておきましょう。
絶対に確認!午前試験(Aパート)と午後試験(B・Cパート)の範囲
介護福祉士試験では、午前試験のAパートと午後試験のB・Cパートで出題内容が異なります。主に午前では基礎的な知識確認、午後では応用的な事例問題が多い傾向にあるため、勉強の段階で分野ごとの出題形式を理解しておくとスムーズに対応できます。また、パート合格制度を活用する場合にも、どのパートで苦手分野が出題されやすいかを把握しておくと効率よく対策が立てられます。公式の出題基準やこれまでの出題傾向をチェックし、重点的に学習すべき分野を明確にしましょう。
介護福祉士国家試験に絶対に出題されやすい人物の共通点は?
介護福祉士国家試験で出題されやすい人物は、福祉や介護に関わる歴史的人物や理論家です。主に共通している点は、理論や制度の基盤を築いた点です。実際の試験では、名前と功績だけでなく、その理論がどの現場でどのように活用されるかを問う問題も少なくありません。このセクションでは、各分野の学者たちが提唱した理論や活動が、どのように今日の介護保険制度や社会保障、介護業務、思想などに結びついているかを理解しておくと、選択肢を絞りやすく解答の精度が上がるでしょう。
福祉・介護に貢献した歴史上の人物
福祉の現場においては、社会福祉の基礎を築いたリッチモンドや、障害者支援に尽力した糸賀一雄などが代表的です。彼らは支援を行うだけでなく、法制度の整備や施設の設立に深く関わり、多くの実践的アプローチを世に広めました。糸賀一雄の場合は滋賀県での教育・福祉活動から、支援の理念として「この子らを世の光に」を掲げたことが知られています。こうした歴史的事実は過去の試験に出題されているため、名前と業績をセットで覚えるのが有効です。
医療・看護・心理学の基礎を築いた学者や実践者
マズローの欲求階層説は介護現場でもしばしば活用され、人間の基本的欲求から高次の欲求へと順に満たしていく重要性が問われます。また、終末期医療や死の受容についてはキューブラー・ロスの理論が有名で、介護試験でも日常ケアの一環として患者や利用者の心理面を理解する際に出題されやすいです。エリクソンの生涯発達理論も発達段階ごとの心理的課題を理解する上での知識と言えるでしょう。
障害者福祉・児童福祉に関わった活動家
障害者の権利を支えたバンク・ミケルセンや、8つの原理にまとめたベンクト・ニイリエ、ソーシャルロール・バリデーションを提唱したヴォルフェンスベルガーは試験頻出人物です。これらの理論背景は障害の理解や社会福祉の分野でよく問われるので要注意です。
試験に出題される人物の主なテーマ・業績と関連科目一覧
人物の理論や思想が、どの科目の範囲との関連で問われやすいかを以下の表にまとめましたので参考にしてみてください。※順不同
人物名 | 主なテーマ・業績 | 出題されやすい科目(13科目中) | |
---|---|---|---|
➀ | ナイチンゲール | 近代看護の母、統計学活用、看護の制度化 | 社会の理解、介護の基本 |
➁ | エリク・H・エリクソン | エリクソンの心理社会的発達理論 | 発達と老化の理解、こころとからだのしくみ |
➂ | イワン・パブロフ | 古典的条件づけ(犬の唾液分泌) | こころとからだのしくみ、認知症の理解 |
➃ | バラス・スキナー | オペラント条件づけ(行動心理学) | こころとからだのしくみ、認知症の理解 |
⑤ | マリア・モンテッソーリ | 障害児教育、自発的学習の重視 | 障害の理解、発達と老化の理解 |
⑥ | アルベルト・シュヴァイツァー | 生命への畏敬思想、アフリカでの医療活動 | 社会の理解、介護の基本 |
⑦ | 糸賀一雄 | 日本の知的障害者福祉の先駆者、「この子らを世の光に」 | 障害の理解、社会の理解 |
⑧ | 石井十次 | 岡山孤児院、児童福祉の父 | 社会の理解 |
⑨ | 石井亮一 | 滝乃川学園、知的障害者福祉の草分け | 社会の理解 |
⑩ | アリス・ソロモン | ドイツのソーシャルワーク創設者 | 社会の理解 |
⑪ | エリザベス・グローバー | イギリスのソーシャルワーク教育の先駆者 | 社会の理解 |
