藤沢市は、介護予防・日常生活支援総合事業の従前相当訪問型・通所型サービスについて、2027年4月1日から原則「回数払い」へ移す素案を示しました。実際に利用した回数に応じて算定し、一定回数以上は月額上限を使う考え方です。利用者には負担の適正化、事業所には実績管理と書類改定という影響が見込まれます。
ただし、2026年9月1日の説明資料は一貫して「素案」「案」と表記しています。2027年度介護報酬改定で国の基準が変われば、藤沢市の単位数も調整される可能性があります。現時点で利用者へ確定事項として説明したり、最終版の重要事項説明書を配布したりする段階ではありません。
この記事では、公表済みの単位と上限を確認したうえで、地域包括支援センター、ケアマネジャー、訪問型・通所型事業所が「今からできる準備」と「決定後に行う作業」を分けて整理します。請求や契約への最終反映は、藤沢市の決定通知、サービスコード表・単位数表マスタ、2027年度介護報酬改定を確認してから行ってください。
回数払い素案を30秒で確認
| 項目 | 2026年9月時点の素案 | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| 開始時期 | 2027年4月1日 | 確定通知を待つ |
| 対象 | 従前相当の訪問型・通所型 | 他サービスと混同しない |
| 算定 | 原則、実利用回数ごとの単位 | 実績と提供票を照合 |
| 上限 | 計画上の利用程度に応じ月額上限 | 回数×単位と比較する |
| 加算 | 通所型は現行どおり月単位の案 | 最終マスタで再確認 |
| 書類 | ケアプラン、重要事項説明書等を見直し | 確定前は雛形準備まで |
なぜ月額包括から回数払いへ変えるのか
藤沢市の説明資料は、現行では利用回数にかかわらず定額支払いが原則であるため、計画より利用が少ない月でも利用者負担が増える例を示しています。月4回の通所予定でも実利用が1回なら、現行の例では4回分に相当する利用料を支払うという説明です。回数払い案では、原則として利用した分を支払い、上限の範囲で計算を分かりやすくする狙いがあります。
一方、サービス事業所から見ると、予定回数に満たない月の報酬が減る可能性があります。資料は、利用回数の管理、利用者への制度説明、料金表やホームページの更新など、一時的な事務量の増加も影響として挙げています。利用者負担の適正化と事業継続の両方を見ながら、欠席理由や振替の運用、稼働計画を検討する必要があります。
大切なのは、報酬を確保するために必要性のない利用回数を増やすことではありません。説明資料は、本人にとって必要なサービス利用回数が適正なら月1回利用も可能としています。ケアマネジメントでは目標と必要性から回数を定め、実績の変化が続く場合は状態や生活課題を再評価します。
訪問型サービスの単位数と上限案
| 内容 | 1回当たり | 月額上限の考え方 |
|---|---|---|
| 標準的な内容 | 287単位 | 週1回程度1,176単位、週2回程度2,349単位、週2回超程度3,727単位 |
| 生活援助中心・20分以上45分未満 | 179単位 | |
| 生活援助中心・45分以上 | 220単位 | |
| 短時間の身体介護 | 163単位 | ― |
標準的な内容は、見守り的援助や身体介護が必要な場合を想定し、生活援助中心のサービスは時間区分が二つ、短時間の身体介護は別区分として示されています。複数区分を同じ月に利用する例では、それぞれの回数と単位を合計し、計画上の月額上限と比較します。
資料の例では、標準的なサービス5回は287単位×5回=1,435単位、45分以上の生活援助4回は220単位×4回=880単位、合計2,315単位です。週2回程度の上限2,349単位を下回るため、2,315単位で請求する案です。計算式だけでなく、どの区分に該当するかをケアプラン、提供票、実際のサービス内容で一致させる必要があります。
本記事の単位数・上限額は2026年9月1日時点の説明資料に基づく素案です。2027年度介護報酬改定の内容次第で調整される可能性があるため、利用者への説明や請求への反映は、藤沢市の正式な決定通知とサービスコード表・単位数表マスタの公表を待ってから行ってください。
通所型サービスの単位数と上限案
| 対象 | 1回当たり | 月の回数 | 上限月額 |
|---|---|---|---|
| 事業対象者・要支援1 | 436単位 | 1〜4回は回数、5回は上限 | 1,798単位 |
| 要支援2 | 447単位 | 1〜8回は回数、9回以上は上限 | 3,621単位 |
事業対象者・要支援1が月4回利用した場合は436単位×4回=1,744単位で、上限1,798単位を下回ります。5回なら単純計算は2,180単位ですが、上限の1,798単位を使う案です。要支援2は8回なら447単位×8回=3,576単位、9回なら4,023単位となるため上限3,621単位です。
請求担当者は「何回目から上限か」を覚えるだけでなく、利用者区分、計画上の利用程度、日割り対象、加算の扱いを確認できるチェック表を作ると安全です。キャンセルや入院、振替があった月は、予定ではなく実績を基に照合します。最終的な請求ルールは、2027年版のサービスコードと市の通知を優先してください。
