特定技能「介護」は、一定の技能・日本語力を持つ外国人材を、介護現場で即戦力として受け入れるための在留資格です。制度の全体像をつかむには、「本人側の取得要件」「受け入れ機関側の要件」「従事できる業務範囲」「申請手続き」「運用上の注意点」をセットで理解する必要があります。
本記事では、特定技能1号における介護分野の扱い、必要な試験・免除ルート、協議会加入や支援計画など受け入れ機関の義務、訪問系サービスに従事させる際の追加条件まで、実務で迷いやすいポイントを見出しごとに整理します。
(参照:厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」)
(参照:厚生労働省「外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について」)
特定技能「介護」とは
まずは制度の位置づけと、介護分野が他分野と異なる点(2号の有無、他制度との違い)を押さえることで、要件・手続きの理解がスムーズになります。
特定技能は、人手不足が深刻な分野で、一定の専門性・技能を持つ外国人材に就労を認める在留資格です。介護分野は「現場で働ける即戦力」を前提に設計されているため、採用前に試験や免除要件でスキルを確認し、採用後は支援計画で生活面も含めてフォローする仕組みになっています。
介護分野の実務で大切なのは、採用活動だけでなく、在留資格の要件を満たす運用を継続できる体制を最初に作ることです。要件は本人と事業所の両方にまたがるため、どちらか一方の準備が遅れると入職時期がずれたり、不許可リスクが高まったりします。
また、特定技能は入職後の定着まで含めて制度が成り立ちます。介護は対人援助であり、言葉・文化・記録業務が壁になりやすい分野です。要件を満たすことに加え、現場が回る教育設計までをセットで考えると、結果として離職を減らし、採用コストも抑えられます。なお、介護分野の特定技能外国人在留者数は2024年12月末時点で44,367人と過去最多を更新しており、今後もさらなる増加が見込まれています。(出典:厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」)
特定技能1号・2号と介護分野の扱い
特定技能1号は、一定の技能と日本語能力を持つ人が対象で、在留期間は通算で上限5年です。介護分野ではこの1号での受け入れが中心で、現場で必要な技能・日本語を試験等で確認したうえで就労します。
特定技能2号は、より熟練した技能を前提に更新継続が想定される在留資格です。ただし介護分野は、すでに専門的・技術的分野の在留資格として「介護」があり、介護福祉士の国家資格を軸に長期就労の道が用意されています。
このため介護分野では、特定技能1号で受け入れ、5年以内に介護福祉士取得を支援し、在留資格「介護」へ移行する、というキャリア設計が現実的な出口になります。採用時点で本人の学習意欲や試験支援の体制をすり合わせておくことが重要です。
技能実習・在留資格「介護」・EPAとの違い
特定技能は「労働力として就労する制度」で、転職は一定の条件のもとで可能です。採用しやすい一方、在留は原則5年が上限なので、長期定着には次の在留資格への移行支援が鍵になります。在留資格「介護」は介護福祉士が前提で、在留更新で長期就労が見込みやすく、家族帯同の面でも選択肢が広がります。技能実習は育成・技能移転が目的で、転職は原則できず、受け入れ要件や監理の枠組みも異なります。EPAは国際的枠組みに基づく制度で、候補者として入国し、一定期間内に国家試験合格を目指します。
| 区分 | 特定技能1号 | 在留資格「介護」 | 技能実習 | EPA |
|---|---|---|---|---|
| 制度目的 | 人手不足対応 | 専門職就労 | 技能移転・国際貢献 | 経済連携強化 |
| 在留期間 | 通算5年 | 更新制限なし | 最長5年 | 最長4年 |
| 転職 | 可(介護分野内) | 可 | 原則不可 | 原則不可 |
| 家族帯同 | 不可 | 可 | 不可 | 不可(資格取得後可) |
| 夜勤(単独) | 可 | 可 | 2年目以降・複数体制 | 制限あり |
| 訪問系サービス | 条件付きで可(2025年4月〜) | 可 | 条件付きで可(2025年4月〜) | 不可(資格取得後は一部可) |
| 配置基準への即時算入 | 可 | 可 | 配属後6か月は不可 | 配属後6か月は不可 |
