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育成就労制度とは?技能実習との違いをわかりやすく解説

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育成就労制度は、外国人材の受入れを「就労を通じた人材育成」と「人材確保」の観点から再設計した新制度です。技能実習制度の課題(目的と実態の乖離、転籍制限、権利保護など)を踏まえ、制度目的・在留資格・運用ルールが見直されました。

本記事では、育成就労制度の目的・概要、対象となる在留資格や分野、受入れ期間と特定技能への移行、技能実習との違い、受入れ企業や監理支援機関に必要な要件・手続き、そして最新情報の追い方までを体系的に整理します。

育成就労制度の施行日

育成就労制度は、2027年(令和9年)4月1日に施行される予定です。施行日を定める政令(令和7年政令第340号)により正式に確定しています。制度の詳細は運用要領・分野別運用要領等によって今後も更新されるため、最新情報は出入国在留管理庁の公式ページであわせてご確認ください。

育成就労制度の目的と位置づけ

育成就労制度は「国際貢献」を目的とした技能実習とは異なり、日本の人手不足分野における人材の育成・確保を制度の中心に置いています。ここでは制度創設の背景と、特定技能制度との関係を含めた位置づけを押さえます。

育成就労制度は、外国人を「労働者」として受け入れつつ、一定期間の就労を通じて技能を身につけてもらい、現場で長く活躍できる人材へつなげることを制度の中心に据えています。技能実習で指摘されてきた「建前は技能移転だが実態は人手不足対応」というギャップを、制度目的の段階で整理し直した点が最大の特徴です。

制度としては、原則3年以内の育成期間で特定技能1号水準を目指し、要件を満たせば特定技能へ移行する流れが想定されています。つまり育成就労は、単体で完結する制度というより、特定技能に接続する入り口として設計された制度だと理解すると全体像をつかみやすくなります。

企業側にとって重要なのは、「短期の穴埋め」ではなく「移行後も見据えた育成投資」として制度を使う発想です。育成計画と評価、生活・労務面の支援、本人のキャリア説明までが一体で求められるため、採用・教育・定着の設計を最初からやり直す必要が出てきます。

特定技能・在留資格「介護」・EPAを含めた外国人材受入れ制度の全体像は、以下のページで比較しています

☑介護施設で外国人を採用・受け入れる方法|4つの制度と実務のポイント

育成就労制度の概要

育成就労制度は、新設の在留資格の下で、一定分野において原則3年以内の就労を通じて技能を修得し、特定技能1号水準への到達を目指す枠組みです。対象者・対象分野・期間とキャリアの骨格を整理します。

育成就労制度では、新たな在留資格のもとで、職場の実務を通じて段階的に技能と日本語力を伸ばし、特定技能1号レベルに到達することが制度上の到達点として置かれています。受入れは制度で定める産業分野に限られ、分野ごとのルールに沿って「どの業務に就かせ、どう評価し、どう支援するか」を計画化するのが前提です。

受入れの類型は、企業が直接受け入れる形と、監理支援機関を介する形が想定されます。いずれの形でも、本人任せの現場任せにすると制度趣旨から外れやすいため、入国前後の教育、評価のタイミング、配置や業務設計を事前に固めておくことが実務の成否を分けます。

運用の細部は、制度全体の運用要領に加えて、分野別の運用要領や上乗せ基準で具体化されます。同じ制度名でも分野によって求められる試験や手続、運用上の注意が変わり得るため、必ず自社の分野の資料を起点に読み込む必要があります。

対象となる外国人・在留資格の考え方

育成就労制度は、在留資格「育成就労」を新設することを前提に設計されています。技能実習のように「国際貢献のための研修に近い枠」として扱うのではなく、就労しながら育成する枠として整理されているため、労務管理の考え方は通常の雇用と同様に、法令順守と記録・説明責任がより重要になります。

対象となる人材像は、来日後すぐに高度技能を発揮する即戦力というより、一定の基礎をもって入国し、現場で技能を積み上げていく人です。そのため入国時点の日本語力についても、ゼロスタートではなく、就労や安全衛生、指示理解に必要な最低ラインを設け、段階的に引き上げる考え方が示されています。

技能実習で見られた前職要件や、帰国後の復職・技能活用を制度要件として求める発想は、制度趣旨からは後退しています。育成就労は日本国内での育成と就労に焦点があるため、企業は「入国前の経歴条件」よりも「入国後に伸ばす設計」を重視し、応募時の見極めと入社後教育をセットで設計することが現実的です。