事業所が準備する7項目
1.対象利用者とサービスを抽出する
従前相当訪問型・通所型の利用者を抽出し、事業対象者、要支援1、要支援2、利用頻度、加算、請求パターンを一覧にします。総合事業の別サービス、介護給付の訪問介護・通所介護を混ぜないことが第一歩です。2027年4月時点の認定更新や区分変更予定も付記します。
2.ケアプランの記載を確認する
藤沢市資料は、2027年3月31日以前に作成したケアプランについて、次回のケアプラン変更時に記載を変更する考え方を示しています。訪問型で身体介護か生活援助中心か判断できない記載は、判断できる内容へ改め、軽微な変更も可能とする素案です。全件を機械的に一斉作り直すのではなく、市の最終運用と個別の更新時期を確認します。
3.予定・実績・提供票を照合する手順を決める
月額包括では予定回数との差が請求額へ直結しにくかった場面でも、回数払いでは欠席、振替、臨時利用の記録が単位数へ影響します。サービス事業所は締め日前に実績を確定し、包括・ケアマネと差異を確認する期限、修正方法、担当者を決めます。電話連絡だけにせず、記録が残る方法を整えます。
4.重要事項説明書・料金表・ウェブを棚卸しする
説明資料は、サービス事業所に重要事項説明書等の見直しを求めています。料金表、契約書別紙、説明用チラシ、ウェブサイト、営業資料、請求書の表記を一覧にし、どこを変更するかを先に洗い出します。ただし、単位数は2027年度介護報酬改定で変わる可能性があるため、確定前は改訂箇所と承認工程の準備にとどめます。
5.請求システムとサービスコード更新を確認する
藤沢市はサービスコード表・単位数表マスタを利用年月別に公開しています。システム事業者へ、回数単位、上限判定、加算、日割り、返戻時の修正に対応する時期を確認します。テスト環境があれば、4回と5回、8回と9回、訪問型の複数区分が混在するケースを試します。本番マスタ公開前に仮コードを固定登録しないことも重要です。
6.利用者説明と同意の流れを作る
「休めば安くなる」だけでは、必要なサービスまで控える誤解が生じます。本人の目標と必要回数は変わらず、実際の利用分を基に負担を計算する案であること、一定回数以上は上限があること、加算や食費等は別に確認することを説明します。確定後は変更点、適用日、具体例、問い合わせ先を書面で示し、同意取得方法を法人内で統一します。
7.収支と稼働を複数ケースで試算する
直近3〜6か月の予定回数と実利用回数を使い、素案単位で影響を試算します。通所型は要支援1等の4回/5回、要支援2の8回/9回を分け、訪問型は内容区分を分けます。収入減だけでなく、欠席傾向、振替可能枠、送迎・人員配置、説明事務の時間も見ます。試算値は確定予算ではなく、改定後に再計算する前提で管理します。
役割別チェックリスト
| 担当 | 今できること | 決定後に行うこと |
|---|---|---|
| 包括・ケアマネ | 対象者、必要回数、訪問内容、記載の曖昧さを確認 | 市運用に沿いプラン・提供票を調整 |
| サービス管理者 | 書類・ウェブ・説明資料を棚卸し | 承認後に改訂し利用者へ説明 |
| 請求担当 | 計算ケースとシステム対応予定を確認 | 正式マスタでテスト・請求 |
| 経営・人事 | 実績データで収支・稼働を試算 | 人員配置と予算を更新 |
| 現場職員 | 欠席・振替・提供内容の記録手順を確認 | 統一手順で実績を記録 |
「素案」と「確定事項」を混ぜない情報管理
社内資料には、情報源、確認日、確定度、次回確認日を記載します。たとえば「開始日2027年4月1日=素案」「訪問標準287単位=2026年9月説明資料の案」「正式サービスコード=未公表」のように分けます。会議資料をコピーして使う場合も、ページ上部へ「確定前」と表示すると誤配布を防げます。
質問受付は2026年9月11日で終了していますが、説明会ページとアーカイブは確認できます。今後の回答、制度決定、コード表更新を藤沢市ページで追います。厚生労働省の2027年度介護報酬改定資料も並行して確認し、市の正式案が出た時点で差分表を更新します。
職員研修に入れたい3つの演習
- 計算演習:通所4回・5回、8回・9回、訪問型の混在例を計算し、上限判定を確認する。
- 記録演習:予定、欠席、振替、実績が違う事例で、提供票と連絡記録をそろえる。
- 説明演習:利用者役へ、必要回数と負担計算を混同させず、素案段階であることも伝える。
制度説明だけでなく、自事業所の帳票と実際の利用例を使うと、運用上の抜けを見つけやすくなります。研修後は「誰が、いつまでに、どの書類を直すか」をアクションリストへ落とし、正式通知後に再研修できる時間を確保します。
2027年4月までの準備スケジュール例
| 時期 | 行うこと | 完了条件 |
|---|---|---|
| 2026年9〜10月 | 対象利用者、帳票、ウェブ、システムを棚卸し | 変更候補一覧と担当者が決まる |
| 2026年11〜12月 | 直近実績で収支試算、説明文案とテストケース作成 | 4/5回、8/9回、訪問混在例を計算できる |
