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EPA外国人労働者とは?受け入れの仕組みと介護分野での活用を解説

  • 介護事業所向け研修

EPA(経済連携協定)に基づく外国人材の受け入れは、一般的な就労ビザや人材紹介とは仕組みが異なり、対象職種・対象国・手続き窓口が限定されています。とくに医療・介護分野では「看護師候補者」「介護福祉士候補者」として来日し、働きながら国家資格取得を目指す点が特徴です。

本記事では、EPA制度の目的や他制度(FTA・WTO・TPP、特定技能)との違い、受け入れ可能な職種・国、手続きの流れ、受け入れ先に求められる要件、雇用後の支援・注意点までを一連で整理します。初めて検討する事業者でも、全体像と実務の勘所がつかめる構成です。

(参照:厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」)

EPA制度の概要と目的

EPAはEconomic Partnership Agreement(経済連携協定)のことで、モノやサービスの取引をしやすくするだけでなく、投資のルール整備、知的財産、競争政策、人材交流など幅広い分野をまとめて取り決める協定です。言い換えると、経済活動を行うための土台を国同士で整える包括パッケージです。

EPAは貿易自由化だけでなく、投資や人の移動、制度協力まで含めて国同士の経済関係を強化する枠組みであり、看護・介護分野の受け入れもその一部として位置づけられます。

医療・介護分野の受け入れは、国内の人手不足対策として理解されがちですが、制度としては相手国の要望も踏まえた二国間の合意に基づく「公的な枠組み」です。候補者が日本の国家資格を取得し、質の担保された形で活躍することが制度の中心にあります。

実務で重要なのは、EPAは「誰でも・どの職種でも」使える入口ではない点です。対象国と職種、手続きルートが決まっており、受け入れ機関にも研修・支援の責務が課されます。最初に制度の目的と前提を押さえることが、採用計画のズレや運用トラブルを防ぐ近道です。

FTA・WTO・TPPとの違い

似た言葉が多い一方で、対象範囲(ルールの広さ)や枠組み(二国間・多国間)が異なるため、EPAの特徴を他制度と対比して理解しておくことが重要です。

EPA・FTA・WTO・TPP 主な特徴の比較
制度略称・正式名称主な目的枠組み「人の移動」の扱い
EPA経済連携協定経済関係の包括的強化(貿易・投資・人材交流等)二国間が基本含む場合あり(介護・看護候補者等)
FTA自由貿易協定関税削減・貿易障壁の撤廃特定国間基本的に含まない
WTO世界貿易機関多国間の共通貿易ルール整備多国間含まない
TPP(CPTPP)環太平洋パートナーシップ多国間での大型経済連携多国間限定的

受け入れ制度を検討する立場では、EPAが「人の移動」まで含めた取り決めを持ち得ること、そして個別国との取り決めで運用が変わり得ることを理解しておくと、情報の読み違いが減ります。また、ニュースや解説記事では貿易(関税)面が中心に語られがちです。しかし医療・介護の受け入れは、貿易そのものというより制度協力と人材交流の一部として設計されています。だからこそ受け入れは限定的で、手続きも公的管理が強いという特徴につながります。

EPAで受け入れ可能な職種と対象国

日本のEPAすべてが人材受け入れを規定しているわけではなく、看護・介護分野の受け入れは対象国・職種が限定されています。

EPAを使った外国人労働者受け入れは、一般的な「外国人採用」よりも対象が狭く、制度として明確に範囲が決まっています。最初にここを誤解すると、採用計画や予算、時期の見込みが大きく狂います。ポイントは、EPAの受け入れが規定されている国が限られ、さらに職種も原則として看護・介護の候補者に限定されることです。対象外の国籍・職種であれば、別の在留資格や制度(例:特定技能、技術・人文知識・国際業務など)での検討が必要になります。

対象国(インドネシア・フィリピン・ベトナム)