受入れ分野・従事できる業務の範囲

育成就労の対象となる分野は、基本的に特定技能の特定産業分野と整合させつつ、「就労を通じて技能を修得させることが相当な分野」に絞り込む考え方です。つまり、単に人手不足だからという理由だけではなく、現場のOJTで段階的な育成が成立するかどうかが制度上の判断軸になります。

実務で特に注意が必要なのは、従事できる業務が「業務区分」などで管理され、何でも任せられるわけではない点です。周辺業務として許容される範囲を超えてしまうと、制度違反として是正や不利益につながり得るため、現場の作業割り当てを職務記述書レベルまで落として整備することが安全です。

分野別の運用方針・分野別運用要領・上乗せ基準告示によって、同じ分野でも追加要件や運用の具体が定まります。制度理解は総論だけで止めず、自社分野の資料で「試験」「教育」「配置」「支援」「上乗せ基準」を突き合わせ、採用計画と教育計画に反映させることが重要です。

受入れ期間とキャリアパス(特定技能への移行)

育成就労の受入れ期間は原則3年以内とされ、期間の中で技能と日本語の評価を受け、特定技能1号水準への到達を目指します。ここで重要なのは、単に在留期限まで働いてもらうのではなく、評価の節目から逆算して教育計画を組み、到達が遅れている場合に早期に手当てする運用です。

特定技能1号への移行は、原則として試験合格等の客観的な要件で判断されます。技能実習のように「一定の実習を終えたから移行できる」という運用ではなく、到達度が問われるため、企業側は受験機会の確保、学習時間の捻出、実技の訓練環境など、合格可能性を上げる仕組みづくりが必要です。

移行要件に不合格の場合でも、再受験のための在留継続が認められる場面が想定されています。ただし延長に頼る運用は、本人の不安と離職リスクを高め、企業側の計画も崩れます。最初の1年で基礎を固め、2年目に業務の幅を広げ、3年目に試験と移行手続きを仕上げるといった、最短で確実に進めるロードマップ設計が現場では有効です。

技能実習制度との違い

技能実習制度と育成就労制度の比較
項目技能実習制度育成就労制度
制度目的技能移転による国際貢献人材育成と人材確保
在留資格技能実習育成就労(新設)
対象者の呼称技能実習生育成就労外国人
監理側の名称監理団体監理支援機関
計画の名称技能実習計画育成就労計画
段階区分1号・2号・3号区分なし
受入れ期間の考え方1号〜3号で最長5年原則3年以内で特定技能1号水準を目指す
転籍原則不可(要件が厳格)一定要件のもとで本人意向による転籍が可能
日本語要件明確な基準が乏しい入国時A1相当以上、段階的に引き上げ
外部チェック体制指定外部役員(任意)外部監査人(設置義務化)

※本表は2026年9月時点の公開情報に基づきます。分野別運用要領や上乗せ基準告示により、分野ごとの細目は異なる場合があります。

技能実習から育成就労への移行では、目的・在留資格・転籍の考え方・日本語要件・待遇/保護の枠組みなどが大きく変わります。企業・監理側が押さえるべき変更点を比較で整理します。

技能実習は制度目的に「技能移転による国際貢献」を掲げていましたが、育成就労は最初から「人材育成と人材確保」を目的に置きます。この変更により、企業側の説明責任も変わり、「なぜこの人を育成し、どの水準まで引き上げ、どのキャリアにつなぐか」を計画として示すことが求められます。

また、転籍制限の緩和や日本語要件の段階設定など、本人の選択と成長を前提にしたルールに寄っていきます。これは権利保護の強化という意味合いだけでなく、ミスマッチを制度的に修正し、育成の質と定着を上げるための仕組みと捉えると理解しやすいです。

企業・監理側にとっては、従来の技能実習の運用をそのまま当てはめると、要件不充足や手続の遅れが起きやすくなります。採用前の要件確認、入国後の日本語・技能の評価、転籍が起きた場合の対応まで含め、制度変更を前提に社内規程と運用フローを更新する必要があります。

制度変更のポイント(転籍・日本語・待遇など)