⑫ | 山室軍平 | 救世軍士官(牧師)の活動、日本の社会事業の推進 | 社会の理解 |
⑬ | ジャン・ピアジェ | 認知発達理論(感覚運動期など) | こころとからだのしくみ、発達と老化の理解 |
⑭ | ローレンス・コールバーグ | 道徳性発達理論(3水準6段階) | こころとからだのしくみ、発達と老化の理解 |
⑮ | ロバート・J・ハヴィガースト | 発達課題論 | こころとからだのしくみ、発達と老化の理解 |
⑯ | ジークムント・フロイト | 精神分析理論(エス・自我・超自我) | こころとからだのしくみ |
⑰ | カール・グスタフ・ユング | 分析心理学(内向型・外向型) | こころとからだのしくみ |
⑱ | ルドルフ・シュタイナー | オルタナティブ教育(シュタイナー教育) | 障害の理解 |
⑲ | ルイ・ブライユ | 点字の考案者 | 障害の理解 |
⑳ | トーマス・キッド | 終末期ケアの先駆者 | 介護の基本 |
㉑ | シシリー・ソンダース | ホスピス運動、緩和ケア | 介護の基本 |
㉒ | メアリー・リッチモンド | ソーシャルワークの母、個別援助技術(ケースワーク) | 社会の理解 |
㉓ | バンク・ミケルセン | ノーマライゼーション理念(デンマーク) | 社会の理解、障害の理解 |
㉔ | ヴォルフェンスベルガー | 社会的役割valorization、ノーマライゼーション | 社会の理解、障害の理解 |
㉖ | ニィリエ | ノーマライゼーション概念の提唱(スウェーデン) | 障害の理解 |
㉗ | キューブラー・ロス | 死の受容の5段階モデル | こころとからだのしくみ、発達と老化の理解 |
㉘ | アブラハム・マズロー | 欲求階層説(生理的欲求〜自己実現) | 人間の尊厳と自立、介護の基本 |
上記の人物像やテーマ・業績、該当科目などの情報が、必ず試験に出題することを約束するものではありません。
最新の出題傾向と要注目トピック
最近の試験では特定のトピックに偏重する傾向も見られます。最新情報をチェックしましょう。
1科目群だけでも0点があると絶対に不合格になるリスク
介護福祉士試験は、総合点と科目群で1点以上の両方が合格要件となります。学習では得意科目を伸ばすだけでなく、苦手科目群を0点にしないための対策が不可欠です。日頃からバランスを取りながら知識の幅を広げましょう。
社会の理解・介護の基本で頻出するテーマ
社会保障制度や介護保険制度は毎年必ずと言っていいほど出題される重要分野です。制度改正が行われた場合は、改正内容だけでなく改正する原因となった社会問題や時事ネタなども押さえておくことで得点アップにつながります。また、介護の基本に関しては介護倫理や利用者主体のケア理念が問われるため、具体的事例をイメージできるように学習を進めるのが効果的です。
認知症や障害の理解分野で特に狙われやすいポイント
認知症や障害特性の理解は幅広く、たとえば認知症ケアの基本方針や症状への対応方法が実践的な視点から問われます。障害分野でも、身体障害や知的障害、精神障害など種類別の特徴と支援方法をしっかり把握しておくことが重要です。事例問題ではコミュニケーションの工夫やケアチーム内での連携が焦点となる場合も多いため、実務経験者の意見や事例集を参考にするのも効果的でしょう。
介護福祉士国家試験に絶対合格するための学習法とテクニック
合格するには効率的な学習計画と自分に合った学習ツールの選択が不可欠です。ここでは、湘南国際アカデミーの今までの実績とノウハウで築き上げてきた絶対に合格するための学習方法とテクニック、考え方を紹介していきます。
介護福祉士合格の秘訣は最初から満点を目指さない勉強法
介護福祉士国家試験では、講師陣や専門家でも間違えてしまうような「難問」が必ず出題されます。
しかし、それら全てを解くために最初から「重箱の隅をつつくような勉強法」は効率的ではありません。
出題の可能性が低い内容は省き、「間違えてはならない問題を確実に解く」という合格するためのテキストと勉強法が必要です。