看護・介護分野でEPA受け入れが規定されている対象国は、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3国です。これは協定や交換公文など、国同士の公式な取り決めに基づく枠組みであり、民間の募集スキームとは性質が異なります。(参照:厚生労働省「EPA(経済連携協定)に基づく外国人介護福祉士候補者の受入れについて」)

実務では、対象国が限定されることで、募集時期や手続き日程が年度運用に影響を受けやすい点も重要です。採用したい時期から逆算し、制度の公募・マッチングのタイミングを早めに確認しておくと、欠員補充の計画が立てやすくなります。

対象職種(看護師候補者・介護福祉士候補者)

EPAで受け入れられるのは、原則として看護師候補者と介護福祉士候補者の2類型です。いわゆる幅広い職種の外国人労働者受け入れ制度ではない点が最大の注意点です。この限定は、医療・介護の安全性とサービス品質を国家資格で担保するという制度設計に直結しています。受け入れ側は「現場で働いてもらいながら、国家試験合格に向けた学習・研修を支える」ことを前提に、業務設計と教育計画を組み立てる必要があります。

EPA看護師候補者・EPA介護福祉士候補者とは

EPAの「候補者」は、日本の国家資格をまだ持っていない段階で来日し、受け入れ施設で働きながら研修・学習を行い、国家試験合格を目指します。採用側は、短期の労働力確保というより、中長期で育成して戦力化する前提で考えると制度と目的が一致します。

現場で起きやすいズレは、候補者を最初からフルスペックの有資格者のように扱ってしまうことです。業務の難易度調整、指導者の配置、学習時間の確保ができないと、本人の負担増だけでなく、定着や安全面にも影響します。

在留・就労の基本として、EPA候補者は受け入れ機関と雇用契約を結び、労働者として就労します。待遇面では、日本人が同じ業務に従事する場合の報酬と同等以上が求められます。労働基準法をはじめとする労働関係法令、社会保険・労働保険も適用対象です。

候補者として就労・研修できる期間には枠組み上の目安があり、看護は最長3年、介護は最長4年とされています。国家資格(看護師・介護福祉士)に合格すると、資格職として日本での就労・滞在を継続しやすくなり、在留期間の更新回数に制限がない点は、長期雇用を考える事業者にとって大きな魅力です。

監修:江島一孝
介護技能実習評価試験評価者
介護福祉士

EPAと特定技能の最大の違いは、採用窓口と育成の前提設計です。EPAはJICWELS経由の公的枠組みで、候補者の日本語力が比較的高い反面、採用から就労まで1年以上かかります。特定技能は採用のスピード感がある一方、国家試験取得に向けた育成設計を事業所が自前で組み立てる必要があります。
介護技能実習評価試験評価者として多くの受け入れ機関を訪問してきましたが、どちらの制度でも最終的な定着は日本語支援と学習計画の質で決まります。N2以上での介護福祉士合格率はEPA候補者が81.0%、特定技能が50.4%というデータが、その差を明確に示しています。
(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」)

EPA外国人労働者を受け入れるメリット

EPA受け入れの価値は、目先の欠員を埋めることだけではありません。制度の前提が国家資格取得であるため、育成を通じて高い専門性を持った人材を中長期で確保できる可能性があります。また、受け入れを成功させるには教育や評価、情報共有の仕組みが必要になるため、結果として職場の標準化が進みます。これは日本人職員の育成や離職防止にも波及しやすい副次効果です。

長期雇用につながる可能性

EPA候補者は国家試験合格後、資格職として在留更新を重ねながら働ける道が開けます。短期の入れ替わりを前提にした採用より、定着を前提にした人材ポートフォリオを組みやすい点がメリットです。ただし長期雇用の実現には、合格を前提にした支援が欠かせません。採用時点で「何年目までにどこまで任せるか」「学習時間をどう守るか」を決め、職場全体で同じ運用にすることが定着率を上げます。