育成就労では、本人意向による転籍が一定の要件のもとで可能になる方向性が示されています。これは無制限の転職自由化ではなく、育成の継続性や業務区分の整合を保ちながら、やむを得ない事情だけでは救えなかったミスマッチを是正する仕組みです。企業側は「辞めさせない」発想だけでなく、「辞める前に何ができるか」を制度的に問われるため、面談記録や苦情対応、配置転換の検討など、紛争予防の運用が重要になります。

日本語能力要件は、就労開始前、就労開始後の節目、移行時といった段階で求められる考え方が特徴です。現場では、語学研修を福利厚生として用意するだけでは足りず、安全衛生、指示の理解、報連相に直結する言語運用を、評価とセットで回す必要があります。日本語教育機関の講習や教材の活用状況も含め、客観的に説明できる体制が有利になります。

待遇面では、労働者性の明確化と適正化がより前提になります。送出段階での手数料負担の適正化に向けて二国間の取決めが整備される方向もあり、企業は採用コストを「見えない費用込み」で把握し、適法で透明性の高い採用ルートを選ぶ必要があります。また転籍支援に職業紹介が関与する範囲も整理され、機構やハローワーク等の公的支援が重視される点も押さえるべきポイントです。

技能実習制度の経過措置

育成就労は技能実習を発展的に解消して創設されますが、制度はある日突然すべてが切り替わるわけではなく、施行までと施行後の移行期に経過措置が設けられます。移行期は制度が並走しやすく、誤解が起きやすいので、採用計画と申請時期を早めに整理することが重要です。

実務上は「いつまで技能実習で受け入れられるのか」「いま進めている技能実習計画の認定申請はどの期限を意識すべきか」が争点になりがちです。例えば、技能実習計画の認定申請には期限目安が示されることがあり、期限を過ぎると採用の前提が崩れるため、社内の稟議・契約・募集のスケジュールを逆算する必要があります。

並走期間は、企業・監理側にとって制度移行の準備期間でもあります。技能実習の運用を前提にした契約書や手数料設計、教育の組み立てを一度点検し、育成就労で求められる計画・評価・支援に合わせて作り替えることで、施行後の混乱を小さくできます。

受入れ企業の要件と手続き

育成就労の受入れには、企業側での計画作成・認定取得、監理支援機関との連携、申請タイミングの検討などが必要です。ここでは受入れの実務フローを中心に要件と手続きをまとめます。

育成就労の受入れは、採用して働いてもらうだけでは完結せず、育成内容を文書化した計画と、その認定を前提に進みます。企業は「現場が回るか」だけでなく、「制度上説明できる育成か」「評価と支援を実装できるか」という観点で受入れ体制を整える必要があります。

実務フローは、分野要件の確認、監理支援機関の選定(監理型の場合)、育成就労計画の作成と認定、在留手続、入国前後の教育、就労開始後の評価・記録、特定技能移行の準備へとつながります。どこか一つが遅れると全体が止まるため、採用開始前にガントチャートレベルで手続と教育を並行設計するのが現実的です。

特に中小企業では、現場責任者に制度対応が集中しがちです。制度対応を属人化させないため、労務・現場・教育担当の役割分担、記録様式、緊急時対応(退職・転籍・労災等)の手順まで決め、監理支援機関や専門家と共有しておくことがリスク管理になります。

育成就労計画の認定とは

育成就労では、育成就労外国人ごとに育成就労計画を作成し、所定機関の認定を受けることが基本となります。計画は単なる提出書類ではなく、受入れの適法性と育成の妥当性を説明する設計図の役割を持つため、後から実態がずれると是正や不利益につながり得ます。

計画に盛り込むべき論点は、従事業務の範囲、育成内容、評価の方法と時期、日本語学習の支援、生活・相談体制、労働条件、そして移行を見据えた到達目標です。特に評価については、試験対策だけでなく、現場の技能をどう段階づけて教えるかが問われるため、作業手順書や教育チェックリストと連動させると実装しやすくなります。

認定後も、変更が生じる場面(配置転換、教育計画の見直し等)があり得ます。変更手続の要否を判断できるよう、日々の記録と関係者間の共有が重要です。運用上は、計画と実態の差分を小さく保つことが、監査対応・紛争予防・本人の定着のすべてに効きます。

監理支援機関の役割と許可

監理型では、監理支援機関が受入れのあっせん、実施状況の監理・指導、相談対応などを担い、制度が適正に回るための要となります。企業単独では把握しづらい制度改正や分野別ルールの更新を踏まえ、現場運用に落とし込む支援が期待されます。