どの制度が合うかは、事業所が求める在職期間、教育にかけられるリソース、本人のキャリア希望で決まります。
特定技能外国人の受け入れ支援・登録支援機関についての詳細はこちら
特定技能「介護」で従事できる業務
特定技能「介護」は業務範囲が定められており、任せられる仕事・任せられない仕事を線引きして運用することが重要です。
特定技能「介護」で従事できる中心業務は、利用者の心身の状況に応じた身体介護や生活支援です。入浴・食事・排せつ介助などのほか、介護過程に沿った支援、コミュニケーション、見守り、環境整備といった「介護としての一連の業務」が想定されています。加えて、介護業務に付随する支援業務として、レクリエーションの実施、機能訓練の補助なども行えます。ポイントは、単発の作業ではなく、利用者支援の目的に沿って業務が組み立てられているかどうかです。
現場では、業務の切り出し方を誤ると「専ら介護以外の業務」になりやすく、制度趣旨から外れてしまいます。業務分担表やシフト、OJT記録を整え、介護業務として説明できる状態を作ることが、監査対応だけでなく本人の成長にもつながります。
従事できない業務と注意点
特定技能「介護」は介護のための在留資格なので、清掃だけ、調理だけ、送迎だけなど、介護と無関係または周辺業務のみを専任で行わせる運用は避ける必要があります。付随業務は可能ですが、主たる業務が介護であることが前提です。
また、資格や体制が必要な医療行為に該当する業務を安易に任せないことも重要です。業務範囲をマニュアル化し、判断に迷う行為は必ず管理者に確認するルールにします。さらに、事業所の業務範囲外の仕事に出向かせる、別法人の業務を手伝わせるなどはトラブルの元になります。人手不足ほど逸脱が起きやすいので、業務指示系統と記録を整備し、現場任せにしないことが実務上の安全策です。
訪問介護における外国人受け入れの詳細はこちら
訪問介護など訪問系サービスの条件【2025年4月改正】
⚠️ 2025年4月21日施行・制度改正ポイント
令和7年4月21日付けの告示改正により、一定条件を満たす特定技能外国人が訪問系サービスに従事できるようになりました。ただし、事前に適合確認書の発行を受けることが必須です。配置前に必ず手続きを完了させてください。
(参照:厚生労働省「外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について」)
訪問系サービスは、利用者宅で一対一の対応になりやすく、判断やコミュニケーションの難度が上がります。そのため、施設系と比べて追加の条件や手続きが求められます。
本人側では、介護職員初任者研修修了課程等の修了に加え、介護事業所等での実務経験(原則1年以上)が求められます。現場感覚としては、記録・報連相・緊急時対応の基礎が身についているかが安全運用の分岐点になります。事業所側は、協議会への書類提出を通じた適合確認書の取得など、追加手続きが必要です。先に体制と書類を準備せずに訪問配置を組むと、配置転換が発生して現場が混乱します。訪問従事を前提に採用する場合は、採用時点で要件充足までのロードマップを作ることが不可欠です。
| 確認項目 | 本人(外国人)側 | 事業所側 |
|---|---|---|
| 資格要件 | 初任者研修修了 | ― |
| 経験要件 | 介護事業所での実務1年以上(原則) | ― |
| 事前研修 | 訪問介護等の業務基本研修を受講 | 研修の実施 |
| 同行訓練 | ― | 一定期間、責任者等が同行 |
| キャリアアップ計画 | 意向確認・合意 | 計画の作成・説明 |
| ハラスメント対策 | ― | 相談窓口の設置等 |
| 緊急時対応 | ― | ICT活用含む環境整備 |
| 協議会手続き | ― | 適合確認書の事前取得(必須) |
適合確認書の申請は、国際厚生事業団(JICWELS)の窓口から行います。発行まで一定期間かかるため、訪問配置を計画している事業所は採用決定後すぐに手続きを開始してください。

介護福祉士
介護支援専門員
訪問介護解禁後、受け入れ側で見落としやすいのが「適合確認書の事前取得」です。
協議会への書類提出から発行まで時間がかかるため、訪問配置を計画している事業所は採用決定後すぐに手続きを開始することをお勧めします。
介護技能実習評価試験評価者として受け入れ機関を見てきた経験から、この手続きの遅れで配置計画が崩れるケースを何度も確認しています。