人材育成・組織力向上(教育体制の整備)

EPA受け入れでは、指導担当者の配置、業務手順の明文化、記録の書き方の統一など、教育の土台づくりが求められます。これは候補者だけでなく、新人職員や中途職員にも使える資産になります。特に医療・介護は暗黙知が多い職場になりやすく、候補者を受け入れる過程で標準化が進むと、事故リスクの低減や引き継ぎの質向上にもつながります。

国際貢献・採用チャネルの多様化

EPAは国同士の協力枠組みの一部であり、制度趣旨に沿って受け入れること自体が国際協力・人材育成への貢献になります。加えて、EPAでの受け入れ経験は、将来的に他の在留資格で外国人材を受け入れる際の基盤になります。住居手配、生活支援、相談体制、多文化コミュニケーションなど、必要な運用ノウハウを段階的に蓄積できる点は、採用チャネル多様化の観点で重要です。

EPAと特定技能の違い

同じく外国人材を受け入れる制度でも、目的・在留資格・支援義務・業務範囲が異なるため、自社の人材戦略に合わせた選択が必要です。選定のコツは、短期の稼働力を優先するのか、国家資格取得を軸に中長期で育成していくのかを先に決めることです。そのうえで、対象者要件や受け入れ手続き、教育コストを現実的に見積もると判断がブレにくくなります。

介護分野の4制度 主要項目比較(EPA・特定技能・技能実習・在留資格「介護」)
比較項目EPA(介護福祉士候補者)特定技能1号技能実習在留資格「介護」
制度目的国家資格取得を軸にした国際人材交流人手不足対応・即戦力就労技能移転・国際貢献介護福祉士としての専門職就労
対象国インドネシア・フィリピン・ベトナムの3国多国籍(試験合格等が条件)多国籍制限なし
在留期間最長4年(資格取得後は更新制限なし)通算5年最長5年更新制限なし
転職原則不可可(介護分野内)原則不可
家族帯同不可(資格取得後可)不可不可
採用窓口JICWELSのみ(公的枠組み)民間紹介会社・直接採用等監理団体経由直接採用
採用まで期間1年数か月3〜6か月数か月〜1年随時
訪問系サービス不可(資格取得後は一部可)条件付きで可(2025年4月〜)条件付きで可(2025年4月〜)
合格後の長期就労◎ 在留更新制限なし△ 5年上限→介護福祉士取得が必要△ 特定技能or「介護」へ移行◎ 更新制限なし

(参照:厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」/「外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について」)

EPAは候補者が日本の国家資格を取得することを目的に、就労と研修を組み合わせた仕組みです。受け入れ側も、学習支援を含めた育成を行うことが前提になります。一方、特定技能は人手不足分野での就労を中心に据えた制度で、即戦力性や現場稼働を重視した設計です。受け入れルートの面では、EPAはJICWELSを通じた手続きが前提になる公的枠組みであり、「自由に採用できる」制度ではなく、募集・マッチング・研修が制度パッケージとして提供されるイメージです。

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EPAでの受け入れ手続きの流れ

EPA受け入れは、マッチング、研修(訪日前・訪日後)、就労・研修、国家試験受験までが一体のプロセスとして設計されています。採用担当だけで完結させず、現場管理者、教育担当、労務担当が早い段階から同じスケジュールを共有することが重要です。住居や生活立ち上げ、シフト調整、学習時間確保は部署横断で決めないと、制度の意図どおりに運用できません。

EPA介護福祉士候補者 受け入れ手続きステップ(標準的な流れ)
ステップ内容目安時期
受け入れ施設がJICWELSへ求人登録申請年1回(例:3〜4月頃)
現地マッチング会への参加・候補者選定7〜12月頃(国により異なる)
雇用契約締結・在留資格認定証明書申請マッチング後1〜3か月
訪日前日本語研修(約6か月)・ビザ申請渡日の約6か月前から
来日・訪日後研修(日本語・介護導入研修)来日後約半年間
介護施設での就労開始・国家試験対策の並行学習研修修了後
国家試験受験(原則4年以内に合格を目指す)毎年1月頃