~・~・介護福祉士国家試験「受かるんですシリーズ」とは?~・~・
介護福祉士合格請負人のプロが作った湘南国際アカデミー独自の受験対策テキスト教材です。
- テキストはこちら⇒「丸わかりテキスト」
- 動画版はこちら⇒「丸わかり動画」
- eラーニングはこちら⇒「解説付きWeb問題集」
独学で挑戦するメリット・デメリット
独学は学習費用や受験費用を抑えられるという大きな利点がありますが、学習計画の立案と情報収集をすべて自分で行わなければなりません。進捗管理やモチベーション維持も個人の努力に左右されるため、途中で挫折してしまう可能性もあります。自分でタイムラインを作り、過去問や模擬試験を活用しながら学習を進める意欲がある方には向いている方法です。
テキストや動画、eラーニングを活用した学習法
テキストだけでは理解しづらい内容も、動画やオンライン講義を併用することで視覚的・聴覚的に頭に入りやすくなります。スマートフォンやタブレットを活用すれば、移動時間や待ち時間にも学習可能になります。
通信講座・スクールを活用した対策
専門講師からの指導や質問フォローは、独学では得られない大きなアドバンテージとなります。苦手分野を相談できる相手がいるだけでも、不安を軽減させることが可能です。また同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨することで、モチベーションが維持しやすくなります。ただし、費用がかかることや日程が決まっていることから、時間的・経済的な余裕と相談しつつ選ぶ必要があります。
過去問分析と頻出パターンの押さえ方
過去問は数年分をまとめて入手し、繰り返し解くことで出題傾向を把握できます。同じテーマや用語が繰り返し出ることも多いため、そのパターンを理解しておくと試験当日にも落ち着いて対処できます。さらに解説をじっくり読み、正答を導くプロセスを学んでおくと、新しい問題にも応用しやすくなるでしょう。
FAQ|介護福祉士試験で絶対に知っておくべきポイントQ&A
試験前後によくある疑問点をまとめました。トラブルや不合格時の対処法も確認しておきましょう。
- Q1.第38回介護福祉士国家試験で不合格になった場合に、パート合格制度はどのように利用できますか?
- A
一部のパートで基準点を上回っていれば、次々回試験までそのパートの免除を受けられます。受験申込時には、必ず公益財団法人社会福祉振興・試験センターHPで確認してください。持ち越せるパートがどの範囲なのかを理解し、不合格になった科目を中心に対策を強化すると効率よく再受験に備えられます。
第38回介護福祉士国家試験の概要(パート合格制度導入後の試験概要)
引用元;社会福祉振興・試験センターHP「パート合格(合格パートの受験免除)がスタートします!」第38回介護福祉士国家試験日 令和1月25日(日曜日) 試験時間 パート区分 試験科目 領域 午前 10時00分~11時45分
〇弱視等受験者(1.3倍)
10時00分~12時20分
〇点字等受験者(1.5倍)
10時00分~12時40分
〇EPA受験者(1.5倍)
10時00分~12時40分
〇EPA候補者以外の外国人の
方等で希望した受験者(1.5倍)
10時00分~12時40分A 人間の尊厳と自立 人間と社会 介護の基本 介護 社会の理解 人間と社会 人間関係とコミュニケーション 人間と社会 コミュニケーション技術 介護 生活支援技術 介護 午後 13時40分~15時35分
〇弱視等受験者(1.3倍)
13時40分~16時15分
〇点字等受験者(1.5倍)
13時40分~16時35分
〇EPA受験者(1.5倍)
13時40分~16時35分
〇EPA候補者以外の外国人の
方等で希望した受験者(1.5倍)
13時40分~16時35分B こころとからだのしくみ こころとからだのしくみ 発達と老化の理解 こころとからだのしくみ 認知症の理解 こころとからだのしくみ 障害の理解 こころとからだのしくみ 医療的ケア 医療的ケア C 介護過程 介護 総合問題 全領域
- Q2.介護福祉士試験直前期に必ずやっておくべきことはありますか?