外国人本人に必要な条件(取得要件)
特定技能「介護」を取得するための中心は、技能水準と日本語能力の確認(試験合格)ですが、一定のルートでは試験免除もあります。
本人要件は大きく分けて、介護の技能水準と日本語能力です。介護は安全配慮と記録が不可欠で、現場で最低限必要な知識・判断を試験で担保する設計になっています。日本語は、一般的な日常会話だけでなく、声かけ、観察、申し送り、記録の読み書きができることが重要です。そのため介護分野では、一般日本語の要件に加えて、介護に特化した日本語評価が求められます。
介護技能評価試験の合格
原則として、特定技能「介護」では介護技能評価試験の合格が求められます。試験は、介護の基本、こころとからだのしくみ、コミュニケーション技術、生活支援技術など、現場で事故を起こさないための基礎を広く確認する内容です。受験はCBT方式が中心で、学科(40問)と実技相当の判断問題(5問)の計45問・60分です。
令和8年4月1日から適用される合格基準は、技能評価試験が総得点の60%以上、介護日本語評価試験が総得点の73%以上です。試験終了後はその場で結果を確認できます。(参照:厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」)
採用計画上は、受験申込みから合格、必要書類の取得、在留資格申請までに時間がかかります。入職希望時期がある場合は、試験日程の空き、再受験制限(試験後45日間は再受験不可)、書類準備期間を逆算し、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。
日本語試験・介護日本語評価試験の条件
日本語能力は二段構えで、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)または日本語能力試験(JLPT)N4以上のいずれかに加え、介護日本語評価試験の合格が必要です。一般的な日本語力だけでは、介護特有の言い回しや記録文が壁になるため、介護日本語の確認が別立てになっています。
介護日本語評価試験では、介護のことば(5問)、会話・声かけ(5問)、文書(5問)の計15問・30分が問われます。現場では、利用者の安全確認の声かけ、痛みや不調の聞き取り、事故防止の申し送りができるかが重要です。採用後の教育では、現場で頻出する表現を統一し、記録の型を教えるのが効果的です。言語のズレはヒヤリハットの原因になりやすいため、単に日本語学習機会を用意するだけでなく、業務で使う言葉を設計する視点が定着に効きます。
試験免除の対象者
一定の教育・就労を経た人には免除ルートが用意されています。免除の範囲はケースで異なるため、採用側は「どの試験が不要で、どれが必要か」を書類で確認し、スケジュールに落とし込むことが実務の肝です。
| 経歴・ルート | 介護技能評価試験 | 日本語試験(JFT・JLPT) | 介護日本語評価試験 |
|---|---|---|---|
| 技能実習2号 良好修了(介護職種) | 免除 | 免除 | 免除されない |
| 介護福祉士養成施設修了 | 免除 | 免除 | 免除 |
| EPA候補者 4年間の在留期間満了 | 免除 | 免除 | 免除 |
| 試験ルート(原則) | 必要 | 必要 | 必要 |
(参照:厚生労働省「介護特定技能評価試験免除対象者の具体的な要件等について」[PDF])

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介護支援専門員
受け入れ機関からよくいただく質問が「技能実習2号修了なら試験は全部免除ですよね?」というものです。
介護日本語評価試験だけは免除されないため、移行のスケジュールを立てるときに必ず確認してください。
この誤解から入職時期がずれてしまうケースを、評価業務の現場で何度も見てきました。
技能実習2号からの移行条件
技能実習2号から特定技能へ移行するには、対象職種で技能実習を「良好に修了」していることが重要です。一般に、所定期間の修了(2年10か月以上)に加え、技能検定3級または技能評価試験に合格しているか、評価調書があることが求められます。このルートのメリットは、採用までの期間を短縮しやすく、試験要件が一部免除されることです。現場経験があるため、受け入れ後の戦力化も早い傾向があります。一方で転職が可能になることで流動性は上がるため、定着策はより重要になります。
介護福祉士養成施設修了・EPA満了からのルート