監理支援機関は許可制であり、体制や財政基盤、外部監査など、一定の基準を満たすことが求められます。ここでのポイントは、形式的に書類が整っているかだけではなく、苦情・相談に対応できる実働体制や、利益相反を避けるガバナンスが問われることです。

技能実習の監理団体がそのまま自動的に移行できるわけではなく、新たに監理支援機関としての許可が必要になります。企業側は、従来の付き合いだけで選ぶのではなく、許可の取得状況、分野への理解、監査・相談の実績、費用体系の透明性まで確認し、長期的なパートナーとして選定することが重要です。

育成就労制度の外部監査人とは

育成就労制度では、監理支援機関の許可要件の一つとして、外部監査人による監査の実施が完全に義務づけられています。技能実習制度で選択肢として認められていた「指定外部役員」という仕組みは廃止され、より独立性の高いチェック機能へと置き換えられた点が大きな変更点です。

外部監査人になるためには、一定の要件を満たす必要があります。具体的には、所定の養成講習を受講していること、弁護士・社会保険労務士・行政書士など育成就労に関する知見を有する専門家であること(それぞれの法人形態でも可)、監理支援機関が支援する育成就労実施者と密接な関係を持たないこと、外部性が担保されていること、欠格事由に該当しないことなどが求められます。

実務面では、外部監査人は監理支援機関の各事業所をおおむね3か月に1回以上訪問し、業務が適正に行われているかを確認したうえで、その結果を書面化して提出することが求められる仕組みです。あわせて、監理支援機関が育成就労実施者に対して行う監査に、年1回以上同行することも想定されています。外部監査人の氏名は公表される仕組みになっており、名前だけを貸す形式的な関与では務まらない、実質を伴った役割であることがうかがえます。

受入れ企業の立場では、監理支援機関を選ぶ際に「外部監査人がいるかどうか」だけでなく、実際に訪問・監査・書面化が継続的に行われているかまで確認しておくと、後々のトラブルを避けやすくなります。監理支援機関の許可状況とあわせて、外部監査人の実働体制も選定基準の一つに加えることをおすすめします。

施行日前申請(監理支援機関許可・育成就労計画認定)の考え方

育成就労は施行に向けて準備期間が必要になるため、施行日前に一部の申請を受け付ける枠が設けられる考え方があります。狙いは、制度開始と同時に現場が止まらないよう、許可や認定の手続を前倒しで進められるようにすることです。

対象となり得るのは、監理支援機関の許可申請や育成就労計画の認定申請などで、必要書類、審査、手数料、想定処理期間を踏まえてスケジュール設計を行う必要があります。特に分野別の上乗せ基準がある場合、基準確定を待っていると準備が間に合わない一方、早すぎると差戻しリスクもあるため、「確定している一次情報に合わせて作り、更新に備えて差分対応できる形で整える」発想が有効です。

実務では、問い合わせ先や公式案内を起点に、申請様式や記載例、手数料の払込方法まで含めて確認することが不可欠です。民間の解説だけで進めると、改訂に追随できず手戻りが出やすいため、必ず公式の更新履歴も併せて確認しながら進めましょう。

介護分野における育成就労制度

介護は、深刻な人手不足を背景に、育成就労制度の対象分野としても特に注目されている分野の一つです。すでに技能実習・特定技能・在留資格「介護」・EPAといった複数の受入れルートが存在するところに、育成就労制度が新たに加わる形になります。

育成就労制度の日本語要件は分野共通でA1相当以上とされていますが、介護は利用者の安全や信頼関係の構築に直結する対人業務であることから、他分野より高い水準が求められる方向で調整が進められています。具体的には、入国時からより上位の日本語能力(N4相当程度)を求め、就労期間を通じて段階的に引き上げていく考え方が示されています。

多くの分野には、より長期の就労と家族帯同を可能にする特定技能2号が用意されていますが、介護分野には特定技能2号が存在しません。これは、介護分野には長期就労と家族帯同を実現するための独自の在留資格「介護」が別途用意されているためです。育成就労から特定技能1号を経て、介護福祉士の資格を取得したうえで在留資格「介護」へとつなげていくキャリアパスが、介護分野特有の出口として想定されています。

