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介護事業所の助成金 完全ガイド|目的別に使える制度を解説

  • 介護事業所向け研修

介護事業所では「どの助成金が使えるのか分からない」「制度が多すぎて整理できない」という声が多く聞かれます。実際、介護分野で活用できる制度は、職員の採用・育成・定着・賃上げといった目的ごとに分かれており、それぞれ財源も申請先も異なります。

本記事では、介護事業所が活用できる主な助成金を「目的別」に整理し、それぞれの概要・使いどころ・申請の流れ・注意点までをわかりやすく解説します。賃上げに直結する「処遇改善加算」との違いも整理し、自社が次に検討すべき制度がひと目で分かる構成にしています。

なお本記事は、人材の採用・育成・定着・賃上げに関わる助成金を中心に解説します。ICT・介護ロボットの導入支援、施設整備・開業、物価高騰対策などの設備・経営系の補助金は対象範囲外のため、必要に応じて厚生労働省や各自治体の最新情報もあわせてご確認ください。

この記事の情報の出典について

本記事は、厚生労働省が公表する「事業主の方のための雇用関係助成金」および「介護職員の処遇改善:制度概要」の情報をもとに、介護福祉士・介護技能実習評価試験評価者の資格を持つ監修者が、介護事業所の実務に沿って整理・解説しています。制度の要件・金額・申請様式は年度や自治体により変わるため、申請前に必ず最新の公的情報をご確認ください。

介護事業所の「助成金」「補助金」「加算」は何が違う?

制度を整理する第一歩は、似た言葉の違いを押さえることです。介護事業所が耳にする「助成金」「補助金」「加算」は、財源も申請先も目的も異なります。混同したまま検討を進めると、本来使える制度を取りこぼしたり、申請先を間違えたりする原因になります。

「助成金・補助金・加算」の違い
区分主な財源・所管介護での代表例
雇用関係の助成金雇用保険料(厚生労働省・労働局/ハローワーク)人材開発支援助成金キャリアアップ助成金 など
補助金国・自治体の予算(年度・予算枠あり)介護人材確保・職場環境改善等事業 など
加算介護報酬(保険給付に上乗せ)処遇改善加算 など

ポイントは、賃上げの原資づくりに直結する「処遇改善加算」は助成金ではなく介護報酬の加算である、という点です。採用・育成・定着などの取り組みにかかる費用を補うのが雇用関係の助成金、年度予算で実施される国・自治体の施策が補助金と整理すると、検討の入口を間違えずに済みます。

【目的別】介護事業所が使える主な助成金 早見表

まずは全体像です。自社が「いま何に取り組みたいか」から逆引きできるよう、目的別に主な制度を整理しました。詳細は、この表のあとの各セクションで解説します。

目的別・介護事業所が活用できる主な制度
目的主な制度使いどころ
人材を採用したいキャリアアップ助成金、特定求職者雇用開発助成金 など正社員化・未経験者や高齢者などの採用
育成・資格取得を支援したい人材開発支援助成金 など実務者研修・介護福祉士受験対策などの受講費用の軽減
定着・両立支援に取り組みたい両立支援等助成金、人材確保等支援助成金 など介護離職防止・職場環境づくり
賃上げ・処遇改善をしたい処遇改善加算(※加算制度)賃金改善の原資づくり(助成金ではなく介護報酬の加算)

※制度の対象範囲・要件・助成内容は年度や事業所の状況により異なります。具体的な金額は断定できないため、適用可否は専門家への相談や公的情報での確認が必要です。

採用したいとき|キャリアアップ助成金・特定求職者雇用開発助成金

人材確保が課題の事業所がまず検討したいのが、採用や雇用の安定に関する助成金です。代表的なのが、非正規職員の正社員化などを支援する「キャリアアップ助成金(正社員化コース 等)」と、就職が困難な方を雇い入れる事業主を支援する「特定求職者雇用開発助成金」です。

いずれも雇用保険を財源とする制度のため、適正な労務管理(雇用契約・就業規則・賃金台帳などの整備)が前提となります。採用後の定着を見据え、入職初期の教育やキャリアパスの整備とセットで設計すると、助成金の活用と離職防止の両方に効果が期待できます。