(参照:厚生労働省「EPA(経済連携協定)に基づく外国人介護福祉士候補者の受入れについて」)

特に見落としやすいのが、研修期間を含めて全体日程が組まれている点です。欠員が出てから慌てて動くと間に合わないことがあるため、次年度の受け入れ計画として早めに情報収集し、募集開始前から受け入れ枠や条件を確認するのが現実的です。申請から就労開始まで一般的に1年数か月かかることを前提に計画を立てることが重要です。

受け入れ先(事業者)に求められる要件

EPAの受け入れは、どの施設でも自由にできるわけではなく、一定の要件を満たすことが前提です。これは候補者の学習環境と、医療・介護サービスの安全性を守るための設計です。実務的には「適正な人員配置と業務運営ができているか」「指導・研修を継続できるか」「不正や報告拒否など制度運用に反する履歴がないか」という3点に集約して考えると整理しやすいです。

看護(病院等)で求められる体制の例

看護分野では、指導者配置や看護体制・基準、記録や手順の整備など、教育と安全管理に関わる体制が求められます。具体的には、看護学生の臨地実習指導者の配置、看護師・准看護師の人数基準(入院患者3人に対し1人以上)、看護職員の半数以上が看護師であること、などが必要です。また、求人申請の虚偽など過去3年間の不正行為がないこと、報告・巡回訪問への適切な協力が求められます。

介護(施設等)で求められる体制の例

介護分野では、法令に基づく配置基準を満たしていること、介護福祉士養成施設の実習施設と同等の体制が整備されていること、そして常勤介護職員の4割以上が介護福祉士の資格を有することが求められます。資格者が一定数いる職場は、専門用語の説明や記録指導、試験対策の助言が回りやすく、合格可能性にも影響します。また、過去3年間に受け入れ関係の不正行為や巡回訪問拒否がないことも要件です。

公的枠組みとしての留意点(年度上限・報告/巡回等への協力)

EPA受け入れは年度ごとに受け入れ人数の上限が設定されるなど、国内労働市場への影響や制度の適正運用の観点から管理されています。希望すれば必ず受け入れられるとは限らないため、採用計画は複線化しておくと安定します。また、報告や巡回訪問への協力など、運用上の責務があります。これらは支援・改善のための情報共有でもあるため、記録と教育の仕組みを日常的に整えておくことが重要です。

雇用後の支援・教育で押さえるポイント

EPA受け入れの成否は、雇用後の支援設計でほぼ決まります。業務が忙しいほど学習が後回しになりやすい一方、学習が進まないと業務理解も進まず、結果として現場負荷が上がるという悪循環が起きます。そのため、支援は善意や根性論ではなく、勤務計画と一体の仕組みに落とし込むことが大切です。

日本語学習と国家試験対策の進め方

業務で必要な日本語は、日常会話よりも記録、申し送り、敬語、指示理解といった職業日本語が中心です。まずは頻出フレーズや記録の型を統一し、同じ表現を繰り返し使える環境を作ると上達が速くなります。医療・介護用語は意味の説明だけでなく、現場の具体場面と結び付けて覚えることが効果的です。試験対策は、学習時間の確保、過去問と模試の活用、弱点分析のサイクルが基本です。学習を個人の努力に任せず、職場のマネジメント対象にすることが合格率を上げる実務上のポイントです。