| 2027年1〜2月 | 国の報酬改定と藤沢市の決定・コードを確認 | 素案との差分と適用日を承認する |
| 2027年3月 | 職員研修、利用者説明、システムテスト | 問い合わせ・修正・同意取得の流れが動く |
| 2027年4〜5月 | 初回実績と請求を二重確認 | 返戻・差異を記録し手順へ反映する |
早い段階でできるのは、確定単位を入力することではなく、変更の影響範囲を把握することです。料金表だけ直しても、契約書別紙、ウェブ、営業資料、請求書、職員用マニュアルに旧表記が残れば説明が食い違います。文書管理表に、文書名、保管場所、責任者、承認者、更新予定日を記載し、正式通知後に同じ一覧を使って完了確認します。
2027年1〜2月は、国の介護報酬改定と市の運用が交差する時期として余裕を持たせます。市の説明資料も、重要事項説明書の改訂は介護報酬改定の動向を見ながら行うよう促しています。公表が遅れた場合に備え、印刷物は少部数にする、差し込み式料金表を使う、説明会日を複数候補で確保するなど、やり直しを減らす準備が有効です。
初回請求で起こりやすい差異を先回りする
初回請求では、予定回数をそのまま実績へ転記する、上限到達前から月額を使う、利用者区分を取り違える、訪問内容の区分がケアプランと一致しない、加算を回数単位で扱う、といった差異が想定されます。正式ルールが出たら、請求担当一人だけでなく、管理者とケアマネ側も同じ具体例で確認します。
2027年4月実績は、通常の締め日より前に仮集計し、疑問点を一覧化すると修正時間を確保できます。返戻や過誤が起きた場合は個人の注意不足だけで終わらせず、コード選択、実績連携、上限判定、承認のどの工程で発生したかを記録します。翌月のチェック表へ反映することで、制度移行を職員教育と業務改善の機会にできます。
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FAQ|藤沢市総合事業の回数払い素案
- Q1.2027年4月1日の回数払いは決定済みですか?
- A
2026年9月1日の資料は「素案」「案」です。開始時期や単位を確定事項として利用者へ案内せず、藤沢市の決定通知と正式なサービスコード表・単位数表マスタを確認してください。
- Q2.通所型は毎回、1回単位で請求しますか?
- A
素案では、事業対象者・要支援1は1〜4回を436単位、5回は上限1,798単位、要支援2は1〜8回を447単位、9回以上は上限3,621単位としています。加算は現行どおり月単位の案ですが、確定版で再確認が必要です。
- Q3.既存ケアプランは2027年4月までに全件変更しますか?
- A
説明資料は、2027年3月31日以前に作成したものを次回のケアプラン変更時に改める考え方を示しています。訪問内容の区分が判断できない記載は明確化します。最終運用を確認して対応してください。
- Q4.キャンセル料は設定できますか?
- A
素案資料は回数制の場合に設定可能とし、上限月額と日割り請求の場合は不可としています。契約・重要事項説明書への反映は、藤沢市の最終運用と既存契約を確認し、必要に応じて法務担当へ相談してください。
- Q5.今すぐ重要事項説明書を改訂すべきですか?
- A
現段階では改訂対象箇所、承認者、説明方法の棚卸しが適切です。2027年度介護報酬改定で単位が変わる可能性があるため、正式通知前に単位を確定記載して配布するのは避けます。
まとめ|確定を待つ間に、変更箇所を見える化する
藤沢市は、従前相当訪問型・通所型サービスを2027年4月1日から回数払いへ移す素案を示しました。訪問型は内容別の1回単位と利用頻度別上限、通所型は要支援区分等に応じた1回単位と月額上限を組み合わせる案です。利用者負担が実利用に近づく一方、事業所には実績管理、請求、説明、書類改定への対応が生じます。
今は、対象者抽出、ケアプラン記載、予定・実績照合、改訂書類、請求システム、利用者説明、収支試算の7項目を準備しましょう。単位と運用はまだ確定していません。藤沢市の正式マスタと2027年度介護報酬改定を確認し、確定後に一度で正しく反映できる状態を作ることが優先です。
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参照元
- 藤沢市「介護予防・日常生活支援総合事業のサービス・活動事業における回数払いの導入について(素案)」(2026年9月1日、2026年9月14日確認)
- 藤沢市「総合事業に関する事業者向け説明会」(2026年9月2日更新、2026年9月14日確認)
- 藤沢市「介護予防・日常生活支援総合事業サービスコード表・単位数表マスタ」(2026年9月2日更新、2026年9月14日確認)
- 厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1210」(2024年1月22日、2026年9月14日確認)
湘南国際アカデミーでは初任者研修・実務者研修・介護福祉士受験対策の講師を務めるほか、受験対策テキストの執筆も担当。
介護技能実習評価試験評価者として外国人介護士の受け入れ支援、事業所向けスキルアップ研修のプロデュースなど、人材確保・育成・定着に向けた幅広い活動を展開している。