採用・人手不足の課題を整理したい方はこちら

☑老人ホームの人手不足の原因と解決策

育成・資格取得を支援したいとき|人材開発支援助成金

職員に研修や資格取得を促したい事業所に適しているのが「人材開発支援助成金(人材育成支援コース 等)」です。職務に関連した訓練の経費や、訓練期間中の賃金の一部が助成の対象になり得るため、実務者研修や介護福祉士受験対策などの受講費用の負担を抑えながら、計画的に人材を育成できます。

湘南国際アカデミーは、累計46,000名以上が受講してきた教育機関として、事業所単位での資格取得支援にも対応しています。助成金の活用と組み合わせれば、職員の資格取得が処遇改善加算の要件整備(キャリアパス・研修体制)にもつながり、育成と賃上げの好循環を生み出せます。

定着・両立支援に取り組みたいとき|両立支援等助成金・人材確保等支援助成金

採用した人材に長く働いてもらうための制度もあります。「両立支援等助成金(介護離職防止支援コース 等)」は、仕事と介護・育児の両立に向けた休業制度や柔軟な働き方の整備を支援します。「人材確保等支援助成金」は、雇用管理改善や職場環境の整備に取り組む事業主を対象とした制度です。

これらは、職員の離職防止や働きやすい職場づくりに直結します。介護現場では、賃金だけでなく「働き方」や「相談しやすさ」が定着の決め手になることも多いため、就業規則や面談体制の見直しとあわせて活用するのが効果的です。

賃上げ・処遇改善をしたいとき|「処遇改善加算」という選択肢

「職員の賃金を上げたい」という目的の場合、検討すべきは助成金ではなく、介護報酬に上乗せされる処遇改善加算です。これは雇用関係の助成金とは財源(介護報酬)も申請先も異なる制度で、要件(キャリアパス・職場環境等要件など)を満たして算定することで、賃金改善の原資を確保できます。

また、2026年6月施行予定の介護報酬改定に向けては、改定までのつなぎとして賃上げ・職場環境改善を後押しする時限的な支援も実施されています。これまで処遇改善加算の対象外だったケアマネジャーや看護職員なども含めて支援の対象が広がる動きがあり、要件や対象期間は年度・改定の状況で変わります。最新の取り扱いは、必ず厚生労働省や自治体の公的情報でご確認ください。

処遇改善加算は要件や区分が複雑なため、本記事では概要にとどめます。制度の全体像・算定要件・届出の流れは、以下の専門記事で詳しく解説しています。

江島一孝
介護福祉士

【監修者コメント】
事業所向けスキルアップ研修を担当する中で、「助成金と処遇改善加算を混同していた」というご相談を数多く受けてきました。
両者は財源も申請先も別物です。まず「賃上げの原資をつくる=処遇改善加算」「採用・育成・定着の取り組み費用を補う=雇用関係の助成金」と整理すると、自社が次に動くべき制度が見えてきます。
(参照:厚生労働省「介護職員の処遇改善:制度概要」)

助成金活用の大前提は「適正な労務管理」です

雇用関係の助成金は雇用保険料を主な財源とするため、申請には労働基準法に基づく適正な労務管理(勤怠管理・賃金台帳・就業規則など)が前提となります。労務管理に不備があると、そもそも申請できなかったり、申請後の確認で不支給となるケースがあります。「どの制度が使えるか分からない」「申請の手間が取れない」という場合は、労務体制の整備から申請まで一気通貫で相談できる窓口の活用が有効です。

助成金申請の主な流れと注意点

制度によって細部は異なりますが、雇用関係の助成金は概ね次の流れで進みます。多くの制度で「計画の事前提出」が必要なため、取り組みを始める前に申請の段取りを確認しておくことが重要です。

1
使える制度を確認する

自社の目的(採用・育成・定着・賃上げ)に合う制度と要件を確認します。

2
計画を作成・提出する

多くの制度では、取り組みの実施前に計画書の提出が必要です。

3
取り組みを実施する

研修・正社員化・職場環境改善などを計画に沿って実施し、記録を残します。

注意点として、助成金は制度ごとに毎年度のように要件・対象・予算が見直されます。また、補助金は予算枠に達すると受付が終了することもあります。支給額や採否を事前に断定することはできないため、最新の公的情報を確認し、計画段階から専門家に相談することをおすすめします。