監修:江島一孝
介護技能実習評価試験評価者
介護福祉士

湘南国際アカデミーが支援する外国人介護士の介護福祉士合格率は70%を超えています。その背景にあるのは、「N3レベルで初任者研修、N2レベルで実務者研修、そして国家試験対策へ」という年次別カリキュラム設計です。
厚生労働省の調査では、N2以上でもEPA候補者の合格率は81.0%、特定技能は50.4%と差があり、訪日前から積み上げた日本語教育の質がいかに重要かを示しています。合格した職員が「先輩のように合格したい」という良い循環を生む事業所は、定着率も高い傾向があります。
(出典:厚生労働省「EPA(経済連携協定)に基づく外国人介護福祉士候補者の受入れについて」)

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雇用時の注意点

EPAは公的枠組みである分、手続きと運用の適正さが強く求められます。よくあるトラブルは、待遇説明の不足、現場での業務範囲の誤解、文化面のすれ違いが重なって離職に至るケースです。リスク対策としては、採用前に条件を書面と口頭で丁寧に説明し、配属後は定期面談で困りごとを早期に吸い上げることが有効です。

同等待遇と労働法令遵守(賃金・労働時間・社保)

EPA候補者は日本人同等以上の報酬が求められ、労働時間管理や割増賃金、休暇、社会保険加入なども日本のルールが適用されます。外国人だから例外という考え方は通用しません。実務では、賃金テーブルと評価制度を整合させ、何を満たすと昇給・昇格するのかを言語化して共有することが重要です。就業規則や安全衛生、相談窓口の案内は、候補者が理解できる表現に落とし直すことが必要です。

業務範囲・不法就労リスクの回避

在留資格で認められた範囲を超える業務に従事させると、不法就労に該当するリスクがあります。責任は本人だけでなく受け入れ機関側も問われるため、現場の認識合わせが不可欠です。対策として、候補者が担当してよい業務と注意が必要な業務を一覧化し、現場リーダーまで含めて周知します。疑義がある場合は自己判断せず、制度資料や関係窓口に確認しながら運用します。(参照:厚生労働省「EPA(経済連携協定)に基づく外国人介護福祉士候補者の受入れについて」)

文化・コミュニケーション面の配慮

文化や宗教、生活習慣の違いは、配慮すれば強みになり、放置すると摩擦になります。指示の出し方は、曖昧表現を減らし、優先順位と期限をセットで伝えると誤解が減ります。分かったかどうかを質問で確認し、復唱やメモで合意を取る運用にすると安全です。また、相談導線の整備とハラスメント防止は必須です。多文化受け入れ研修を管理職・現場双方に行い、困りごとを早期に共有できる職場づくりが定着率を左右します。

よくある質問|EPA外国人労働者の受け入れ

EPAは手続き窓口や対象範囲が限定されるため、検討初期に疑問が集中しやすい項目をQ&Aで整理します。

Q1.
EPAはどの職種でも使えますか?
A

原則として、EPAで受け入れられるのは看護師候補者と介護福祉士候補者の2類型のみです。その他の職種で外国人材を採用したい場合は、別の在留資格や制度を検討する必要があります。「外国人労働者を受け入れる制度」とひとまとめにせず、職種、業務内容、求めるスキル、日本語水準、想定期間に合わせて制度を選ぶことが採用の失敗を減らします。

Q2.
民間の紹介会社に依頼してEPA人材を採用できますか?
A

できません。EPA受け入れは公的枠組みとして運用され、唯一の受け入れ調整機関であるJICWELS(国際厚生事業団)を通じたあっせんが前提になります。一般的な民間の職業紹介会社に「EPAルートで紹介してほしい」と依頼して進める形にはなりません。採用チャネルを検討する場合は、EPAとしての手続きなのか、別制度としての採用なのかを明確に切り分けることが重要です。(参照:厚生労働省「EPA(経済連携協定)に基づく外国人介護福祉士候補者の受入れについて」)

Q3.
国家試験に不合格の場合、そのまま帰国になりますか?
A

候補者としての滞在可能期間の枠内で、再受験や支援の考え方が検討されることがあります。ただし、具体的な取り扱いは年度の運用や個別状況により確認が必要です。受け入れ側としては、不合格を前提にするのではなく、早期から弱点を特定し、学習計画を修正できる体制を作ることが現実的な対策です。学習の遅れは後半で挽回しにくいため、1年目から試験を逆算した支援が重要になります。