- A
模擬試験や過去問題の最終チェックはもちろん、苦手科目の総復習を重点的に行いましょう。また、当日の持ち物や会場までのルート確認などの事前準備も、精神的な負担を軽減するために欠かせません。
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- Q3.持ち物や服装、体調管理などで気を付けるべきポイントはありますか?
- A
受験票や本人確認証、筆記用具は必ず準備し、紛失しないよう念入りにチェックしてください。服装は会場の空調や季節に合わせた調整可能なものが理想です。栄養バランスの良い食事と十分な睡眠も、当日のコンディションを左右します。湘南国際アカデミーの職員は試験会場に毎年行きますが、必ずと言っていいほど受験票を忘れたり紛失してしまう方がいますので、受験票は特に厳重に保管しておきましょう。(因みに、忘れたり、紛失した場合の対応窓口は試験会場にあります)
- Q4.介護福祉士試験当日の流れと注意点はありますか?
- A
試験会場には早めに到着し、受付やトイレの場所を確認しておきましょう。休憩時間は精神的にもリラックスできるよう、水分補給や軽いストレッチをするとよいです。周りの受験生が気になる場合は、あらかじめ集中できるアイテムや目線を遮る工夫をして、余計な不安要素を排除しましょう。
- Q5.試験中のタイムマネジメントと見直しでよい方法はありますか?
- A
問題を一通り解く時間配分を考慮し、迷った問題には印を付けて先に進むなどの工夫をしてください。全問解答後に見直しの時間を確保することで、ケアレスミスを減らせます。残り時間が少ない場合でも、全ての問題に目を通し、回答欄を埋めることを忘れないようにしましょう。
- Q6.メンタルが弱いので、介護福祉士国家試験に向けて絶対におすすめの対策はありますか?
- A
深呼吸やリラックスできるミュージックを聴くなど、緊張を和らげる環境づくりが大切です。また、余裕を持って会場入りすることで不安を軽減できます。事前に模擬試験を受けたり、試験会場までの経路を下見しておくことも精神的安心につながります。
- Q7.万が一の不測の事態には、どんなことが考えられますか?
- A
体調不良や交通機関の遅延などは事前に想定しておき、万一に備えて早めに家を出るようにすると安心です。予備の筆記用具やマスクなども用意しておけば、突発的なアクシデントに対応しやすくなります。どんな状況でも落ち着いて行動できるよう、リスクを踏まえた準備をすることが合格へのステップとなるでしょう。
【まとめ】絶対出るポイントを押さえて介護福祉士に合格しよう
今回紹介した絶対に押さえるべきポイントや人物名をしっかり理解し、最後まで学習を継続できますように。
介護福祉士試験は幅広い科目におよぶため、戦略的に学習しないと全てを網羅するのは難しいものです。しかし、頻出する人物の思想や制度の成り立ちをまずは押さえることで、全体的な内容がリンクし点数アップにつながります。さらに、過去問分析や部分合格制度の活用など、さまざまなテクニックを組み合わせれば、着実に合格へ近づくでしょう。
直前期にはメンタルケアや持ち物確認など、学習以外の準備も完璧にしておきたいものです。本記事で取り上げた情報を参考に、しっかりと対策を講じて介護福祉士としての第一歩を成功で飾ってください。
湘南国際アカデミー公式LINEでは、教材開発や授業を担当している講師が、全国の受験生からの質問へ回答しています。お気軽にご質問ください。
その他、介護技能実習評価試験評価者として外国人介護士の受け入れ機関への評価業務や、介護事業所や医療機関において「事業所内スキルアップ研修」の企画・提案・実施など各事業所用にカスタマイズする研修をプロデュースし、人材確保・育成・定着に向けた一連のプログラムを手掛けている。