あわせて、国の制度だけでなく、都道府県や市区町村が独自に実施する制度も確認しておきましょう。たとえば神奈川県をはじめ各自治体では、介護ロボット・ICT導入の補助や、資格取得・研修費用の支援など、地域の実情に応じた制度が用意されている場合があります。事業所の所在地の自治体ホームページもあわせてご確認ください。

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よくあるご質問

Q1.
介護事業所が使える「助成金」と「補助金」「加算」はどう違いますか?
A

「助成金」は主に雇用保険を財源とし、採用・育成・定着などの取り組みを支援する制度です。「補助金」は国・自治体の予算で実施され、予算枠や年度の制約があります。「加算」は介護報酬に上乗せされる仕組みで、賃上げの原資となる処遇改善加算が代表例です。財源も申請先も異なるため、目的に応じて使い分けが必要です。

Q2.
助成金はどの制度から検討すればよいですか?
A

「いま何に取り組みたいか」から逆引きするのが近道です。採用なら「キャリアアップ助成金」など、育成・資格取得なら「人材開発支援助成金」、定着・両立支援なら「両立支援等助成金」などが候補になります。賃上げが目的の場合は助成金ではなく処遇改善加算を検討します。

Q3.
助成金の申請に費用はかかりますか?
A

申請そのものは事業所で行うことができ、行政への申請手数料は基本的にかかりません。一方で、制度の選定や書類作成に多くの手間がかかるため、社会保険労務士などの専門家に依頼するケースもあります。当校では提携社労士と連携し、まずは無料診断で活用できる制度を整理するところから対応しています。

Q4.
処遇改善加算も助成金に含まれますか?
A

いいえ。処遇改善加算は雇用保険を財源とする助成金ではなく、介護報酬に上乗せされる「加算」です。賃金改善の原資づくりに使う制度であり、申請先(自治体)や要件も助成金とは異なります。詳しくは処遇改善加算の解説記事をご覧ください。

Q5.
申請してから支給までどのくらいかかりますか?
A

制度や審査状況によって異なります。多くの雇用関係助成金は「計画の提出 → 取り組みの実施 → 実績報告 → 支給」という流れで、取り組みの実施後に支給されるのが一般的です。具体的な期間は制度ごとに異なるため、計画段階でスケジュールを確認しておくと安心です。

Q6.
制度の要件や金額は毎年変わりますか?
A

はい。雇用関係助成金は年度ごとに要件・対象・助成内容が見直されることが多く、補助金は予算枠に達すると受付が終了する場合もあります。支給額や採否を事前に断定することはできないため、申請前に必ず最新の公的情報を確認してください。

まとめ

介護事業所が使える制度は数多くありますが、「採用・育成・定着・賃上げ」という目的から逆引きすれば、検討すべき制度を絞り込めます。採用・育成・定着には雇用関係の助成金、賃上げには介護報酬の処遇改善加算、というように、目的と制度の対応を押さえることが第一歩です。

制度は毎年のように見直され、要件や金額、予算枠も変わります。取りこぼしや申請ミスを防ぐには、最新情報の確認と、計画段階からの専門家への相談が有効です。湘南国際アカデミーは、累計46,000名以上の教育実績と提携社労士のネットワークを活かし、制度の整理から研修・資格取得支援、申請サポートまでを一気通貫で支援しています。

この記事を書いた人
介護老人福祉施設に10年在籍し、研修受け入れ担当として年間100名以上の研修生を指導。
湘南国際アカデミーでは初任者研修・実務者研修・介護福祉士受験対策の講師を務めるほか、受験対策テキストの執筆も担当。
介護技能実習評価試験評価者として外国人介護士の受け入れ支援、事業所向けスキルアップ研修のプロデュースなど、人材確保・育成・定着に向けた幅広い活動を展開している。
江島 一孝
藤沢校・横須賀校・海老名校・相模大野校・横浜戸塚校・横浜馬車道関内校・小田原校・大和校・横浜二俣川校
【所持資格】
介護福祉士・介護福祉士実習指導者・介護支援専門員・福祉用具専門相談員・介護技能実習評価試験評価者
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