介護福祉士養成施設を修了している人は、学習歴が明確で、介護の専門教育を受けています。この場合、特定技能で就労する選択肢もありますが、将来的には介護福祉士として在留資格「介護」へ進む道が最も安定しやすいのが実務感です。EPAルートは枠組みが別で、候補者として就労・研修を行い、所定の条件を満たして満了に至った場合に、特定技能の要件上有利になることがあります。事業所側は、本人が特定技能で経験を積みながら国家試験合格を目指すのか、早期に在留資格「介護」へ移行できるのかを見立て、支援内容を変えるのが効果的です。
受け入れ機関(所属機関・事業所)に必要な条件
受け入れ側には、適正な雇用契約、支援体制の整備、対象施設要件の確認、人数上限の遵守、協議会加入など、複数の要件が課されます。
受け入れ機関の要件は、単に雇用するだけではなく、適正雇用と支援を継続できるかどうかが問われます。介護分野では、生活支援の質がそのまま就労継続に影響しやすいため、制度要件は現場の定着策と重なる部分が多いです。実務でつまずきやすいのは、要件が複数の書類・部門にまたがる点です。申請前にチェックリストで一元管理するのが安全です。また、要件は「採用時に満たせば終わり」ではなく、受け入れ後も支援の実施、協議会への情報登録、変更届などが続きます。
関係法令の遵守と雇用契約の条件
特定技能は直接雇用が原則で、派遣の形は基本的に想定されません。雇用契約では、報酬が日本人と同等以上であること、労働時間、休日、業務内容、配置先、社会保険加入などを明確にし、実態も一致させる必要があります。介護はシフト制になりやすいため、夜勤や残業、手当の扱いをあいまいにするとトラブルになりがちです。労働条件通知書や雇用契約書に、賃金の内訳、割増賃金、昇給・賞与の有無、異動の範囲まで落とし込み、本人が理解できる形で説明します。違反があると不許可や受け入れ停止などのリスクが生じ得ます。
支援体制と1号特定技能外国人支援計画
特定技能1号では、支援計画の策定と実施が義務です。内容は、事前ガイダンス、入国時の対応、住居確保、生活オリエンテーション、公的手続きの支援、日本語学習機会の提供、相談・苦情対応、交流促進、非自己都合退職時の転職支援、定期面談など、生活面まで含みます。重要なのは、書類として作るだけでなく、実施記録を残せる設計にすることです。介護現場では忙しさで支援が後回しになりやすいので、担当者、頻度、連絡手段、緊急時フローを具体化し、実施した事実が追える状態を作ります。
支援は自社実施も可能ですが、難しい場合は登録支援機関への委託が選択肢になります。委託しても最終責任は受け入れ機関に残るため、丸投げにならない管理設計が必要です。湘南国際アカデミーは登録支援機関として、日本語教育・介護研修・生活サポート・行政手続きをワンストップで提供しています。
登録支援機関の選び方・湘南国際アカデミーの支援内容はこちら
受け入れ可能な施設・事業所の条件
介護分野で受け入れられるのは、制度上定められた対象施設・サービスに該当する事業所です。まず自社が対象かどうかを確認しないまま募集を始めると、採用後に配置できず計画が崩れます。確認の観点は、事業所の指定区分や提供サービスの内容、職種配置の基準との関係です。たとえば、同じ法人でも事業所ごとにサービス種別が異なれば、受け入れ可否や運用要件が変わることがあります。複数事業所に異動させる可能性がある場合は、異動先も含めて要件を満たすかを先に洗い出すのが安全です。(参照:厚生労働省「介護分野の1号特定技能外国人を受け入れる対象施設について」[PDF])
受け入れ人数の上限(事業所単位)
受け入れ人数には事業所単位の上限があり、一般に日本人等の常勤介護職員(雇用保険被保険者)の総数を上限とする考え方で管理されます。この「日本人等」には在留資格「介護」の外国人や永住者なども含まれます。法人全体で余裕があっても、事業所単位で上限に達していれば受け入れができない点に注意が必要です。採用前に、配属先事業所の常勤介護職員数、退職見込み、増員計画を踏まえて上限枠を試算します。
介護分野における特定技能協議会の加入条件
介護分野では、特定技能協議会への加入が受け入れ要件の一つです。2024年6月15日以降は在留資格申請の前に加入が必要です(以前は受け入れから4か月以内)。申請から入会証明書の発行まで通常2週間程度かかるため、採用が決まった時点で速やかに手続きを開始してください。加入費・年会費は無料です。