Q4.
EPAと特定技能ではどちらが日本語力が高いですか?
A

EPAは訪日前に約6か月間の日本語研修があり、母国での学歴要件もあるため、一般的に入国時の日本語力はEPAの方が高い傾向にあります。厚生労働省の調査では、N2以上での介護福祉士国家試験合格率はEPA候補者が81.0%、特定技能が50.4%という差があります。この差の主な要因は「日本語教育の計画性」と「学習支援体制」の違いです。どちらの制度でも、採用後の日本語学習支援設計が合否を左右します。(出典:厚生労働省「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」第36回国家試験筆記試験の結果より)

Q5.
受け入れ施設の要件として介護福祉士の比率はどの程度必要ですか?
A

EPA介護福祉士候補者を受け入れる介護施設の要件として、常勤介護職員の4割以上が介護福祉士の資格を有することが定められています。この要件が満たせない施設は、まず現職員の資格取得支援を進めることが優先されます。湘南国際アカデミーでは、現職員向けの実務者研修介護福祉士受験対策もご支援しています。(参照:厚生労働省「EPA(経済連携協定)に基づく外国人介護福祉士候補者の受入れについて」)

まとめ

EPA受け入れは、対象国・職種が限定された公的枠組みであり、候補者が国家資格取得を目指すことを前提に、受け入れ機関側の体制整備と継続支援が求められます。

本記事の要点を整理します。EPAは貿易だけでなく人の移動や制度協力まで含む包括的な協定で、看護・介護分野の受け入れはその一部です。受け入れの対象はインドネシア・フィリピン・ベトナムの3国で、職種は看護師候補者・介護福祉士候補者が原則です。候補者は雇用契約のもと、日本人同等以上の待遇で働きながら学び、介護は最長4年を目安に国家試験合格を目指します。

合格後は在留資格「介護」への移行が可能となり、更新制限なく長期就労できるため、長期雇用の可能性が高まります。成功の鍵は、手続きの全体像を把握し、受け入れ要件を満たしたうえで、日本語と国家試験対策を計画的に支援し、労務・業務範囲・多文化対応を適正に運用することです。

まず、自施設が受け入れ要件を満たしているかを点検し、指導者配置、記録・手順の整備、学習支援の運用が可能かを確認します。次に、採用目的が国家資格取得を軸にした育成型なのか、別制度の方が適するのかを比較し、必要なコストと体制を見積もります。そのうえで、募集・研修・配属までのスケジュールを逆算し、JICWELSなどの相談先に早めに問い合わせることが実務上の近道です。

湘南国際アカデミーは、外国人介護士向けの初任者研修実務者研修介護福祉士受験対策から登録支援業務までをワンストップで提供しており、支援中の外国人介護士の介護福祉士合格率は70%を超えています。外国人材の受け入れ・育成・定着についてのご相談はお気軽にお問い合わせください。(参照:厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」)

この記事を書いた人
介護老人福祉施設に10年在籍し、研修受け入れ担当として年間100名以上の研修生を指導。
湘南国際アカデミーでは初任者研修・実務者研修・介護福祉士受験対策の講師を務めるほか、受験対策テキストの執筆も担当。
介護技能実習評価試験評価者として外国人介護士の受け入れ支援、事業所向けスキルアップ研修のプロデュースなど、人材確保・育成・定着に向けた幅広い活動を展開している。
江島 一孝
藤沢校・横須賀校・海老名校・相模大野校・横浜戸塚校・横浜馬車道関内校・小田原校・大和校・横浜二俣川校
【所持資格】
介護福祉士・介護福祉士実習指導者・介護支援専門員・福祉用具専門相談員・介護技能実習評価試験評価者
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