介護分野では、事業所ごとに常勤介護職員数に応じた受入れ人数の上限が設けられており、育成就労外国人の総数が常勤介護職員の総数を超えないことが条件とされています。転籍についても、処遇改善加算の取得状況などを踏まえた分野独自のルールが検討されており、他分野とは異なる制限期間が設定される方向が示されています。

制度の詳細は、分野別運用方針や上乗せ基準等によって今後さらに具体化されます。介護事業者は、教育担当者の配置、日本語学習支援、評価体制といった受入れ体制を、技能実習からの延長線として捉えるのではなく、育成就労制度の趣旨に合わせて改めて設計し直す視点を持つことが重要です。

江島一孝
介護福祉士/介護支援専門員

【監修者コメント】
技能実習から育成就労へと制度が変わっても、現場で外国人材と一緒に働くうえで大切なのは、日々のコミュニケーションと丁寧な育成計画だと感じています。特に介護は人の生活に直接関わる仕事です。日本語力や技能の到達度を数字だけで見るのではなく、本人が安心して力を発揮できる環境づくりを、あわせて考えていただきたいと思います。

【現場の声】育成就労勉強会に参加して(江島一孝・所感)

ここからは制度の解説ではなく、私が育成就労制度に関するある勉強会に参加した際に感じたことを、監理団体関係者の声も交えながら所感として述べます。あくまで一つの見方として読んでいただければと思います。

会場で特に強く語られていたのは、費用負担への懸念でした。育成就労外国人を1名受け入れる際の概算費用が、技能実習時代と比べて大きく上昇するという話も出ており、その一因として日本語教育の負担増が挙げられていました。(※具体的な金額は勉強会で共有された情報であり、当社として一次資料での確認は取れていません。正式な費用感は今後の運用状況を踏まえて改めてご案内します。)

また、入国後講習を担ってきた研修センターが、そのまま認定日本語教育機関になれるわけではない、という指摘も印象的でした。日本語教育の体制をどう整えるかは、育成就労制度で最も変化が大きい部分の一つになりそうです。

会場では「今の制度のままでは来年の事業計画が立てられない」「技能実習生の駆け込み需要への対応で手一杯」といった声もあり、監理団体にとって施行までの準備期間が厳しいものになっている実感が伝わってきました。転籍が可能になることも踏まえ、「この制度を選ぶ理由は何か」という根本的な問いを持つ関係者も少なくありませんでした。

江島一孝(介護福祉士/介護支援専門員)

こうした状況を受けて、外国人材の受入れを特定技能に一本化する動きが広がるのではないか、という見方も勉強会では出ていました。ただし、これはあくまで現時点の一つの見立てであり、分野別運用要領や上乗せ基準の確定を待って状況は変わり得ます。むしろ日本語教育の負担が増えるということは、その部分を専門的に支えられる教育機関の役割が、これまで以上に重要になるということでもあります。介護分野に関わる立場としては、どの制度を選ぶにしても、目の前の外国人材が安心して力を発揮できる環境づくりを、教育の側面から支えていきたいと考えています。

最新情報・お知らせの確認方法(UPDATE)

育成就労制度は運用要領、分野別運用要領、上乗せ基準告示、二国間の協力覚書(MOC)などが継続的に更新されます。誤情報を避けるため、一次情報の追い方を手順化します。

育成就労制度は、制度概要だけ読んでも実務に必要な情報が揃いません。運用要領や分野別運用要領、上乗せ基準告示、二国間の協力覚書など、複数の文書群が更新されながら運用が固まっていくため、更新を前提に一次情報を継続的に追う必要があります。

確認手順は、まず入管庁の育成就労制度ページを起点に、更新履歴で何が変わったかを把握し、次に自社分野の分野別運用要領と上乗せ基準告示を読み、最後に申請様式・手数料・記載例へ落とし込む流れが効率的です。更新履歴には、分野別要領の追加や告示の改正、MOCの更新などが並ぶため、「自社に関係する更新だけを拾う仕組み」を作ると運用負荷を下げられます。

実務での落とし穴は、古い解説記事やSNSの断片情報を前提に社内決裁を進めてしまうことです。制度は改訂があり得るため、社内資料には参照元URLと確認日を必ず残し、重要な運用変更が出たら採用条件・教育計画・費用設計にどの影響があるかを即時にレビューする体制を作ることが、ミスとコスト増を防ぎます。