加入申請は介護分野における特定技能協議会申請システム(国際厚生事業団)から行います。受け入れ後も、協議会への情報登録(受け入れた日から4か月以内)や、事業所を追加する場合の事前手続きなどが続きます。(参照:厚生労働省「介護分野における特定技能協議会 加入の流れ(概要)」[PDF])
申請・手続きで必要になる情報と書類の全体像
申請は「どの申請類型か(認定・変更・更新)」「国籍要件(MOC)を満たすか」で必要情報や書類が変わるため、全体像から逆算して準備します。
特定技能の手続きは、本人の状況によって申請類型が変わります。海外から呼ぶのか、日本国内の在留者を切り替えるのか、在留期限が近い更新なのかで、準備期間と必要書類が大きく変わるため、最初にルートを確定させることが重要です。審査では、技能・日本語など本人要件の充足だけでなく、雇用契約の適正、支援計画の妥当性、協議会関連の要件など、受け入れ機関側の整備状況も確認されます。
在留資格申請の流れ(認定・変更・更新)
海外在住者を採用する場合は、在留資格認定証明書交付申請が基本です。交付後に査証手続きがあり、入国後の手続きもあるため、採用から就労開始まで時間を見込む必要があります。日本国内にいる留学生や他の在留資格の人を切り替える場合は、在留資格変更申請になります。すでに特定技能で就労している人は更新申請になります。更新では、これまでの就労実態、支援の実施状況、届出の適正なども見られやすいため、日常的に記録を残しておくことが最も確実な更新対策です。
2国間の協力覚書(MOC)と国籍要件の確認
国によっては、二国間の協力覚書(MOC)に基づく手続きや提出物が求められることがあります。確認は、本人の旅券による国籍確認から始め、最新の運用情報を公的資料で確認します。紹介会社や送出し機関の説明だけに頼らず、最終的には受け入れ機関側でチェックする姿勢が安全です。採用開始前に、国籍、申請類型、試験合格または免除根拠、協議会加入状況、支援体制、配属先事業所の対象要件をチェックリスト化すると、採用から申請までの手戻りを大幅に減らせます。
受け入れ時の注意点
制度上可能でも、運用を誤ると早期離職や手続きトラブルにつながるため、転職・在留期限・キャリアの出口設計を事前に押さえることが重要です。
転職の可否と雇用管理のポイント
特定技能は、一定条件のもとで転職が可能です。転職が起こり得ることを前提に、採用時の期待値調整と、入職後のフォロー体制を整えることが現実的なリスク管理になります。離職防止には、最初の1〜3か月の設計が特に重要です。業務をいきなり広げず、声かけの定型、記録の書き方、事故防止のポイントを段階的に教え、できたことを言語化して評価する運用が効果的です。雇用管理では、面談記録、指導記録、相談対応のログを残し、問題が小さいうちに対応できる状態を作ります。
在留期間(5年)と5年後の選択肢
特定技能1号の在留期間は通算で原則5年が上限です。更新のたびに残り期間を意識しないと、気づいたときには「満了が近く、次の選択肢が準備できていない」状態になりがちです。5年後の選択肢は大きく、帰国するか、介護福祉士を取得して在留資格「介護」へ変更し長期就労を目指すかに分かれます。長期定着を狙うなら、特定技能の期間中に国家試験に向けた学習時間をどう確保するかが実務の勝負所です。
事業所としては、実務経験の積ませ方、研修受講支援、模試や学習教材の提供、勤務調整などを計画化すると成果が出やすくなります。育成を属人的にせず、仕組みとして回すことが、複数名受け入れの前提になります。なお、一定条件を満たす場合の在留期間延長措置については、厚生労働省の専用ページで最新情報を確認することをお勧めします。

介護福祉士
介護支援専門員
湘南国際アカデミーが支援する外国人介護福祉士の合格率は70%を超えています。
厚生労働省の調査では、特定技能の在留資格で受験した外国人のN2以上での合格率は5割強ですが、日本語教育と実務者研修を年次計画で組み合わせることが合否を分けています。
N3レベルから初任者研修、N2レベルで実務者研修、そして国家試験対策へ、というカリキュラム設計が定着率と合格率の両方を上げる鍵です。(参照:厚生労働省「介護従事者処遇状況等調査」)
FAQ|特定技能の条件に関するよくある質問
制度は現場の運用に落とす段階で疑問が集中します。ここでは、受け入れ事業所から特に質問の多い論点をQ&Aで整理します。
- Q1.特定技能「介護」で採用できる事業所に制限はありますか?