特定技能の受け入れご相談、技能実習・育成就労の日本語教育支援に関するご相談は、以下のページをご覧ください

☑登録支援機関なら湘南国際アカデミー|外国人材の受入れをワンストップでサポート

育成就労制度のよくある質問

制度の開始時期、対象分野、転籍、家族帯同、日本語要件、特定技能への移行、監理支援機関の位置づけなど、問い合わせが多い論点をQ&A形式で整理し、判断に必要な一次情報の参照先も示します。

Q1.
育成就労制度はいつ始まりますか。
A

改正法の施行日に合わせて開始する想定で、施行日は2027年4月1日とされています。実務の準備は施行日前申請や分野別資料の公表時期に左右されるため、開始日だけでなく、運用要領や様式の更新タイミングも併せて追うことが重要です。

Q2.
対象分野はどのように決まりますか。
A

特定技能の特定産業分野と原則整合しつつ、就労を通じた育成になじむかどうかで整理されます。最終的な業務範囲や追加要件は分野別運用要領や上乗せ基準告示で具体化されるため、自社の分野の文書を確認して判断します。

Q3.
転籍や家族帯同、日本語要件、特定技能への移行はどう考えればよいですか。
A

転籍は一定要件のもとで本人意向の転籍が可能になる方向性が示され、家族帯同は原則不可と整理されます。日本語要件は段階的に設定され、移行は原則として試験合格等の客観要件で判断されます。いずれも分野で上乗せや細目が変わり得るため、判断に迷う場合は入管庁の制度ページ、運用要領、分野別運用要領、Q&Aの最新版を参照し、参照日を明記して社内運用に反映させましょう。

Q4.
育成就労制度の外部監査人とはどのような存在ですか。
A

監理支援機関の許可要件として設置が義務化された、外部からのチェック機能です。弁護士・社会保険労務士・行政書士等の専門家が就任し、事業所への訪問監査や書面提出などを担います。詳細は本文「育成就労制度の外部監査人とは」をご覧ください。

Q5.
介護分野は他の分野と何が違いますか。
A

対人業務であることから日本語要件が他分野より高い水準になる方向で調整されているほか、特定技能2号が存在せず、代わりに在留資格「介護」への接続が長期就労のキャリアパスとなる点が特徴です。詳細は本文「介護分野における育成就労制度」をご覧ください。

まとめ:育成就労制度の要点と今後の準備

最後に、育成就労制度の全体像(目的・対象・期間・移行・手続き)を要点整理し、受入れ企業・監理支援機関が施行に向けて準備すべき事項をチェックリスト的にまとめます。

育成就労制度は、就労を通じて人材を育成し、特定技能へつなげることを前提にした制度です。目的が人材確保に明確化され、在留資格が新設されることで、企業には育成の設計と説明、評価と記録、適正な支援体制がより強く求められます。

制度の骨格は、対象分野で原則3年以内の就労を行い、節目の評価(技能・日本語)を経て特定技能1号水準を目指すというものです。業務範囲は業務区分等で管理され、分野別運用要領や上乗せ基準告示が実務を左右するため、総論だけで判断しないことが重要です。

施行に向けた準備としては、分野要件の確認、監理支援機関の選定と許可状況の確認、育成就労計画(教育・評価・支援・労務)の雛形作成、更新情報の定点観測、転籍や不合格時対応まで含めた社内フロー整備がポイントです。一次情報の参照と更新管理を習慣化し、制度対応を属人化させない体制を作ることが、採用の安定とコンプライアンスの両立につながります。

この記事を書いた人
介護老人福祉施設に10年在籍し、研修受け入れ担当として年間100名以上の研修生を指導。
湘南国際アカデミーでは初任者研修・実務者研修・介護福祉士受験対策の講師を務めるほか、受験対策テキストの執筆も担当。
介護技能実習評価試験評価者として外国人介護士の受け入れ支援、事業所向けスキルアップ研修のプロデュースなど、人材確保・育成・定着に向けた幅広い活動を展開している。
江島 一孝
藤沢校・横須賀校・海老名校・相模大野校・横浜戸塚校・横浜馬車道関内校・小田原校・大和校・横浜二俣川校
【所持資格】
介護福祉士・介護福祉士実習指導者・介護支援専門員・福祉用具専門相談員・介護技能実習評価試験評価者
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