- A
はい、受け入れが認められているのは介護保険法・老人福祉法関係の施設や事業、障害者総合支援法関係の施設、病院・診療所などです。同じ法人でもサービス種別により対象外になる場合があります。事前に自事業所の指定区分を確認してください。(参照:厚生労働省「対象施設一覧」[PDF])
- Q2.受け入れ人数の上限はどのように計算しますか?
- A
事業所単位で、日本人等の常勤介護職員(雇用保険被保険者)の総数が上限です。この「日本人等」には在留資格「介護」の外国人や永住者なども含まれます。法人全体で余裕があっても、事業所単位で上限に達していれば受け入れができません。採用前に配属先事業所の常勤職員数を確認してください。
- Q3.協議会への加入はいつまでに行う必要がありますか?
- A
2024年6月15日以降は在留資格申請の前に加入が必要です(以前は初めて受け入れた日から4か月以内)。申請から入会証明書の発行まで通常2週間程度かかるため、採用が決まった時点で速やかに手続きを開始してください。加入費・年会費は無料です。
- Q4.登録支援機関に委託しても、受け入れ機関の責任は残りますか?
- A
残ります。支援業務を登録支援機関に委託しても、支援計画の最終責任は雇用主である受け入れ機関にあります。委託後も面談記録や課題の共有を定期的に行い、状況を把握できる体制を維持することが重要です。湘南国際アカデミーでは登録支援機関として、定期報告・記録管理まで含めたサポートを提供しています。
- Q5.5年後に介護福祉士を取得できなかった場合、どうなりますか?
- A
特定技能1号の在留期間(通算5年)が満了すると、介護福祉士取得による在留資格「介護」への変更ができなければ、原則として帰国になります。パート合格制度を活用した在留延長措置が一定条件で認められる場合もありますが、採用時点から学習計画と勤務設計をセットで組み立てることが長期定着の鍵です。(参照:厚生労働省「特定技能1号の在留期間延長措置について」)
まとめ
特定技能「介護」は、本人要件(技能・日本語・免除ルート)と、受け入れ機関要件(雇用契約・支援計画・対象施設・人数上限・協議会)を同時に満たして初めて運用できる制度です。
特定技能「介護」の条件は、本人の試験合格または免除根拠、受け入れ機関の適正雇用と支援体制、対象事業所での適正な業務運用、協議会対応まで、複数要素が連動しています。どれか一つの理解が曖昧だと、申請の手戻りや現場トラブルにつながります。
実務では、採用前にルート判定と必要書類を確定し、申請の順番と期限を管理することが最重要です。特に協議会加入(在留申請前)や訪問系サービスの適合確認書取得は、後から気づくと入職計画が崩れやすいため、早めの確認が欠かせません。また、特定技能は5年上限があるため、受け入れた時点から5年後の出口を設計することが定着戦略になります。介護福祉士取得を見据えた育成と支援を行うことで、制度上の制約をキャリアの強みに変え、安定的な人材確保につなげられます。
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介護の資格 湘南国際アカデミー
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湘南国際アカデミーでは初任者研修・実務者研修・介護福祉士受験対策の講師を務めるほか、受験対策テキストの執筆も担当。
介護技能実習評価試験評価者として外国人介護士の受け入れ支援、事業所向けスキルアップ研修のプロデュースなど、人材確保・育成・定着に向けた幅広い活動を展開している。


